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お薦め記事

ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故(その3)

2012-07-21
 ちょっとしつこくなっていますが、もう一度、ウクライナ基準です。福島原発事故の汚染状況を示す文科省の地図にウクライナの避難基準該当ゾーンを書き込んだだけですと、地名が見えなくなっており、具体的にどのあたりなのか、見にくくなっています。そこで、線で囲った部分に着色し、抜き出し、白地図に重ねてみました。なお、100kmの距離円も記入しています。左右それぞれの図、クリックするとそれぞれ拡大します。またなお、埼玉・東京・千葉・神奈川の町名は表示するとごちゃごちゃになりますので、このあたりは行政区割のみ表示しています。

ウクライナ福島M ウクライナ福島再構成小

 この地図、早川先生の汚染地図でウクライナ基準を検討した際と並べてみると、次のようになります。

ウクライナ早川小 ウクライナ福島再構成小
(早川先生の汚染地図にウクライナ基準で着色 ⇔ 文科省の汚染地図にウクライナ基準で着色)

 測定時点が半年以上違っているはずなのですが、あまり状況に変化はないということになりましょうか。



・文部科学省の地図は、放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているものです。
・「早川先生の地図」とは放射能汚染地図(5訂版)です。早川先生と協力者の皆様、貴重なデータの公開、ありがとうございます。
・背景地図は、Kenmapで作成させていただきました。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。

【着色基準値の設定、線をどう引いたかは、以下をご参照ください】
 ・ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故(その2)
 ・ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故


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ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故(その2)

2012-07-19
 先日、ウクライナの避難地域、福島原発事故のどのあたりになるのか、描き直してみました。そして文部科学省のデータから、最新の情報(といっても、昨年12月が最新ですが)とも、かなり一致する状況であることを関東地方について確認してみました。
 しかし、ここまでやったら、福島原発事故の地元、東北地方まで確認しておくべきではないか、という気がしてきました。で、やりました。

ウクライナ福島
(赤線の形〔一関付近〕を多少修正しました7/20/11:30)

 データソースは文部科学省のモニタリングデータ、その中から、「走行サーベイ」データです。実際に自動車で走り回って測定したデータですので、確度は高いでしょう。
 「移住権利ゾーン」はもちろん、「移住義務ゾーン」でも、かなりの人口が生活しているように思いますが、本当に大丈夫なのでしょうか?


(文科省サイトの引用規定では、300×400ピクセルを超える図の引用、手続きなしに可能なのは5枚までとなっていますので、当ブログまだ2枚めですが、いずれ5枚になりそうになったらリンク先を削除します。必要のある方は今のうちに見ておいてください。ちなみに、“スクロールしなければ見れないような図は1枚でも届け出せ”、となっているのですが、当方のディスプレー1920×1200なんで、縦位置にするとぎりぎりで入っているので、大丈夫だよね・・・。)

関東地方の「移住権利ゾーン」/福島がチェルノブイリなら

2012-07-13
 一昨日は福島原発事故の放射能汚染地域の広がり、チェルノブイリ事故の際のウクライナの基準であれば、どこまでがどのような対策地域なのか、おおまかに広域で見てみました。「移住権利ゾーン(0.2μSv/h以上)」、関東にも広範に広がっていました(0.2μSv/hという基準についてはやはり一昨日の記事をご参照ください)。
 そこで本日はもっと詳しく見てみます。文部科学省のモニタリングデータ、その中から、「走行サーベイ」で得られているデータを利用してみます。実際に自動車で走り回って測定したデータです。最新は「平成23年12月05日~12月28日」となっています。関東地方を表示させ、「移住権利ゾーン」相当地域のアウトラインを示す赤線を書き込むと次のようになります。

移住権利ゾーン関東

 ここがウクライナなら、この地域は移住の権利があるゾーンということになります。引越しするかしないか思い悩まなくて済む日本に生まれ合わせたことに感謝するしかない幸福な(もちろん反語です)状況です。
 (それにしても船橋市住民、こんな状況で再稼働ゴリ押しの野田佳彦に投票するのだろうか? まあ船橋市自体は大半「放射能管理強化ゾーン(0.1~0.2μSv/h)」相当の値だから良い、ってか??)


ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故

2012-07-11
 もうこれは描かれた方もいらっしゃるのですが、やはりちょっと気になりますので、ウクライナの避難地域、福島原発事故のどのあたりになるのか、再度描き直してみました。

ウクライナ福島

 いつものようにKenmapで背景地図を作成し、そこへ早川先生の放射能汚染地図(5訂版)の汚染状況をウクライナの避難地域指定に合わせて着色しなおし、重ねたものです。
 早川先生の地図では単位が「μSv/h(マイクロシーベルト/毎時)」となっていますが、ウクライナの地域指定で参考にしたホームページでは「mSv/y(ミリシーベルト/年)」となっていました。この両者の換算は、単に時間を年にする(24×365を掛ける)と良いのかと思いましたが、政府のホームページに、実効被曝量の換算表がありましたので、そちらの値を使用しました。屋内に居る時間は被曝量が少なくなるとして割り引いた換算になります。つまり、前者の方法よりも数字が小さく出る(避難範囲が小さくなる)ことになります。具体的には、

> ●1年の間、屋外に毎日8時間、屋内に毎日16時間いると仮定した場合、
> 木造の建屋の遮蔽係数0.4を考慮して約20ミリシーベルトになるような
> 空間線量率は毎時3.8マイクロシーベルト(自然放射線による影響も含
> む。)である。
中略
> ●具体的には、
> 0.1マイクロシーベルト/時は、年間約0.5ミリシーベルト
> 0.2マイクロシーベルト/時は、年間約1ミリシーベルト
> 0.5マイクロシーベルト/時は、年間約2.5ミリシーベルト
> 1.0マイクロシーベルト/時は、年間約5ミリシーベルト
> 1.9マイクロシーベルト/時は、年間約10ミリシーベルト
> 9.5マイクロシーベルト/時は、年間約50ミリシーベルト
> である。

と書いてあります。

 改めて、やっぱりすごい状況です。福島市など、かなりの部分、移住義務ゾーンに入ってます。茨木・千葉・埼玉・東京東部、栃木・群馬、宮城・岩手、移住権利ゾーンに入っている部分があります。
 既に除染や、半減期で汚染状態は低減しているでしょうが、これまでの経緯を考えると日本政府、住民の安全なんて全く考えていなかったことが分ります(福島原発直近の数町を除き、避難の話しなんて出なかった)。
 

【再改訂版】PAZ・UPZ・PPAの意味

2012-01-19
 原子力安全委員会の作業部会が方針を打ち出した、原子力災害防災対策区域の区域割り設定変更案、いろいろ考えてみると、当初考えたことよりも、問題点が多いことがわかってきました。 そもそも、原子力災害防災対策区域は、細野豪志環境相・原発事故担当相が2011年10月1日、それまで8~10kmとされていたEPZ(「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」)の改定案を10月中に決定することを発表したのが、政府発表の発端でした。そして原子力安全委員会が、EPZをPAZ・UPZ・PPAと細分化し、UPZを30km圏、PPAを50km圏とする案を確定したのが10月20日でした(この時、PPAはまだPPZ)。
 当初、当方、放射性セシウムを中心とする空中被曝線量から考えていました。もちろん、事故直後は放射性ヨウ素のほうがはるかに高い被曝をもたらすことは分かっていたのですが、放射性ヨウ素に関する使いやすいデータがなく、手を出しかねていました。しかし、それではどうにもなりませんので、できる範囲で考え始めました
 その最中、2011年12月7日、原子力安全委員会・防災専門部会被曝医療分科会が、安定ヨウ素剤服用基準をそれまでの半分の値に厳格化しました。この厳格化された数値をまじめに受け取れば、原子力防災対策区域も拡大する必要があることになります。原子力安全委員会・防災専門部会被曝医療分科会が行なった変更は、安定ヨウ素剤服用基準の100mSvから50mSv(1/2の数値)へのに改定ですので、その名もズバリのPPA(放射性ヨウ素防護地域)の最外周30km地点で放射線被曝が100mSvに達する事故が発生したとして、これが50mSvに低下するのは、原子炉からさらに何km遠ざかった地点になるかを計算してみました。その結果、得られた数値は、それまでの50km圏を、80km圏へと変更しなければならない、というものでした。これはかなりの変動ですので、ここしばらくは、これが各地においてどういう範囲になるのか、当ブログでは作図を行ってきました。(全国の状況と各地についてのリンクは→ こちら)。
 ただしそれは、安定ヨウ素剤服用必要地域についての計算を、「放射性ヨウ素防護地域」という名称に対応して行なった計算に過ぎません。原発事故発生時、安定ヨウ素剤の服用が必要なのは、UPZ(緊急防護措置区域、30km圏)、PAZ(予防的措置範囲、5km圏)でも同じです。事故の規模により、これらの地域でも、安定ヨウ素剤の服用が、事故対策としてもっとも重要となる場合が考えられます。
 その結果、UPZは現在の30km圏から50kmとするのが妥当という計算結果が得られました。またPAZについては、5kmを8kmとするのが妥当と考えられます。
 より一層、問題の多い事態となっています。以下とりあえず、こういった当ブログでの検討結果をまとめておきます。

UPZを再々考するRb01.jpg

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【改訂版】PAZ・UPZ・PPAの意味

2011-12-15
〔2012/1/19追記〕【再改訂版PAZ・UPZ・PPAの意味】をアップしました。
              → こちらをご覧ください。


 原子力安全委員会の作業部会が方針を打ち出した、原子力災害防災対策区域の区域割り設定変更案、いろいろ考えてみると、当初考えたことよりも、問題点が多いことがわかってきました。
 当初、当方、放射性セシウムを中心とする空中被曝線量から考えていました。もちろん、事故直後は放射性ヨウ素のほうがはるかに高い被曝をもたらすことは分かっていたのですが、放射性ヨウ素に関する使いやすいデータがなく、手を出しかねていました。しかし、そうも言ってられないようですので、できる範囲で考え始めました。その最中、原子力安全委員会の下部組織が、安定ヨウ素剤服用基準を見直すという出来事が起こり、作り始めていた地図等、再度修正する必要が生じました。
 より一層、問題の多い事態となっています。とりあえず、今までの当ブログでの検討結果をまとめておきます。

UPZを再考するR02

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PAZ・UPZ・PPZの意味(2)実は100倍危険!

2011-10-28
 新しい原発事故対策の事前対策区域設定、PAZ、UPZ、PPZが、どういう地域なのかは、前回考えましたが、その外側はどうなるのでしょうか。引き続き、3.11福島原発事故をもとに考えることにしますが、ここでちょっと問題があります。

まっすぐ伸ばさない

 福島原発事故の放射能汚染地帯の広がりで最も濃い部分、福島第一原発から北西方向へ向けて伸びている高濃度地帯は、福島市直前でカクッと曲がり、南西方向へ方向転換します。これは放射性プルーム(放射能雲)がここで風向きの違う風に流されたということでしょうが、その原因は地形にあります。「福島第一原発事故直後の福島中通りにおける放射性物質の飛散状況はどのようなものだったか」の「⑥阿武隈高地と奥羽山脈にはさまれた地形が影響」に書かれているように、ここで山にぶつかった、あるいは、山に沿う風によって、方向が曲げられたことになります。今後の事故について考えてみるならば、今回の地形的な要因を抜いて考えないといけないでしょう。
 そこで、曲がった部分を丸く切り取ってくるっと回し、エイヤッと、貼り付けてみたのが次の図です。

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PAZ・UPZ・PPZの意味

2011-10-26
【12/15追記: 「PAZ・UPZ・PPZの意味」改訂版を作成しました。こちらも御覧ください。

 原子力安全委員会の作業部会が方針を打ち出した、原子炉災害防災対策区域の区域割り設定変更案、少しは解説記事など出るかと思っていましたが、新聞記事を見ている限り、全然出てこないので、自分で考えたことを書いてみることにします。
 まずは、3.11福島原発事故だと、どのあたりが新しい区域割りの対象区域となってくるか、地図を見てみます。

UPZ考察用

  予防的防護措置準備区域(PAZ)5km
  緊急時防護措置準備区域(UPZ)30km
  屋内退避、ヨウ素服用対策準備区域(PPZ)50km

 各区域が、具体的にどういう危険を背負い込むことになるのかというと・・・

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