馬鹿さ加減をさらけ出す、経済紙、日経!!
2014-10-23
それにしてもメディア、バカだな~。プロパガンダ(政治宣伝、それもウソ八百)にしても、これほど見え見えにアホな話し、よく書けるなぁ。
(西日本新聞朝刊 10月23日)
貿易赤字の原因として一番に挙げられているのが「原発の長期停止で、火力発電の燃料油入額は依然として高水準で推移」と来ました。いや、いいですよ、火力発電用の燃料輸入額がそれなりにあることは確かでしょうから。で、いくらなのか。
電気事業連合会・電力中央研究所の計算で、原発代替燃料費は年額、2.5兆円とされています(ここからリンクされている先の論文見ると、2.5兆円~2.9兆円なんですが、このリンク元HPでは「最大2.5兆円」www)。これは電力業界が自ら認める数字です。今回の貿易統計発表は半年分の数字ですから、それに合わせて半期にすれば1.25兆円程度ということになります。なお、ほかの所の計算では、自然エネルギー財団なら年額2.4兆円、財務省なら年額1.6兆円です。まあ、経産省や自民党の年額3.6兆円という数字もありますが、それでも半期なら、1.8兆円程度ということになります。
さて、今回発表、2014年4~9月期の貿易赤字、5.4兆円です。1.25兆円÷5.4兆円≒23%、ということで、貿易赤字の77%は、原発代替燃料以外の原因によることになります。ちゃんと目を開けて記事書いてるのかぁ~。
貿易赤字の最大の原因は、アベノミクスが敗北し、壊滅状態の輸出が全く復活できていないというだけのことなんですけどね~。
で、他紙も↓こんなんです。
「貿易赤字は円安の進行や、原子力発電所の停止で火力発電所向けの燃料の輸入が高止まりしていることが大きい」(読売新聞HP 10月22日)
「円安が進んで輸入品の円建て価格が押し上げられたことに加え、火力発電用の液化天然ガス(LNG)の需要が伸びたためだ」(時事通信 10月22日)
「LNGは原子力発電所の稼働停止を受けて火力発電向けの燃料としての需要が高まった」(日経新聞HP 10月22日)
時事や日経は、上の西日本新聞記事よりもまた一段と馬鹿さ加減が増しています。なぜなら、LNGの輸入増は、貿易赤字の減少要因だからです。原発停止したのは2年半も前の話(2012年5月16日泊原発停止により事実上原発ゼロ)です。その後は特に火力発電量が増大する理由もなく(株価は浮かれても、生産活動は伸びてないんで)、LNGの使用量が増えるとしたら、燃費悪過ぎの石油火力発電を、燃費効率の良いLNG発電にリプレースしているからということになります。つまり、LNG輸入が増えれば増えるほど、発電用燃料の輸入総額は減少します。ですから、LNG輸入額の増加は、日本の貿易赤字を減少させるのであって、時事・日経のバカ記事どもが伝える貿易赤字増大原因というのとは、話が反対です。
大丈夫かよ、経済紙、日経!!
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アベノミクス「持ち直した」なんちて(笑)
2014-10-08
本日は財務省から、経常収支の発表がありました。「8月の経常収支は2871億円の黒字 貿易赤字は拡大」(朝日新聞HP 10月8日)
「経常収支、2か月連続の黒字…貿易収支は赤字」(読売新聞HP 10月8日)
ううぅん?? 読売新聞、アベノミクスの成果を誇るんじゃないんですね?? せっかく経常収支が2ヶ月連続して黒字になったのだから、何も貿易赤字を見出しにまで書き添えなくたって良いのに・・・そもそも、貿易赤字の方は既に先月発表済みで、今日の話題ではないはずなんですけど。
まあ、これが書きたいからしょうがないのか→「原子力発電所の停止に伴う火力発電向け燃料の割合は引き続き大きいものの、・・・」(上掲リンク先)
これがいかにウソかは、貿易赤字が発表された時、既に書いています(貿易赤字の85%は原発代替燃料以外が原因)ので、本日は経常収支についてだけ。(まあ、この数字があまり意味が無いということも書きましたが、一応、アベノミクスの公約でありますので、「アベノミクス、ちゃんと宿題できているかな」という点検です。)
本日発表の財務省HPの図に、円ドル・レートその他、少し書き込んでみました。

(元の図は財務省HP10月8日から。円ドル・レートは財務省各月「報道発表」・・・一例・・・から)
黒のラインを見ていくと、まあ、アベノミクス、今年4月以降、なんとか(それまで続いていた)経常収支の急激な悪化からは、逃れたかもしれません。それでもプラマイ0よりちょっと上、というだけで、黒田日銀総裁就任直後の“カンフル剤が効果を上げた”時期の、から騒ぎ(といっても、民主党政権期2011年9月のゆらぎ的な好収支と同程度なのですが)を除けば、あとは民主党政権の、経済パッとしなかった末期より成績悪いですね。
で、円相場です。安倍首相就任とともに、円の価値、ガクッと落ちていきます。まあ、意図的に円安政策を取ったのですから、当然の話しですが。お陰で、日本人の賃金、ドルベースで見れば、2割以上の減収です。貧しくなったものです。海外旅行しにくくなったのはもちろん、パソコンのパーツとか、高くなりました。食料品、ガソリン、今はまだ小売がやせ我慢して2割以上高騰とかにはなっていませんが、いずれそれも不可避でしょう。
これで、貿易収支の赤字は拡大、経常収支もプラマイ0程度です。はっきり言って、何も得られていない、損ばかり、です。
それにしても上の図を遠目に見てみれば、原発停止の影響なんか、あるんだかないんだか良く分からない一方、アベノミクスの惨状(貿易・経常収支ジリ貧+円安貧乏)は依然として明確です。
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いつまで言ってる読売、「原発停止で貿易赤字」という真っ赤な大嘘!!
2014-09-18
本日、8月の貿易統計が発表されました。まだ言ってます読売新聞、“貿易赤字は原発代替燃料のせい”→「輸入額は、1・5%減の6兆6545億円だった。原子力発電所の停止に伴う火力発電向け燃料の割合は大きいが、豪雨など全国的な天候不順で電力需要が落ちたため、前年同月より減った。」(読売新聞HP「8月貿易収支は26か月連続赤字、9485億円」 9月18日)
毎日新聞だと「7〜8月の天候不順による電力需要の低下などから、火力発電用燃料などの原粗油(5.2%減)や石炭(17.4%減)の減少が目立った。」(毎日新聞HP「8月貿易:9485億円赤字 幅は2カ月連続縮小」 9月18日)となるのですけどね。
他紙も、朝日、日経、そしてなんと産経も、書き方は淡々と“燃料の輸入が減った”、です。取り残されました、原子力ムラ、読売新聞。
ま、そもそも、これまでの報道、日本の輸入において最大のウェイトを持つ原油全体の輸入額増大(主原因は円安と国際価格の高騰による3割以上高)を、せいぜい原油輸入量の15%しか使っていない原発のせいにするのがおかしかったんですけどね。
さて読売、月単位での発電向け燃料の輸入統計が、現在の時点でどう手に入るのか不思議ではありますが、まあ、読売新聞は入手して、8月の貿易赤字に占める原発代替燃料の割合、「大きい」と評価したのでしょう (^_^;; 。 さて、それがどの程度「大きい」のか、ちょっと推計しておきましょう。
他紙はすべて「減っている」と評価しており、8月に突出して多くの燃料輸入があったとは考えられませんから、年平均程度と考えて計算してみます。
まず原油輸入量に占める原発代替燃料費の推定です。

(データは、2010年については資源エネルギー庁HP【第214-4-2】図、2012年については石油連盟HP資料10ページから)
福島事故前の2010年度と、ほぼ全原発が停止完了した2012年度で、9.5ポイント(15.0%-5.5%)ほど、電力に使用される石油製品(重油など)が増えています。ということで、今回発表の「原油及び粗油」輸入額1,140,115百万円(リンク先4ページ)の9.5%程度、つまり、1083億円程度が、原発停止による原油輸入額増加分と大雑把に推定できます。
次にLNG輸入量に占める原発代替燃料費の推定です。

(データは、『資源エネルギー白書』の図、2010年度図【第213-1-11】、2012年度図【第213-1-11】から)
同様に福島事故前と後とで、5.6ポイント(68.2%-62.6%)ほど、電力に使用されるLNGが増えていますから、今回発表の「液化天然ガス」輸入額594,235百万円(リンク先4ページ)の5.6%程度、つまり、333億円程度が、原発停止によるLNG輸入額増加分とやはり大雑把に推定できます。
原油とLNG合わせて、1083+333≒1400億円程度が、原発停止による化石燃料輸入増加分と推定されます。なお、東通原発や志賀原発のように断層問題を抱えていたり、老朽化による残存運転可能期間の短さから安全対策投資の回収が困難、等の理由により、たとえ安倍政権が暴走しても再稼働困難な原発も多く、国が原発再稼働を進めても、この半分も燃料輸入額の低減は出来ないということも理解しておいて良いことだと思います。
さてと、本題です。財務省報道発表によれば、先月の貿易赤字は9485億円です。1400/9485≒15%ですから、貿易赤字の85%は、原発代替燃料以外のせいであることになります。
ま、要するにアベノミクスの失敗を原発停止のせいにしてるだけやね。触れ込み通りならアベノミクス、今ごろは大幅貿易黒字でお祭り騒ぎだったはずじゃないのかぁ。
(3日続きで投稿するとは思ってなかったな・・・当ブログ、もう終了してるんですけどね)
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メディアの馬鹿さ加減(腹黒さ加減)が分かる、貿易赤字報道
2014-08-20
本日、7月の貿易統計が発表になりました。相変わらず、アベノミクス円安のせいで円建て輸入額の高止まりが続き、一方、輸出は安倍が期待したようには健闘せず、貿易収支の赤字が続いています。少し前までは、どのメディアも「原発代替燃料のせいで赤字」と報道する異常事態でしたが、そろそろ状況を理解し始めたメディアもあるようです。ちょっと比較してみましょう。まず大馬鹿(もしくは電力利権からのおこぼれ貰おうとしている腹黒い)連中。
「赤字は25カ月連続。欧州連合(EU)向けの自動車の伸びで輸出は増加に転じたが、火力発電用燃料の輸入増で減殺された。」(産経新聞HP 8月20日)
「輸出が3か月ぶりに増えたものの、為替相場の円安傾向を背景に、原子力発電所の停止に伴う火力発電向け燃料の輸入額が増え、輸入も2か月連続で増加した。」(読売新聞HP 8月20日)
「赤字幅は前年同月より縮小したが、円安で火力発電燃料の原油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が膨らみ、貿易赤字は25カ月連続となった。」(共同通信HP 8月20日)
「輸出では欧州や中国向けを中心に自動車が8.1%増、輸入では火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)が7.4%増、原粗油が6.9%増だった。」(時事通信HP 8月20日)
まず突出して馬鹿(腹黒)なのが産経新聞。「火力発電用燃料の輸入増」って、何考えてるんだ!? 実質的に原発が止まったのは2012年春のこと、2年も前の話。今さら火力発電用燃料輸入が増えるはずありません。(2012年5月5日、最後まで運転していた泊原発が停止。その後、大飯原発が一時再稼働するも、かつての原発54基態勢に対するわずか2基ですので、貿易統計上意味のある再稼働ではありません。)
ということで読売新聞、「輸入増」と書かず「輸入額が増え」と書きました。でもしっかり「原子力発電所の停止に伴う」と書いています。
この書き方がおかしいのは、電力用に使用されるのは原油で15%程度、LNGで70%弱ほどだということです。さらに、原発停止後の輸入増加分で言えば、原油で9ポイント程度、LNGでは現在輸入総額の8%程度と、原発停止による焚き増しと考えられるのは、原油・LNG輸入額の1割にも満たないのです。
このことを頭において、実際の今回発表を見てみましょう。

(財務省発表資料 8月20日)
まず、輸入数量で見れば、なんと、原油の方はマイナスです。“発電用に輸入が増える”も何も、輸入数量は減っています。要するに単に値上がりしただけです。つまり、数量-2.7%で、価額の伸び率、6.9%ということで・・・、今回は、「対前年同月比:2.9%の円安」とのことですから、国際的な原油価格上昇の影響の方が大きかったようです。
一方、LNGについては、数量5.7%の伸びで、価額7.4%の伸びですから、こちらはLNG国際価格ちょっと下がるも、円安がそれを上まわった、というところのようです。ですから今回発表の伸び率における(読売新聞がこだわる)原発停止の影響といえば、その一割弱ですから、0.5%(数量)~0.7%(価額)程度です。これであの記述とは、針小棒大もいいところです。まあ、既に原発停止したあと、2年も経って、1年前と比較して、原発による炊き増しぷんの伸び率がどうのこうのとゴチャゴチャ言っても始まらないのですが。え??、「だから原発停止前と比較して3.6兆円」ですか・・・財務省は1.6兆円と言ってますし、今回発表の話ではありませんから、今回はやめときましょう。(1.6兆円、月額にすれば1333億円、上の表と見比べてみましょう、どの程度の額か。)
で、共同通信、「円安で火力発電燃料の原油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が膨らみ」と、書きますが、原油輸入額の増加は国際価格の上昇が大きな原因だし、しかも原油の85%は発電用ではないのですから、この書き方はおかしいでしょう。LNGについて言えば、7割近くが発電用ですし、円安程度の輸入額増加も認められますが、そもそも輸入総額が原油の半分程度ですので、「増減寄与度」も0.7%と小さく、原油と抱き合わせにしなければ(そこが間違っているのですが)特筆するようなものではありません。
時事通信、ちょっと巧妙です。「火力発電の燃料となる」が、読点の切れ目までしかかかってないと考えれば(つまりLNGにしかかかっていない)ならば、まあ、数字を並べただけ、ということになります。
ただし、こういう書き方は、経済記事としてはあまり適切とは言えません。なぜなら、現在、発電分野では、LNGの使用量増加は貿易赤字削減効果を持っているからです。電力会社の頭痛の種は、燃費効率の悪い古い石油火力発電所です。で、これを効率の良い、LNG火力にリプレース中です。つまり、LNGの使用量が増えるということは、その増分以上、原油の燃料費を減らす効果があるのです。以前やってみた計算では、LNGの使用額がある額増えると、その額の54%相当、全体の燃料費が節約できます。ですから、「増えた」「増えた」と列挙するのではなく、「LNGの増加にもかかわらず、原油の輸入を減らすことはできなかった」といったふうに逆接でなければなりません。ま、発電は原油消費量の15%に過ぎないので、実際に効果が出るのは大変ですが。
さて、ところで、そろそろこの馬鹿げた書き方(なんでもかんでも原発停止、あるいは電力分野のせいにする書き方)を変えたのが、次のようなところ、
「一方、先月の輸入額は7兆1526億円と、去年の同じ月と比べて2.3%増加しました。/これは、サウジアラビアからの原油や石油製品、それにオーストラリアからの液化天然ガスなど、エネルギーの輸入額が増えたことが主な要因です。」(NHKホームページ 8月20日)
「輸入額は2・3%増の7兆1526億円。消費増税後の消費低迷を受けて輸入数量は0・4%減だったが、円安で原油などの輸入価格が上昇した。」(朝日新聞HP 8月20日)
「赤字額は前年同月から6.6%減ったが、7000億円程度と見込んでいた市場予測を上回る規模だった。燃料の輸入が増えた。・・・略・・・/貿易赤字は25カ月連続と過去最長を更新した。輸入額は7兆1526億円で2.3%増えた。液化天然ガス(LNG)やナフサといった石油製品など燃料の輸入増が目立った。」(日経新聞HP 8月20日)
どこももう、「発電」とは書きません。地域へ行ったNHK、輸入数量減を指摘した上で円安・値上がりを記した朝日新聞、そしてちょっと怪しいですが「燃料」とだけ書いて、あとは何も書かない日経新聞、さすがに多少は事態を理解し始めたのなら良いのですが・・・ま、「燃料」とか「エネルギー」とか書けば、あとは読者が自動的に電力・原発と結びつけてくれると期待してやっているのかもしれませんが。
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火力発電燃料費がいくらか解ってるのかマスコミ!! アベノミクス崩壊の経常収支赤字!!
2014-08-08
財務省の発表では、比較可能な統計がある1985年以降、初めて、上半期の経常収支が赤字となったそうです。「1~6月経常収支、5075億円の赤字 上半期では初 」(日経新聞HP 8月8日)
「上半期の経常収支、初の赤字に…貿易赤字拡大で」(読売新聞HP 8月8日)
で、その解説で出てくる言葉、「火力発電燃料などの輸入額が増えた一方で」(上掲、日経記事)、「原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え」(上掲、読売記事)・・・全く日本の経済の状況が理解できていません。原子力ムラ身内の読売新聞が何でも原発停止のせいにするのはともかく、大丈夫か、経済紙「日本経済新聞」の経済部。
まず、原発が停止したのはいつのことか?? 2012年5月5日には全原発が停止しています(その後、大飯原発3・4号機が一時再稼働するものの、3.11以前の原発54基体制と較べれば、ほとんど原発全停止状態であることに変わりはなく、全体を集計した貿易統計に与える影響はほとんどありません)。つまり、今回の財務省発表が比較対象としている、前年同期、2013年上期(この時には既に原発停止済み)と比べて、今さら「(原発停止によって)火力発電用の燃料が増える理由がない」のです。
この点、NHKは、トップのバカさ加減にも関わらず「自動車などの輸出額が増加したものの、円安の影響で天然ガスや原油の輸入額が大きく増えていることなどが主な要因です」と、実にクレバーな解説をしています。実際、輸入数量はほとんど増えておらず、輸入額のみが上昇しているのですから。
ま、日本の輸入品目の中で、なんといっても額が大きいのは化石燃料ですから、円安になれば、それが最大の輸入(額)増大原因になるのは当たり前です。
で、問題は、原油(貿易統計状は「原油・粗油」)では15%、液化天然ガス(LNG)でも68.2%しか、発電用には使われておらず、さらに、原発停止前後での発電用使用率の変化で言えば(原発停止前だって火力発電はしていたわけですから、それとの差し引きで考えなければなりません)、原油で9ポイント、LNGで8ポイント程度の変化だということです。つまり、原油輸入額増大にしても、LNG輸入額増大にしても、原発停止による火力発電焚き増しの影響は輸入額の1割に満たないのです(←詳しくは「“原発ゼロの夏で貿易赤字過去最高”って、未来の貿易統計が発表されたのか!? バカ丸出し読売・毎日、貿易赤字報道」)。今期、せいぜい1兆円(当ブログ試算、財務省の計算なら1.6÷2=0.8兆円)というところが、目一杯見積もった原発停止の影響です。
で、この半期の貿易赤字、6兆1124億円です。
たとえば、日経新聞は別の記事で、コンピュータ・通信関係の貿易赤字額を年額3.7兆円としています。つまり半期で1.85兆円。こういうの差し置いて、なんで「原発停止で火力発電用燃料が増え」なんだ?? メディアって、バカ??
でもって、「日本の経済を強くする」はずだった(意味不明ですが)アベノミクス、貿易収支・経常収支、黒字化するようなこと言っていましたが、惨敗です。

(財務省HP 「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」 8月8日)

(財務省HP 「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」 8月8日)
うわ~、急な坂を転げ落ちていくようですね。まあ、貿易収支にしても、経常収支にしても、それ自体は経済指標として大した意味を持つものではありませんが、アベノミクスのお題目としては、具合悪いんじゃね。
あっとそうか、今回の図は半期単位で書いてあるのね・・・月単位だとアベノミクス敗退の様子があまりに明確になってしまうからだったりして・・・以前、月単位の財務省発表の同じような図にいろいろ書き込んだ図に、更に黒田・日銀総裁の就任時期を書き込んだ図、アップしときます↓

原発停止の影響はあるような、ないような、でも、黒田・日銀総裁の就任では、いったんご祝儀相場、その後アベノミクスで大転落、というのが、あまりにはっきりしています。
そもそも、日本経済というのは、自ら工場生産で儲ける時期を過ぎて、資本投資で生きていく段階に達しているはずなのですが・・・だからやってますが↓

(朝日新聞西部本社版朝刊 8月8日)
この際、最大の武器となる通貨高(少ない国内資金でも、外国に持っていけば高く使える)を、円安誘導で潰しているアベノミクス、日本経済を破壊する自殺行為です。
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原発代替燃料費は年1.6兆円に過ぎない!! by 『経済財政白書』
2014-07-25
時事通信は、次のように伝えています↓「経済財政白書は、2011年の東日本大震災後、石油や液化天然ガス(LNG)など鉱物性燃料の輸入額がどれだけ増えたかについて、輸入実績を基に試算した。それによると、13年度は輸入量の増加に伴い11年度に比べ1.6兆円のコストアップ。ただ、政府のエネルギー基本計画は、原発の稼働停止に伴って増加する輸入燃料費を3.6兆円と試算しており、それを大幅に下回った。」(時事通信HP 「輸入燃料費1.6兆円増=エネ計画試算は過大?-経済財政白書」7月25日)
共同通信によれば「甘利明経済再生担当相は25日の閣議に2014年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した」ということで、時事通信の記事も、これに関する報道であると思われます。
ということで、内閣府のHPに行ってみましたが、まだ、掲載されていませんでした→「白書等(経済財政白書、世界経済の潮流等)」。
とりあえず「平成25年度」版でどうなっていたかだけ、確認しておきます。
「大震災後の輸入数量増加の一因となった鉱物性燃料の輸入数量の推移を見ると、2011 年4月から2012 年3 月にかけてLNG の輸入数量が大幅に増加したものの、2012 年5 月の泊原子力発電所の停止を最後に、火力発電への代替が一巡したこともあり、LNG の輸入数量は高水準で横ばいとなっており、輸入数量面からの赤字拡大は一服している(第1- 1 - 10 図(3))29。一方、鉱物性燃料価格については、円安方向への動きの影響を受けて、2013 年以降急上昇しており、この結果、輸入金額も急増している(第1 -1- 10 図(4))。」(24ページ)
そうそう、こんなものでしょう。“引き続き発電用燃料の輸入が増加”と、いつまで経っても書き続けている新聞記者のバカどもとは、みごとに書き方が違います。「円安方向への」のところ、「アベノミクスのバカげた経済運営による円安方向への」となっていれば、満点ですけど。
当ブログ、昨日、最新の貿易統計(2014年上期)の数値によって原発代替燃料コストを計算したところ、半年で1兆円でした。単純に2倍すると年間2兆円。う~ん、経済財政白書の計算は、それより少ない!!
まあ、円は、2012年10月までの1ドル80円程度から2013年5月以降の100円程度へと安くなっていますから、この円安の前なら、2兆円に8掛けですから、1.6兆円・・・おおっ、ピッタリだ (^_^;;;;;
こっちも来ました!! → 「使用済み核燃料“ゴミとして処分可能”」(NHKホームページ 7月25日)

核燃料サイクル、終わりの始まりです。(まだそこまでは行ってないか・・・「終わりの予兆」くらいか)
経済産業省と原子力ムラ、既得権益を手放すまいと、無茶苦茶な数字や政策をバラ撒いてきましたが、行政内部からも冷たい視線で見られてやんの。
しかしなぁ、この先の親方安倍政権をどうするかだな~。
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“原発ゼロの夏で貿易赤字過去最高”って、未来の貿易統計が発表されたのか!? バカ丸出し読売・毎日、貿易赤字報道
2014-07-24
けしからぬプロパガンダなんですけど、ここまで来ると笑っちゃいますね。「貿易赤字、半期で最大の7兆5984億円」(読売新聞HP 7月24日)
例によって財務省の月例貿易統計発表=誤解誘導プレスリリースについての報道なのですが、この読売報道には次のように書いてあります↓
「原子力発電所の停止で初めての『原発ゼロの夏』を迎えるなど、火力発電頼みが続いており、燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の輸入がかさんだためだ。」
何書いてんのか・・・、2014年上半期(1~6月)分の貿易統計なんですから、「原発ゼロの夏」って、これからの話なんで、関係ないんですけどね。
まあ、問題は「火力発電頼みが続いており、燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の輸入がかさんだ」という点ですが、その検討の前に、
「暦年の半期ベースで過去最大の赤字。原発停止に伴う火力発電用の燃料輸入が増大していることに加え、輸出の伸び悩みが赤字を膨らませた。」(毎日新聞 7月24日「貿易統計:上半期 赤字過去最大7兆5984億円」から)
とは、毎日新聞。
「原発停止に伴う火力発電用の燃料輸入が増大している」って、いつの話をしているのでしょう?? 前年同期比で考えるなら、前年同期は確かに大飯原発3・4号機が動いてはいました。今期はそれが停止しています。その分、火力発電用燃料の輸入が増加したでしょう。しかし、3.11震災前54基あった原発のうちのわずか2基です。それが今度の貿易統計時点で停止したからといって、(以前続々と原発が止まっていった際に貿易赤字が過去最高とならず、今さら)貿易赤字過去最高となるような影響を及ぼすなんて(なんせ前年同期比57.9%の貿易赤字増加です)、ありえません。
この記事書いた記者、バカ過ぎ。
さらに一点、指摘しておきましょう。
2013年において、発電単価、石油 20円/kWh、LNG 13円/kWhです。つまり、石油で20円かけて発電している電気の量、LNGなら13円で発電できます。LNGで13円ぶん発電したということは、そこで置き換えられた石油火力発電費用との差額7円が浮いていることになります。LNG、1円あたりにすると、7÷13≒0.54ということで、LNGを使った額の54%が、発電費用として節約されていることになります。
発電用LNGの輸入量が増えるということは、実態として、高くつく石油火力発電の代替ですから、貿易赤字を増やすことではなくて、LNG増加額の54%、貿易赤字を減らしていることになります。
かくして、電気について言う限り、石油の輸入増とLNGの輸入増は、貿易赤字に対して持つ意味が全く反対ですので、この点について区別のついてない報道は、すべておマヌケな報道です。
さて、で、もう何回目になるか数えてませんが、ホントに原発停止に伴う燃料輸入増加で貿易赤字になったのか、今回の数字でもう一度、計算してみます。

(財務省 報道発表 7月24日)
まず、原油・粗油です。
なんと、数量的には、輸入量が減っています(伸率 -3.4)。しかし、国際原油価格の上昇とアベノミクス円安のため、価額は上昇しました(伸率 5.1)。かくして原油・粗油の価額(輸入額)、7兆2704億円となっています。
ここで、現在、発電用に使用される原油は原油全体の15%です。原発停止前は6%程度でした(2006年エネルギー白書で5.9%)。ですから、原発代替燃料ぶんは、現在の輸入価額の9%として、72704億円×9%≒6543億円、ということになります。
次に液化天然ガス(LNG)です。
輸入数量が2.0%(伸率)ほど増え、価額はそこに、国際LNG価格の上昇とアベノミクス円安が加わり、11.6%の上昇で、3兆9067億円です。
さて、LNGについては、原発停止後、2012年、発電用に使用される量は68.2%、一方、原発停止前としては2010年で63%でした。差は5.2%ですが、今回半期で輸入数量2.0%伸びてます。2013年の伸率1.0%も大雑把に足し合わせて、合計3ポイント、まるまる発電用需要の伸びとして上乗せし、今回のLNG輸入価額の8.2%ぶんが原発代替燃料ぶんとしてみます。LNG輸入価額3兆9067億円の8.2%ならば、39067億円×8.2%≒3203億円、となります。
合計すると、6543億円+3203億円≒1兆円といったところが、原発代替燃料代ということになります。
今回、史上最高を記録した日本の貿易赤字、半期6ヶ月で7兆5984億円、原発代替燃料代は、このうちの1兆円ほどに過ぎません。
較べてみましょう、以前計算したアベノミクスの円安による赤字増加効果、1ヶ月で1兆6000億円でした。あるいは、日経新聞が計算した「ICT産業(コンピューター関連装置と通信機器)の貿易赤字額」は年額3兆7000億円です。
メディアというのはほんとにバカです(読売は下心あってやってますが・・・)。現在の日本経済の状況を全く理解せず、政権の(一石二鳥で)都合の良い(経済失策の原因を押し付けられる上、原発再稼働への主張にも利用できる)、言い逃れをひたすら宣伝・リピートしています。このメディア連中が世論をリードしたりしたら、日本、マジでヤバいです。(ま、貿易赤字自体は、実は大した問題ではありませんけど・・・)
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LNG価格急落、ますます原発再稼働の正当性なし!!
2014-07-22
ここのところ、LNGの価格が下がってきています。それも、ガクッと。
↑「LNGスポット、価格急落が映す市場転換」(日経新聞HP 7月22日)
なんでも「スポット価格は100万BTU(英国熱量単位、約25立方メートル)あたり11ドルを割り込み、2011年3月の東日本大震災前後の水準まで下げた。前年同時期に比べても5ドルほど安い。2月に過去最高値となる20ドル台に乗せた後、下落率は5割近くに達する」そうです。
この話は既にロイターでも報道されていました↓
「焦点:欧州・アジアの価格急落でLNG輸出プロジェクトに試練」(Reutersホームページ 7月11日)
こちらでは「英国の天然ガス価格の指標は、8月受け渡し分が年初からほぼ半分になった。・・・略・・・/アジアでも、需要鈍化や太平洋地域で新規の供給源が利用できるようになったことから、今年のスポット価格は40%超も下がった」と記されています。
これはもう、原発なんてで発電されたらたまったものではありません。この燃料価格下落を計算に入れなくとも、既に原子力発電は火力よりもコスト高とされているのです。原発を再稼働する正当性なんて、ますます、どこにもありません。
読売は相変わらず、経済学音痴まるだしの「国富流出」論を繰り返しています↓
「運転を停止している原子力発電所を代替するため、火力発電所の燃料である液化天然ガス(LNG)などの輸入が増えた影響も大きい。火力発電の追加燃料費は年3・6兆円に上り、巨額の国富が流出している。」(読売新聞HP 7月21日)
冗談じゃありません。簡単に言いましょう。外国に払おうが、国内で無駄遣いしようが、同じお金です。コスト計算してみれば国内原発のほうが高くつくということは、国内での無駄遣いの方が、より高くつくということです。無理に言えばLNG輸入は、「国富流出」じゃありません。「国富消耗」を防ぐための「有意義な資源輸入」です。(「国富」っていう概念、そもそも現代の経済学にないんですけどね・・・)
この有意義な資源輸入が今、格安でできる状況になっています。原発を再稼働する正当性はどこにもありません。
PS. 経産省がやっているからだろうけど、読売はまだ“追加燃料費3.6兆円”なんて言ってます。これは茂木経産相も認めた、真っ赤な大嘘です→「まだやってる“ウソの国富流出論”自体がウソ・・・今度は経産省と茂木経産相だ!!」
PS2. それでも経済界は「経済のために原発再稼働を」と言っています。この理由、単に産業向け電気料金を50%安にダンピングするためのインチキ価格決定式が原発をダシにして作られているからです。もちろんダンピング原資は電気利用者の払う電気料金です→「また甘利がバカなこと言ってるぞ(補遺)・・・産業用が、家庭向け電気料金なみに、ってこと??」。他人の財布に手を突っ込んで金を盗り、自らの財布へと収めるために、原発再稼働を主張しているだけで、日本全体の経済なんてこれっぽっちも考えていません。恥知らずな連中です。
(もちろん、経団連・日商・経済同友会の有力メンバーってのは、原発商売で儲けている連中、電力、原子炉メーカー、銀行やその関係者が多く、より直接的に割高な原発電気売りつけて他人の財布から金をくすめているわけですから、もっと直接的な利害関係者として「原発商売はやめられませんな~」でしょうが)
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また来たプロパガンダ!! 「原発停止に伴う火力発電燃料の輸入が高止まり」←ウソ
2014-06-09
ほんと、共同通信の記者は悪質です。「4月の貿易赤字20カ月ぶり縮小 消費増税で輸入数量減」(47NEWS=共同通信 6月9日)
本日、財務省から定例の「平成26年4月中 国際収支状況(速報)の概要」が発表されたわけですが、これについての記事の中で書いています→「原発停止に伴う火力発電燃料の輸入が高止まり」(上掲リンク先)。
もちろん日経だって、似たようなこと書いているのですが→「円安や燃料輸入の高止まりで輸入額は高水準が続いている」、しかし「原発」とは書いていません。実際、貿易赤字になるもう一つの要因と比較すると原発なんて些細なものですから、敢えて書く必要なんてないはずです。
で、この2つの記事、結局は、どちらも誤報です。
ちょっと数字を見てみましょう。粗油原油と液化天然ガス(LNG)の輸入量です。今回政府発表の比較対象である前年同月と比較します。
2013年4月(a) | 2014年4月(b) | 差(b-a) | 伸率 | |
粗油原油(数量・KL) | 18,729 | 15,846 | -2,883 | -15.4% |
〃 (価額・百万円) | 1,257,342 | 1,117,000 | -140,342 | -11.2% |
LNG(数量・千t) | 7,050 | 7,212 | 162 | 2.3% |
〃 (価額・百万円) | 581,399 | 645,279 | 63,880 | 11.0% |
為替レート(円/ドル) | 96.01 | 102.43 |
液化天然ガス(LNG)の輸入が増えるのは、発電効率の悪い老朽石油火力から、効率の良いLNG発電への転換が進んでいるからで、これはどんどん進んだ方が(LNGの輸入が増えた方が)、良いわけです。同じ発電量を少ない燃料費で実現でき、燃料輸入費を削減できます。
で、実際、LNGの輸入は162千t(639億円)増え、恐らくはその反動で(他の理由もあるかもしれませんが)粗油原油の輸入、2,883KL(1,403億円)減少しています。差し引き765億円(76,462百万円)の輸入減です。粗油原油とLNGの輸入額合計で見れば、2013年4月の1兆8,387億円から2014年4月の1兆7,623億円への4.2%減です。これはこの種の統計で十分に「減少」と評価できる数字です。燃料輸入は高止まりしていません。
今回の記事の書き方でも、やはり一番巧妙なのが読売で「輸入は、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の輸入が膨らんだことなどから、6.6%増の6兆7600億円で、輸入が輸出を上回った。」
ここに書いてあることは字面としては間違っていません。単品の品目で言えばLNGが輸入増加しましたし、LNGが火力発電燃料として使われていることも事実です。しかしLNGの輸入が膨らむと、その額以上に原油の輸入を減少させる効果があるので、これは輸入減少要因なのです。そこをとばして輸入増の悪玉という印象操作をしています。
なお、本当に輸入を増加させている要因は円安ともう一つあって→「メディアによる情報操作の実態・・・『貿易赤字最大の原因は原発停止』は本当か??」
(で、またまた経常収支の話でなくて、貿易赤字の話になってしまった・・・メディアのプロパガンダ・政治宣伝がここに集中している以上、書かないわけにもいかないしなぁ・・・)
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メディアによる情報操作の実態・・・「貿易赤字最大の原因は原発停止」は本当か??
2014-05-21
まったくメディアというのは、どこまで平気でウソをつき続けるのでしょう。今月も来ました。「4月の貿易赤字20カ月ぶり縮小 増税反動で輸入増が鈍化」(47NEWS=共同通信 5月21日)
この記事で挙げられている貿易赤字の原因は「貿易赤字は22カ月連続。原発停止に伴う火力発電燃料の輸入が引き続き高い水準となり・・・」ということで、また原発代替燃料が強調されています。
NHKでは↓
「貿易赤字22か月連続 最長を更新」(NHKホームページ 5月21日)
こちらの記事では、記事の出だしが「先月の日本の貿易収支は、円安の影響でLNG=液化天然ガスの輸入額が膨らんだことなどから8089億円の赤字となり」です。円安の影響をまず指摘し、「原発」と書かないだけまあ、かつてよりマシとは言えますが。
実は今回、一番面白かったのが読売新聞です。まず、「9時23分」に掲載された記事のスクリーンショットです。

「貿易赤字は22か月連続で、最長を更新した。/自動車を中心に輸出が増加したが、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの輸入が大きく上回った。」と、お決まりの原発代替燃料悪玉説への誘導文句となっています。
ところが、これが、3時間ほどで改稿されます↓

みごとに燃料赤字は消え、貿易赤字が縮小したことが指摘されています。ま、あんまり赤字ばかり書いているとアベノミクスのダメダメぶりが目立つとでも考えたのでしょうか。はてさてこの記事、今はどんなことになっているでしょうか??→「4月貿易赤字、8089億円…22か月連続赤字」(読売新聞HPへのリンク)。
さて、お笑いはこの辺として、今回発表の最重要点は、これまでの赤字増大一直線がちょっと変調をきたした(貿易赤字が縮小した)ことでしょう。それは読売新聞の↑後の方の記事が伝えるとおりです。
で、その原因ですが、実に簡単です。「前年同月比:6.7%の円安」(「平成26年4月分貿易統計(速報)の概要」財務省 5月21日)と今回発表には書いてあります。なんと、6.7%です。先月発表には「対前年度比:21.1%の円安」と書いてありました。
なんのことはない、毎度、前年同月比20%前後となっていたアベノミクスの円安政策も行くところまで行っちゃって、もう限界、で、6.7%です。つまり、そろそろアベノミクスも打ち止めになってきたので、貿易赤字の増大も打ち止めになってきたというだけのことです。円安の貿易赤字効果については、こちらをご覧ください→「オツムの弱いメディア達『原発代替燃料で貿易赤字』のウソ2013年度版・・・元凶はアベノミクス」。
ま、というところで、貿易赤字の元凶ははっきりしているのですが、「でも、原発代替燃料輸入は、やっぱり多いだろ」とか、こだわる輩もいることですので、以下、一応指摘しておきましょう。
原発停止前の直近年同月ということで、2010年4月と、今回データを比較します。
まず、原発代替燃料費の推定です。
品名 | 2010年4月(a) | 2014年4月(b) | 差(b-a) | |
原油及び粗油 | 数量(千KL) | 19,740 | 15,846 | -3,894 |
〃 | 価額(百万円) | 917,917 | 1,117,000 | 199,083 |
液化天然ガス | 数量(千トン) | 5,522 | 7,212 | 1,690 |
〃 | 価額(百万円) | 287,303 | 645,279 | 357,976 |
(貨幣レート) | 円/ドル | 92.55 | 102.43 |
石油の使用用途を見れば、2010年の発電向けは5.5%(リンク先137頁)、2014年は15.0%程度と推定されます。その差、9.5%ほどを、原発停止の影響と考えると、
1,117,000百万円×9.5%=1,061億円
が、原発停止による原油輸入増加額となります。
液化天然ガス(LNG)については、輸入増はそのまま原発停止の影響として、
645,279百万円×(7,212-5,522)/7,212=1,512億円
が、原発停止によるLNG輸入増加額となります。
両者合計して、2,573億円が、原発代替燃料費ということになるでしょう。
これに対し、電気機器の数字は次のようになります。
電気機器 | 2010年4月(c) | 2014年4月(d) | (d)-(c) |
輸出(a) | 1,104,700 | 1,043,236 | -61,464 |
輸入(b) | 622,603 | 856,378 | 233,775 |
(a)-(b) | 482,097 | 186,858 | -295,239 |
つまり、2010年4月→2014年4月で、電気機器の貿易収支は2,952億円、マイナスに振れたことになります。
冒頭で引用した共同通信記事の記者、書くならまず「依然として低迷する電気機器」でしょう。
(ま、課題は貿易赤字の縮小ではなくて、エネルギー供給の効率化です→「これじゃ衰退する日本経済・・・経済人も経済記者も「国富流出」!!(2)」。要するに原発やってると電気料金が高止まりしてしまい、経済が歪むということです。貿易赤字/黒字なんて、経済が順調に動いていればどうでもいいことです。)
で、出ました!!
「大飯原発3・4号機の再稼働差し止め命じる 福井地裁」(朝日新聞HP 5月21日15時16分)
すごいです→「250キロ圏内に住む住民らは差し止めを求めることができる」(上掲記事)。こんな画期的な判決が出るとは、正直、びっくりです。まあ、上級審で反撃されるでしょうが、この判決は当面、大きな意味を持ちます。偉いぞ、樋口英明裁判長!!
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