「活断層の上でも原発OK」/原子力安全・保安院。「玄海1もOK」
2012-08-31
この秋に廃止予定の原子力安全・保安院、最後に様々な悪行を重ねています。
(西日本新聞8月29日朝刊=共同通信)
昨日も書きましたが、志賀原発や大飯原発など、断層の上に建設されている可能性のある原発も動かしてしまおうという魂胆のようです。
で、断層の上にあることが疑われている原発はこんなにたくさんあります ↓
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】志賀原発(1)能登半島
2012-08-30
8月20日の朝日新聞に続き、中日新聞も8月29日、この夏の電力需給状況について検証し、関西圏は大飯原発なしでも電力供給が足りていたと報道しています。危ない破砕帯の上にある大飯原発を無理して動かす必要などなかったことになります。さて、破砕帯や活断層と言えば、一番確実に活断層の上に在りそうなのが石川県志賀原発。原子力安全・保安院は、志賀原発直下の断層が活断層ではないと主張することを断念したらしく、今度は「活断層の上に原発を作っても安全」と主張するようです。何考えてるのか・・・(怒)。
ではこの志賀原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討しておきましょう。
チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
志賀原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は福島汚染地域の図を裏返し、志賀原発の位置においてみたものです。能登半島のほぼ全域が「移住義務ゾーン」となっています。そして富山県のほぼ全域が「移住権利ゾーン」となり、このゾーンが岐阜県や長野県・群馬県へと伸びています。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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石川県志賀原発
「安全か経済か」という議論の間違い
2012-08-29
原子力政策をめぐって、よく「安全を取るか経済を取るか」といった議論設定がなされることがあります。しかしこれは全く間違った議論の始め方です。なぜならば、原子力発電に経済的利点はないからです。つまり安全性を取るならば原発は廃止されるべきであり、経済性をとるならばやはり原発は廃止されるべきだからです。当ブログでは原発の経済性についていくつかの視点から検討してみました。ここで少しまとめておきます。
1.まず発電としてどうなの?
発電として経済的か??、という点が、まず第一の論点となるでしょう。
原発のコストは国の「コスト等検証委員会」の報告で、1kwhあたり“最低でも9円以上(事故処理費もしくは保険料を算入すると実際はどこまで高くつくか計算できない)”です(リンク先は無料会員登録が必要なサイト)。つまり、石炭火力やガス火力の10~11円、風力の9.9円(洋上9.4~23.1円)、地熱の10円前後、コジェネレーションシステム(コジェネ)の11円前後、と比較して、原発は保険料等を算入すれば間違いなく高くつく、ということになります。
さらに、実際の各原発の電力価格(電力会社が原発建設申請時に経済産業省に提出した発電コストの試算)は、柏崎刈羽5号機 19.7円/kwh、浜岡3号機 18.7円/kwh、泊原発1号機 17.9円/kwh、女川1号機 17.0円/kwh・・・、だそうです。ありゃ、国のコスト計算よりひどく高いじゃん。保険料をまともに払ってなくてこの価格です(保険は原賠法まかせ・・・福島じゃ全く役に立たなかった)。まあ、大飯4号機 8.9円/kwh、玄海2号機 6.9円/kwhなんてのもありますが・・・これ、玄海原発で言えば、防潮堤もない、免震棟もない、ということで、安価な理由は安全性の無視によるものですから、安ければ良いというものでもない、と付け加えておきましょう。
これで、電気代どうなるのか?? 当然、高くなります。電力は地域独占企業ですので、価格競争なし。発電にかかった金は全て電気料金で回収する制度となっています。しかも実際の電気料金算定は、リンク先に書きましたが複雑怪奇な総括原価方式という電気料金算定システムがあり、原発では暴利が貪れるようになっています(核廃棄物=ゴミが、再処理用“燃料”=資産として計算される→電気料金高騰)。
結論、原発は経済的ではない発電方法、ということになります。
2.それでも原発は日本経済に何らかの貢献をしているのでは??
政府が“国民的議論”のために公表した2030年原発依存率シナリオ、ここで示された試算が、原発の国民経済への貢献を雄弁に語っています。
2030年原発依存率 0% GDP 564兆~628兆円
2030年原発依存率 15% GDP 579兆~634兆円
2030年原発依存率20~25% GDP 581兆~634兆円
一見、原発依存率が高まるほど、GDPも増えるように見えます。しかし「ちょっ~と待った!!」 です。
まず「15%」と「20~25%」を見比べてみます。違うのは「579兆」と「581兆」の一ヶ所だけ。その差わずか2兆円。なんと、原発依存率が5~10ポイント違っても、GDPの差は誤差程度ということになります。原発は国民経済に貢献しない(国が豊かになることはない)、という数字です。
じゃ、「0%」はどうなのか?? 「15%」と比較して15兆~6兆円、「20~25%」と比較して17兆~6兆円、GDPが少なくなり、国が貧しくなるような気がします。ところがそうじゃないのです。現在、電力業界の原子力関係支出と国の原子力関係支出を合計すると2兆6千億円ほどです。これに原発関係と明示されない地元寄付金等を考え、これらがどれだけGDPを押し上げているのか、当ブログではざっと概算してみました。企業や国の支出は、下請けや孫請け、関連業界にも次々と回り、直接支出の数倍、GDPを押し上げることになります。これを考えると、原子力発電は、明示的支出だけで6兆5千億円~13兆円程度、他の支出も推測して加えると、10兆8千億円~21兆6千億円程度、GDPを押し上げていると思われます。さて「0%」シナリオでは、この原子力産業がなくなります。そのぶんGDPが減少することになります。金額を見なおしてみましょう。ありゃ、試算が示したのは、「原発依存率が0%になると、原子力産業ぶん、GDPが減りますよ」、というだけのことだったのです。これあまりにもあたり前過ぎ~、原発産業関係者以外に何か影響が及ぶという数字ではありません。
かくして、原発は国民経済へ貢献していない、ということになります。
・・・と、いうことで、「安全か経済か」という議論設定は大間違い、ということになります。「安全も経済もダメダメな原発をどうするのか」、というのが正しい議論設定です。
PS. にも関わらず、原発廃止には、様々な経済的困難があるとされています。一言で言ってしまえば、これまで暴利を貪るためにやってきた様々なインチキの副作用ということなのですが、それはまたの機会に。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(7)東京都区部・千葉市
2012-08-28
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる7回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は前回よりさらに角度を回し、「移住権利ゾーン」が千葉市に来るように角度調整してみました。なお、汚染地域領域図は裏返してあります。千葉県も無傷はありえないということになりましょうか。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
原発をめぐる固定観念をどうにかしよう!!
2012-08-27
原発推進派、特に経産省が国民に背を向け、電力業界の利益のために国民に吹っかけてきた無理難題、このために、現在の脱原発議論はひどく歪んでいます。今後、脱原発を議論するためには、この無理難題に関する不必要な思い込みを払拭していく必要があると思います。まずは既にバレているウソです。「原発がないと電気が足りなくなる」、そんなことはありません。当ブログではかつて「夏場の電力不足というウソ」という記事を掲載しましたが、今やほぼ夏の終わり、結果は出ました。原発依存率最大の関西電力でさえ、ちょっとした電力融通があれば、大飯原発など再稼働しなくても大丈夫だったことが判明 → 「原発なくても夏乗り切れた? 電力、ピーク時でも余裕」(リンク先は、朝日新聞8月20日記事を掲載したブログページ)。
原発依存率2位の九州電力では、次の記事のような状況です。

(朝日新聞8月27日西部本社版朝刊)
昨年比で言えば3%節電で済むものを、わざわざ一昨年の値を持ってきて10%と、数字を大きく見せかけているのです。もともと電力不足は誇大広告、経産省の吹っかけた(ありもしない)無理難題だったのです。
さて本日の本題、「原発がないと電気料金が2倍にも3倍にも上がる」、大ウソです。まずは、こんな試算もあります。原発ゼロで電気代半額だそうです。

(朝日新聞8月22日東京本社版夕刊)
これは「省エネ対策などを行なえば」という話ですが、実はその必要さえありません。沖縄電力は最初から原発ゼロでやっていますが、本土と比較して電気料金15%増し程度。それも離島による増額分を差し引けば9%増しに過ぎません。“規模の経済”において不利な立場にある沖縄で、こんなものですから、本土でまじめに経営すれば、これより更に低額にすることが可能です(できなければ、電力会社経営者が無能ということです)。
さらに、実はまだまだ電気料金は安く出来ます。なぜならば燃料価格、「日本企業の長期輸入契約の価格は現在100万BTUで約16ドル。米国の6~7倍、欧州と比べても5割は高い」からです。電力会社が燃料代に支払った代金は、そのまま総括原価方式で利用者から巻き上げられるように、現在の電気料金制度は出来ていますので、こんなバカ高い値段を燃料代に支払って、その結果、電気料金が上がっているのです。
そして原発廃止で電気代が高くなるもう一つの理由、「原発廃止には、代替エネルギー源として高価な自然エネルギーの利用が不可欠」、これもウソです。
とりあえずガスコンバインドサイクル発電を利用すれば、原発と比べてCO2の排出も増えもせず、普通に火力発電で安価に電気を供給できます。もちろん自然エネルギーの利用は理想なのですが、現実問題としてまずは普通に安くつく発電の利用から始めたって悪くはないはずです。狡猾な経産省は、脱原発派の主張“自然エネルギーの利用”を巧妙に自らの政策に取り込んで、脱原発コストを高く見せるために最大限、活用しています。こういう利用のされ方、ちょっとまずいです。全量買い取り制度も、あまりに高価な買い取り価格は、新たな電力利権を生むだけです。(と、ここまでは「不可欠」という思い込みへの反論。でも本当に言いたいのはこの先↓)
そもそも、自然エネルギーの利用が伸びないのは、地域独占・原発推進の電力会社が妨害工作を行なっているためですから、まずそれを改善(地域独占廃止・電力自由化・発送電分離)してからでないと、話しはどんどん歪んでいきます。生半可な知識の政治家が「エネルギーの地産地消」などと言うのも、議論がおかしくなる原因の一つです。自然エネルギーを効率よく利用することのできない現在の日本の電力制度をそのままにして、無理に自然エネルギーを導入しようとすれば高くついてしまいます。話しの順序をまず正す必要があります。特に風力発電なんて、もともと安価なものです。スペイン、アイルランド、ポルトガル、ギリシャ、昨今経済危機で世界に名を馳せている国々ですが、どこも日本より風力発電を多く利用しています。まだまだ経済発展途上のインドだって、日本よりも多く風力を利用しています(人口あたり)。安いから、使えるのです。自然条件がどうのこうのという話もありますが、現実に日本で最大の風力普及阻害要因となっているのは、電力会社による接続拒否です。このあたりをまず整理して、安価な自然エネルギーから利用していくぺきです。(以上、「高価な自然エネルギー」という刷り込みへの反論。)
最後に、よくあるフレーズ、「安全か経済か」という言い方。これこそ最大の勘違いなのですが、長くなりましたので、これについては次回。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(6)浜松市・横浜市・東京都区部
2012-08-26
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる4回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は前回よりさらに角度を回し、「移住権利ゾーン」が南関東の人口稠密地帯に来るように角度調整してみました。なお、汚染地域が海側ではなく陸側に来るように汚染地域領域図を裏返しています。横浜市、東京都区部、さいたま市のほとんどと、千葉県の一部も「移住権利ゾーン」相当です。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
富を産まない原子力発電
2012-08-25
政府が、原子力政策に関する意見公募をした際に提示した試算、見直してみればまだまだ興味深い点があります。以前、2030年の原発依存率0%と15%を比較して、原発ゼロシナリオが日本経済になんら打撃を与えない(というか影響なし)ということを論じました。この際、15%を取り上げたのは、これが実質的に現状維持案であったからです。新規原発の建設はそう簡単に進むはずもなく、一方、老朽化原発は閉鎖せざるをえないでしょうから、2030年時点で15%を保つのは、実はそれ自体大変なことです。ところで、残る20~25%案、この案について示されたGDPの数値も、かなり含蓄深いものです。
2030年原発依存率 15% GDP 579兆~634兆円
2030年原発依存率20~25% GDP 581兆~634兆円
あれ! GDP予測の低い方の試算額でGDPに2兆円の差がついてはいるが、高めに見積もった方では差なし。これちょっとまずいでしょう。だって“夢の発電方式”、原子力を5~10ポイント余計に使っても、日本経済への影響は微々たるもの、もしくは、なし。これじゃ話しになりません。だって何のために事故るかもしれない危険を犯すのでしょう?
それにこの数字、事故リスクの話をちょっと横に置いて見てみれば、要するに、原子力発電は富を産まない、ということが試算で示されていることになります。原子力発電依存度が違ったって、ほとんどGDPは変わらないのですから。
「3月の風景」と、当ブログではかつて表現しました。原発は、総括原価方式で人々から徴収したいわば“税金”を、ひたすら派手に消費するだけの公共工事のようなものです。そして後には国債残高ではなく、(総括原価方式で過剰に領収された電気料金による)家計の赤字と、手に負えない放射性廃棄物を積み上げていくシロモノです。早くやめないととんでもないことになります。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(5)浜松市
2012-08-24
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる5回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は浜松市が「移住義務ゾーン」となるようなケースを考え、汚染地域が海側ではなく陸側に来るように汚染地域領域図を裏返してみました。浜松市が深刻に汚染されるとともに、山梨県から長野県・群馬県方面、あるいは神奈川県、東京都、埼玉県と、こちらの方向にも「移住権利ゾーン」が広がっています。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
やっぱりコケていた“国民的議論”
2012-08-23
22日、政府は「討論型世論調査」の結果を公表しました。結局、討論後、最多となったのは、2030年時点の原子力発電依存度ゼロでした。その割合、46.7%。原発温存を目指していた野田政権にとって、この結果自体は、ちょっと数字が大きすぎるにしても、想定の範囲内でしょう。しかし、(野田政権にとって)最悪なのは、この結果に至るプロセスです。
単純解答では原発ゼロ支持32.5%だったのが、討論参加者討論前41.1%、そして、この数字が討論後46.7%へと上昇しています。最後の段階で数字が多少でも下がれば、「熟慮してもらえば原発ゼロの問題に気づいてもらえる」と強弁して、原発ゼロ以外の選択肢を選択する理由づけにできたでしょう。しかし結果は「熟慮すればするほど原発ゼロ」だったのです。
完全にコケました、野田政権“国民的議論”茶番劇。(1)意見聴取会では、7割が原発ゼロを支持、(2)パブリック・コメントでは約9割が原発ゼロを支持、そして(3)討論型世論調査では「熟慮すればするほど原発ゼロ」です。
自ら仕掛けた茶番劇ですから、その結果に縛られざるを得ないでしょう。野田政権としては有識者会議が何かごまかしの方法を考えてくれるの頼みといったところでしょう。
それにしてもこの茶番劇を実施した(たぶん企画もしている)博報堂、役に立たね~。
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既に終わっている原子力産業
2012-08-22
「アメリカの原発産業の人と話をすると『海外輸出なんて、全然期待できない』と言います。輸出の相手は途上国ばかりです。欧州も米国も原発は増えません。UAEの案件を見ると、韓国が政府の威信をかけて交渉し、とんでもない約束をして受注している。『事故が発生したら、毎回、全部韓国側で責任を負います』といった感じです。米国政府はそんなことはしない。日本企業は、ベトナムや中東に原発を持っていって、本当に儲かるのでしょうか。」(『電力自由化・発送電分離によくある「勘違い」を解く--高橋洋・富士通総研経済研究所主任研究員に聞く』日経ビジネス)脱原発派の論客、高橋洋氏の言うことですので、原発推進派やそれにシンパシーを抱く人々はまともに受け取らないでしょうが、このごろのGE、原発商売から腰が引けているという話しも伝わってきています。シェールガスの開発もありますし、全体的な流れはこんなところなのでしょう。竹中平蔵氏さえ、こんなこと(ここは無料登録が必要かもしれません)を言い出しました。
さてそこで日本です。

(朝日新聞8月15日西部本社版朝刊)
「制度の整備で協力」が何を意味するのか、全く理解不能な話です。まさか福島事故で何の役にも立たなかった、原子力賠償法を始めとする日本の制度について講釈をするのでしょうか“日本の真似だけはしてはいけない”と。まあ、政府間でわけの分からない賠償密約でも結んでないことを祈るだけです。
とにかく経産省、既に終わっている重厚長大産業・原子力にかまけてばかりいて脳死状態なのを早く脱してもらわないとエネルギー政策で日本経済はコケます。
さて、こんなブログ記事を書いていたら、先ほど、報道ステーションは、かなり重大なニュースを流しました。
「政府一転、原発“ゼロ”に方針転換」(報道ステーション8月21日)
古川国家戦略担当大臣が、来月初めに野田内閣が打ち出す予定の将来のエネルギー戦略で、2030年代に「原発ゼロを目指す」ことになるだろうと、踏み込んだ発言をしたとのこと。報道ステーションは、周辺取材を加え、野田内閣の既定方針15%では選挙を戦えないという強い声が党内から沸き上がっていることや、枝野経産相、仙谷政調会長代行などの言動が、この動きを裏書きするようなものであることを伝えています。
まあ、党内の意見のブレの大きな(そして党の方針も大ブレする)民主党のことですから、この動きもどこまで信じたらよいのか不明ですが、この動きが本物となるならば、いやホント、原子力産業、完全に終わりです。注意深く今後の展開を見守っていく必要があるでしょう。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(4)静岡市・甲府市・前橋市
2012-08-21
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる4回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は前回から更にちょっとだけ重ね合わせの角度を変えて、「移住権利ゾーン」が甲府市にかかる場合です。前橋市も移住権利ゾーンとなってしまいました。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
原子力委員会の“勉強会”、告発受理
2012-08-20
そういえば、原子力委員会が電力業界と密談し、国の原子力政策を原発推進に方向づけようとしていた策動についての告発、とりあえず受理されています。
(朝日新聞8月16日西部本社版朝刊)
どうせ“何もできない/しない検察”というオチになるのではないかと危惧しますが、今までこういった件について告発の受理さえしなかった検察が、とにもかくにも受理だけはしたことは一歩前進と受け止めておきましょうか。
こいつらはどうなった!!
・頑張れ毎日新聞!! 経産省安井正也官房審議官の犯罪
・【公務員の不作為】外交文書も握りつぶし
・「公務員の不作為」: 天下り先も犯罪組織
・「公務員の不作為」: 福島原発事故と薬害エイズ(3)
(う~ん、毎日新聞、いい仕事しているのにリンク切れ早いよ~)
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(3)静岡市・長野市
2012-08-19
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる3回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は前回から更にちょっとだけ重ね合わせの角度を変えて、「移住権利ゾーン」が長野市にかかる場合です。浜岡原発から伸びる「移住義務ゾーン」は伊豆半島に及んでいます。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
米NRC、原発の認可手続きを停止!!
2012-08-18
昨日の報道ステーション、特集は「米NRCが原発の認可手続きを停止」でした。アメリカの原子力規制委員会(NRC)、使用済み核燃料処理の目途が立つまで、原発新規建設・運転期間延長の認可を停止したとのこと。番組では、NRCが、ある裁判の判決を背景に、独自に判断したようなニュアンスに取れました。さて何が起こっているのか・・・まずはNRCのこの文章↓http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/commission/orders/2012/2012-16cli.pdf
「NRCは、原発認可停止を求める一連の請願を一部は受け入れ、一部は拒否することとした。/コロンビア州のなんたら裁判所(^_^;は、NRCが、『廃棄物の信頼性に関する決定(Waste Confidence Decision)』と、それに付随する『一時保管ルール』を、2010年にアップデートした際、『国の環境政策法令(National Environmental Policy Act: NEPA)』に違反していたことを見出した。これに従い、これらの決定・ルールを無効とし、それに従って行われていた手続きを、法廷の意見に一致したものとするよう、差し戻すことを命じた。/これに対応してNRCは(1)原子炉の最終認可決定を保留し、廃棄物の信頼性に関するNRCの認定手続きを保留する、(2)環境評価に関するパブリックコメントを募集し、(3)差し戻された手続きに関係した個別ケースについて、最低60日間の考査を行なう。・・・」といったことのようです。
な~んだ、裁判所に法令違反だよと指摘されて不承不承、認可を一時停止している状態のようです。で、裁判所の方の文章はこれ↓
http://www.cadc.uscourts.gov/internet/opinions.nsf/57ACA94A8FFAD8AF85257A1700502AA4/$file/11-1045-1377720.pdf
文書長くてしんどいのですが、要するに番組で紹介されていたように、ユッカマウンテン(Yucca Mountain)廃棄物貯蔵施設の廃止で、核廃棄物の恒久的保存場所の現実的利用可能性がなくなったので、NEPAの要件を満たすことができなくなった、ということのようです。具体的条文としては、「必要な時には(when necessary)」という文言を満たせなくなったことがNEPA違反にあたるとか書いてあります。それから、原発施設内での廃棄物の一時的保管についても問題があるとか書いてあります。
う~ん、報道ステーションでの取り上げ方ほどには、脱原発的ではないような気もします。NRCは、とりあえず裁判所の決定に付き合っているだけという感じですし。ただし裁判所の決定に対し、一定の合理的な反論が成立するか、なんらかの状況の変化がなければ、NRCの許認可作業が進まないことも、考えられます。使用済み核燃料の処分問題は、やはり原子力発電のアキレス腱のようです。(それにしても、NRCの発表があったのは8月7日--リンク先は会員制HP、日にち確認のためだけのリンクです。それにしても結構重要な出来事だと思うのだが、なんでこれまで日本のメディアは取り上げなかったんだ!!)
さて、そこで日本です。
「使用済み核燃料の地中廃棄を研究 来年度予算で経産省検討」(47ニュース8月14日)
そうそう、再処理がどうのこうのと言う前に、もう使用済み核燃料は保管場所いっぱいで、原発再稼働だって危うい状態(再稼働したら出てくる使用済み核燃料の保管場所もままならない状態)じゃないですか。さっさとやるべきことはやってください。
でも、経産省がホントに取り組まなければならないことは、これですからね→「計算しちゃった経産省」。再稼働の目処など立ちようもない福島第二原発だって、会計上の問題から廃止できない。今の制度のままだと電力会社は原発を手放しようがないわけで、原発より経済効率の優れたガス・コンバインド発電があったって、乗り換えるわけに行かない。このままだと電力会社も、原発と心中、それに引きずり回されたら、日本経済も原発と心中です。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(2)静岡市・岐阜市
2012-08-17
中部電力の浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる2回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は前回からちょっとだけ重ね合わせの角度を変えて、「移住権利ゾーン」が岐阜市にかかる場合です。浜岡原発から伸びる「移住義務ゾーン」は依然として静岡市に大きな影を落としています。「移住権利ゾーン」は他方、津市の大半を覆い、大津市・奈良市・京都市にも肉薄しています。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
結局“ミス隠し”だった、「謎の九州電力」
2012-08-16
当ブログで2回にわたり取り上げた原子力発電所内ボヤ騒ぎ、結局は「人為ミス」とのこと。
(朝日新聞8月16日西部本社版朝刊)
原子力発電所内の限られた空間において起こったことですから、原因を虱潰しに検討していけば当然得られるはずの結論だと思います。それを「原因不明」と報告していた九州電力の隠蔽体質、相当なものです。
こういうやり方が問題だということを理解していない九州電力に、原子力発電所を運用する資格はないと記しておきましょう。
関連記事
・九州電力の得意技、電線から出火、出ました~
・原因不明の九州電力
・お笑い!!(じゃ済まない)九州電力、電線大爆発!!
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】浜岡原発(1)静岡市・名古屋市
2012-08-15
静岡県は原発推進の立場から離れたようですが、中部電力は依然として防潮堤を嵩上げし、再稼働することを考えている静岡県浜岡原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、何回か検討してみることにします。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
浜岡原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は浜岡原発から伸びる「移住義務ゾーン」が静岡市へ広がった場合どうなるか、汚染地帯図の角度を調整してみました。そうしたら名古屋がすっぽりと「移住権利ゾーン」でした。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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静岡県浜岡原発
トチったか? 無能の野田内閣&劣化官僚
2012-08-14
よくよく茶番劇の好きな野田内閣、原子力政策も、その期間なんと1ヶ月という“国民的議論”茶番劇でごまかすつもりだったのでしょうが、なんかどうしようもなくトチってそう。「エネルギー政策への意見8万件超 専門家会合で分析へ」(朝日新聞デジタル8月13日)
野田内閣の狙いは2030年原発依存率15%ということで、0%、15%、20-25%と、選択肢3つ並べとけば“国民”の意見はだいたい真ん中あたりに集中するだろう・・・くらいに考えていたのでしょう。しかし、7月14日さいたま市から始まった意見聴取会では「原発0%」を支持する者が7割。また、結果は公表されていませんが世論誘導付きの頼みの綱の「討論型世論調査」も、産経の見出しが「討論型世論調査終了 原発ゼロの声強く 『電源構成』取りまとめ遅れも」ですから、思惑通りには行かなかったようです。そして最後の、8月12日に締め切ったパブリック・コメントへの対応が上の引用記事です。最初予定に無かった“専門家会合”が設定され、野田政権、自分たちに都合よく解釈するための知恵を出させようとしているようです。
NHKはせっかく、2030年の原発依存率15%を人々は選択(8月14日)、と、インチキ世論調査(インチキ方法の推定は → こちら)をでっち上げてくれているのに、国がしっかり意見を聴取しちゃったんじゃどうにもならないでしょう。
ま、こうなると野田内閣はいよいよ強権的に“15%と言ったら15%だ”と居直りそうな、危険な臭いがするのですが、急ごしらえの民主党“エネルギー・環境調査会”で菅顧問はどうするのでしょう。
“誰だ!! こんな不出来な世論捏造シナリオ書いたのは!!”と、野田首相は周りの劣化官僚に当り散らしていそう・・・
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】泊原発(3)函館
2012-08-13
北海道電力の泊原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる3回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
泊原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は泊原発から伸びる汚染地帯が函館市方向へ広がった場合どうなるか、汚染地帯図の角度を調整してみました。あっさりと津軽海峡を越え下北半島をも移住権利ゾーンとしています。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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北海道泊原発
GEの脱原発、本気っぽい
2012-08-12
以前紹介した、“GEが原発から撤退するかも”記事、それに続く報道がなされています。「米GE メイルトCEO 原発“見切り”発言の衝撃度」(日経HP 8月7日)
編集委員・安西巧氏の署名記事です。
内容的には、現在のGEのエネルギー商売の展開を詳しく解説している点が、前の記事と違いますが、脱原発に関しては特に目新しいというほどの情報はありません。まあ、GE日立グループで受注を目指すリトアニアのビサギナス原発、GEは出資を渋っているようで、日立はババ掴まされそうです。
結局、安西氏の締めの言葉、「シーメンスに続いてGEも見切った感のある商業原発。世界の電力ビジネスの構図は大きく様相を変えつつある。」です。いやはや、経産省、いつまで原発という斜陽・重厚長大産業、泥船に乗っているつもりか。このままだと日本が沈むぞ。
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忘れてませんか? パブリック・コメント
2012-08-12
本日は日本の原子力政策について、政府が募集しているパブリック・コメント提出の最終日です。まだお済みでないようでしたら是非、意見表明しましょう、「原発ゼロシナリオを選択する」と。クリック!! → 「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集(パブリックコメント)
内容その他についてはこちら ↓
みんなで書こうパブリックコメント!!~その2
みんなで書こうパブリックコメント!!
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】泊原発(2)長万部・苫小牧・旭川
2012-08-11
北海道電力の泊原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる2回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
泊原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

泊原発から伸びる汚染地帯が南海岸に沿って広がった場合どうなるか、汚染地帯図の角度を調整してみました。「移住義務ゾーン」は長万部町に達しています。一方、「移住権利ゾーン」、苫小牧から広尾町へと到達し、また道央では旭川市や美瑛町を汚染しています。なお札幌市は、今回の重ねあわせパターンでも甚大な被害を被りそうです。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
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北海道泊原発
首相官邸前デモ、行ってきました
2012-08-10
「【スクープ】「首相官邸前デモの参加者数、実は警視庁は発表していなかった」という謎」(Yahooニュース←『オルタナ』7月7日)原発再稼働に反対し脱原発を求める「首相官邸前抗議」の参加者数、報道では主催者側発表と警視庁発表に1ケタくらいの大きな差がありました。しかし、なんと警視庁は“そんな数字、発表したことない”とのこと。この種の集会で、主催者側発表と警視庁発表の参加者数が大きく異なるのは毎度のこととはいえ、ありもしない数字(それも極端に小さい数字)を報道機関が捏造するとは、“メディアは原子力産業に取り込まれている”と言われてもしょうがない状況です。
それはともかく、まあ「百聞は一見に如かず」ということで、実際に行ってみました。

ファミリー・コーナー、サウンド・デモ風コーナー、スピーチ・コーナー、官邸前抗議コーナー、それぞれ抗議のスタイルも違えば、シュプレヒコール上げるときの台詞も違って、なかなか面白かったです。
九州からだって行けるときは行きます。危険かつ不経済な原発の廃絶を目指して、頑張りましょう!!
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バイバイ原発、一足お先に「さようなら」/静岡県
2012-08-10
ついに原発に見切りをつける県が出ました。「原発の協議会から静岡県が脱退」(NHKデジタル8月10日)
原子力発電関係団体協議会(原発協)が、原発再稼働を推進するような文言がある国への要請書を提出しようとした際、反対していた静岡県、ついに原発協脱退です。
静岡県は、浜松のスズキが、原発リスクを理由に、工場の静岡県外への分散を検討していたことに神経質になっていましたから、当然の展開ということになります。過疎地の中に原発だけがそびえているようなところと違って経済活力のあるところでは、これが正しい判断でしょう。
「原発依存が低い中部のほうが発展してて原発漬けの関西が没落してるのに何言ってんだ?」(2チャンネル ログ♯568)というフレーズ、これまでに何回も引用してきましたが、この傾向、ますます強まりそうです。
(こちらもご参照ください → 「なぜ原発作ると経済が落ち込むのか?」)
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原発ゼロシナリオの経済的インパクト
2012-08-09
まず結論から書いておきましょう。日本経済への原発ゼロシナリオ(原発廃止)のインパクト、ありません。原発関係者に対する影響を除いて。日本の経済から原発関係が無くなった場合、それはその部分がなくなりますから、全体の規模はそれだけ縮小します。しかし、他の部分はそのままです。何も変わりません。メディアはこの部分をちゃんと説明せず、「豊かさの見直しが必要かも」といった余計なことばかり言っています。でも原発廃止の影響が及ぶのは原発関係者だけで、他の人々が貧しくなったりすることはありません。今のままです。
理由は、政府試算を見なおしてみれば解ります。
政府は2030年原発比率に応じて、実質国内総生産(GDP)を次のように予測しています。
原発比率0% 564兆~628兆円
原発比率15% 579兆~634兆円
最低同士・最大同士を引き算してみると、原発ゼロシナリオの場合、15%シナリオと比較して、6兆~15兆円、GDPが減る計算になります。
さて、原発産業の規模はどのくらいでしょうか。(社)日本原子力産業協会の文章を見ると、2010年の「電気事業者の年間の原子力関係支出は2兆1420億円となっています。また、国の原子力関係予算は、“復旧対策費”を外すと、4374億円となります(2012年)。合計、2兆6千億円ほどが直接、支出されています。
国や企業の支出が、GDPをどれだけ押し上げるかは、乗数効果を加えて計算されます。ちゃんと説明してあるのはwikipediaかな、でも難しいので こっち を見たほうが良いかな。とにかく、企業の支出は一定部分、下請けに回り、それはさらに孫請けに・・・と回り、この経済活動全体をカウントした結果がGDPへの寄与額ということになります。
この乗数効果の大きさを決めるパラメーターが、“限界消費性向”です。限界消費性向の数値としては、内閣府が増税正当化のために明らかに“不自然な計算”をした場合などを除き、普通、0.6~0.8程度で考えられています(“不自然な計算”リンク先、あるいは、『平成22年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)―需要の創造による成長力の強化― 平成22年7月 内閣府』のコラム参照)。
限界消費性向0.6と0.8の場合で乗数効果こみの原発産業の経済規模を計算してみましょう。
2兆6千億円 ×{1/(1-0.6)}= 6兆5千億円
2兆6千億円 ×{1/(1-0.8)}= 13兆円
公式の支出だけで原発はGDPを6兆5千億円~13兆円程度押し上げている、ということになります。裏返して書けば、原発産業が無くなれば、GDPはこれだけ減る、ということになります(他には何の影響もなく)。まあ、これだけで冒頭の結論はほとんど出てしまったようなものですが、“15兆円には達していない”とか、“限界消費性向、ホントはもっと小さい”とか、“足りなくなったぶんの電気はどうなる”とか(いや、その分他の手段で発電すれば、それによってGDPは押し上げられ、かえってGDPの落ち込みは少なくなるので、この批判はノープロブレムなのですが)、なんかいろいろ言う人もいそうなので、これまでの計算に更にマージンがある理由を付け加えておきましょう。
寄付金とか、補填とか、原発立地自治体に様々な金が払われています。また、福島事故後の全原発停止で計画停電の話が出るまで、原発の夜間電力対策専門だった揚水発電所への投資のように、実質原発関連支出とすべきものもあります。さらに、原発推進の古川佐賀県知事へのお礼じゃないかと噂されている、重粒子線がん治療施設への寄付など、どこまで「原子力関連支出」として計算すべきなのか分からない金がいっぱいあります。これら、上の計算に入っていません。でも、本当は計算に含めるべきです。
さて、こういった支出の額をどう見積もるか、が問題です。この額は、粉飾されていることが確実な金額ですから、どこかを検索してみれば出てくる、というものではありません。
ここでwikipediaを見てみます。電力会社が経産省審議会に提出した、いくつかの原発の発電コストが出ています。
柏崎刈羽5号機 19.7円/kwh
浜岡3号機 18.7円/kwh
泊原発1号機 17.9円/kwh
女川1号機 17.0円/kwh
玄海3号機 14.7円/kwh
大飯3号機 14.2円/kwh
大飯4号機 8.9円/kwh
玄海2号機 6.9円/kwh
同じwikipediaのページに記載されている、“内閣府公式”原子力発電コスト、2004年までの「5.9円/kwh」、それ以後の「8.9円/kwh以上」と激しく異なります。上記発電コストの単純平均を取ると、14.75円/kwhとなります。
大甘な査定になりますが、高い方の公式発電コスト8.9円/kwhと比較すると、実勢コストは66%増しです。
ここから推測すると、原発の実経済規模は、公式データによるものの66%増し程度であると推定されます。かくして、上の公式支出データによる計算に、これを加えて・・・
見えない支出まで考えると原発はGDPを10兆8千億円~21兆6千億円程度押し上げているということになります。
政府試算では様々な精巧な計算が行われているでしょうが、ざっくりと概算してみれば、こんなもので、原発ゼロシナリオにおいて6兆~15兆円GDPが減るというのは、原発産業の分だけGDPが減るというだけの話です。他分野に大きな影響が及ぶ金額とは全く考えられません。まあ、経産省は失業対策や地域振興に汗をかかないわけにはいかないでしょうが、原発ゼロシナリオの経済的インパクトは、その程度、つまり「影響ない」です。
PS. あ~あ、書いちゃった。いや、80年台エコロジー運動の洗礼を受けたブログ主としては、“大量消費社会の象徴としての原発を廃絶し、エコロジカルな社会にしていくために、自らの生活をもっとエコロジカルなものに見直しましょう”とか、つい言いたくもなってしまうのですが、でも、原発って実は経済的には全然大したことない(放射性物質汚染は深刻だけど)。これじゃ大量消費社会を推進しているどころか、“単に寄生しているだけじゃないの”な数値です。これなら原発なくなっても、夏にガンガン、エアコン効かせたって問題ないし(あ、いや、経済的には)、冬に暑いくらい暖房した部屋で冷たいアイスクリームを頬張ったって、全然ノープロブレム(あ、いや、あくまで経済的には、です)です。原発問題は文明論的問題じゃなくて、単に総括原価方式、濡れ手で粟の暴利を貪る業界をどう処分するかの問題に過ぎないようです・・・って、書くことになるの分かってたんで(エコロジー運動アイデンティティ・クライシス!!)、この書き込み、書くのに抵抗あったのですが、あ~あ、書いちゃったぁ。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】泊原発(1)札幌・名寄・富良野
2012-08-08
また始まりました「原発動かさないと電気が足りないぞ」恫喝キャンペーン。北海道電力泊原発、再稼働しないと、北海道で冬に電力不足だそうです。ということですので、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみることにします。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
泊原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

泊原発から汚染地帯がかなり北へ向かった場合どうなるか、汚染地帯図の角度を調整してみました。「移住義務ゾーン」、福島で存在した奥羽山脈沿いの風がなければ、こんな形に曲がらないと思われますが、この図では洞爺湖町を汚染した後、折り返して札幌市中心部へ向かっています。
一方、「移住権利ゾーン」、北では名寄市に到達し、また道央では富良野市を横断し、上士幌町の向こうまで伸びています。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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北海道泊原発
原発ゼロは全く考えていませんでした/野田首相
2012-08-07
野田首相は、原発0%の場合の課題を洗い出すよう、閣僚に指示しました。「首相、原発依存ゼロの課題検討 世論配慮、閣僚に指示」(47ニュース8月6日)
「原発ゼロの課題洗い出し指示 首相、4閣僚に」(朝日新聞デジタル8月6日)
ふざけた話です。原発「0%」、「15%」、「20~25%」の3案で、“国民的議論”をするよう要請した政府が、これまで0%のシナリオは全く検討していなかったのです。野田民主党、今更じたばたしても、却って本音が見え見えです。選挙対策目的の、見え透いたポーズです。
もっともメディアは“世論配慮”とか記していますが、このメディアの解釈が全く見当はずれという可能性もあります。なぜなら、今頃こんな指示出したら(そして公表したら)、これまで原発ゼロシナリオ、完全に除外していたことが、明白になるだけじゃないですか。それでも敢えて“課題検討”を要請したということは、原発ゼロにできない理由を積み上げ、いよいよ15%案を固めにかかった、とも取れます。
世論操作付き世論調査“討論型世論調査”は日程を終了したとのことですが、野田民主党政権、またどんな小細工をしてくるのか、本当にたちの悪い政権です。
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斜陽・重厚長大産業としての原子力
2012-08-06
一昨日、触れましたが、いよいよいけないようです、原子力発電。GEのCEOまで、採算のとれなさを口にせざるを得なくなりました。原発再稼働をめぐって、“原発動かさないと電気料金が上がる”と言っているのは、既に投資資金の回収局面に入っている原発動かさないと、投資資金が無駄になり、その上、他の投資を怠ってきたつけ(老朽火力の低燃費)が、電気料金に跳ね返ってくるからです。本来の発電コストとは関係ない話しで、原発自体は、今や大赤字産業です。
そもそも原子力産業の始まりから今まで、原発は保険料を払ったら採算が取れない赤字産業であるのはわかりきった話でした。アメリカで民間企業が原発に投資するためには、プライス・アンダーソン法(原発事故の損害賠償の一定額以上は国が肩代わりすることを定めた法律--リンク張ってみた自動翻訳、すごいことになってるな、「Price」は「価格」かぁ・・・文頭じゃ一般名詞も大文字始まりですからね)の制定が必要だったということは有名な話です。
そのプライス・アンダーソン法が2025年まで延長になっているにもかかわらず、上記の発言です。
もちろん、アメリカではシェールガスの開発があり、火力発電の燃料費が劇的に低下していますから、まあ、どう考えても原子力発電、オワコンです。
さて、こう書くと、“でも日本にはそんな資源ないのだから、原発やらないと”とか、言い出す人々がいます。で、その総本山が経産省だったりします。
これは危ない。非常に危ない。考えてもみて下さい。世界のエネルギー源が石炭から石油に変わる時、“でも、うちは石油出ませんから石炭で・・・”などとやっていたらどうなっていたでしょう。(D51やC62がいまだにシュッポシュッポ、って、なかなか良かったような気もする・・・)。
経産省、死にものぐるいで、日本のエネルギー戦略を考えなければならない局面です。秋田でシェールオイルの発見がありましたが、それだけじゃ足りませんので、海洋資源メタンハイドレートの開発を行なうとか、あるいはアメリカその他からシェールガスを安価に購入する方法を模索するとか、とにかく安価な新エネルギー源の確保に全力で取り組まなければならない状況です。これまで原発再稼働に肩入れしていたこの人でさえ、シェールガスによるエネルギー転換についてはかなりの注目をしています(リンク先を見るには無料登録が必要かもしれません)。
経産省、もはや斜陽の重厚長大産業、原子力などにかまけていて貰っては困ります。
少なくとも、余計な出費は減らして、新エネルギー源の開発に充てるべきです。
まずさっさと整理すべきなのは、原子力に偏った、国の税金による技術開発支援です。もちろん、実現可能性のない(そして実現したところで採算性のない)高速増殖炉もんじゅの開発、やはり実用化のめどの立たない(立ったところで採算のとれない)六ケ所村核燃料再処理施設などは真っ先に廃止すべきです。また結局、原発に使われている、地元対策のためのバラマキ資金、電源3法交付金、および、国のリスク負担、日本のプライス・アンダーソン法、原子力賠償法も廃止すべきでしょう。
それでもまだ原発やりたいと電力会社が言うのか、それを見てから原子力発電の将来については考える、といった程度の扱いが、原子力には相応しい状況のはずです。
天下り先とか省益とか、身内の利害とかを、ごちゃごちゃ言っていられる状況でないというのを、経産官僚、認識しないのでしょうか? アメリカのエネルギー構造が変われば、世界の経済構造が変わります。その時、負け組になっているのか、勝ち組になっているのか、日本経済を斜陽・重厚長大産業の原子力と心中しないように企画・立案する政府機関が、経産省だということを経産官僚は思い出してほしいものです。今の劣化官僚じゃ、まあ無理だろうけど。
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【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】志賀原発(4)金沢と富山
2012-08-05
日本の原発の中で一番確実に活断層の上に在りそうなのが石川県志賀原発。原子力安全・保安院は、志賀原発直下の断層が活断層ではないと主張することを断念したらしく、今度は「活断層の上に原発を作っても安全」と主張するようです。何考えてるのか・・・(怒)。ではこの志賀原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる第4回目です。
チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
志賀原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は、福島汚染地域の図を裏返さず、志賀原発の位置におき、回転してみたものです。金沢市、ほぼ全域「移住義務ゾーン」です。富山市も沿岸部、「移住義務ゾーン」です。このほか、東へと伸びる2本の「移住権利ゾーン」の北側のものが新潟市あたりまで到達しているのですが、画面から切れてしまっています、すいません。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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石川県志賀原発
【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】玄海原発(4)宮崎市
2012-08-05
九州電力の玄海原発、ここでもし福島級事故が起きたら、ウクライナ基準ではどこが避難しなければならないことになるのか、検討してみる4回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
玄海原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみました。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も書き込んでいるのですが、小さくてよく見えない)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

今回は宮崎市、ここに汚染地帯が来るように汚染地帯図の角度を調整してみました。これまでの図でも、宮崎市が距離的には充分「移住権利ゾーン」になることは想像できたと思いますが、一応、確認のための図です。
要するに、玄海原発で福島級の事故が起きたら、九州のどこでもが危ない、ということです。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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佐賀県玄海原発