電気料金「値上げ」という「不当操作」
2012-02-29
表題について、あらかじめお断りしておきます。「不当操作」ではなくて、単なる「無能」もしくは「低能」、「馬鹿」、「間抜け」という可能性もあります。4月1日からの、電気・ガス料金値上げ状況が報道されています。

(朝日新聞2月28日西部本社版朝刊)
理由は、燃料費の値上がりだそうです。
しかし、例えば、こちらのブログで紹介されている日経新聞の記事(2月23日)によると、
「日本企業の長期輸入契約の価格は現在100万BTUで約16ドル。米国の6~7倍、欧州と比べても5割は高い。」
ということになります。
もちろん、こんなバカ高い燃料を使っていれば、電気料金、値上げしたくもなるでしょう。でもなんで、こんなバカ高い燃料を買うのか?
「日本は“世界一高い値段”で天然ガスを買っているのだ。なぜか?/理由は複数あり、日本企業が従来から石油価格とリンクした長期契約を結んできたことなどが挙げられる。/だが、根源的な理由は、「電気料金制度」だと言える。/日本のLNG輸入のメインプレーヤーである電力会社は、燃料費が上がれば、その分だけ「燃料費調整」で値段を上げ、消費者に価格を転嫁できる」からだと、SAPIOは指摘しています(ニコニコニュースがSAPIOから引用)。
もっと正確に書くべきでしょう。短期的には「燃料調整費」で燃料値上がり分を回収できるし、高額の燃料を買い続ければ「基準価格」自体が変わって、やはり電気料金に付加できる。この際、電気料金は、発電や送電にかかった金額に、定められたパーセンテージの利益を乗せて決定されるので、もともとかかった金額が大きければ大きいほど、電力会社の利益も大きくなるのです。つまり、燃料価格が高ければ高いほど、電力会社にとっては好都合なのです(原発ほど高くはつかないので残念なんだけど)。結局、電気料金が総括原価方式で決められるから、というお決まりの話です。
だから燃料を高く買う・・・これを電気料金の不当操作と言わずして、なんと言いましょうか。まあ、電力会社の燃料買い付け担当がほんとに真に「無能」で「低能」で「馬鹿」で「間抜け」なため、高い燃料を買わされている、という可能性もあるかもしれませんが。
これに関連して記しておきたいことがいくつかあります ↓
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図: 浜岡原発(浜松・静岡・名古屋)
2012-02-28
一昨日は浜岡原発について原子力防災対策地域を考えてみました。今回はまた、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
まずは浜岡原発で福島級の事故が発生し、放出された放射性プルーム(放射能雲)が、静岡市へ向かったとします。汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみたのが以下の図です。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある(風が通常それに沿って吹く山脈などなければ)。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい(福島は放射性汚染物質が広がりにくい地形・気象条件にあったかもしれない)。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
静岡市は深刻に汚染されそうです。さて、この汚染地帯の曲がりがまっすぐに伸びた場合、富士の裾野から東京都の多摩地区まで、あるいは神奈川県西部あたり、1μSv/h以上の汚染地域が発生しそうです。また、この図のままでも名古屋市に1μSv/h以上の汚染地域がぽつんと発生しています。
次に、汚染最濃厚地帯が浜松市に向かった場合について作図してみたのが次の図になります。
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静岡県浜岡原発
原子力規制庁!!
2012-02-27
ある意味、民主党政権の美点が目一杯発揮されていると言うべきか・・・
(朝日新聞西部本社版2月24日朝刊)
原子力政策の目玉のはずの、原子力規制庁が出来そうにない。
福島原発事故を惹き起こした、原子力安全委員会/原子力安全・保安院の現体制のままでは、“地元”に原発再稼働をどう説得するのか。いやいや、“説得されたがっている”地元もいくらでもありますが、そういう連中でも住民の手前、これで「国の説明に納得しました」とは言いにくいでしょう。自民党が攻めれば攻めるほど原子力規制庁の実現が遠ざかり、グダグダが長引くというのも面白い構図。さすがに再稼働、当面かなり困難でしょう。何事も実現できない民主党、そのグダグダ体質、良いぞ~!!
もっとも、それで無理押し体質の方が出て、原発再稼働強行なら最悪だけど。
PS.「言うだけ番長」と揶揄されたのに切れた前原・民主党政調会長、産経新聞を記者会見場から排除しました。で、その理由説明会見で言ったのが、「記者に批判する権利はあるが、事実に基づかなければならない」。締め出された産経新聞は、「前原氏が国交相時代に建設凍結を表明した八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設再開決定を報じた同12月24日付では、前原氏が直前まで再開反対を訴えつつ最終的に受け入れたことを指摘したうえで、『もはや「言うだけ番長」と揶揄(やゆ)されても反論できまい』」と、書いていると指摘。確かに産経、事実に基づいて書いています・・・。
PS2. いやそれにしても、ここで、“民主党の有力政治家の中で最も政策実現力があるのは誰か”と考えてみると面白い。「米軍普天間基地の沖縄以外移設」を唱えて、何もできなかった鳩山由紀夫(当時首相)がもちろん、最低。八ツ場ダムの建設中止に失敗した当時国交省大臣の前原誠司や、年金改革を主張して厚生労働大臣になるも何もできなかった長妻昭・当時厚生労働大臣が、それに続くでしょう。
ところが逆に、何もできない民主党というイメージとはかけ離れて、大規模な政策実現に成功した政治家が例外的に一人います。いや、なんというか、菅直人・元首相です。「脱原発依存」と言って、浜岡原発の停止をお願いした、で、結局、全国の原発が次々と止まったのです。この流れが今後どうなるかは分かりませんが、少なくとも首相在任中は、しっかりと政策実現に成功しています。豪腕と言われながら自らの政治資金裁判だけで手一杯で、何も出来ていない小沢一郎とは雲泥の差です。いや~、政治家の実力とはわからないものですね~。
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【PAZ・UPZ・PPA】UPZも拡張必要: 浜岡原発
2012-02-26
原子力安全委員会・防災専門部会・被曝医療分科会は、2011年12月7日、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を防ぐための安定ヨウ素剤の服用基準を、それまでの被曝線量100ミリシーベルトから50ミリシーベルトへと厳格化しました。これに対応して、それ以前に決定された原子力災害防災対策地域の地域割りも、変更があってしかるべきでしょう。当ブロクではしばらくPPA(放射性ヨウ素防護地域)50kmという範囲指定について、問題を提起してきましたが、改訂が必要なのは、UPZ(緊急防護措置区域)30kmも同じです。また、PAZ(予防的措置範囲)5km圏も同様です。あくまで概算ですが、5km、30km、50kmの各地点で旧基準の100mSv(ミリシーベルト)の放射性ヨウ素が検出された場合、そこからどこまで遠ざかれば(原発から離れれば)、新基準の50mSvまで低下するのか、計算して見ました。8km、50km、80kmというのが得られた結果でした。UPZ拡張必要域は、これまでのPPA(50km圏)と一致してしまいました。地域指定をこの程度に変更する防災指針の改訂が望まれます。
さてしかし、原子力安全委員会が防災対策地域指定を拡張をすることがあるのでしょうか。現状では、かなり怪しく見えます。
我々としては、とりあえず具体的に、どの地域が該当するのか、理解しておく必要があるでしょう。自ら安定ヨウ素剤を用意するか、行政に働きかけるか、はたまた引っ越して逃げ出すか、人により取る手段は様々でしょうが、とりあえずは現状を認識することが大事でしょう。
今回は静岡県の浜岡原発について作図してみます。ここは東海大地震の発生が危惧され、原子力災害ともなれば、静岡市・浜松市という2つの政令指定都市への影響が考えられ、さらに、太平洋沿岸における日本の東西の物流が分断されてしまいます。非常に危険の大きな原発です。とにかく、対策はしっかりしておく必要があるでしょう。

書きこまれた同心円の意味については、こちらを御覧ください。
現状のUPZ(緊急防護措置区域)30km圏には、静岡市、浜松市、ともに入っていませんが、PPA(放射性ヨウ素防護地域/現状)かつ当ブログの計算で新しい被曝医療分科会基準でUPZとなるべき50km圏には、中心部を含む浜松市のかなりの部分と、静岡市も中心部まで、含まれます。十分な対策が必要でしょう。
さてところで、当ブロクで何度も言及してきたように、滋賀県は、独自シミュレーションの結果、UPZを最遠地点42kmに設定しました。この42kmという数字と、この地点を100mSv/hとした場合、さらにどこまで遠ざかれば被曝医療分科会の新基準50mSv/hまで被曝線量が低下するかを概算した約70km(計算結果は68.91kmとなりましたが、もともとそれほどの精度はない概算結果ですので70kmとしておきます)という数字(UPZ拡張必要域)で、再度描き直してみた図が、次のとおりです。
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静岡県浜岡原発
50km圏内各戸にヨウ素剤を事前配布という方針が出されました
2012-02-25
2月24日朝日新聞(西部本社版夕刊)によると、原子力安全委員会・防災専門部会・被曝医療分科会は、原発50km圏内の各戸にヨウ素剤を事前配布という方針を出しました。
原発事故の際、放射性ブルーム(放射能雲)の通過前に服用して、“ヨウ素はもうおなかいっぱい”にすることにより、放射性ヨウ素の体(主に甲状腺)への取り込みを防ぐのがヨウ素剤(安定ヨウ素剤)ですから、事故が発生してから配布していたのでは間に合いません。事前配布しておくことは当然の措置と言えます。
ここで注目に値するのは、被曝医療分科会は自らの基準改定作業に対応した50mSv(ミリシーベルト)の被曝の危険があるとき服用を勧める一方、配布範囲は従来のPPA(放射性ヨウ素防護地域)範囲50kmに留めたことです。まあ、範囲を決めるのは別の作業部会の仕事、というお役所仕事でしょうか。
このPPA、50kmという範囲の策定は、このあたりの図(もしくはわかりやすくはこっち)を基に決定されたと考えられます。つまり、福島原発事故級の事故の場合、50km圏とは、放射性ヨウ素被曝100mSvに達する恐れがある地域、という図です。このPPAの範囲が策定された当時、放射性ヨウ素からの被曝基準は100mSvでしたので、整合的な距離範囲の策定だったのですが、被曝医療分科会は、その後、その基準値を50mSvに厳格化したのです。そして今回、ヨウ素剤服用基準50mSvと、厳格化した方針を堅持したのです。しかしそうすると、50km圏の外側に広がっている、50mSv以上の汚染地帯に対する準備はどうなってしまうのでしょうか。
当ブログの計算では、80km圏まで、準備が必要という結果を得ています。具体的に各地においては、このページからリンクしているようなところになります。
このあたりは各地が自力で何とかするしかないということになると思うのですが、“各地”の原子力災害対策ときたら・・・
TBSによれば、枝野経産相は、原発再稼働を「必要」と断言したそうです。まあ、「安全性と周辺住民の皆さんの一定の理解が得られるならば」と、保留はつけているようですが。
さあ、しっかりしないと、大変なことになって行くでしょう。原発稼働そのものを止めるのに力を注ぐのは当然必要ですが、それぞれの地域で行政の防災対策部門に働きかけることも重要でしょう。声をあげていかなければ、極めて危険な事態に陥ってしまいます。
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図: 女川原発(仙台・山形)
2012-02-24
一昨日は女川原発について原子力防災対策地域を考えてみました。今回は、福岡県や長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
まずは女川原発で福島級の事故が発生し、福島原発事故と同じように放射性プルーム(放射能雲)が広がった場合について考えてみます。福島原発事故の放射能汚染地域を平行移動し、地図上で重ねあわせてみます。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある(風が通常それに沿って吹く山脈などなければ)。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい(福島は放射性汚染物質が広がりにくい地形・気象条件にあったかもしれない)。
もっとも女川では、地形的・気象的に福島県と類似しているということで、あまりいろいろと考えなくても良いかもしれませんが。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
放射能汚染最濃厚地帯は山の方へ向かいますが、仙台市でも、2μSv/h程度の汚染は十分に考えられることになります。
さて、風向が南北方向裏返った場合、どうなるでしょうか。福島原発事故の放射能汚染帯の形が、そういった方向で風が吹くこともあることを示していますので、決してあり得ない想定ではないはずです。
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宮城県女川原発
怠慢の福岡、悪意の佐賀、逃避の長崎/原子力災害対策
2012-02-23
(ふ~、やっとつながった。東電の虎の尾を踏んでしまい、サイバー攻撃されたかと、びっくりするではないか > fc2ブログ)さて、前回の記事では九州北部三県の原子力災害対策、全然なってない、と書きましたが、今回はその補足です。
なぜあのような何の役にもたたない防災対策しか考えられないのか、一方では、やむを得ない面もあります。最大の障碍は、防災対策が県レベルで策定されていることです。次の図を見れば一目瞭然ですが、福島第一原子力発電所の事故は、福島県だったから「県」の話となったのです(県の話で済んでいない面も大きいですが)。

福島県のHPには「面積は、13,782平方キロメートルで、全国では、北海道、岩手県についで3番目の広さです」と書いてあります。これが九州だったらどのくらいの大きさか、重ねてみたのが上の図です。北部九州3県では、最初から、県単位で原子力災害対策なんて、計画の立てようがないのです。原子力災害対策広域防災連合のようなものが必要です。
さて他方、この3県には、原子力災害対策について、まともなものを作らせない、たちの悪い圧力集団も存在しています。とにかく原発を動かしたくてしょうがない連中です。これが、この3県で原子力災害対策がまともなものとならないもう一つの理由と思われます。
まず福岡県、九州電力の本社およびその強大な影響力がある上に、九州大学工学部エネルギー量子工学部門(旧 原子力工学科)という、原発が止まってしまっては食えなくなる連中の集団があり、県や市の様々な審議会に介入してきます。
そして佐賀県。実弟が原発関連11億円を受注している岸本英雄・玄海町長、パーティー券の購入その他で九電からバックアップを受ける古川康・県知事と、原発地元だけに、利権の受益者には事欠きません。
最後に長崎県。この県の政界(経済界はもちろんです)が、原発企業、三菱重工の影響力下にあることは、あまりによく知られたことです。
かくして、SPEEDIの情報提供が受けられるようになったのに原子力災害のシミュレーションをしてみようともしない怠慢の福岡、既にシミュレーションをしてみて深刻な結果を得たのに防災対策に利用するどころか県民の目に触れないよう隠した悪意の佐賀、逃げること以外にいっさい目を向けない(向けさせない)逃避の長崎、と、お笑い原子力災害対策3人組のできあがりです。(詳しい内容は前回の記事をご覧下さい。)
いやはや、なんとかならないものか・・・
・図は、元の地図をKenmapによって作成させていただき、フォトレタッチソフトで加工後、Giamでアニメーションgifとしたものです。Kenmap作者のT. Kamada様、Giam作者の古溝剛様、ありがとうございました。
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滋賀県の原子力災害対策と、無策の福岡・佐賀・長崎
2012-02-23
滋賀県のHPへ行きます。そこから次のように辿ります。ホーム > 防災ポータル > 地域防災計画(原子力災害対策編)の見直しに係る検討委員会 > 第4回地域防災計画(原子力災害対策編)の見直しに係る検討委員会の概要について
ここに資料が5つほど掲載されています。
(資料1--図をクリックすると、滋賀県の原資料にリンクします)

中央上部の図は、滋賀県の独自シミュレーションによる被災予想図になります。この図の詳細については、資料3に、図と共に記載されています。
(資料3部分--図をクリックすると、滋賀県の原資料にリンクします)

原発事故の際、何が起こるか、真剣に検討し、しっかりと対策を講じようとしている様子が伺えます。
これに対して福岡県です。
以下は、福岡県防災会議専門委員会議・第4回会議(原子力部門)・平成24年2月16日開催の資料1「『福岡県地域防災計画 原子力災害対策編』作成にあたっての基本的な考え方(案)」の「第2節」の2つめの項です(下線は当ブログで入れました)。

福岡県は事前シミュレーションはしない、としていますが、安定ヨウ素剤の服用は、あくまでも放射性プルーム(放射能雲)の通過前でなければ効果がありません。モニタリングの数値を見て、「そろそろ高くなってきたから・・・」では手遅れです。安定ヨウ素剤の事前配布のためだけでも予測シミュレーションは不可欠です。いったい福岡県は何を考えているのでしょう。
だいたい、今頃まだ「考え方」を議論しているというのが、どうかと思うのですが、「この『基本的な考え方』を基本に、実際の事故発生時には、事故の規模や気象条件、モニタリングの結果等を踏まえ、柔軟に対応するものとする。」とは、要するに“原発事故は起きてみなけりゃ何もわからないよ~、あとは出たとこ勝負だね~”と言っているのに等しいではありませんか。滋賀県の検討内容を見てみれば、事前にやらなければならないことはいっぱいあるし、しなければ県民の命と健康を守ることができないのは一目瞭然ではありませんか。福岡県、怠惰に過ぎるでしょう。
さて佐賀県です。
古川康・県知事のキャラ/主義主張から言って、当然ここの原子力災害対策がやる気のないものであることは予想がつきますが、さすが原発立地県だけあって、原子力災害対策編だけで112ページに上る、分厚い『地域防災計画』書があります。
で、平成24年2月13日に改定された最新版、原子力災害対策編2ページめ、下の方、今回修正部分の赤で書かれた所に次のよう書いてあります。
「ただし、福島第一原子力発電所における原子力災害を踏まえた国の防災指針の改訂が行われるまでの暫定的な対策として、玄海原子力発電所から半径20kmの円内の地域について避難計画の策定等の必要な対策を講じることとし・・・」
“一次評価じゃ足りない”と言った翌日、いそいそと大飯原発の一次評価会を始めて野次られていた、何やってんだかわからない班目委員長の原子力安全委員会でさえ、UPZ(緊急時防護措置準備区域)30kmとしているのですが・・・。やっぱ、やる気ないわ。
と、いうか、この記述だと、国の防災指針の改訂が行われないうちは、原子力災害対策もまともにできないわけですから、玄海原発は再稼働できない、というのが、論理的には正しい帰結となるのですが・・・。
まあ、佐賀県の場合、原発立地県として既にSPEEDIでシミュレーションすることができる状態にあり、実際にシミュレーションを行ない、深刻な結果を得ていたにもかかわらず、それを防災に役立てるところか、県民の目に触れないようにそっと隠していることが一番の問題ですが。
最後に長崎県。
平成24年2月13日(月)に行なわれた第4回長崎県地域防災計画見直し検討委員会の資料がHPに上がっています。すごいのが「(3)-①長崎県原子力災害対策暫定計画(案)」。最初の「第1 趣旨」で「(玄海原発事故に備え)本県独自の原子力災害対策暫定計画を策定する」と来るのは良いとして、いきなり「第2 避難計画」。そしてその次の「第3 行動計画」も要するに避難方法。で、それで終わり、第4は無し。つまり、最初から最後まで、どう逃げるか、しか書いてない。いやいや、小項目では“災害時の情報伝達”とかも書いてありますが、それも、逃げるための情報をどう伝えるか、という話し。「行政機能の移転」も、行政機関がどう逃げるかだし、「被ばく医療体制」も要するに、現場に近い所ではさっさと患者の除染だけして、患者を遠くへ逃げさせろ。いやはや、ここまで徹底して逃げることしか考えていない原子力災害対策というのは、むしろすっきりして気持ちがいいくらい。
でも問題は、そうやって逃げても、長崎県内を右往左往するくらいではどうにもならないかもしれないということでしょう。これは前に書いたとおりです。やはり、いきなり避難計画を考えるのではなく、何が起こるのかを分析した後、行動計画を立てるべきでしょう。
まったくもってこんな状態で玄海原発の再稼働なんて、あり得ないわ。
(補足記事を書きました → 「怠慢の福岡、悪意の佐賀、逃避の長崎/原子力災害対策」)
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【PAZ・UPZ・PPA】UPZも拡張必要: 女川原発
2012-02-22
原子力安全委員会・防災専門部会・被曝医療分科会は、2011年12月7日、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を防ぐための安定ヨウ素剤の服用基準を、それまでの被曝線量100ミリシーベルトから50ミリシーベルトへと厳格化しました。これに対応して、それ以前に決定された原子力災害防災対策地域の地域割りも、変更があってしかるべきでしょう。当ブロクではしばらくPPA(放射性ヨウ素防護地域)50kmという範囲指定について、問題を提起してきましたが、改訂が必要なのは、UPZ(緊急防護措置区域)30kmも同じです。また、PAZ(予防的措置範囲)5km圏も同様です。あくまで概算ですが、5km、30km、50kmの各地点で旧基準の100mSv(ミリシーベルト)の放射性ヨウ素が検出された場合、そこからどこまで遠ざかれば(原発から離れれば)、新基準の50mSvまで低下するのか、計算して見ました。8km、50km、80kmというのが得られた結果でした。UPZ拡張必要域は、これまでのPPA(50km圏)と一致してしまいました。地域指定をこの程度に変更する防災指針の改訂が望まれます。
さてしかし、原子力安全委員会が防災対策地域指定を拡張をすることがあるのでしょうか。現状では、かなり怪しく見えます。
我々としては、とりあえず具体的に、どの地域が該当するのか、理解しておく必要があるでしょう。自ら安定ヨウ素剤を用意するか、行政に働きかけるか、はたまた引っ越して逃げ出すか、人により取る手段は様々でしょうが、とりあえずは現状を認識することが大事でしょう。
今回は宮城県の女川原発について作図してみます。福島原発事故の被害が及んだ宮城県で、今度は北部の女川で原発事故が発生したりした日には目も当てられませんが、とにかく、対策はしっかりしておく必要があるでしょう。

書きこまれた同心円の意味については、こちらを御覧ください。
石巻市、南三陸町、また、仙台市の沿海部と、3.11地震・津波の被害の大きかった地域が再度、原子力災害で被害に合うようなことがあってはいけないと思います。しかし、津波避難だけではなく、原子力災害での避難も想定しておかなければならないのが、このあたりということになります。仙台市は、30km圏から外れるため、実質的な原子力防災対策地域として扱われないかもしれませんが、被曝医療分科会の新基準から考えれば、十分な対策が必要な地域ということになります。
さてところで、当ブロクで何度も言及してきたように、滋賀県は、独自シミュレーションの結果、UPZを最遠地点42kmに設定しました。この地域で作図するならば、当然この数字によるものを作成する必要があるでしょう。この数字と、42km地点を100mSv/hとした場合、さらにどこまで遠ざかれば被曝医療分科会の新基準50mSv/hまで被曝線量が低下するかを概算した約70km(計算結果は68.91kmとなりましたが、もともとそれほどの精度はない概算結果ですので70kmとしておきます)という数字(UPZ拡張必要域)で、再度描き直してみた図が、次のとおりです。
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宮城県女川原発
週間『東洋経済』2月18日号「東京電力 偽りの延命」
2012-02-21
東京電力の虎の尾を踏んでしまったため、編集長がハメられて痴漢容疑で逮捕された、とネット上では信じられている(?)『東洋経済』、買いそびれていたので、買って来ました。どんなすごいことが書いてあるのか?
う~ん、まとめていくと・・・
“法的処理(破綻処理)は、もはや無理。なぜならば、これまで資金援助した国の資金まで吹き飛ぶから”・・・なるほど。
“また、既に一部資産を処分させているので、いまさら法的整理すると、社債権者から二重取りだと訴訟される”・・・なるほど。
“結局、国有化して、やらせるべきことをやらせていくしかない”・・・いやはや難儀なことで。
“しかし、賠償責任を負いたくない財務省、勝栄二郎事務次官と、東電の勝俣恒久会長の「勝-勝ライン」は強力に抵抗。50%以上の議決権獲得をめぐって、経産省と枝野経産相は劣勢”・・・これは困った。
“そもそも発送電分離も、現行の電気事業法の下ではできない”・・・むむむ。
“そしてなにより、東電は枝野経産相ならびに現政権がいつまで保つか、長いことはないと見透かしている(東電も国の資金注入なしには長くは保たないが、潰してしまっては元も子もないので枝野経産相は結局資金注入には首を縦に振るしかない、ということも見透かしている)”・・・ま、そうでしょね。
って、全然ダメじゃん!! これ、“東電、まったく安泰”と書いてあるわけで、何か虎の尾、踏んでるか?
多少の暴露があるとすれば、話の本筋とはあまり関係ないところで触れられた、次のような話くらいか・・・
“なぜ産業界は17%値上げに怒らないのかというと、大口契約は1kWあたり数円で、17%値上げされてもまだとてつもなく割安だからではないかと、いぶかる向き(国会議員談)もある”・・・でもこれ、単なる伝聞だし。
福島では“大規模人体実験”の第一回レポートが出ています。
「『健康影響考えにくい』/県外部被曝調査」(朝日新聞HP)
結局、国の基準は事実上20mSvで運用されています。政治的圧力で歪められたICRPの基準が1mSvなのに、これで良いのか!!
なんか気の滅入ってくる話ばかりです。
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班目委員長が変だ!? 正論を言っている!!
2012-02-21
原子力安全委員会の班目委員長が変だ、正論を言っている・・・。ストレステストによる一次評価では安全性の評価には不十分で、福島原発事故の調査結果を踏まえた二次評価が必要と語ったという。(毎日新聞HP、共同通信HP、TBS)まあ、“原発再稼働を判断するのは政府であって原子力安全委員会ではない”とも語っているわけで、単なる責任逃れでもあるのだが・・・。
これを受けての藤村官房長官の記者会見、苦りきった表情が傑作でした(NHK--あれ、映像が上がってないや)。“再稼働は政府の責任で”と、強調していましたが、原子力安全委員会が安全審査の責任を放棄してしまっては、そう強調せざるを得なかったという展開。安全も確認されていないのに再稼働なら、何かが起きればすべては政府の、いや、行政機構的には原子力安全委員会の安全証明書なしに原発を動かすのは問題があると思われますので、すべては実際に判断をした政治家の責任ということになります。
「原子力安全委員会の安全審査指針に瑕疵(かし)があったことははっきりと認めざるを得ない。・・・略・・・原子力安全委員会を代表しておわびする。」(読売新聞HP)
と、班目委員長が国会の福島原発事故調査委員会で語ったのは2月15日のこと。もうこれ以上、泥を被らされるのはいやになってしまったか。単に責任問題だけではなく、「事態を理解していなかった、いやできなかったんだろ」に始まって、アホだバカだ、無能だと、さんざんに言われてましたから。
さてこの状況下、それでも夏前の原発再稼働へ突き進むのか、野田ドジョウ?
そう言えば、民主党はまた何やら船頭多くして船を山に登らせる工作を行なっているようです。
「鳩山氏は外交、菅氏はエネルギー 首相経験者らに担当制」(朝日新聞HP)
「野田政権の求心力を高める」ために、党内有力者を総動員するのが狙いとのことですが、ここで菅前首相が実際に影響力を持つことになると、いよいよ原発、もっと動かなくなりそうで大いに結構です。頑張ってください、菅前首相!!
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図: 泊原発(札幌・小樽・室蘭)
2012-02-20
一昨日は泊原発について原子力防災対策地域を考えてみました。今回は、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
まずは泊原発で福島級の事故が発生し、放出された放射性プルーム(放射能雲)が、西風に乗り、札幌へ向かった場合を考えてみます。汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみます。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある(風が通常それに沿って吹く山脈などなければ)。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい(福島は放射性汚染物質が広がりにくい地形・気象条件にあったかもしれない)。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、裏返し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
小樽市はもちろん、札幌市の多くの地域も、深刻に汚染されることが考えられます。また、曲がりをまっすぐに伸ばせば、岩見沢市あたりでも2μSv/h程度の汚染は十分に考えられることになります。
風向が北西であった場合について作図してみたのが次の図になります。
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北海道泊原発
放射線審議会も“やらせメール”
2012-02-19
文部科学省・放射線審議会が、厚生労働省の“食品に含まれる放射性セシウムの新基準値案”に噛み付いたのは、2月16日のことでした(朝日新聞HP、毎日新聞HP)。“厚労省の基準は厳しすぎ、福島の復興を妨げる”という趣旨でした。健康保護のための安全基準を定めるのですから、健康被害の観点のみから議論を積み重ねるべきところ、“福島の復興がなんのかんの”と言ってしまうのは論理が変ですが、(余計な論点を持ちださなければならないということは、健康被害は本当は発生するのだろう、と考えるのが、まともな思考力を持っている人間の判断となるはずです)、実態はそれ以上に異常なものでした。

(西日本新聞2月17日朝刊)
放射線審議会の前会長・中村尚司・東北大名誉教授と、現会長・丹波太貫・京大名誉教授、連名の、「(厚労省案に対する)『反対意見の投稿要請』とも受け取れる」メールが、関連学会の会員に送られていたとのこと。このメールは実際は中村前会長が送ったもので、丹波現会長は“知らなかった”ということになっているようですが、さて学会その他でいつも顔を合わせる二人の関係において、片方が他方に了承も得ずにメールを送ったり出来るものなのか、疑問は残ります。
それはともかく、要するにここでもやらせメールです。
「パブリックコメントには約1800件の意見が寄せられたが、うち約1400件はさらなる厳格化を求める意見で、『厳しすぎる』との内容は約40件だった」(読売新聞HP)という事実を踏まえ、「もっと厳しくしてほしいという意見が圧倒的に強い」(同前)と、放射線審議会の意見を退けた小宮山厚労相、お見事!!
こういった中村前会長や放射線審議会について「問題視しない考えを示した」(毎日新聞HP)平野文科相、何考えているのか。
なお実際は、厚労省案でも、まだ甘すぎるという問題ついて、既に当ブログでは指摘・問題視しております。
PS. 「丹波太貫」を「たんば・たぬき」と読んで思わず吹き出してしまったのは、私のようなおっちょこちょいだけかもしれませんが、一応注釈をつけておきます。毎日新聞の記事には親切にもふりがなが付いていました。「丹波太貫(にわおおつら)」だそうです。丹波山の狸さん、ごめんなさい。あなた達に罪はない。
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【PAZ・UPZ・PPA】UPZも拡張必要: 泊原発
2012-02-18
原子力安全委員会・防災専門部会・被曝医療分科会は、2011年12月7日、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を防ぐための安定ヨウ素剤の服用基準を、それまでの被曝線量100ミリシーベルトから50ミリシーベルトへと厳格化しました。これに対応して、それ以前に決定された原子力災害防災対策地域の地域割りも、変更があってしかるべきでしょう。当ブロクではしばらくPPA(放射性ヨウ素防護地域)50kmという範囲指定について、問題を提起してきましたが、改訂が必要なのは、UPZ(緊急防護措置区域)30kmも同じです。また、PAZ(予防的措置範囲)5km圏も同様です。あくまで概算ですが、5km、30km、50kmの各地点で旧基準の100mSv(ミリシーベルト)の放射性ヨウ素が検出された場合、そこからどこまで遠ざかれば(原発から離れれば)、新基準の50mSvまで低下するのか、計算して見ました。8km、50km、80kmというのが得られた結果でした。UPZ拡張必要域は、これまでのPPA(50km圏)と一致してしまいました。地域指定をこの程度に変更する防災指針の改訂が望まれます。
さてしかし、原子力安全委員会が防災対策地域指定を拡張をすることがあるのでしょうか。現状では、かなり怪しく見えます。
我々としては、とりあえず具体的に、どの地域が該当するのか、理解しておく必要があるでしょう。自ら安定ヨウ素剤を用意するか、行政に働きかけるか、はたまた引っ越して逃げ出すか、人により取る手段は様々でしょうが、とりあえずは現状を認識することが大事でしょう。
今回は北海道の泊原発について作図してみます。泊原発でのプルサーマルでは、北海道電力と高橋はるみ知事が“やらせメール”で責任追及されていましたが、それはもう「解決」ということなのでしょうか?

書きこまれた同心円の意味については、こちらを御覧ください。
小樽市は、30km圏から外れるため、実質的な原子力防災対策地域として扱われないかもしれませんが、被曝医療分科会の新基準から考えれば、十分な対策が必要な地域ということになります。このことは、札幌市の南区西部にもあてはまります。
さてところで、当ブロクで何度も言及してきたように、滋賀県は、独自シミュレーションの結果、UPZを最遠地点42kmに設定しました。この地域で作図するならば、当然この数字によるものを作成する必要があるでしょう。この数字と、42km地点を100mSv/hとした場合、さらにどこまで遠ざかれば被曝医療分科会の新基準50mSv/hまで被曝線量が低下するかを概算した約70km(計算結果は68.91kmとなりましたが、もともとそれほどの精度はない概算結果ですので70kmとしておきます)という数字(UPZ拡張必要域)で、再度描き直してみた図が、次のとおりです。
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北海道泊原発
福岡県「広域避難基本計画」の骨子が提出されました
2012-02-17
朝日新聞によると「県は16日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で事故が起きた際に、原発から30キロ圏内の糸島市西部に住む1万5千人の避難先や避難方法の大枠を定める「広域避難基本計画」の骨子を県防災会議原子力部門専門委員会議に示した。」とのことです。県庁のHPへ行ってみると、「第4回福岡県防災会議原子力部門専門委員会議の開催について」というページがあり、日時が「1.日時/平成24年2月16日木曜日18時から 」となっており、議題が次のようになっていますから、この議題の(2)だと思われます。
> 3.議題
> (1)「福岡県地域防災計画 原子力災害対策編」作成にあたっての基本的な考え方(案)について
> (2)原子力災害に係る広域避難の基本的な考え方(案)について
> (3)福岡県原子力災害対策基礎調査報告要旨(案)について
> (4)その他
県庁HPで「広域避難」で検索をかけると、真っ先に出てくるのは「原子力災害に係る広域避難の基本的な考え方(案)」というpdfファイルでした。しかし、前に当ブログで言及した文書と同内容ですので(日時記載が出てこない/ファイル名称は異なる)ので、これが今回のものかどうかわかりません。
いずれにせよ、朝日新聞が伝えるように、糸島市の人々の多くが福岡市へ避難するような内容では、役に立たない可能性が高いと考えられます。玄海原発のシビアアクシデントの場合、福岡市も避難が必要になっている可能性が極めて高いと考えられるからです。
特に冬の季節風が吹く時期について、佐賀県が行なったSPEEDIによるシミュレーション(グリーンピースが情報公開により入手)は驚愕に値します。佐賀県のシミュレーションでは北北西の風ですが、もしも同程度の風速の西風であれば、事故後1時間程度で福岡市も汚染され始め、汚染域は2時間後には福岡市を突き抜けてしまいます。この地域に住む人間ならば分かることですが、西風になることもけっしてあり得ないことではありません。そしてその時こそ、糸島市の避難が最も必要な時です。こんな避難計画、何の役にもたたない、と言ってよいでしょう。
グリーンピースのHPによれば、京都府は、SPEEDIを活用することにしたそうです。福岡県も、安全無視の専門家などに審議させてないで、ちゃんと県民の命と健康を保護する仕事をしてもらわないと困ります。
「県は今年度中に地震・津波対策の計画案をまとめる方針。原発災害の分野は来年度も検討を続ける。」(毎日新聞)
毎日新聞によると、原発災害分野の検討はまだ続くそうです。ちゃんと修正してもらいましょう。(しかし、今、事故が起きたらどうするんだ・・・グズグズすること自体も困りものなのだが・・・)
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枝野vs.橋下の暗闘/東電国有化
2012-02-17
このところ「国有化」をめぐってバトルを繰り広げているのが、枝野経産相と東京電力(代弁人の方が賑やかだったりしますが)。「東電議決権 3分の2必要」経産相、実質国有化姿勢(朝日新聞HP)
東電支援「りそな型で」…枝野経産相言及(読売新聞HP)
東京電力:国有化、経産相と経団連会長が火花(毎日新聞HP)
この3つの記事では、とりあえず第1報の朝日はともかくとして、読売は国有化に否定的、“東電より”の報道、一方、毎日は、経団連米倉会長の枝野批判に対して経済同友会長谷川代表幹事の対立的談話を紹介することによって“枝野より”といった印象を受けます。もともと原子力推進の読売新聞は、やっぱり東京電力も温存したいのかと読めますが、それはともかく、“政治家の事情”を指摘して興味深いのが、『日経ビジネス』の記事。
東電問題の陰に枝野・橋下の暗闘(日経ビジネスHP・・・全文読むには無料登録が必要)
「財務省幹部が『賠償や廃炉などの責任が国に回ってきかねない』などと、国が経営権を取得することに懸念を表明しているのも、東電の働きかけが功を奏しているとの見方が有力だ」といった解説は、ありきたりの話ですが、枝野経産相が恐れているのは、実は橋下大阪市長の動向だというのです。
「公的資金投入や、電気料金引き上げ、原発再稼働という“アメ”だらけで東電を救済・温存するとは何事か、電力業界と官の癒着構造の温存だ」と、みんなの党の渡辺喜美あたりも巻き込んで、次の衆議院選挙の争点にされたらひとたまりもない、というのが、枝野経産相の最大の懸念だというのです。つまりは、“東電にも犠牲を強いた”という形を作りたいというのが、枝野経産相の最大の目的だと、“経産省関係者”は語ったと記します。
そして、それなのにこの“親ごころ”を理解しない東電は、必死になって国有化に抵抗し、事態を複雑化している、という“経産省幹部”のコメントを記します。
う~ん、複雑怪奇。思惑と思惑の絡まりあい、一筋縄では行かないようです。
しかし、ここまで読むと、こんな話しを『日経ビジネス』にリークする経産省関係者や幹部、単に東電が油断して“国有化OK”と言ってしまうのを狙っているのでは、とも思えます。実際に国有化してしまえば後は経産省の思いのままに・・・とか。
民主党が原発再稼働へ舵を切ったと、朝日新聞が伝えています。そうであれば、“電力会社ではなく国が稼働するんだから”という理由付けにも使えそうな東京電力国有化ではあります。そして一旦、東電管内で原発再稼働してしまえば、あとはなし崩し的に・・・と。まあ、タイムスケジュール的にどうなのか、という感じもしますが。
こうなってくるといっそ、東電が粘り勝ちして焼け太り、それを批判して橋下大阪市長が原発選挙に持ち込んで・・・、というシナリオも、やってくれ、という気分にもなります。いや、それはまた問題の多い展開ではありますが。
で、結局、原則としては、金を出したぶん、国が決定権を得る。そして議論されている発送電分離を、実質的な形で実現していく。と、なっていくのが、これまでの経緯の上では筋でしょう。本当は破綻処理して、東電に出資して金儲けを企んでいた人々からは金を吸い上げる、そして頭(経営陣)は入れ替えて、新しい体制で再出発する、というのが本当の本当の筋ではありますが。
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図:玄海原発(2)佐賀・熊本・久留米
2012-02-16
昨日と同じような図になってしまい申し訳ないのですが、当ブログ作成者の地元近辺ということもありますので、ご容赦のほど。福岡県の原子力防災対策について見てきましたが、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、(なりそうですが)、福島から教訓を得るための参考図を作成してみる作業の二回目です。
玄海原発で福島級の事故が発生し、放出された放射性プルーム(放射能雲)が、北西風に乗り、佐賀方面へ向かった場合を考えてみます。汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみます。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
あれっ、佐賀市は汚染の谷間だったりして。もちろん、そううまくいくはずはありませんが。ここで、曲がりをまっすぐに伸ばした場合を考えてみれば、熊本市でも2μSv/h程度の汚染があるかもしれません。福島とは違って、海の上を風が渡るのですから、放射能汚染も、かなり遠くまで運ばれる可能性があります。
熊本市については、放射能汚染地帯が、現在の形のまま到達したらどうなるかについて、作図してみたのが、次の図です。
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佐賀県玄海原発
福岡県&市 防災委員 出光一哉
2012-02-15
福岡県の安易な、そして福岡市のやる気のない、原子力防災対策について、書いてきましたが、福岡県も福岡市も、県民・市民の安全を守る気などさらさらないことは、実は次のホームページの内容を見れば一目瞭然です。(リンクはそれぞれ県と市のHPにつながっています)福岡県防災会議専門委員会議 原子力部門 委員 出光一哉
「福岡市地域防災計画」見直し検討委員会 委員 出光一哉
「出光一哉」で検索をかければ出てくる、出てくる、ばりばりの原子力推進派ぶり。
原発関連御用学者リスト 出光一哉
「プルトニウムは貴重な資源です」と講義した出光一哉九州大学教授
市の防災委員が「原発を早く動かせ」・・・とは
特に最後のリンク、図書館行って確認してきました。朝日新聞西部本社版7月21日朝刊、「九電津波対策 大丈夫?」と題された記事に出光一哉、コメントを寄せていて、「危険性がゼロになったわけではないが、どこまでやれば安全かは追求すればきりがない。原発を動かすリスクと、動かさないことで産業界に与えるダメージを考えれば、早く動かすべき。」と述べています。
個人的主義主張はともかくとして、防災対策を考える委員として、これは不適切と言えるでしょう。
彼個人のホームページもあります→ “WELCOME TO IDEMITSU'S HOME PAGE”
ここからリンクをたどって、面白い記述を見つけました。
「●環境科学概論(出光担当:2011/5/18 開講資料 <<=== NEW)」 → 「H23 5/11の講義に用いたOHP(750kB) <<=== NEW」 と行きます。出てくるのはパワーポイントのスライドをPDF化したとおぼしきファイルですが、その最後のページです。
題は「発電所見学会」で、「【見学場所】九州電力唐津火力発電所(佐賀県唐津市)/玄海原子力発電所(佐賀県東松浦郡玄海町)・・・」とあった後、集合場所のⅠとして「九州電力電気ビル・本館1階エレベーターホール」と来ます。「【参加費】無料(交通費、昼食代は学会負担)」というのも怪しいですが、集合場所の使用、これは九州電力からの便宜供与ではないでしょうか。原子力防災対策によって操業に影響を受けるのは九州電力ですから、県や市の防災対策関連委員を務めることと、これは明らかに利益相反していると考えられます。
これは抗議のメールを出してもいいんじゃないだろうか。
福岡市市民局 生活安全・危機対策部 防災・危機管理課 → bousai.CAB@city.fukuoka.lg.jp
福岡県総務部消防防災課計画班 → shobo@pref.fukuoka.lg.jp
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図:玄海原発(1)福岡・北九州・唐津
2012-02-15
福岡県の原子力防災対策について見てきましたが、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、(なりそうですが)、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。福島原発事故の放射能汚染の実態をよく頭に入れておきましょう。
まずは玄海原発で福島級の事故が発生し、放出された放射性プルーム(放射能雲)が、西風に乗り、福岡へ向かった場合を考えてみます。汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみます。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある(それに沿って強い風の吹く山脈などなければ)。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい(福島は放射性汚染物質が広がりにくい地形・気象条件にあったかもしれない)。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、裏返し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
糸島市はもちろん、福岡市の多くの地域も、深刻に汚染されることが考えられます。また、曲がりをまっすぐに伸ばせば、北九州市でも2μSv/h程度の汚染は十分に考えられることになります。北九州市については、放射能汚染地帯が、現在の形のまま到達したらどうなるかについて、作図してみたのが、次の図です。
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佐賀県玄海原発
福岡県の避難計画について補足
2012-02-14
前回の補足です。福島原発事故で何があったのか、どうも地理的感覚がうまくつかめていないように思えます。前にも書いた図ですが、着色等を改めてもう一度、掲載します。福島原発事故の避難指定地域(現在の状況はこちら)を、玄海原発に重ね合わせると、次のようになります。汚染地域の広がりと陸地の関係から、汚染地域の図を裏返して、角度を変えています。福岡市でも原子力災害時の避難について検討が必要なことは一目瞭然だと思います。
さらに、滋賀県のUPZ(緊急防護措置区域)を42kmとするシミュレーションに基づくUPZの範囲を、地図に書きこんでみたものが次の図です。滋賀県の試算は、日本海から季節風が吹き付けるという条件が共通ですので、福岡の防災対策を考える上で、重要な参考になるはずです。この図には更に、42km地点の放射線被曝量が旧基準の100mSv/hであった場合、どこまで遠ざかれば新基準の50mSv/hまで下がるかを概算した結果の70kmという範囲も記入しています。

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福岡県の原子力防災対策について
2012-02-14
福岡県の原子力防災対策の検討状況については、次のHPでみることができます。平成23年度福岡県防災会議専門委員会議について
ここに上がっている文章の中に、次の文章があります。
「資料2 原子力災害に係る広域避難の基本的な考え方(案)について」(平成23年度福岡県防災会議専門委員会議・原子力部門・第3回会議・平成23年11月10日開催)
この文章では、「1 避難事前計画区域」において、30km圏内として、糸島市のみが挙げられています。もっとも、糸島氏の隣り、50km圏に入る福岡県の領域は政令指定市の福岡市が占めていますから、そこは県の管轄外ということかもしれませんが。
「2 避難先の考え方」では、“30キロ圏外に避難するものとする”と記されています。一応「3 避難事前計画区域外」において、“実際の避難では30キロ圏を越え避難が必要となる場合も考えられることから、・・・必要に応じ・・・、避難対応を行うための準備を行う”とは記されていますが、具体的な検討はないようです。
このブログで繰り返し述べてきたように、UPZ/30km圏という数値が指定されたのは、安定ヨウ素剤服用基準が100mSvであった、昨年10月20日のことです。その後12月7日、原子力安全委員会・放射線医療分科会は安定ヨウ素剤服用基準を50mSvへと厳格化します。原子力安全委員会は改訂作業に全く着手しようとしませんが、30km圏では全然足りません。
また、そうでなくても、放射性物質の拡散状況は地形・気象条件次第で、滋賀県が42kmとシミュレーション結果を出したように、阿武隈高地と奥羽山脈とで放射性物質の広域拡散が妨げられた福島よりも、遠方まで放射能汚染される可能性は極めて大きいのです。滋賀県は、独自にUPZを42kmとする措置を取っています。
このあたりを考えて、当ブログでは少し考えてきました。しかし、福岡県(の専門委員)は何も考えていないようです。
「資料1 『福岡県地域防災計画原子力災害対策編』作成にあたっての基本的な考え方(案)」(平成23年度福岡県防災会議専門委員会議・原子力部門・第3回会議・平成23年11月10日開催)には、シミュレーションして対応策を作るとそれに合わない事態に対応し損なうことがあるから、シミュレーションはしない、と書いてあります。しかし、一定のシミュレーションを行ない、より正確に事態を把握しようと努力している滋賀県と比べると、単にモノグサを決め込んでいるようにしか見えません。
さてそして、 「資料2 原子力災害に係る広域避難の基本的な考え方(案)について」には、PAZ(予防的措置範囲、5km圏)とUPZ(緊急防護措置区域、30km圏)については記述がありますが、PPA(放射性ヨウ素防護・屋内退避地域、50km圏)については記述がありません。実際に避難が必要だった福島の「計画的避難区域」飯舘村(現在全村避難中)は、30km圏外から50km程度までの位置にあります。避難計画を考える必要がある範囲は、実際の福島原発事故を前提に考えるならば、そこまで及ばなければなりません。そもそも、福岡県のこの防災会議専門委員会議自身、福島事故以上を前提にすると、「資料1 『福岡県地域防災計画原子力災害対策編』作成にあたっての基本的な考え方(案)」で記しているのです。ちゃんと仕事をしてもらわないと困ります。

(図の説明は図をクリックしてください)
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「玄海原子力発電所 新燃料の輸送について」
2012-02-13
九州電力は、本日2月13日、玄海原子力発電所に、新燃料を運び込みました。「玄海原子力発電所 新燃料の輸送について」
県庁のHPにも掲載されています。
いやはや、なんとも、まだまだ九州一帯を危険に晒すつもりのようです。
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図:福井原発銀座(4)冷静に考えると
2012-02-13
これまで福井原発原発銀座について被災参考図を書いてきました。しかし、冷静に考えてみると、最も考慮すべき図を考えて来ませんでした。「田坂氏(福島原発事故当時、内閣参謀参与)に聞くと、最悪に至らなかったのは、『幸運に恵まれたというのが、危機に対処した人間の実感だ』と振り返る」(2月12日朝日新聞朝刊「ザ・コラム」吉田文彦・論説委員)
いわゆる最悪シナリオに触れて記されたコラムの一部ですが、福島原発事故の大きすぎる被害は、実は幸運にも小さく済んだものであった可能性の方が高いようです。このコラムから引用すれば、
「水素爆発が起こり、原子炉から大量の放射性物質が放出され、原発敷地内での冷却作業が不能となる。その結果、炉内の核燃料と使用済み核燃料が溶融を始め、さらに大量の放射性物質が飛散する。/そうなれば、強制移転の地域が170キロ以上に広がる。呪的な移転を認めるべき地域が250キロ以遠にも拡大する可能性もある。」
ということですが、福井原発銀座では、さらに、この連鎖が始まれば、一つの原発に限定されず、となりの原発へと飛び火していくことが考えられます。つまりこれまで描いてきたのは、かなりお気楽な、“お花畑”被災予想図だったことになります。このあたりの図を思い起こして、事態を想像していただいても良いかもしれません。もっと冷静に考える必要があるということになります。福井原発銀座での重大事故(シビアアクシデント)は、原発一箇所で済んだらむしろ幸運です。複数原発連鎖事故の場合どうなるのか、本当はそこまで考えて原発事故防災対策を作らなければいけないはずです。
さて、かくして、本当は複数原発連鎖事故の場合どうなるか、作図すべきではありますが、そのような場合の予測データを現在、持ち合わせません。次の図は最悪シナリオが福井原発銀座それぞれの原発で単独に起こった場合を重ねあわせただけの、予想される最悪事態をかなり下回る避難地域予想地図となります。

なお、“最悪シナリオ”については、昨日のNHKニュースでも話題になっていました。公文書管理の問題としての取り上げでしたが。
(以下は地図の説明です)
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福井(高浜・大飯・美浜・敦賀・もんじゅ)
政治家の決断が必要だが・・・
2012-02-12
朝日新聞は東京電力の“国有化”をめぐる、財務省と経産省のバトルを報道しています(2月11日朝刊)。
政府資金をつぎ込まなければ潰れてしまう東京電力、潰さずに賠償をさせるには国費投入が避けられず、そうすると、国は株式が取得できてしまうので、東電を国の支配下に置くことになる・・・という状況下でどうするか。
2/3以上の株式を取得できるのだから、はっきりと国の支配下に置き、いろいろと思ったとおりにしたい経産省、しかしそうなると、賠償も事故対応もすべて国の責任になってしまうので、1/3までは株式の形で資金投入するにしても、それ以上は議決権を持たない優先株にするとかの方法で、責任は負わないほうが良いだろうとする財務省、「綱引き」をしているとのことです。
財務省の方法は東電を今のままで保つ方向ですから、発送電分離等も、踏み込んだことはできないことになります。「責任を負いたくない」と逃げ腰ですから、結局何も出来ない可能性が高いと思われます。国がそれなりの金を出すのですから、それに応じた発言権を確保しないというのは、国民の利益に対する毀損行為といえるでしょう。どうせ賠償には国も金を出さなければならないのです。ここはしっかり会社の主導権を握るべきでしょう。
財務省は、国がうまく電力経営出来なかった場合、大きな財政負担を負うことになることを危惧していますが、東電にやらせておけば上手くいく保証もないでしょう。そもそも、社員の平均年収677万円の会社に賠償事務等やらせるよりも、543万円の公務員にやらせた方が安上がりなのではないでしょうか(543万円は従業員1千人以上の企業の平均・・・人事院勧告はこれをもとに公務員賃金計算しているはず)。
さてしかし、ここで経産省、信用出来ないんだよな~。東電とグルになってさんざん悪いことしてきたのが経産省だからな~。やらせメールにザル審査、と、挙げていけばきりがない。
どっちにしてもろくな事にならないような気がするのが情けない話。まあ、省間の闘いとなった以上、政治家が決断すべき問題となったことは確か。結局、財務省の使い走りの野田首相だよな・・・
本来、東電はとっとと破綻処理し、東電の悪事に加担して金を出していた連中の資金は取り上げ、頭は入れ替え、再出発すべきなのだが。
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脱力の「福岡市防災計画修正案」
2012-02-12
西日本新聞が福岡市の地域防災計画の見直し作業について報道しています。「原発事故対策盛る 福岡市防災計画修正案」(西日本新聞HP)
それによると、
「原子力災害対策では、玄海原発事故について『影響は広域かつ長期に及ぶことが想定され、実効ある対策を行えるよう平時から対策を進める』として、安定ヨウ素剤の備蓄や避難計画の検討に着手することを明記。農産物が放射性物質に汚染される可能性も想定し、連絡通報、検査態勢を整備するなど、飲食物の安全確保対策も検討する」そうです。
う~ん、「検討に着手」と来ました。今日、明日に崩壊する可能性もある玄海原発1号機を目の前に、しかも季節風の風上に抱えていて、話は全部「これから」ですかぁ・・・。
この記事も書いています、「同市(福岡市)は人口の98%に当たる約143万人が玄海原発から60キロ圏内に住む」のです。遊んでばかりいないで、少しは実質的な仕事もしてくれ、高島宗一郎 福岡市長。
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図:福井原発銀座(3)福井・岐阜・名古屋
2012-02-11
福井原発銀座(高浜・大飯・美浜・敦賀)について原子力防災対策地域を考えてみた話しの3回目です。今回もまた、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
福井原発銀座、前々回の舞鶴・神戸編、前回の京都・大阪編に続いて、今回は福井・岐阜・名古屋編です。福井原発銀座最東端の敦賀原子力発電所で福島級の事故が起きた場合、放射能汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみることにします。福島で一体何が起こったのか、現実をしっかり頭に入れて、防災計画を立てなければ、意味がないでしょう。ただし、福島の事故では、放射能雲(放射性プルーム)は、阿武隈高地を超え、奥羽山脈にぶつかって(奥羽山脈沿いに吹く風に影響されて)向きを変えています。従って、阿武隈高地よりも平坦な地形ではもっと遠くへ、そして奥羽山脈のような山脈に遮られなければ真っ直ぐ、かなり遠方まで到達すると考えられます。福井原発銀座から福井市への放射能汚染については、伊吹山地を越えてどう放射能汚染が広がるのかという問題となります。伊吹山地が阿武隈高地程度の効果であれば、放射能汚染は、福島に近い線で広がることになります。しっかり考えるには、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、裏焼きし、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
もうちょっと風向きが、南向きだと福井市はすっぽりと高濃度放射能汚染地帯に入ることになります。この図ではその先で放射能汚染の帯が、がくっと曲がっていますが、福島では奥羽山脈があったために曲がっただけで、ここにはそんなものありませんから、このまま放射能汚染地帯の帯はすんなり北東方向へ伸びるでしょう。この場合、金沢市あたりでも、かなり深刻な事態となることが考えられます。
ところで、図のように曲がった場合、放射能汚染の帯の先は、岐阜市あたりへと到達しています。直接岐阜市へ、濃厚汚染地帯が広がった場合、どうなるのでしょうか。それが次の図です。
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福井(高浜・大飯・美浜・敦賀・もんじゅ)
アコギな商売: 東京電力
2012-02-10
民間発電業者が東京電力に支払う送電線使用料には、原発関連経費が上乗せされている・・・その額、なんと最大28%!!テレビ朝日によると、東京都の猪瀬直樹副知事が資源エネルギー庁に申し入れをしました。発電業者が支払う送電線使用料には、本来原子力発電をしていない業者が支払う必要のない、「核のゴミの最終処理費など原発関連経費が含まれている」ので、最大28%安くすべきだと。
民間発電業者は送電にあたって、消費税10%なんてもんじゃない上納金を取られているわけです。しかし、それでも東電よりも安く電気を売っているわけですから、どれだけ東電、高い電気を売っているのか。
経産省からも経費圧縮が要求されていました(朝日新聞・西部本社版2月4日朝刊)。
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太陽光・風力発電はダメという洗脳工作に必死、伊藤敏憲
2012-02-10
2月7日のNHKクローズアップ現代「動き出した電力ビジネス」では、“アナリスト”伊藤敏憲なる者がとんでもない洗脳工作を展開していました。番組の趣旨としては、PPS(特定規模電気事業者)による電力供給事業が活発化し、電力供給体制に革新をもたらそうとしている、というもののようなのですが、そこで登場したコメンテイターが、トンデモ・アナリストでした。この男、伊藤敏憲にしたところで、まずは地球温暖化対策として再生可能エネルギーの活用が不可避であると述べはするのですが、その後が次のような発言です。
「ところがですね、供給力という観点で考えると、その(再生可能エネルギーの)効果というのは限定されるんです。足元の最も大きな問題というのは供給力が不足しているということなんですが、太陽光、風力、大量導入が期待されているこの二つの電源というのは、電力の需要と供給力との間に強い相関関係が見られないんですね(・・・需要が増加する時期においても必ずしも発電量が増えるとは限らない・・・)。太陽光については発電設備の容量の1割程度しか供給力としては期待できない、風力については実は、安定化するための例えば蓄電システムの容量程度しか期待できないという、そのような評価が与えられているんです。ということは、需給対策としてはあまり大きな効果を再生可能エネルギーに期待してはいけないということになるわけですね。」
これって、原発擁護派の主張そのままではないですか。誰が「そのような評価」を与えているのかといえば、電力会社です。まともに信じて言っているならば、伊藤敏憲とは、よほど頭の弱い人ということになります。なぜって、太陽光発電について考えてみましょう。供給力として期待できるのは発電容量の「1割程度」と言いますが、天気番組を思い浮かべてみます。日本列島の9割が雲に覆われた衛星写真なんて、見た人がいるでしょうか。どこかでもっと必ず日は照っています。太陽光発電が不安定なのは、地域の縄張りを絶対条件として、電力会社が給配電ネットワークを広域接続するのを妨害しているからです。日本全国で見れば「発電設備の容量の1割程度しか供給力としては期待できない」などということはありません。誰が考えたって簡単にわかる真実です。風力にしても同様です。どこかで必ず風は吹いています。ある程度以上の広さに渡るネットワークを構築すれば、充分安定的な電源として利用できることは周知の事実です。問題は電気のやりとりを妨害している地域独占電力会社なのです。
キャスターの国谷さん、そのあたりはちゃんと勉強していたようで、即座に突っ込みました。
「(電力供給を)安定させるためのいろんなインフラ整備も必要といわれていますね。」
つまり、あなた(伊藤)は「不安定で使えない」と言うが、“ちゃんとインフラ整備すれば、使えるでしょう”、と。
困った伊藤敏憲、北海道から風力発電された電気を持ってくるためには巨大な送電網が必要ですし・・・、つまり、大きな設備やソフトが必要で、「投資の負担は国民が負担しなければならない」そして、「ニーズがあるかどうか判別できない」。いやしかし、この番組の前半は、電力会社のバカ高い電気料金よりも、はるかに安価に電気を売っていながら儲けている、そしてニーズありまくりで需要に答えられなくて困っているPPSの話だったんですけどね。アホか。
PPSは投資込みで、電力会社より安く電力供給しているのです。コストダウンが続いているので、近年のうちに、エクストラの資金援助がなくても(国民負担がどうのこうのと言わなくても)太陽光発電が他の発電手段と対等に営業できるという試算も出ています。まあ、電力会社の妨害さえなければ、ということになりますが。
これが、UBS証券会社株式調査部シニアアナリスト兼マネージングディレクターにして、経産省の電気事業分科会委員。伊藤敏憲。ただのアホなら、さっさと引っ込んで欲しいが、電力会社の代弁者として電力会社にパックアップされてやっていくんだろうな。鬱陶しい。
youtubeでも、「こいつ原発再稼働を前提にしてしか話してない」と突っ込まれています。
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【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図:福井原発銀座(2)京都・大阪
2012-02-09
福井原発銀座(高浜・大飯・美浜・敦賀)について原子力防災対策地域を考えてみた話しの続きです。今回も、長崎県のような、無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められた、極めて縮小された範囲指定に過ぎません。実際その外も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
福井原発銀座、前回の舞鶴・神戸編に続いて、今回は京都・大阪編です。まず、ストレステストの意見聴取会での大揉めぶりが報道されている、福井原発銀座の中でも最大規模の大飯原子力発電所で見てみます。大飯原子力発電所で福島級の事故が起きた場合、放射能汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみることにします。福島で一体何が起こったのか、現実をしっかり頭に入れて、防災計画を立てなければ、意味がないでしょう。ただし、福島の事故では、放射能雲(放射性プルーム)は、阿武隈高地を超え、奥羽山脈にぶつかって(奥羽山脈沿いに吹く風に影響されて)向きを変えています。従って、阿武隈高地よりも平坦な地形ではもっと遠くへ、そして奥羽山脈のような山脈に遮られなければ真っ直ぐ、かなり遠方まで到達すると考えられます。福井原発銀座は野坂山地に囲まれていますので、阿武隈高地の福島に近い条件と考えて良いのではないかと思っていますが、ちゃんと考えるには、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となるでしょう。福井原発銀座地帯では、北西の季節風が吹く時は、かなり遠方まで放射能雲が運ばれそうにも思えます。もっとも、その分希釈されるのかもしれませんが。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。福島の放射性物質濃厚汚染地域の、ぐにゃっと曲がる前の最濃厚汚染地帯が京都に迫る場合です。
文字通り「京都直撃」となります。京都市民の避難先はどう確保するのでしょうか。たぶんこれまでの行政の対応を見るかぎり、「そんなにたくさんの人を避難させることなんてできないから、何もしない、見捨てる」となる可能性が高いと思います。“ミスター500ミリシーベルト”とか“1000ミリシーベルト”、それじゃ人聞きが悪いから“ミスター1シーベルト”とかいった、ふざけた専門家を用意し、事故の収束を図るのではないでしょうか。
福島の汚染地帯は、奥羽山脈があったせいでぐにゃりと曲がっていますので、図を重ねてみると汚染地帯は京都で方向を変え大津の方へ曲って行ってしまいますが、この地でこうなった場合、放射能汚染の帯は、そのまま南下し大阪方面を汚染するでしょう。この放射能汚染の帯が曲がらず、大阪方向へ行った場合を想像して、大阪では、原子力災害時防災対策を考える必要があります。
そう考え(て防災対策等考え)るのが正しい考え方だと思いますが、以下に一応、福島の汚染地帯が、曲がった形のままで、大阪方面を汚染した場合について、作図して見ました。
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福井(高浜・大飯・美浜・敦賀・もんじゅ)
やっぱり、話が逆!!
2012-02-08
7日の朝日新聞の記事です。「【第3部 実像のサイクル】(6)否定された巨大活断層説」(朝日新聞HP)
2010年、原子力安全委員会のワーキンググループで、下北半島六ケ所村の日本原燃の工場の安全性を審査していた時のことだそうです。池田安隆・東大准教授は、活断層の存在を主張するも、他の委員すべて原発推進派、活断層はないことにされたそうです。その理由として、主査の山崎晴雄・首都大学東京教授は次のように語ったそうです。
「池田説を認めると、外縁断層はマグニチュード8・3の地震を起こす。再処理工場や東通原発は補強が必要になり、稼働できなくなる。すべて『疑わしきは黒』では全国の原発が止まり、エネルギー問題を起こしてしまう。」
なんとも本末転倒。安全性を審査する場で、考えていたことは“どうやって原発を稼働するか”。安全性など、審査されていなかったのです。まず原発を動かすことが先にあり、それにあわせて“安全審査作文”していたのです。
いろいろ策動している人々がいますが、安全審査が存在していないこの状況で、どうやって原発を再稼働すると言うのでしょうか。
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