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やっぱり火砕流なら火山学者の早川先生だ!!

2014-03-31
 題名の通りです。このごろは原発容認的な発言も増えたように見える群馬大学の火山学者、早川由紀夫先生ですが、原子炉と火砕流の問題について、興味深いことをツイッていらっしゃっています。
 Toggeterにもまとめがありますが、「タマちゃん」さんが読みやすくしてくださっています。

 「地質学者の白昼夢:火砕流が川内原発を飲み込んだらどうなるか!?」(Toggeter版は→こちら
 「地質学者の白昼夢:六ヶ所村の再処理工場に火砕流が!?」(Toggeter版は→こちら

 上が川内原発で、下が六ヶ所村再処理施設ということになりますが、ただし、当方と関係の深い川内原発への火砕流到達が確実と断じた部分は下の六ヶ所村の方に含まれていたりもします(単品では→こちら)。

 このやり取りの中で目を引くのが、実は tigers_1964 さんの発言「川内原発を襲うような巨大火砕流噴火が起これば、南九州はすべての人が死んでいるので、川内原発の存在は南九州以外の人が真剣に考えないといけないことなのだよ」(tigers_1964 2014-01-22 14:22:53)です。
 そうですよね、火砕流が川内原発だけをよけて行く九電のおかしなシミュレーションでずが、↓これですもの。

川内原発噴火5
(原子力規制委員会HPより「資料2-2川内原子力発電所 火山影響評価について(コメント回答)【PDF:28.8MB】」)

 鹿児島市・県なんて、何もなくなります。これじゃあ、火山で原発がやられる危険があったって、地元にとってはどうでもいい話でしょう。これで原発も火砕流に埋もれて石棺化なら、他の地域にとってはどうでもいいことかもしれませんが、「南九州を滅ぼした火砕流は川内原発も厚さ10mの火山灰の下に埋める。冷却システムを失った原子炉格納容器はやがて水蒸気爆発を起こして、放射能まみれの火山灰を周囲3kmまでの地表にまき散らす。風が吹くと風下1000kmまでひどい汚染が広がる。それは 何十年も続いて北半球全体を汚染する」(HayakawaYukio 2014-01-22 15:09:32)そうです。これは、地元が了承したって、それで再稼働OKなんて話じゃありません。
 この事態について早川先生、「日本全国あるいは世界でゆっくりと進行する放射能被害よりも、火砕流に即座に焼かれる南九州300万人を心配するほうが大切と思う」(HayakawaYukio 2014-01-22 16:42:35)なんて言いますが、ちょっと思い直しもされます。
 「しかし、何百万人はもし1か月の猶予があれば全員避難させられるかもしれないが、原発の燃料は1か月くらいでは運び出せないのかな。冷却しなくてよいところまでもっていくこともできないのかな」(HayakawaYukio 2014-01-22 17:00:39)
 そして、決定的に重要なことをおっしゃられます。
 「1か月の猶予があるかどうかもわからない。カルデラ破局噴火を十分確からしく予知できるとは思わない。・・・以下略」(HayakawaYukio 2014-01-22 17:02:59」

 南九州以外の、「真剣に考えないといけない」原子力規制委員会、ここ、真剣に考えてもらう必要があります。原子力燃料を確実に運び出せるだけの時間的余裕をもって噴火予知をすることができないのであれば、やっぱり川内原発は動かしてはいけない(というか、早急に撤去すべき)原発ということになるはずです。


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福島・田村市・都路地区、避難指示解除へ

2014-03-30
 いよいよ年度の変わり目が近づきました。と、いうことで、福島県田村市都路地区は、4月1日の避難指示解除へ向けて記念イベントが行われたそうです。

都路地区
時事通信HP 3月30日

 でも、大丈夫なんでしょうかね??
 「都路町字古道の生活圏及び林縁部から森林側に20m入った部分」の除染状況です↓。もちろん山の中だけの数字ではありません(「住宅 176,936m2、道路 294.737m2、農地 1,431,034m2、森林 1,921,546m2」と記載されています)。

都路地区放射線量
(環境省「除染情報サイト」の図に書き込み・・・赤字部分)

 本来の安全基準、年換算1mSv未満に該当する場所は、なし。法令により管理を要求される「放射線管理区域」に該当する場所が除染後と言っても結構な地点数です。

※数値は
・1mSv/年÷365日÷24時間≒0.1μSv/h
・放射線管理区域は「3ヶ月あたり1.3mSv」なので年間は、1.3mSv/3ヶ月×4=5.2mSv/年。
 5.2mSv/年÷365日÷24時間≒0.6μSv/h
  と、計算しています。


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「電気が足りない」はウソでした・・・関西電力、事実上認める

2014-03-29
 「関電、今夏の計画停電回避へ 供給予備率をプラスと想定」(47NEWS=共同通信 3月28日)

 関西電力は、「全原発が停止した場合の今夏の電力需給見通しに関し、供給力の余力を示す『予備率』をプラスと想定する方針を固めた」そうです。
 「原発動かさないと電気が足りない」と主張し続けてきた電力会社、特に原子力発電依存率最大の関西電力(なお、社長の八木誠は電気事業連合会会長)が電気が足りていると言うわけですから、結局、原発を動かさなくても電気は足りているわけです。いままで、よくも大ウソを主張し続けてくれたものです。

 なぜ今更、この大ウソを今年は変更することになったのか、もちろん、己の不徳を反省したなどというわけではありません。

関電エネ
関電エネルギーソリューションズHPから

 関西電力が今年4月から首都圏で始めることにしている電力販売、100%子会社を通したものですが、親会社の電力が足りないのに、他地域で子会社通しなら供給できます、それも「格安で」、では、話に筋が通りません。
 欲の皮を突っ張らせ放題突っ張らせたあげく、言ってることとやってることが食い違い、収拾がつかなくなってしまったわけです。

 金儲けしか考えていない電力会社の、原子力発電したいというわがままに、何で国民、命がけで付きあわなければならない??


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【図解で明白②】九電・川内原発・火山噴火シミュレーション、やっぱりヘン

2014-03-28
 「第95回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」(3月19日)での、川内原発に関する九電の説明、九電の担当者自身が、「自分たちの火砕流シミュレーション・モデルは現実的でない」と言ってしまう迷走ぶりでした↓。

 「敷地周辺での流れを見ますと、・・・この解析で図面上で広がり具合を、速度を簡単に出しますと500kmとか700kmぐらい、じゃないと再現できない、実際にそのくらいの速度があるのかというと、甚だ疑問ではありますが、そういう非物理的なものを入れている状態で計算があうという状態ですので・・・」(九電・香月・副長、当日の発言

 いったい九電は何をやったのでしょう?? 「非物理的な」って、このシミュレーション、どんなものなのでしょう。原子力規制委員会の吾妻専門委員は、九電シミュレーションで「初速度がゼロに設定されている」点に注目して、「噴煙柱が上がって、自然落下で落ちてくる」設定になっていますねと言っています。まずはこのあたりですね・・・、

普通の火砕流イメージ

 普通の火砕流のイメージとしては、↑こんなふうに、ある方向に初速度をもって打ち出されるケースが多いと思われますが、九電シミュレーション・モデルでは初速度ゼロです。つまり↓

初速度0シミュレーション

 こんな感じです。
 使用されているのがTITAN2Dというシミュレーション・ソフトです。ググると、火砕流以外にも、土砂崩れ、雪崩といったもののシミュレーションに使われるようです。要するに粉状のものが、どう斜面を流れ落ちていくのかを見る時に便利なソフトということになります。
 九電のやった、初速度0のシミュレーションというのは、審査会合配布資料↓の図(ピンク矢印のところ)の、こんな形のバケツ、というかボールに砂を詰めて、砂浜ならぬ九州のジオラマの上に伏せて置き、さっとボールを外すとどう崩れるか、といった感じのことをしたことになります。

パイル形状

 九電・香月・副長が気にしていたのは、摩擦係数をほとんどゼロにしないと、五木村まで届いてくれないこと。その結果、川内原発あたりでは、火砕流の速度が時速500kmとか700kmというとんでもない高速になってしまうことでした。
 ま、そりゃそうで、初速0で、勢いがついていませんから、普通に抵抗があったら(普通に摩擦係数を設定したら)、90kmも離れた五木村どころか、すぐ近くで止まってしまうでしょう。
 では、それをどうやって回避するか、九電は摩擦係数を非現実的なまでに小さくしました。何でそんなことする必要があったのでしょう。いや、別の方法もあるわけで・・・
 一つは噴出物の量をとてつもなく多く想定すれば、火砕流は広範に広がります。ま、でも、噴出物の量は推定値がありますから、あまりに多く設定するのは無理でしょう。
 とすると、横方向への力が大きく作用した、と考えるのが妥当でしょう。実際の火砕流は、どこかで横方向へのエネルギーを獲得し、90kmも離れた五木村まで到達したはずです。
 横方向の力の1つはもちろん初速です。でも、もうひとつ重要な要素があります。
 TITAN2Dは、もともと斜面を流れ落ちる様をシミュレートするのが得意なソフトです。つまり何が言いたいのかというと、打ち上げられた火山灰やら何やら、落ちてくるところで斜面にぶつかれば、横方向への力を獲得します。カルデラというのは「噴火後、陥没した地形」とされますので、姶良大噴火の際には、落下地点にはまだ大きな山体があったのではないでしょうか。それにぶつかって横方向への勢いを得ているはずです。そうやって横方向への力を火砕流に与えてやれば、摩擦係数を非現実的なまでに小さくしなくてもよいはずです。
 ところが、九電シミュレーションでは、地形として入力されたのは現在地形です。カルデラが陥没した後のくぼみへ火砕流が降ってくるわけです。それでは横方向への力が発生するはずもないでしょう。(むしろ、陥没後のエッジに遮られ、特にエッジの出っ張った方向へは、落ちてきた粉、流れにくくなるはずです。ということで、その先に川内原発が来るよう、わざとやっているのかな~)
 と、いうことで、九電には何が何でも現在地形でシミュレーションを行う必然性があるわけですが、これではとても火砕流のシミュレーションにはならないでしょう。

 ま、あとは蛇足ですが、火砕流の速度自体はどうだったのでしょう?? 九電の計算の仕方がカルデラのエッジにこだわったもので、ヘンだとしても、何らかの理由で、火砕流の速度は相当速かったはずです。摩擦係数が小さいにしても、横方向への力が大きくかかったとしても、いずれにしてもかなりの速度がなければ、山二つ越えて三つ目の山の中腹にある五木村まで、火砕流は到達しないでしょう。
 消防防災博物館HPの記載によると、「火口から噴出した火山灰や軽石が一体となって地表にそって流れ下る現象が火砕流です。その速度は10m/s~100m/s以上に達し・・・」(消防防災博物館HP)となっています。100m/sということは、360km/hですから、この記述に従うなら、360km/h以上に達する可能性があるということになります。
 おお、ここまで来たら、500km/hも、ありじゃないかと、そんな気もします。まあ、火砕流の速度は斜面の傾斜のきつさ次第という面がありますから、ほとんど平地となっている川内原発近くでこの速度が出るかといえば、かなり難しそうではありますが、それはあくまで、よくある“普通の”火砕流のケースです。
 今回問題になっている“九州山地の山の頂2つを越え、もう1つの九州山地の山の中腹(姶良カルデラ90km地点)まで登った”姶良大噴火の際の火砕流であれば、50km程度の地点にある川内原発近辺でも、これまで観察された最大級の火砕流を上回る速度が出ていないと、その先、山2つ越えて40kmも行けないでしょう。ま、九電のシミュレーションとは全然関係のないシナリオになりますが。

 さらに蛇足となりますが、そもそも、火山の「ドッカーン」という音は、火山爆発の際に噴出したガスが音速を超えることによって衝撃波が発生したということですので、その程度の速度(超音速)まで、火山弾も加速される可能性があるんじゃないでしょうか。新燃岳の空振は音速の3倍に達していたという解析結果が報道されたこともありました。超巨大爆発の場合、こういった気流の流れによって、固形物がそれに近いスピードまで加速されるということはないのでしょうか??
 音速の1倍(マッハ1)の場合だと水平速度は・・・(音速を超えて衝撃波が発生すると、それにエネルギー取られて、急減速となるので・・・)

マッハ1

 あ、そうそう、肝心なことを書き忘れていました。

 「阿蘇山における7万年前の火砕流は180km離れた中国地方西部にまで達しました.噴出した大量の火砕物は火砕流台地をつくり,それが抜け出た跡は陥没してカルデラになります(図13.2 日本のカルデラと火砕流台地).高い尾根や山は運動の障壁になり,先端は谷に集中しやすいという地形の効果はありますが,危険域は火口を中心とし噴火規模に応じた半径の同心円の範囲に設定されます.」(防災基礎講座HP

 大規模噴火の場合、「高い尾根や山」なら多少の影響はあるが、危険域の考え方は、ちまちましたこと考えるんじゃなくて、ざくっと同心円で行うと書かれています。どうせうまく行かないんだから、小細工やめろよ、九電。



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川内原発審査、「地震・津波、おおむね終了」!!

2014-03-27
 「原子力規制委員会は26日、・・・九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県川内市)で想定される地震や津波の審査は『おおむね終了』(幹部)とした」そうです。

川内おおむね終了b
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月27日)

 審査の様子 → Youtube
 当日配布資料 → 原子力規制委員会HP

 う~ん、火山よりも経験を積んだ問題だけあって、あまり傑作なやり取りはないような・・・大規模損壊については「非公開でやりましょう」ですし。

 で、もう公聴会の話かぁ!!
 火山の問題はまだ全然終わってないぞ!!



 【とにかくもう一度書いとこ】「一般から意見を募集」(パブコメ)では、「コア・キャッチャー」です↓

コアキャッチャー
日本原子力学会HP掲載資料から引用)

 全電源喪失し、メルトダウンが起きた時、炉心溶融物を回収する「コアキャッチャー」です。流れ出してきた炉心溶融物が放熱板の上に広がり、自然に冷却するようにできています。
 ヨーロッパの多くの原発に採用されているこの仕組、全電源喪失・原子炉メルトダウンの際に、放射性物質を原子炉建屋外に出さない最後の砦です。
 これが、日本の原子力規制委員会の安全基準では義務付けられていませんし、実際にこんなものが付いた原子炉は日本に1つもありません。もちろん川内原発にも付いていません。原子炉は冷却に失敗すればメルトダウンからメルトスルー(原子炉に穴があき、炉心溶融物が外界へ流出)に至ってしまいます。
 資源エネルギー庁は、“独自の”コアキャッチャーを内々に開発中ですが、それも強制冷却式ですから、冷却系の電源が失われれば「それまで」という“なんちゃってコアキャッチャー”に過ぎません
 “世界一厳しい安全基準”には達していませんので、川内原発の再稼動は不適切です。


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【図解で明白】九電・川内原発・火山噴火シミュレーションのウソ

2014-03-26
 川内原発の火山対策が議論された3月19日の原子力規制委員会の安全審査会合、そこで示された九州電力のシミュレーションは、とてもおかしなものでした。火砕流が川内原発をよけています
 しかしなんでこんなシミュレーションになってるんでしょうか?? そもそも3万年ほど前の、入戸(いと)火砕流が発生した姶良(あいら)大噴火の際、川内原発が火砕流に巻き込まれていないなんて話はあり得ないわけですから(→「川内原発の南3kmのところには高さ数メートルにおよぶ、入戸火砕流(姶良カルデラ噴火時の火砕流)の露頭さえ目にすることができる」)、そこで無理をして火砕流を蛇行させる必要なんて全くなかったはずなんですけど。

 九電のシミュレーション手続きを一応、おさらいしておきましょう。

 1. 姶良大噴火の際の火砕流の流れを再現できるシミュレーション・モデルを作る。
     (再現できているかどうかの判断は、五木村に残る入戸火砕流地層との合致による)
 2. 噴火の規模を姶良大噴火よりもありがちな、1万3千年前の桜島薩摩噴火のレベルに下げてシミュレーション
 →川内原発が無事なことを示す

 というものでした。
 この場合、1.の手順では火砕流が川内原発を襲っても問題ないはずです。まあ、原発敷地に火砕流が到達していたということを認めると、火山活動のモニタリングが安全規制基準による「義務」となってしまいますから、それを避けたかったのかもしれません。でも実際に原発周辺にいくらでも入戸火砕流堆積物は見つかるのですから、これは無理でしょう。
 そしてこれがいかに無理かというのは、ちょっと地図を見てみればすぐにわかります。

川内原発五木村06

 五木村の入戸火砕流堆積物を再現するシミュレーション・モデルなら、それより遥かに近くにある川内原発には、より強烈な火砕流が到達するはずです。
 そうならない場合というのは、姶良カルデラと川内原発の間に大きな山があり、それが火砕流を遮り、一方、五木村の方向には山がない、という条件のときでしょう。
 ところが、五木村というのは「五木の子守唄」で有名なように、山また山の中の村。川内原発側よりも、よほど山地となっています。
 地図に地形を入れてみましょう。

五木村

 こうすると、審査会合における九電・香月・副長の次の言葉がよく理解できます→「五木のコントロールポイントは・・・略・・・、入戸火砕流堆積物が 九州山地を約山頂2回超えてまして、さらに九州山地中腹まで登って35m溜まっている」わけです。
 こんな火砕流がより平坦な川内原発方向で、川内原発に到達しないなんて、全くナンセンスです。

 それでも、九電シミュレーションでは川内原発の周辺、ぽっかり火砕流の空白地帯ができていました。これは、噴火口のすぐ近くに小山があれば、遠くに大きな陰ができるわけで、その陰に川内原発が入るように、噴火口の位置を調整した結果と推測されます。これを淡々とした言葉でズバリ指摘していたのが、前回書いた吾妻・規制専門委員の追及でした。

 で結局、そういう無理なシミュレーションを行った結果、このシミュレーションはとてつもなく非現実的なものとなってしまっています。九電・香月・副長は言います、“このシミュレーションは、サイト(原発)近くの火砕流の時速が500km 700kmでないと再現できない。実際にそれくらいの速度があるかというと甚だ疑問。非物理的なものを入れている状態で計算が合う”と。ちなみに、音速、マッハ1が1225km/hです。

 ということで、1.の作業が支離滅裂ですから(九電自ら認めている)、2.の手順で「川内原発に火砕流は到達しない」と言われても、全く信頼性はないことになります。



※地図の作成にはKenmapを使用させていただきました。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
※地形図は「電子国土web」を利用させていただきました。


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いいこと書くね~産経新聞、川内原発安全審査

2014-03-25
 3月19日に行われた川内原発についての安全審査会合、その内容を、産経新聞は3月13日、みごとに予測していました。

産経火山警告b
msn産経新聞HP 3月13日

 「火山対策ほぼ白紙」←当ブログ「これで大丈夫か九電、桜島噴火で川内原発メルトダウンじゃないか~」で見た通り、審査会合で議論されました。
 「過去に火砕流到達も」←当ブログ「川内原発に火砕流到達!!」で見た通り、審査会合で議論されました。

 いやすごいですね~、産経新聞の見識には頭が下がります。19日に議論されることになる川内原発の課題、みごとに捉えています。
 で、ほとんど議論されなかったけど、一番の問題は、姶良カルデラにどのくらいマグマが溜まっていて、今度の噴火の時期・規模はどうなのか、なわけで、“これについて予測のできない万年単位でマグマが溜まるケースなら「立地不適」”とまで、島崎規制委員長代理は言っているわけですが、今のマグマの状況は・・・

 「マグマ蓄積・・・大噴火の警戒期に 桜島、大正大被害から100年」(「msn産経新聞HP 1月12日」記録 or ここ

 あらら、「(京都大防災研究所)井口教授によると、姶良カルデラ直下のマグマの蓄積量はすでに大正大噴火前の9割程度に回復した。今後もこの傾向が続くと、2020年代には当時の水準に到達する。噴火規模の予測は難しいが、昭和火口の周辺で噴火する可能性が高い」そうです。
 これが問題の核心であることを見越して、1月12日の時点で記事にしていたなんて、やっぱり産経新聞、すごいです。
 まあ、九州電力によると“破局的噴火は大噴火とは違う(大噴火程度なら大丈夫)”ということになりますが、なんせ「噴火規模の予測は難しい」(上掲井口教授)ですからね~、なんか危なそうです。それに現在のマグマ蓄積増が、万年単位のプロセスの一局面でないと、どうやったら証明できるんですかね??

 あれっ、産経新聞、続報はどうしたんでしょう?? 19日の川内原発安全審査の記事、msn産経新聞、検索かけてもないですね~。


 はいぃぃ?? 「九州から原発が消えてよいのか第7部」ですか。話が逆?? 論理的思考、苦手ですか? 報道文脈、無茶苦茶ですね。ま、川内原発には再稼働できない致命的問題(火山対策ほぼ白紙/過去に火砕流到達/既にマグマかなり蓄積)があるが、玄海原発は問題ないということなんですかね??


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火砕流がよけて行く川内原発!! 九電シミュレーションの怪しさ

2014-03-24
 先日も書きましたが、九州電力川内原発の安全審査、見れば見るほど怪しさは増してきます。

川内原発噴火5
(原子力規制委員会HPより「資料2-2川内原子力発電所 火山影響評価について(コメント回答)【PDF:28.8MB】」)

 なんか火砕流、川内原発を“よけて行く”のですね。↑これ結局、川内原発に到達しているように見えますが、周りはべったり火砕流だらけなのに、川内原発のところだけポカッと、隙間になっています。
 ここ、追求しないのはおかしいです。もちろん、規制委員会でもやっています、“穏健な”言い方ではありますが。

吾妻専門委員
(埋め込みコードが出来ないように設定されていますので、外部リンクとなっています)

 規制委・吾妻・規制専門委員、九電シミュレーションについて「2点教えてください」と、突っ込みます。第1点は、「初速度がゼロに設定されている」点です。これは「噴煙柱が上がって落ちてくるという設定になっています」ね、と。吾妻氏はこうやんわりと表現しますが、要するに、「“火砕流直撃”というイメージとはちょっと違うかな」ということですね。
 そして第2点は、「(九電シミュレーションは)火口を桜島の少し北に置いているが、桜島の山頂とか、姶良とか、他の位置にとったらどうなるか」です。
 これに対する九電・香月・副長の回答は次のようなものでした。

 「(第1点について)今回の計算につきましては、私どもとしては初の試みでございますので、できるだけパラメーターを少なくしたい・・・略・・・今回は初速度を入れていない。・・・略・・・詰めた段階ではそういったパラメーターを入れるべきだというふうに考えております。(第2点について)本来であれば今の噴火としては桜島から吹く。ただ現在の状況からすると姶良カルデラのどこからでも起きる可能性があるということで、基本は今、(姶良カルデラの)中心からやってます。・・・略・・・ 比較的初期の周辺の地形の影響がございまして、・・・略・・・サイトに向かっては非常に山地がございますので、姶良カルデラ周辺どこにおいても今の計算ですとたぶん来ないという結果が来るだろうということで・・・」

 なぜ川内原発のところがポカッと空白地帯になるのか、問わず語りに回答が出てきました。後半のところです。噴火地点から川内原発方向に(初期の地形として)山地が来るように設定したシミュレーションだったということのようです。
 ここまで言わせておいて吾妻・専門委員はしらっと言います。

 「考え方につきましてはよくわかりました。・・・略・・・パラメーター設定、難しい問題ではありますので、シミュレーション、これが1つの答えだということはまず出せないと思いますので、いろいろなケースを検討していただいて、・・・、想定の幅を広げていくことが望ましいかと思いますので、よろしくお願い致します。」

 いやいや、下手にパラメーターいじったりしたら、川内原発直撃になっちゃうじゃないですか。やっと見つけた「言い逃れパラメーター」だったのに・・・。初速も付けなきゃいけない、噴火位置もいろいろ設定してみなければならない、しかも、いろいろやる必要を第1点への回答で言わされてしまっている!! 九電のシミュレーション担当者、頭抱えたのではないでしょうか。
 この追求を、追求とも感じさせない淡々とした語り方でボソッと語る吾妻・規制専門委員、たいした狸です。

朝日川内火山
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月20日)

 共同通信が「川内原発、3万年前に火砕流到達 九電が再現試算提示」と、この審査会合で明らかとなった川内原発の問題点について言及したのに対して、朝日新聞は、九電が作り上げた虚構の安全に飛びつきました。でも実態は、とても「規制委、大筋で了承」とは見えないんですが。吾妻・規制専門委員の突っ込みとか、全然読めてないようです。はっきりと川内原発が「立地不適」となる可能性に言及した島崎・規制委委員長代理の言葉も見えなかったのでしょうか。

 まあ、吾妻・規制専門委員、ここで訊いてみただけで、後は九電の悪あがき(新たなインチキ・パラメーター)を見逃すようなら、全くもってけしからぬ狸ということになりますが。


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東海村のプルトニウム、アメリカへ!!

2014-03-23
 首相・安部のネオナチぶりに危機感を募らせていたオバマ大統領、「プルトニウムを返せ!!」ということなのでしょうか。

核セキュリティサミット
NHKホームページ 3月23日

 「核兵器の製造につながる高濃縮ウランやプルトニウムの保有量の最小化を図る、世界規模の取り組みの一環として、茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置から、高濃縮ウランとプルトニウムを全量撤去し、アメリカで処分する」となっています。まあ、アメリカなら、“核爆弾・核弾頭を作る”という強力な処分方法があるわけで、処理しやすいのでしょう・・・。
 ここまで来たなら、「六ケ所村での新たなプルトニウム精製も許さない」とやってくれれば言うことないんですけど(他力本願、他力本願・・・)。

 そう言えばこんな話もありました↓

プルトニウムイギリス
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月20日)

 イギリス駐日大使ティム・ヒッチンズ氏、イギリスにある日本のプルトニウムについて、「日本から所有権を英国へ移転したいとの提案があれば、受け入れる可能性がある」そうです。使用済み核燃料を自前で再処理できない日本、イギリスとフランスに委託して再処理してもらっているわけですが、イギリスはイギリスにある17トン、引き取っても良いそうです。もちろん、“厄介なゴミを引き取るのですから、それ相応のお代はいただきますが”ですが。
 これ、是非ともお願いすべきだと思いますが、当然、電力は認めないでしょうね。なんせ、このへんの核廃棄物は電力会社の儲けを4.2倍(6.28%/1.49%)にブーストする“打ち出の小槌”、電力会社の「資産」なのですから。資産を失う上に、更に金を払うなんて、金に汚い電力会社が絶対にしないことでしょう。
 いや実際、廃棄物を資産としてダブルカウントする、詐欺としかいいようのない国の制度で電力会社が儲かるということは、国民にとってはそのぶん損をするだけなんで、激しく引き取ってもらいたいのですけどね。

 だいたいプルトニウム(核燃料サイクル)を口実に、これまでいくら無駄に金払わされてきたことか。よく言われる、“もんじゅでこれまでに1兆円以上、六ケ所村はその数倍”なんて金額、実は氷山の(ほんのちっちゃな)一角に過ぎません。
 もう一度、上のリンク先の計算を、ざっとなぞっておきましょう。

 原子力発電では、発電費用は資産が大半で、資産に対する電力会社の取り分(公定の儲け率)、6.28%です。
 火力発電では、発電費用は燃料費が大半で、燃料費(資産以外)に対する電力会社の取り分(公定の儲け率)、1.49%です。

 かつてのように原子力発電が全発電量の3割で、そこは儲け率6.28%で、他の7割は1.49%とすれば、平均の儲け率は、

  6.28×0.3 + 1.49×0.7 ≒ 2.93(%)

 となっていたわけです。本来の儲け率1.49%と較べれば、ほぼ2倍の儲けを電力会社は濡れ手で粟と手にしてきたのです。原子力への(実際になされた)無駄な出費なんてより、さらに多くの額を、国民は払わされ続けてきたのです。(だから電力モンスターシステムも作れるし、政治家は料亭で飲み食いし放題だし、電力会社社員はいい生活が送れるっていうもんです。)

 まったくもう、冗談じゃないです。早いところ、ゴミなのに資産扱いのプルトニウムとも、原子力とも、おさらばしたいものです。(ま、本来はまず、国の異常な電気料金査定体制「総括原価方式」を廃止すべきなんですが)


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【Cs137の降下】玄海原発だったら(7)東北東風

2014-03-22
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は、佐賀県玄海原発についての7回めです。福島事故のシミュレーション図を並行移動した上で、時計回りに60度ほど回転してみました。前回は玄海原発が福島第一なみの事故を起こした場合、壱岐・対馬が壊滅するという話でしたので、五島列島はどうかな、という図です。この地域、東北東の風は、あまり多くはなさそうですが、もしそういった風が吹いた場合です。平戸はもちろん平方kmあたり10万~25万メガベクレルというオレンジの領域にすっぽり入ってしまいますので、帰還困難区域となり、その先、上五島あたりまで居住制限区域となりそうです。下五島は居住制限区域を免れるかもしれませんが、ほとんどが平方kmあたり5万~10万メガベクレルという黄色の領域の中となります。

Cs玄海60




・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。


これで大丈夫か九電、桜島噴火で川内原発メルトダウンじゃないか~

2014-03-21
 優先審査で一気に川内原発を再稼働したい九州電力、基本的には原子力規制委員会の要求には素直に応じることで話を進めようとしていますが、なんかとっても危なそう・・・「第95回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」(平成26年3月19日)での検討の様子、後半部です↓。

規制委95回川内ハイライト
(埋め込みコードが出来ないように設定されていますので、外部リンクとなっています)

 “破局的噴火への発展の可能性がある場合の適切な対応”とは具体的に何なのかと突っ込まれて、九電の発電本部・本村某、次のように答えます。

 「原子炉の停止については想像しやすいと思いますが、燃料体の搬出につきましては・・・搬出先の選定とかいう問題もございまして、我々一事業者では当然できる話ではありませんので、関係省庁の方のご指導、ご協力を頂きながら進めていく・・・具体的な対応の一例としてはそういうことになります。」

 この回答には質問した規制委の櫻田・原子力規制部長、ちょっと困惑。「具体的に」と訊いたのに、回答に具体性が全然ない!!

 (櫻田)「あんまり突っ込みたくはなかったんですけど、運び出すために必要な容器の手配とか、そういうお答えが返ってくるのかなと思って聞いたのですが・・・」
 (本村)「ああ、そうですね、我々ができることとしては、輸送容器を調達する、輸送手段の選定、貯蔵先の貯蔵方法の検討、そこらへんが問題になってくると思います。」
  
 ヲイヲイ、思いつきでフォローしてるのが見え見えじゃないかぁ。大丈夫かよ、九州電力。要するに噴火の危険性なんて現実の危険性として認識しておらず、いざという場合の対応もお座なりにしか考えていない。
 まあ、これ以上追求しても何も出てこないと判断したのか、櫻田部長、“今回は説明資料の提出ですからこんなところとして”と、話を終わらせますが、最後で確認は入れます。

 「過去のカルデラ噴火によって敷地に影響があったとすれば、規制上の要求としてモニタリングをするということと、その後の徴候があった場合の対処の方針を示していただくということが要求事項ですので、引き続き確認させていただきたいと思います。」

 あ~あ、九州電力、下手なシミュレーション(川内原発に火砕流が到達)出しちゃったんで、やらなければならないことがまた増えました。火山活動のモニタリング網を作らなければなりません。
 で、ここに島崎規制委員長代理が畳みかけます。

 「公的機関の警報は、一般の方々向けですよね。原子力施設の場合とは時間・スケールが異なる、今、本村さんからお話しいただいたように、いろいろな準備が必要なので、それから、燃料体が冷えるまでの時間とかもあると思いますので、ご確認ください。」

 ここまで言ったら止まりません。

 「こういった破局的噴火の可能性は低いということですが、最近の研究を紹介していただきましたが、地中海のサントリーニ島だとか、カルフォルニアのロングバレーカルデラだとか、実際にマグマの入ってくる時間スケールが万年オーダーではなくて、千年から百年あるいはそれ以下であるという結果に基づいて、議論をいただいたんだと思っております。残念なことにまだこれ海外の例だけでありまして日本の例がないんですよね。例えば日本の例から実際には万年オーダーであるというような結論がもし得られるとすれば、判断を変えなければいけないので、その場合は立地不適ということになります。それはご存知だと思いますけど、一応コメントさせていただきたいと思います。」

 うわ「立地不適」です。南九州の火山は、流動性の特に乏しい流紋岩ですから、万年オーダーじゃないのか?? (まあ、ロングバレー・カルデラも流紋岩みたいだけど・・・)
 そしてもっと具体的な問題についても畳みかけます。噴火対策を、噴火の予兆をつかんでから、どういうタイミングで開始するか、問い質します。

(島崎)「どこで判断するかは非常に重要で、マグマの供給が始まった時点で判断していただくということでよろしいでしょうか。」
(九電・香月副長)「・・・破局的噴火直前の100年もしくは1000年くらいで溜まったという研究成果が海外でありますので、今は我々はそれを採用しようとしています。」
(島崎)「どこで確認できるかというと、マグマの供給が始まった時点で、供給の速度が非常に早いはずでね、その点で確認できるというのは事実だと思います。その点は共有したいんですけど。その後、いつ噴火するかは確認できますか?」
(香月)「噴火時期の予測はできません」
(島崎)「ではマグマの供給が始まった時点で原子炉を止めるということで、よろしいですね。」

 さて、一応、もっともらしく九州電力の資料を検討していますが、やはり今回重要なのは、火砕流が川内原発に到達する可能性があるという点ではないでしょうか。
 そしてもう一点、いろいろと条件を限定することによって、「川内原発は大丈夫」という既定の結論へと九州電力は話を持っていきますが、実際のところ、「重要な事は実は何もわかっていない」ということが、はっきりしたのが、今回の検討会だったのではないでしょうか。シミュレーションのパラメーターは何が適切なのか、とかなんとか、検討会の前半ではいろいろ議論していましたが、後半部ではっきりしたのは、マグマの供給速度の予測もできていない、ということでした。
 この点は重要です。福島以前なら、「わからないことはわからない」、として原発稼働にGOサインを出していましたが、安全審査の方針は変わったはずです。「危険である可能性があれば原発は動かさない。動かそうとする場合には、原発事業者が、指摘された危険がないことを証明する責を追う」というのが、原発安全審査の方針だったはずです(「推定無罪」じゃなくて、「推定危険」にしたはず)。
 九州電力にそれができているのか、極めて疑問です。特に、この方針から言えば、「マグマの供給速度は万年オーダーではない」という証明を九州電力はしなければなりません。単に外国の研究を“参考にした”だけじゃダメです。ここんところ、原子力規制委員会には、しっかり筋を通してもらわなければなりません。


【これ以外にも重要な論点が→火砕流がよけて行く川内原発!! 九電シミュレーションの怪しさ


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川内原発に火砕流到達!!

2014-03-20
 昨日行われた原子力規制委員会の審査会合で、九州電力は、姶良(あいら)カルデラ噴火の際、火砕流が川内原発に到達していたことをシミュレーションで明らかにしました。

川内原発噴火1

川内原発噴火2
(原子力規制委員会HPより「資料2-2川内原子力発電所 火山影響評価について(コメント回答)【PDF:28.8MB】」)

 上図は、再現性(実際の地質データを再現しているか)についての評価が◎となった3つのシミュレーションのうちの1つ「ケース②-9」です。川内原発に火砕流が到達しています。(ま、到達していなくたって、この3つのシミュレーション似たり寄ったりで、少なくとも原発の周りは全滅状態ですから、送電線も輸送路も全部破壊され、予備電源用の燃料も輸送できなくなり、結局、メルトダウン・メルトアウトするしかないという状況です。)

 「しかし」と、九州電力は言います。姶良カルデラについてシミュレーションを行ったのは、あくまで適正なモデルを選択するため、つまり、現在残されている地質データとマッチするパラメーターを確かめるためにすぎない、とのことで・・・実際、姶良カルデラ大爆発は3万年ほども前の話であり、現在は大して活動していないので、こんな爆発は考慮する必要はない、ということになります。

 かくして、ここで確からしいと認められた(評価が◎となった)3つのケース(パラメーター)を桜島(現在、活発に活動中/姶良カルデラの一部)に適応してみれば↓

川内桜島
(前掲、“火山影響評価”より)

 こんなところで、川内原発に影響はない、という結論が得られる、とします。

 でもこれ、爆発の規模は3万年前の時のものではなくて、それよりかなり爆発の小さかった1万3千年前の時の規模に設定したシミュレーションです。

 昨日の規制委での検討、概要は共同通信が伝えるとこんなところです→「川内原発、3万年前に火砕流到達 九電が再現試算提示」(47NEWS=共同通信 3月19日)。

 いや~、これでも、桜島噴火、かなり危機的じゃないかぁ!? 送電線なんては大丈夫なのか。それに、原発維持のための物資の輸送網、人員が行き来する交通手段、これで十分に残るのか?? まあ、海沿いに北上するルートは火砕流では破壊されなかもしれないけど、火山灰とかで大変なことになりそう・・・
 更に言えば、シミュレーション・モデル自体は正確か?? 今回はパラメーターをいくつか設定してやってみた、ということで、モデル自体の妥当性については検討してないし・・・

 なお、この資料には次のような図も掲載されています。

九州カルデラb

 そこらじゅうにカルデラあるじゃん。ま、九電もモニタ体制を作るとか言ってるけど。

 それに、
 「昭和18年、突然地震と共に始まり、麦畑が隆起して出来た火山は、後に昭和新山と命名されました。
 みたいに、このあたり、新たなカルデラが突如出現する可能性もあるんじゃないか??


 【規制委での検討の様子は→  Youtube
 【規制委での検討のポイント→ これで大丈夫か九電!!


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大誤報!! 日本経済新聞。2月の貿易赤字発表を間違えて報道。

2014-03-19
 先月の貿易収支が発表されました。

 「平成26年2月分貿易統計(速報)の概要 」(財務省 3月19日)
 「平成26年2月分貿易統計(速報)」(財務省 3月19日)

 内容は、新聞の見出しを借りれば「貿易赤字8003億円、2月最大に LNG輸入膨らむ/赤字は20カ月連続」(日本経済新聞 3月19日)ということになります。

日経20140320

 で、この記事、実におかしなことを書いています↓。

 「原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電の拡大でマレーシアからを中心にLNGが11.4%増加した。」(日本経済新聞 3月19日・・・上図マーカー囲み部分)

 間違っています。該当する部分を上の財務省発表から切り出してみます↓。

輸入201402
「平成26年2月分貿易統計(速報)」財務省 3月19日 4ページ)

 LNG(液化天然ガス)の輸入額(表では「価額」)は確かに11.4%増えています。しかし輸入量(表では「数量」)は-0.2%の伸率、つまりほとんど横ばい(わずかに減少)なのです。
 「原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電の拡大でマレーシアからを中心にLNGが・・・増加」って、どういう妄想なんでしょう。
 正しくは「LNGの輸入量は横ばいであったが、円安のため、輸入額は11.4%増えた」です。

 (なお、財務省発表の「概要」の方を見れば、「前年同月比:12.4%の円安」と書いてあります。価格変動のため、この円安が多少は緩和され、支払額11.4%増となったということになります。マレーシアからは確かに輸入量が増えていますから、他地域よりは安いマレーシア産のLNGへの切り替えが進んだということかもしれません。)

 結局、現在の日本の貿易赤字、経常赤字は、いくら円安にしても輸出を増やせない一方、輸入額ばかり円安で膨れ上がるアベノミクスのせいです。原発代替燃料赤字の5倍もの赤字をアベノミクス円安は叩き出しています→「また来た『原発代替燃料で貿易赤字』のウソ、2013年通年版」、「これじゃ衰退する日本経済・・・経済人も経済記者も「国富流出」!!(1)

 ところで、貿易赤字を更に「国富流出」と言って非難するのか、この点については日本経済新聞は多少は考えたようです。関連記事でいろいろと述べています。

 「(十字路)経常黒字持続の経済運営を」(日本経済新聞 3月18日)
 「(大機小機)経常赤字は悪いのか」(日本経済新聞 3月14日)

 “十字路”の方は、経常赤字はやはり悪いと書いていますが、単純に「国富流出」といった書き方ではなく、「巨額の政府債務を抱えるわが国で経常収支が赤字に転落する懸念が生じれば、長期金利の上昇を通じ、財政の持続性が崩れかねない」と、具体的に問題が起きそうな場面について議論しています。
 これに対し“大機小機”の方は、「端的に言って、経常収支が赤字か黒字かについて経済的な意味は乏しい。経済でまず重要なのは、実質経済成長率、物価上昇率、失業率である。経常収支が問題になるとすれば、それは例えば先に挙げた3つの変数に影響があるかどうかが問われるべきだ」と、経済学的に常識的な見方を示し、具体的に語られる議論を3つに分類し、それぞれ論破しています。特に本ブログと関係の深い、“原発代替燃料で国富流出”といった議論については、「第3の財政赤字や燃料輸入の指摘は、論点がずれている。財政再建が重要なのは言うまでもない。しかし、財政再建にまず必要なのは景気回復と経済成長であり、経常赤字の削減は財政再建の手段としても目標としても的外れである。燃料の輸入増加もそれ自体が悪いわけではない。『経常赤字は悪』という固定観念から自由になるべきである」としています。つまり、経常赤字を問題にするのが間違っているという立場です。
 基本的には“大機小機”なんですが、“十字路”のようなことが起きないとは言い切れないわけで、当ブログでもいろいろなことになっています。

 1.「アベノミクス大崩壊!! 経常赤字過去最大・・・この額、原発の問題じゃない!!
 2.「これじゃ衰退する日本経済・・・経済人も経済記者も「国富流出」!!(2)
 3.「「国富流出論」、誤りの核心-再稼動原発の発電コストを問え!!

 1.は、“国富流出”とか言って原発代替燃料を悪者にしているアベノミクス賛同派に対して書いたつもりで、経常赤字の主原因は原発代替燃料ではなくて、その国富流出にこだわるアベノミクス自身だと実証してみたものです。言ってることとやってることが矛盾してるぞ、というつもりなんですが、今これ読むと、当ブログが経常赤字を問題にしているみたいに見えますね (^_^)ゝ゛。
 でもまあ、“国富流出”(貿易赤字・経常赤字)にこだわることは実は意味がないと、2.と3.では書いちゃっているわけです。

 で、本日は、そういう考察の問題じゃなくて、日本経済新聞、単純に数字が読めていない、という話でした。この記事書いた記者、それを通したデスク、編集委員、そろって簡単な表も読めない低能もしくは妄想家なのか、原発推進のためならどんなインチキな宣伝でもする悪質な連中なのか、どちらかです。


【追加3/20】日経HPのスクリーンショットを追加しました。

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気は確かなのか、もう終わってる原電、東海第二原発の防潮堤かさ上げを計画

2014-03-18
 断層問題を抱えた敦賀原発と、地元の同意問題を抱えた東海第二原発を所有する日本原子力発電、東海第二の防潮堤を現行計画より更に一段かさ上げするべく計画中とか。

防潮堤高さ18メートルに変更へ 東海第2原発の原電」(47NEWS=共同通信 3月18日)

 もちろん、再稼働のための安全審査に合格するためなんでしょうが、この原発、運転開始したのは、1978年11月28日です。つまり、あと4年ほどで耐用年数の40年に達します。工事して、安全審査して、手直しの追加工事して、地元の同意を取り付けて、なんてことしてたら、あっという間に2~3年はかかるでしょうから、いったい何箇月運転できるのか。
 もう終わりでしょう。常識的に考えれば、この原発。

 いやそれよりも、日本原電については、所有するもう一か所の原発、敦賀は断層問題で相当厳しそうですから、原子力専業電力会社として、この会社自体、「もう終わってる」わけです。

 この会社は読売新聞社オーナーだった故・正力松太郎の肝いりで作られた経緯があるためか、読売新聞も“地元同意が得られた”といったガセを流したりしてますが、それだけ切羽詰っているということでしょう。

 しかも、敦賀については断層問題だけではなく、1970年3月14日運転開始の1号機については、既に40年を過ぎているわけですから早く廃炉プロセスに入らなければならないんですけどね。(ちなみに、敦賀2号機は1987年7月25日)

 経産省、こんな会社、どうするつもりなんた!! 再稼働なんてにかまけているよりも、早く廃炉への道筋を作らないと、爆弾(原爆)抱えたまま、原発所有企業が頓死するぞ、それもわけわからない悪あがきを繰り返して。こんな悪あがきの費用、電気料金に上乗せなんて、冗談じゃないぞ。

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川内原発は1000ガル揺れる!! (基準地震動は620ガル)

2014-03-17
 九州電力が「エイヤっと」決めたいい加減な基準地震動、これ妥当なのでしょうか。

 「川内原発は昨年7月に安全審査を申請。これまでに最大規模の地震の揺れ(基準地震動)を540ガルから620ガルに引き上げ、最大の津波の高さ(基準津波)を約3.7メートルから約5.2メートルに修正。規制委から大筋で了承されていた。」(西日本新聞朝刊 3月13日)

 特に明確な根拠があるわけではなく、「エイヤっと」決めたそうですが、とにかく了承された数値は620ガルです。
 当然この数字、あちこちのブログで批判されてます→ここ とか ここ
 「2008年6月の岩手・宮城内陸地震で最大加速度4022ガルが記録され、世界最大加速度としてギネスに認定されたいっぽう、東日本大震災での最大加速度は2933ガル」ですから、620ガルってのは、あまりに小さい設定に見えます。
 ただ、大飯原発や高浜原発が規制委から了承が得られないのに対して、川内原発が了承された理由は、川内原発については近くに危険性を考えなければならない断層がないから、とされています→「敷地内に活断層がなく津波の危険性も低い‐などの立地条件が決め手になった」(西日本新聞社社説)
 直下型の大きな地震がないだろうと規制委は認定したわけです。では、それで大丈夫か?? ちょっと検討してみます。

 東日本大震災での揺れについて、次のような分析があります。

最大加速度
「pierres blanches と 《カガクするココロ》」さんブログからスクリーンショット

 東日本大震災を構成する3つの揺れのうちの1つの分析ですが、ここで注目したいのが千葉県佐倉、震源地から347km離れた地点で1053.5ガルとなっています。
 ということで、川内原発から347kmの距離円を作成し、地図と重ねてみます。

南海トラフと川内原発b
wikipedia「南海トラフ」の項の図と合成)

 あらら、南海トラフは川内原発347km距離円の中に相当入り込んでいます。つまり、この辺の南海トラフで東日本大震災なみの地震が起きた場合、川内原発で1000ガル程度揺れる可能性があるのではないでしょうか。もちろん、地震波の到達の仕方は地層の状態次第ですから、単純なことは言えませんが。
 「でもそんなこと、専門家が検討してるだろ」と、思ったあなた、甘い。
 三陸沖なんて、さんざん研究されていたのに、予想を遥かに上回る東日本大震災のメカニズムについて、なんとか一応の理由付けがなされたのが、地震後3年も経ってから。要するに、研究したはずなのに全然わかっていなかった、というのが地震研究のお寒い現実。まして上図の場所は、研究が遅れていると言われている南海トラフです。

 (なお、この辺りの南海トラフについては、「南海トラフから琉球海溝まで全長約1000kmに及ぶ断層が連動して破壊されることにより、震源域が2004年のスマトラ島沖地震の規模にも匹敵するM9クラスの超巨大地震となる可能性が指摘されている」(wikipedia「南海トラフ」)そうです。別のHPによれば、「西日本においても、東北地方太平洋沖地震と同じマグニチュード9クラスの地震が発生することもありうるという認識が、地震学者の間で広まりつつある」そうです。「広まりつつある」って、要するに研究始まったばかり。)


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関西電力が困っている!! 九電川内原発優先審査

2014-03-16
 関西電力が原子力規制委員会から嫌われているのは良くわかっていましたが、九州電力が「エイヤっと」決めたいい加減な基準地震動の承認で、いよいよ窮地です。

 「川内原発優先で関西電力窮地 大飯、高浜は夏までの再稼働困難」(福井新聞HP 3月14日)
 「川内原発優先で関西電力困った 大飯、高浜は夏までの再稼働困難に 電力需給ひっ迫確実」(Yahooニュース←福井新聞online 3月14日)

 川内原発が優先審査となった結果、規制委の多くの人員がそちらの審査にかかりきりになり、他の原発は審査が進まないということになりました。
 今や「電力モンスターシステム」のトップ、電気事業連合会の会長を務める関西電力社長・八木誠、「一般論だが、最大限の経営努力をしたとしても、再値上げという苦渋の選択を検討せざるを得ない場合も起こり得る」(3月14日 定例記者会見)と、またもや電気料金再値上げするぞと、国民を恫喝です。
 そもそも関西電力は、規制委から指摘された若狭湾の3断層が同時に動く3連動地震の可能性を否定するところから始めていますから、そりゃあ規制委も面白くないわけです。で、小出しに妥協を繰り返したものの、結局、まだまだ“不十分”↓

 「その後、今度は震源の深さをめぐり議論が平行線をたどった。関電は震源を地下4キロと想定し、大飯の基準地震動を700ガル(ガルは加速度の単位)から759ガル、高浜を550ガルから700ガルに引き上げると提案。これに対しても、規制委の島崎邦彦委員長代理は「常識的に考えて(震源が)深すぎる」と見直しを要求した。12日の審査会合で関電は深さ3・3キロに修正したが、規制委は判断の根拠を示し、再解析するよう求めている。」(Yahooニュース←福井新聞online 3月14日

 福井新聞の「3連動を考慮しない方向で押し切ろうとした関電だが、結果的には『規制委を甘く見ていた』(関係者)面は否めない」という記事の書き方は微妙ですが、要するに、関係者への取材の中で「規制委を甘く見ていた」という言葉が出たということでしょう。電力モンスターシステムのトップとなり、規制委など簡単に言う通りにさせられると、舐めてかかってたんでしょう。

 さてと困ったぞ~、関西電力。これ↓どうするんだ!?

関電エネ
関電エネルギーソリューションズHPから

 2016年からの一般家庭への電力小売自由化を睨んで、まずは事業所相手に始める予定だった首都圏での電力販売(100%子会社を通してですが)、話の筋が通らないぞ!! まず、電力不足なら、他地域で電力販売してる場合じゃない。そして、上のHPには“コストメリット”とか書いてあるけど、子会社通しなら電気の安売りができて、関電本体だと「再値上げ」だとか、あまりに無茶だろ。

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【Cs137の降下】玄海原発だったら(6)南南東風

2014-03-15
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は、佐賀県玄海原発についての6回めです。福島事故のシミュレーション図を並行移動した上で、時計回りに170度ほど回転してみました。今回は夏の季節風ということになります。壱岐は平方kmあたり10万~25万メガベクレルというオレンジの領域にすっぽり入ってしまいますので、帰還困難区域となり、人は住めなくなるでしょう。対馬は全域、平方kmあたり5万~10万メガベクレルという黄色の領域となりました。おそらくかなりは、人の住めない状況(居住制限区域)となるでしょう。

Cs玄海170



・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。


川内原発・基準地震動、「エイヤっと」決めました by 九電幹部

2014-03-14
 身内同士の気軽さで話したことを、そのままのノリで記事にしてしまうからでしょうか、時々、原発推進メディアからとんでもない発言が漏れてくることがあります。

エイヤっと
読売新聞HP 3月14日 スクリーンショット)

 最後のところです→「九電は、『すべてに反論していたら再稼働が遅くなる』(幹部)と、規制委の意向に沿って想定される地震の揺れ(加速度)を、申請時の540ガルから最終的に620ガルに修正。カギとなる最大の地震の揺れ(基準地震動)の審査をクリアできた。九電幹部は引き上げの根拠について『ある意味、エイヤっと大きくした部分もある』と話した。」(読売新聞HP 3月14日「『反論より再稼働』川内原発、柔軟姿勢で優先枠」)

 ま、そんなもんでしょう。川内原発の基準地震動、「エイヤっと」決めたそうです。そもそもこれから来る地震の規模なんて、誰も予想がつかないわけですから。
 「プレートが1mもズレたらおおごとで、我々地震研究者は30cm、40cmというズレを想定して、それをどうやって予測しようかと一生懸命研究してきた。それが今回(東日本大震災)20mですから、話にも何にもならない。」
 うろ覚えで、出典も出てこないので、申し訳ないのですが、東日本大震災後、地震研究者がどこかで自嘲的にこんな話をしていた記憶があります。今や、東日本大震災におけるプレートのズレは最大60mとされていますから、この時点から更に、現実は想像の外だったことになります。
 先月のニュースです↓

 「東日本大震災は沈み込む太平洋プレートに引きずり込まれた陸側のプレートが一気にずれて発生した。全地球測位システム(GPS)を使った計測で、震源のプレート境界付近では陸側のプレートが最大で60メートルずれたことがわかっている。ただ、これまでの研究では、その理由を説明できなかった」(日経新聞HP 2月23日)

 地震研究なんて、そもそもこんなものです。実際に地震が起きて(想定外のことが起こって)から、(しかも3年も経った今ごろになって)、理由を考えるのがやっとという状態です。三陸沖を震源地とする地震なんて、さんざん研究されていたところなのに、実際に起きた地震は、全く予想外のものだったのです。
 回顧的に「あのころは説明できてなかったな~」と言うなら、それはしょうがないでしょう。しかしこんな“よくわかってない”状況下、これから来る危機に備える原発安全審査で、地震によるユレの大きさを「確定する」なんて茶番もいいところです。実際、やっていることは、「エイヤっと」決めることでしかありません。

 いい加減な安全審査で、原発を動かそうというのは、とんでもない話です。



【おまけ】自民党の塩崎元官房長官、もしかしてこのブログ見てるんじゃないか~(^_^);;。

 「塩崎元官房長官が原発審査前の公聴会批判」(msn産経ニュース 3月14日)

 「審査を終える前に国民の意見を反映させる公聴会などを実施する原子力規制委員会の方針」を批判したそうです。
 そんなことしたら、当ブログでパブコメに書こうとさんざん宣伝している「コアキャッチャーがなくて“世界一厳しい安全基準”なんて言えっこないだろ」という、再稼動反対派の主張に負けてしまう、と考えたんじゃないか~(^_^);;。
 コアキャッチャー!! コアキャッチャー!! コアキャッチャー!!

 皆で拡散しましょう「コアキャッチャーのない日本の原子炉」、そして、「エイヤっと決めた基準地震動」!!


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日本経済を破壊する原発と自民党安倍政権

2014-03-13
 電力総連系の議員に牛耳られて、脱原発などやる気がないように見えた民主党・野田政権ですが、一応、法案作成をしていました。ちょっと前の新聞記事からです。

 「脱原発、幻の具体化法案 民主政権時に作成、交代で頓挫」(朝日新聞HP 3月10日)

 内容としては、LNGパイプライン網を整備し、原発発電ぶんをガス火力へ移行させようというものだったようです。極めて妥当な計画と思われます。なにしろ原発再稼働するよりも、普通にLNG火力発電するのが現在最も現実的で安価な発電方式ですから。
 しかし、自民党政権になれば、そんなことになったら大変ですから、この法案、闇に葬られました。朝日新聞の関連記事は次のように解説します。

民主脱原発案1
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月10日)

 なんと「ガスパイプライン整備が進んで火力発電コストが下がれば、原発再稼働の必要性が減る。元三菱総研天然ガスパイプライン事業部長の朝倉堅五氏は『広域パイプラインができると沿線にガス火力発電所がたくさんでき、原発推進の障害となる』と指摘する」です。
 経産省・自民党、電気料金を引き下げないように必死に工作しています。

 口先だけは再生可能エネルギー支援と言いながら、実質は電力改革への投資を160分の1に減らし牛歩戦術に入った舛添とか、この連中、電気料金という日本の産業インフラを壊滅的状態にしようとしています。

 原発そして、原発推進勢力、自民党安倍政権がいかに日本の経済を破壊しているか、我々はきちっと認識しておかなければなりません。


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川内原発、安全審査5月終了予定、7月にも再稼動へ!!

2014-03-12
 日本経済新聞が伝えるところによると、九州電力川内原発、安全審査を5月にも終了し、7月には再稼働することをめざすとのことです。

 「原発最終審査、川内が有力 安全対策評価で夏までに再稼働も」(日経新聞HP 3月12日)

 とにかくいろいろなプレッシャーかけられて、どこかの原発で安全審査結果出さなければならなくなった原子力規制委、1~2の原発を集中審査し、結論を急ぐことになっていましたが、具体的なターゲットは川内です。

 「優先枠に選ばれると、規制委は残る審査を進めるのと並行して事実上の『合格通知』にあたる審査書案を作成する。その後、地元で開く公聴会や一般からの意見募集を反映して5月にも正式に合格とする見通し。/これを踏まえ、政府や電力会社も再稼働への地元同意を得るための説明に取り組む。原発の周辺地域の中には再稼働に慎重な自治体もあるが、川内の場合は比較的反発は少ないとされる。」(上掲リンク先)

 この原発の場合、上の引用の最後のところも重要なんですよね~。周りの自治体が原発ヨイショですから、安全審査さえ通れば、再稼動は簡単なんですよね・・・ 凸(-_-)#。

 ただし朝日新聞は、それでも再稼動はそう簡単じゃないよ、と書いています。

川内優先審査
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月12日)

 「(川内原発が有力候補となったのは基準地震動について規制委と合意ができたからだが)基準地震動が確定して優先審査の対象に選ばれても、イコール『再稼動』ではない。再稼動には、地震や津波だけでなく、火山の影響評価や、重大事故対策が十分かも審査される。」(上掲記事から)

 そうそう、そうですよ、火の国・熊本は阿蘇山、一旦爆発すれば、火砕流の到達距離は、とんでもなく遠くに及びます。以前の記事から再掲です↓。

阿蘇山と原発

 阿蘇山は150kmまで火砕流を到達させた実績があり、それをもとに原子力規制委が火山周辺160km圏まで調査を命じたのでした。川内原発、しっかり150km圏内です(図は規制委が調査を命じた160kmに線を引いています)。なんてったってここで重要なのは、阿蘇山は最近噴火したのが9万年前と、ばりばりの現役の活火山であることです。

 それにそうそう、当ブログでさんざんお世話になった放射能汚染図の群馬大学・早川教授、前にも掲載させていただきましたが、ご専門の火山で↓こんな図もご作成でした。

southJ.jpg
(「グーグルマップでテフラ分布図をつくる 」の南部の地図をクリックしたところ、この図は縮小です)

 「グーグルマップでテフラ分布図をつくる」(上図についての説明はこちらページをご覧ください)です。「テフラ」というのは、火山堆積物のことです。川内原発のあたり、4重くらいに堆積高50cm等高線の内側に入っています。どちらの火山が噴火しても、川内原発は50cm以上の火山灰の中に埋もれる可能性があります。火山灰といえば、鹿児島県にはもちろん、現在噴火中、バリバリの活火山、桜島がありますし。
 50cmと言ったって、そんな降灰があれば、原発構内での作業は著しく困難になります。降灰をどけないことには、電源車だって動かせません。

 こんな危ない原発、再稼動どころの話じゃなくて、早く廃炉にしなくちゃいけません。


 そうそう、規制委は安全審査終了前に「一般からの意見募集」を行なうとしています。そこでこれを言うのを忘れちゃいけません→「今度のパブコメは『自然冷却式コアキャッチャー』!!


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3/11も原発擁護の詭弁 死者の視線を感じないのか

2014-03-11
 福島第一原発から4.5キロ、双葉病院。福島第一原発事故による避難のため死者50人
 宮城県や岩手県では激減する震災6ヶ月以後の震災関連死者、“帰れない”福島県では目下591人(336人+255人)。

 時期別死亡者数
 (時事通信HP 2月26日よりグラフ再作成)

 この方々、福島第一原発事故による死者の、ほんの一部です。原発近くで地震・津波に被災、原発事故のせいで救助の手が届かなかった方もおられますし、今後発生する癌患者、様々な病気による死者も、ここに加わってくるでしょう。「原発事故で死んだ人はいない」とか、あまりに死者を冒涜しすぎです。

 こんなことを、いやでも思ってしまう3月11日ですが、原発を推進する金の亡者のほうは、やっぱり今日も詭弁です。

十市勉
(朝日新聞西部本社版朝刊 3月11日)

 「東電は株式会社でいいか」と題された朝日新聞オピニオン欄において、日本エネルギー経済研究所顧問の十市勉、原発擁護論展開です。
 「既存の原発は、燃料費だけをみると、キロワット時あたり約1円(国の推計)と安く、競争力が高い」と来ました。一方「万が一、大事故がまた起きた場合に備え、賠償についての恒久的な制度を整備することも必要です。福島第一の事故では10兆円ともいわれる被害が生じ、東電には負いきれなくなって、事後的に原子力損害賠償支援機構がつくられた。・・・略・・・今後の賠償制度も、このスキームをもとに考えるのが現実的だと思います・・・略・・・民間で負えるリスクは最大限に負ってもらい、追い切れない部分は国が補完する」のだそうです。
 こいつ、経済学も経営学も全くわかってないアホか。事業には危険がつきもので、そのリスク対応費も含めた形で原価計算するってこと、知らないのか?? 発電は燃料費だけで語り、事故が起きたら事故処理は事後的に機関を立ち上げ、後は国がなんとかしてねって、こんな身勝手な経営、ちょっと常識のある人間なら、誰も許さないぞ。

 10兆円の賠償が発生する可能性があるなら、10兆円の保険に入るか、自ら10兆円の引当金を積み立て、事故に備えた上で、初めて事業を行うのが経済学的にも経営的にも、日常感覚的にも常識というもの。
 これやるとどうなるか。金子勝慶大教授の計算なら、原発の発電コストは柏崎刈羽原発でキロワット時あたり「(損害賠償費用)10兆円を考慮した場合には19~21円」です。さらに当ブログで、保険会社の見積をもとに原発の発電コストを計算してみたら(保険を使ったら)キロワット時あたり29.1円~8763.95円でした。
 国際的な標準価格の数倍の値段で燃料を購入している日本の発電所でも、LNG火力ならキロワット時あたり13円前後、熱効率が悪く高くつくとされている石油火力発電で20円前後です。(それにそもそも、リスク負担費用を計算しなくても、福島事故前の現実の原発が11.1円です。燃料費1円だとしても、発電しようとすれば結局いろいろ金がかかって、他の発電方式と決定的な差はつかない・・・保険料抜きでも。)

 リスク負担費用を切り離して原発は安い、って、日本エネルギー経済研究所ってのは、経済学や経営学知らない上に、常識のレベルでもおかしい、バカ人間がやってるのか。ま、当然、別の一言が適切なんだろうが→「腹黒い」。
 他人に発電原価の一部(というか、かなりの部分)を背負わせて、自分たちは甘い汁だけ吸おうという、こんな無茶な話を人前で堂々と主張して憚らない腹黒・原子力ムラ、福島事故の死者たちは絶対に許さないでしょう。


 (だいたい、燃料費だけで発電コストが語れるなら、太陽光・地熱・風力、みんな燃料費は0円。原発より遥かに安い。燃料費以外の要素で“再生可能エネルギーはダメ”と言っておいて、原子力だけは燃料費だけで語ろうっていうのは、これ典型的な詭弁。)


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アベノミクス大崩壊!! 経常赤字過去最大・・・この額、原発の問題じゃない!!

2014-03-10
 自分の経済失政の理由を原発停止に押し付けて、さらに失政を積み重ねてきたアベノミクス、いよいよ最終局面に突入です。

 「経常赤字、最大1兆5890億円=初の4カ月連続、輸入増が影響-1月」(時事通信HP 3月10日)
 「年0.7%増に下方修正=景気回復の弱さ、再確認-10~12月期実質GDP改定値」(時事通信HP 3月10日)

 経常収支赤字の悪化は留まるところを知らず、景気回復も錯覚だったことが判明しました。
 この期に及んで時事通信の記者はまだ書きます↓

 「原発の稼働停止に伴い、液化天然ガス(LNG)など火力発電燃料の輸入が高止まりしている上、4月の消費税増税を控えた駆け込み需要に対応する輸入の増加で、赤字額が前年同月より1兆円超拡大した。」(上掲上記事リンク先)

 そもそも、原発が概ね停止したのは2012年3月(関西電力高浜原発2012年2月停止、東京電力柏崎刈羽原発2012年3月停止、その後は北海道電力泊原発のみ5月まで・・・後に関西電力大飯原発が一時再稼動)。その後、そこそこ黒字だった経常収支がここ数ヶ月でガクッと落ち込んだ理由を、なんで今さら原発停止のせいにするのか。この記者、経済のこと、全然わかってないんじゃないか。

経常収支0

経常収支1
財務省HP掲載のグラフに書き込み)

 それに、原発代替火力燃料の輸入額は年額2兆6千億程度、今回の話題に合わせて月額にすれば2千億円程度に過ぎません。
 これに対しアベノミクスの円安誘導はすべての輸入品で効いてきます。1月は対前年度比較で20.2%の円安ですから、1月の輸入総額8兆429億円の20.2%、すなわち、1兆6千億円ほどはアベノミクス円安で余計に支払ったぶんです。
 ですから、1月の経常収支赤字、1兆5890億円というのは、対前年度で比較すれば、円安による輸入品支払金額増加分がまるまる赤字となった、と言うことさえできるわけです(詳しくは→こちら)。2千億円の原発代替燃料じゃ全然足りない!! どこまで数字が読めないんだ、時事通信の記者。

 さて、経済音痴の時事通信の記者は置いておいて、深刻なのがアベノミクスです。
 経常収支について上掲のグラフを見れば(特に決算タイミングなどの影響を除いた「季節調整済み」(下の方の図)で見れば)、3つの時期に区分できます。2010年1~2月までの経常収支大幅黒字期、2011年4月以降アベノミクス開始までの経常収支小幅黒字期、そして、アベノミクス期です。
 2011年4月から、貿易収支が赤字になりますから、経常収支の大幅黒字→小幅黒字(あるいは貿易収支の赤字転落) の理由として、東日本大震災および原発停止と考えられがちですが、グラフを見ればそうではないことが解ります。2010年から2011年にかけて、既に経常収支は下り坂に入っています。東日本大震災は、この動きを一気にドラマチックに演出したに過ぎません。2011年6月には、2010年12月~2011年2月の変化の延長線上に、日本経済は復したと見ることができます。
 そして、その後、微妙なジリ貧を続けながら、なんとか経常黒字を維持していくのが次のステージ“小幅黒字期です。原発代替燃料コストの影響は、原発運転状況と連動させて、2012年3月以前/以降を見比べてみれば、「若干あるかな」という感じです。ま、月額2000億円程度(円高なら、もっと影響は小さい)ですから、所詮「若干」の域を超えません
 2013年3月20日、黒田東彦が日銀総裁となり、アベノミクスは本格化します。経常収支は4月(ローデータ/上の「上の図」では3月)にちょっと黒字に振れますが、その後、急降下を続けているのがアベノミクス期ということになります。カンフル打った重病人、ビクッと来たけど、結局ご臨終へ向けてまっしぐらです。
 この変化を図に書き込めば、次のようになります。

経常収支2


 破綻したアベノミクスから、どう立ち直るのか、それが日本経済の課題ですが、4月には消費税増税が来ます。

 当ブログとしては次の一言だけは言っておきましょう、「自分の経済失政の理由を原発停止のせいにするな、安倍!!」。
 そして、次の点は指摘しておきましょう。経済の立て直しは、既得権益集団の利益確保をしていたらできないのです。今、一番しょうもない既得権益集団は原子力ムラであり、彼らの望んでいる事こそ、原発再稼働なのです。原発は、電気料金を高値安定させるための政策装置ですから、原発再稼働は、原子力ムラ栄えて他産業が滅亡する道です。やるべきことは、カンフル剤を打つのではなく、病巣の摘出です。
 ま、原子力ムラ・病巣そのものである安倍政権には、日本経済全部食い物にして、自分たちだけ繁栄する道を選ぶしか選択肢はないでしょうが。


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この夏には何が何でも原発を再稼動!! 関西電力

2014-03-09
 昨日は原子力規制委員会の安全審査のインチキぶりを指摘しましたが、まあ、そうならなければならない理由があるのですね。

関電エネ
関電エネルギーソリューションズHPより)

 いわゆる新電力(PPS)の1つとなった、Kenes(関電エネルギーソリューションズ)ですが、この会社、関西電力の100%子会社です。
 今年4月から首都圏で電力供給業務開始です(上図)。
 Kenes独自の発電所(メガソーラー)を作るといった話もありますが、実際に発電できるのは頑張って秋以降、それも実際の供給力は電力会社に言わせれば「太陽光発電は天気次第で当てにならない」はずですから、結局のところ、関西電力から電力供給を受けるしかないでしょう。
 関西電力と言えば、原発依存5割「原発停止で電気が足りない」と言っている帳本人ですからね~、この夏、原発再稼働できない状態で首都圏での給電業務なんてしたら、ウソがバレる、あ、いや、発言と業務実態の整合性が問われかねません

 現在、電気事業連合会の会長は関西電力社長の八木誠。あの「電力モンスターシステムの長が関西電力社長ということになります。あの手この手、表の手、裏の手、総動員で夏までには原発再稼動に漕ぎ着けるでしょう。原子力規制委員会にも、自民党にも、安倍政権にも、いろいろな工作をしていることでしょう。

 それにしても、原発依存度が低く、現状で余裕を持って他地域に給電できる中部電力が新電力のダイヤモンドパワーを買収して首都圏に攻勢をかけるのは当然としても、関西電力、こんなことやっていいのか??

 ま、もともと無理があることをしようとしているわけで、無理を通そうとすれば強引さが前面に出てきます↓
 「・・・、高浜の審査では関電が提示した資料をめぐり、同社の安全意識を疑問視する声が規制委側から相次いだ。/問題とされたのは、海外の安全対策と関電などの対策を比較した表。更田豊志委員は『地震や津波が来ない国の対策と比較するセンスが非常に悪い。福島第1原発事故の大きな反省の一つだ』と厳しく批判。『この資料からは(関電の)安全意識が低いとしか受け取ることができない』と不快感を示した」(四国新聞HP 3月7日)。
 昨日の書き込みで明らかなように、工作済みと思われる規制委から「不快感」だそうです。


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いい加減この上ない安全性審査の実態 原子力規制委員会!!

2014-03-08
 サンケイビズは、「【東日本大震災3年】原発再稼働へ審査大詰め」(3月8日)と伝えています。原子力規制委員会の「安全性審査」なるもの、インチキぶりが目に余ります。

 既に本年1月20日には原子力規制委員会の安全審査の、いんちきぶり(出来レース)が報じられていました→「規制委関係者によると、審査合格の見通しが立ったのは、北海道電力泊3号機▽関電大飯3、4号機(福井県)▽同高浜3、4号機(同)▽四国電力伊方3号機(愛媛県)▽九州電力玄海3、4号機(佐賀県)▽同川内1、2号機(鹿児島県)。関係者は『不合格になる原子炉はないだろう』との見解を明らかにした。」(「6原発10基、審査合格へ 夏の再稼働現実味 新基準の適合性審査」msn産経ニュースHP 1月20日)
 もちろん、この記事は、“安全審査がインチキだ”と報じたわけではありません。原発推進の産経が、再稼動雰囲気を盛り上げているだけとも言えるのですが、しかし、ここで産経が報じた発言内容、次のような報道と見比べてみると、そのインチキぶりが一目瞭然です。

再稼動審査遅れ原因
日経新聞HP 2013年12月11日

 昨年12月の時点で、最も審査資料の提出が進んでいた川内原発で55%、他の原発では3~4割程度の資料しか提出されていないのです。
 12月11日から1月20日までの一ヶ月ちょっとの間に、6~7割にも及ぶ審査資料が一気に提出され、その内容もほぼ妥当であることが分かってしまったということになります。無茶苦茶な出来レース、まともに審査しているはずがありません。申請を出した原発がすべてゴールインすることがわかっている出来レースです。実際は現在までに何%程度の書類が提出されているのでしょうかね??
 こうしてインチキ審査は進んでいきます。2月12日の原子力規制委員会の会合では、「審査を担当する2人の委員は、『新しい安全設備の基本設計に関しては、まとめの段階に入りつつある』とか、『先が見えてきた』と述べ、審査が終盤に入ろうとしているという認識を示しました」となります。

 しかしそれでも満足できないのが自民党です。

 「町村氏『規制委は常識外れ』 原発安全審査の長さを批判」(朝日新聞HP 2月28日)

 いったい町村は何を要求しているのか。上掲の日経の記事を見れば、審査を遅れさせたのは書類を提出しない電力会社の方です→「12月に入ると各社の準備不足で会合を開けず、今月に実質的な審査ができたのは10日だけだ」(上掲日経記事)。ま、要するに「審査などせずに“安全”のお墨付けだけ出せ」ということですね。

 これがお寒い「安全審査」の実態です。


 【おまけ】また付けときます↓

コアキャッチャー
日本原子力学会HP掲載資料から引用)

 全電源喪失し、メルトダウンが起きた時、炉心溶融物を回収する「コアキャッチャー」です。流れ出してきた炉心溶融物が放熱板の上に広がり、自然に冷却するようにできています。
 ヨーロッパの多くの原発に採用されているこの仕組、全電源喪失・原子炉メルトダウンの際に、放射性物質を原子炉建屋外に出さない最後の砦です。
 これが、日本の原子力規制委員会の安全基準では義務付けられていませんし、実際にこんなものが付いた原子炉は日本に1つもありません。日本の原子炉は冷却に失敗すればメルトダウンからメルトスルー(原子炉に穴があき、炉心溶融物が外界へ流出)に至ってしまいます。
 資源エネルギー庁は、“独自の”コアキャッチャーを内々に開発中ですが、それも強制冷却式ですから、冷却系の電源が失われれば「それまで」という“なんちゃってコアキャッチャー”に過ぎません
 “世界一厳しい安全基準”なんて、バカバカしくて笑うしかないのが、日本の原子力規制委員会の安全基準です。しかも審査のやり方もいい加減というのが、今回の書き込みです。


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【Cs137の降下】玄海原発だったら(5)西風・・・福岡市壊滅

2014-03-07
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は、佐賀県玄海原発についての5回めです。福島事故のシミュレーション図を並行移動した上で、反時計回りに90度ほど回転してみました。今回もこのあたりの冬の季節風として珍しくもない、西風の場合です。実際、福岡・佐賀・長崎の3県合同避難訓練の日が、このような風でした→「放射能雲への突撃/玄海原発3県合同避難訓練」。このような風の場合、福岡市はかなりの部分、平方kmあたり10万~25万メガベクレルというオレンジの領域となります。福岡市全域、人の住めない状況(帰還困難区域~居住制限区域)となるでしょう。北九州市あたりでも、べったり黄色の領域の中ですから居住制限区域になるところがかなりありそうです。

Cs玄海-90


 この原発、および、やはり九電が運営する川内原発では、原子力規制委員会の安全性審査で、一昨日にかなりの動きがありました。

 「玄海原発の揺れ想定 九電、基準引き上げ」(佐賀新聞 3月6日)
 「優先審査、川内前進 原子力規制委 [鹿児島県]」(西日本新聞 3月6日)
 「川内原発の基準地震動想定『ほぼ妥当』 規制委、優先審査へ前進か」(南日本新聞 3月6日)

 規制委審査の最大の山とされる基準地震動(想定される最大の揺れ)の確定、川内では了承されたようです。玄海ではまだ一部検討項目が残っているようですが、各記事の書きぶりでは、これも時間の問題のような雰囲気です。まあ、そろそろ再稼働したくてしょうがない規制委でしょうから、九電がもっともらしく作文して提出すればOKとなるでしょう。極めて危険な状況です。



・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。


倒産が始まった!! 衰退産業・原子力、終わりの始まり

2014-03-06
 世界四大ウラン濃縮企業の一つ、アメリカのユーゼック(USEC)社が倒産しました。倒産原因の1つは日本の電力会社が福島以後、ウラニウム買ってくれなくなったこととか・・・

 「ウラン濃縮の米ユーゼック、破産法の適用申請 東芝などが出資」(ロイターHP 3月6日)
 「米ウラン濃縮企業が破綻=東芝が出資、東電に供給-日本の原発停止が影響」(時事通信HP 3月6日)

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USEC社広報ビデオより)

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(同上USEC社広報ビデオより・・・B&Wはバブコック社のロゴ)

 この会社に入れ込んでいた東芝、ボイラーメーカーのバブコックと、会社再建のために協力するそうです。「東芝とバブコックは、新会社の債券2019万ドルと株式8%をそれぞれ受け取る」(上掲ロイター記事)とのこと・・・いや「受け取る」っていうか、それだけ帳簿につけとくよ、ってだけのことで、ま、再建に失敗すれば債券・株式、全部紙くずですね~。いやいや、問題はそこじゃなくて、その前段で、5億3千万ドルの負債を2億4千万ドルに圧縮する(Wallstreet Journal 3月5日)わけですから、ここで既にいくら損しているのでしょう??
 どうしてもこの会社に入れ込まなきゃいけない理由があるんでしょうが、「昨年末時点のUSEC資産は総額7000万ドル、負債は10億7000万ドル」(上掲ロイター記事)ですからね~、どうやって再建するつもりなんでしょう?? というか、この差し引き10億ドル(圧縮はされるだろうけど)、この会社が再建されることがあれば、それは顧客から儲けて回収するということですから、これも結局は日本の電気料金から支払いかぁ??

 衰退産業は、じたばたすればするほどおかしくなるのに・・・
 あ、こっちも↓もう、終わってます。

 「原発建設、慎重姿勢に転換=安全を最優先-ベトナム〔東日本大震災3年〕」(時事通信HP 3月3日)

 第1原発はロシア製となったものの、第2原発で契約にこぎつけていた日本企業待望のプロジェクト、「2014年の着工予定が大きくずれ込む見通し・・・略・・・グエン・タン・ズン首相が20年まで先送りする考えを示唆した」(上掲記事)そうです。
 このグエン・タン・ズン首相の言葉、1月に報道されたものと同じ発言かもしれませんが、その際はロシアの案件のことのように報道されていました。

 「ベトナム、原発着工を延期へ 日本の受注分に影響も」(朝日新聞HP 1月18日)

 この記事では、「グエン・タン・ズン首相が15日に国営石油会社ペトロベトナムとの会合に出席した際、今年中に予定していた第一原発の着工が2020年ごろまで延期される可能性があるとし、代替の発電用燃料を十分確保するよう指示した」となっていて、対象はあくまで第1原発で、“この余波が日本案件にも及ぶかも”という書き方でした。
 でもまあ、第1原発の着工が2020年に延びるなら、第2原発は、その後となるのが当然でしょうね。で、その時点でまだベトナムに原発建設する気があるのか、極めて怪しいでしょう。

 シェールガス革命の起きた火力発電や、地道な技術改良の積み重ねの結果やはり革命的な発電効率の向上を実現しつつある太陽光発電なんぞと較べてみれば一目瞭然、原子力発電というのは発電コストの下がる見通しもなく、むしろ安全対策強化に金取られて発電コスト上昇しちゃうんですから、いよいよ魅力のない発電方式となっています。

 一刻も早く原発に見切りをつけ、先に逃げ出した者が、最も傷が少なくて済む者です。何グズグスしてんだ~、日本は!! 日本企業は!! まあ、もう遅い、という話もありますが。


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「国富流出論」、誤りの核心-再稼動原発の発電コストを問え!!

2014-03-05
 経産省自身が「国富流出論」の数字算定におけるごまかしを認めましたが、“それでも何兆かは国富流出しているんだから、やっぱり問題”とか言ってる連中もいるようなので、再度、書きます。国富流出論がいかにバカげているか。(ま~、そもそも原発再稼働しても、それで節約できるとされる燃料輸入、現今の貿易赤字状況に影響を与えるというほどの数字でもなく、大した額ではないので、マクロ経済的にはどうでもいいんですけどね・・・問題なのはアベノミクス)

 なぜ国富流出論がおかしいか、例えば国産小麦粉が300円/kg、輸入小麦粉が200円/kgだった時、国産だからといって300円/kgでパン焼いてたら、200円/kgでパン焼いている店と勝負にならない、という話です。しかも作ったパンを輸出しようと考えていたりしたら、絶望的です。もっともこの場合、特に「国産小麦使用」と銘打って、その価値が認められるならば、国産小麦でも良いわけですが、電気に「国産燃料使用電気」なんてないわけです(むしろ「原発使用電気」なら、「やめてくれ~」と思う人のほうが多いでしょう)。
 実際、石炭産業じゃ、割高の(低品質の)国産炭は姿を消し、割安の(高品質の)輸入炭になった、というのが前回の話です。つまり、国際的に競争力のない国内炭鉱従事者が、(少なくとも輸送コストで優位に立てるセメントといった)競争力のある他産業に移っていけば、日本の産業は構造強化されるのです。この結果、「輸出・輸入」といった数字を見れば、石炭では明らかに輸入超過・貿易赤字・定常化確定ですが、それは日本の経済状況悪化を意味しません。実際、炭鉱が次々と閉山となっていったこの時期こそ、日本の経済成長期です。貿易(≒国際分業)というものは、そういうものです。各国において得意な分野(比較優位のある分野)の商品を供給しあうのが、お互いに豊かになる道であって、個別品目の輸入超過は問題にならないのです。

 だから、ここで一番の問題は、輸出入の赤字/黒字ではなくて、原発再稼働電気は、「300円/kgの小麦粉」なのか、「200円/kgの小麦粉」なのか(再稼動された原発には発電として競争力があるか)、ということなのです。
 ここにおいて国富流出派は、大きな勘違いをしています。“原発は動かしていてもいなくても同じような費用がかかるのだから、追加費用は0円”というのが、国富流出派の大方の主張のようです。
 しかしまず、なんで原発廃止することを考えず、「動かしてなくても同じ金がかかる」ということになるのでしょうか。原発やめれば(廃炉すれば)、原発にかかっている費用は不要になり、まずそこからお釣りが来ます。まあ、当面は廃炉費用に相当な額、取られそうですが。ただし、これは今止めなくてもいずれは払わされる費用であり(廃炉の必要のない原発はないわけですから)、どこかの時点で払うことに変わりはありません。この額は別として考えなければなりません。また、バックエンド問題(使用済み核燃料をどう処分するか、核のゴミ問題)については、早く原発を廃止した方が、その分ゴミが溜まりませんから、当然安くつきます。
 そして、一番間違っているのが「追加費用0円」です。電力会社は“原子力発電では設備費が大きく、燃料費は非常に小さい、しかも、(再稼働しようとしているぶんについては)既に燃料は輸入済み・支払い済みだ(だから、再稼動電気は格安だ「追加費用0円みたいなものだ」)”と説明してきました。

 しかし、原発の運転にも、結構な費用がかかることが明らかになっています。

日本原電発電単価
(朝日新聞西部本社版朝刊 2014年1月20日)

 電力会社の決算書では、いろいろな部門に原発運転費用が分散してしまい(わざとそういう決算書を書くので)、原発の発電コストを突きとめるのは困難ですが、原子力発電専業の日本原電が電力会社に売る電気の価格ははっきりしています。2009年で11.1円/kWhです。火力や水力より高い!!
 朝日の記事内では、“古い原発なので稼働率が上げにくく、割高になる”とか書いてありますが、従前の電力会社の説明なら、原発で最も金のかかる設備費の減価償却は古いので既に済んでいるはずで、割安になっているはずです。いずれにせよ、電力会社自前の原発発電単価より著しく高ければ、(政治的判断がいろいろあるにせよ)、電力会社が日本原電から電気を買うはずもなく、原子力発電の実勢発電単価、11.1円/kWh、このあたりと考えられます。ただし、福島事故前の数値です。
 現在では、当時とは“次元の違う安全基準”とやらが適用されるはずで、安全面で金もかかるはずですし、事故の可能性が現実となった原発運転ですから、無保険運転させるわけにも行かず、相応の保険費用もかかるはずです。

 ということで、原発は再稼働しても「300円/kgの小麦粉」でしかありません何よりはっきりしているのが、福島事故前、原発全盛期において、日本の電気料金は世界的に見て高い電気だったのです。原発再稼働したところで、電力価格問題において、何の助けにもなりません。競争力は最初からなかったのです。

 ただ一点、考慮点は、現在実際に火力発電の焚き増しに使われている古い石油火力発電所の20円/kWhと較べるなら、再稼働した原発の電力でも、ちょっとは安いかもしれない(無保険運転あるいは不十分な保険での運転なら、安いかもしれない、というだけの話しですが)、という点です。
 火力発電所、計画から発電開始まで10年かかると言われるリードタイムがありますから、「その間は原発で」、という論理も成り立ちそうです(繰り返します、あくまで「無保険運転あるいは不十分な保険での運転」の場合に限られます。まともに保険かけたら20円/kWhなんて、簡単に突破します)。
 しかしこれも正しくありません。リードタイム10年は規制緩和によって短縮可能ですし、やる気になれば、実はどうとでも出来るのです。
 東北電力が行ったのが、まずは既存火力発電所へのシンプルサイクルガスタービン発電設備の導入、そして引き続き、発電開始後にコンパインドサイクル発電化をするという段階的方法です。こうした施策が功を奏したのか、東北電力は経営状況改善、先日、3期ぶりの復配を実現しています。東日本大震災のダメージを最も受けた地域なのにです。10年どころか3年、原子力規制委員会の審査結果が出る前に、既に一定の結果を出したのです。原発再稼動がどうのなどと言っているよりも、よほど現実的、効果的です。
 ここに原発廃止で不要になった原発維持・管理費を加えれば、原発再稼働するよりも遥かに経済にプラスの効果(電気料金の引き下げ)を得ることが可能です


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まだやってる“ウソの国富流出論”自体がウソ・・・今度は経産省と茂木経産相だ!!

2014-03-04
 いや、表題の通りで、“ウソの国富流出論”自体がウソでした・・・なにがなんだかもう、滅茶苦茶です。

 「茂木経産相:『原発停止で3.6兆円の国富流出』試算 『3割は相場の影響』」(毎日新聞HP 3月4日)

 経産省や安倍政権は、原発停止で3.6兆円の“国富流出”と言ってきました。しかしまず、現代の経済学で「国富流出」という概念はない(というか、「重商主義の誤謬」として却けられている概念である)ので、「国富流出」なんてこと言い出す経産省、まず悪意丸出しのウソ言っているのですが、そこで示された金額、3.6兆円もウソでした。
 上掲記事によれば「茂木氏はこの中で3・6兆円のうち約3割は資源相場上昇や円安でドル建て価格が膨らんだことが影響していると分析した。この分析に基づけば、LNG(液化天然ガス)や石油などの輸入量増加による純粋なコスト増(国富流出)は2・5兆円程度ということになる」と言ったそうです。
 毎日新聞は続けます「『3・6兆円の国富流出』は政府が原発再稼働の必要性を訴える際に引用されているだけに、茂木氏の説明との1兆円もの差は行政への不信感につながる可能性もある」。“つながる可能性”っていうか、「国富流出」と言った時点で、最初から悪意しか感じませんでしたが(そうそう、これで民主党の仙谷はころりと騙されちゃったわけですが)、どこまでいい加減な計算で国民を騙そうとしているのか、今回の説明で、さらに経産省や茂木、お笑いの次元に突入です。

 これまで、当ブログでは、原発停止以前と以後の化石燃料の輸入量の差を検討して、「それを原発停止の影響と考えれば」という形で、政府発表数値を検討してきました。この計算では、「資源相場上昇」も「円安」も計算から除外されていません。つまり経産省が3.6兆円とソロバンを弾いたのと同じ数値についての計算です。まずこの計算で3.6兆円になるはずがないのです。2.6兆円です。疑いのある方は、当ブログでの計算をじっくりと検討してください→「やっぱりおかしい『原発代替燃料で貿易赤字』・・・新聞社の社説など」。こんなのマクロな数字を追っていけばすぐに分かることです。
 この数字は実際、原発推進派の産経新聞の計算と一致しています→「原発の相次ぐ稼働停止に伴い、火力発電向け燃料の輸入が増えたことがまず一つ。円安で輸入金額もかさ上げされた。この燃料輸入増によって貿易収支は約2兆6千億円悪化した」(msn産経 2014年2月2日)。
 もしここに、「3割は相場の影響」というのを加味すれば、原発停止の影響は2.6兆円×0.7≒1.8兆円になります。な~んだ、2013年貿易収支の赤字11兆5千億円の中の、わずか1兆8千億円ぶんです。後はアベノミクスなんぞの責任です。

 ま、1.8兆円か2.6兆円かは、どちらの時点から見るかという問題でもありますので、(既に燃料相場上昇済み、かつ円安の現時点から見れば結局)2.6兆円という数字も一定の説得力を持つのですが、現時点からの視点というならば、もう一点、考えなければならない要素がありました。2.6兆円というのは、福島原発事故前の原発通常稼働状態と比較しての値です。今、「原発が通常稼働」したとして、2.6兆円の節約効果があるのか、と言えば、そうではありません。なぜなら、福島第一は既に廃炉です。

 「日本維新の会・今井雅人衆院議員は『動くはずのない原発がこれから動くという前提での計算は明らかに水増し』と指摘。/エネルギー基本計画案の試算には福島第一原発の6基の発電量が含まれているので試算の3.6兆円より少なくなるという。/さらにこの3年間で省エネが進み電力消費量が減少していることも加味していない。/今井議員は去年10月時点のレートで計算すると約2.1兆円になるという。」(テレビ朝日[報道ステーション] 要約ブログJCCから

 3.6兆円をベースに計算して、2.1兆円です。2.6兆円をベースにして計算したらいくらになるのでしょうか。現時点から見て、原発の発電用燃料購入量抑制効果は、既にかなり小さい、と言うべきです。
 それに、事故前よりも厳しい安全審査を行ったならば、事故前と同数の原発が再稼働されるというのは理屈に合いませんから、稼働できる原発はさらに減り、節約できる発電用燃料はもっと少なくなるでしょう。
 ・・・11兆5千億円/年の貿易赤字には、焼け石に水ですな~。しかも電気料金引き下げ効果も期待できませんから(福島第1原発まで総再稼働したところで、世界的に見ればメッチャ高い福島事故前の電気料金に戻ることさえできません・・・事故処理費用は無くなりません)、日本の経済を好転させる波及効果もありません。

 「国富流出だから原発再稼働」なんてことより、考えるべきことはもっと他にいくらでもあるでしょう。

 「(2011年に)火力で置き換えた電力量は1694億kWhであったということである。もし燃料費4円/kWhのLNG火力で置き換えれば6776億円ということになる。/ところが2011年度は原発を止めたために3~4兆円の国富が流出したことになっている。つまり上記計算の約5倍以上もかかっている。間をとって3兆5千億円とすれば、原発の代替発電コストはなんと20.66円という計算になる。6776億円ですむはずのところが3兆5千億円かかったのだ。差し引き約3兆円は、国富の流出と言って間違いないのは確かだ。この値段なら、まじめに風力や地熱や中小水力やバイオマスに投資したほうが安上がりなのだ。」(田代克氏ブログ BLOGOSから

 石油火力の場合、20円/kWh程度の発電費用となりますので、原発代替発電コストの数字、まさにぴったりというところです。「国富の流出」という言い方はともかく、これ確かに無駄遣いですね。まじめに他の発電方式に投資すべきです。当ブログとしては、とりあえずは火力が本命で、他の発電方式は、経産省や自民党が言う場合、単に原子力離脱を遅らせるための牛歩戦術と見ていますが。

 いやホント、いろいろ考えなきゃならないことの第一は↓こっちでしょう。

 「焦点:アベノミクス円安効果に誤算、輸出・物価への効果一過性の懸念」(ロイターHP 3月3日)

 記事の中身は表題よりかなり厳しいです。円安政策とったが、輸出増加失敗、輸入品の値上がり以外のインフレ起きず脱デフレ失敗、そして、「円安により海外への所得流出が続く中では、賃金上昇を実現することも難しい」という内容。日本経済、みごとに終わってます。崩壊したアベノミクスからどう立ち直ればよいのか、これ一番考えなきゃならないことでしょう。


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東電、守旧派vs.数土次期会長の闘争進行中!!

2014-03-03
 本日の日経の記事、なかなかに興味深いものです。

 「劇薬飲んだ東電 数土次期会長VS最後の抵抗勢力」(日本経済新聞HP 3月3日)

 昨年12月21日、「東電が50代管理職を福島へ 500人規模、賠償・除染を支援」なんていう記事がありましたが、これもちろん、単なる「肩たたき」や「管理職の若返り策」、ましてや「賠償・除染の支援のため」なんてものではありませんでした。
 「『異動の片道切符を渡されるのは、本店や支店の管理部門ばかりだ、とも聞く』……。原発事故前の東電を動かしていた企画や総務など中枢部門で働く東電エリートたちが、狙い撃ちされている」(3月3日記事)のだそうです。なんでも「選別説が一段と説得力を増した。/東電の要だった企画部長や総務部長の経験者、そして、原子力政策などで政治家や役所とのパイプ役である電気事業連合会に近い幹部社員らについて、『異動は当確』と噂されている」(3月3日記事)とのことです。
 いやはや、組織というのは冷酷なものですから、一時の権勢を誇った連中、組織の方針が変われば、冷や飯食いです。というか、ほとんど追放処分です。なんせ福島に派遣される際には「役職を外したうえ」ですから。
 以前にも数土次期東電会長については、「発電の根幹は火力」「火力で値下げと取り組む」と、あまりにもまっとうな発言をしていたので、当ブログでも取り上げたことがありました。それ単に、天然ボケで言っちゃった、というわけではなさそうです。JFEホールディングスを経営していた時の感覚を、そのまま東電に持ち込もうとしているように見えます。
 しかも今の東電には、数土をもり立てるもう一人のパワー行使者がいるとか。「東電で『影の社長』と言われてきた執行役の嶋田隆。経済産業省のエリート官僚で、有力政治家の秘書官を務めたこともあり、政財界に幅広い人脈を持つ」(3月3日記事)。この人、「嶋田は政府による東電支援の実動部隊、原子力損害賠償支援機構に経産省から出向。機構で実務のトップを任されると、東電の実力会長である勝俣恒久らと激しくぶつかりながら、実質国有化や経営陣の刷新を実現させていった」(3月3日記事)のだそうです。
 日経の記事は記します、二人の関係は強固で「嶋田は今や東電改革を『エネルギー再編の起爆剤にしよう』という意志を隠さず、数土と嶋田は『東電を変える』という点で一致している」(3月3日記事)そうです。

 そりゃあ、2016年には電力小売り自由化という閣議決定もありますから、“割高な原子力発電で電気料金をつり上げていれば儲けガッポガッポ”なんて経営していれば、安い新電力との競争に敗れ、あっという間に行き詰まることは火を見るよりも明らかですから、東電に派遣された者としては、なんとかしなければならないでしょう。

 ただしもちろん、守旧派の反発は強く、(数土の指示した)東京ガスとの発電提携構想など、サボタージュ行為でぶっ潰しているそうです(3月3日記事)。

 なるほど~、当ブログでは“最近の東電、福島原発の面倒を見てるのがイヤになっちゃって、自爆テロしてんじゃないか”と書いてきましたが、この内情を知ると、もう一つの「自爆テロ・シナリオ」が見えてきます。たとえ誰が起こした事故・不祥事でも、ひどけりゃトップが責任を取らざるをえない・・・“数土や嶋田を一掃するため汚染水漏洩”、という可能性がありますね。福島に“流された”守旧派幹部、後ろで糸引いたりしてないだろうな!!


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放射線量急上昇!? いや、無茶苦茶度急上昇・・・エネルギー基本計画

2014-03-02
 日曜日ということで官庁や企業からの情報発信は極小、メディアも不活発なので、ちょいとモニタリングポストなど、どうなってるかな、と・・・

宮城県20140302b
(「新・全国の放射能情報一覧」から・・・以下の図も同じ)

 ありゃ、なんかグングン上昇しています。ヤバ!!
 で、とりあえず、もっと長期的に見てみると、

宮城県20140302M

 なるほど、これはたぶん、大雪で遮られていた放射線が、雪が溶けるとともに再計測されるようになってきた、ということのようです。
 宮城県では、まだ雪が残っているんじゃないかな?? 群馬県では雪溶けきって、完全復旧といった感じです(いや、復旧しても全然嬉しくないが・・・)。

群馬県20140302

 こんな、しょっちゅう放射線量を気にしてなければならないような国に、誰がした!! と、何百回・何千回・何万回めかの嘆きを繰り返しながら、やっぱ焦眉の問題は「エネルギー基本計画」だよな~、と、ひとしきりGoogle。原発維持派の人間でも、経済学的分析をしてる人間なら、当ブログと基本的認識を共有せざるをえないことを確認↓

 「『経済性』ではなく『選択肢の継承』が主論点/原発行政に求められるわかりやすさと謙虚さ――井熊均・日本総合研究所創発戦略センター所長 」(ダイヤモンド・オンライン 2月14日)

 井熊氏の論点は、燃料調達のリスク削減のために、化石燃料以外のエネルギー源は必要で、まだ再生可能エネルギーは間に合っていないから、選択肢として原発を残す必要がある、というものです。ま、この主張については、後から検討するとして、注目に値するのは、彼が議論展開する際の前提条件です。第2節の節題です→「必ずしも安くない原発の発電コスト/安全対策や賠償が大きな負担に」。
 彼は原発の発電コストを検討した後に、記します、「つまり、原子力発電が停止したことにより3兆円余の国富が海外に流出していると言うのであれば、同じくらいの規模で、原子力発電の安全対策や賠償などのために国家財政や電力会社の財務が毀損されていることになる」。
 かくして、原発に経済性は認められない、というのが、彼の診断になります。当然の結論でしょう。
 ただし、一点だけ、彼は原発の利点を認めます。「燃料調達のリスク低減という意味では原子力発電には強みがある」、そして「原子力発電をエネルギー政策に位置づけることはエネルギーポートフォリオを強化する意味がある」と。しかも、核燃料サイクルの可能性も、この意味では、他の燃料にない利点だ、と。
 燃料調達リスクと原発事故リスクを天秤にかけたら、そして核燃料サイクルの膨大な不経済を考えたら、そんな結論、出しようがないだろ、というのが当ブログの考え方ですが、彼は、こういった事故懸念が払拭されるまで、政府は安全対策を進める必要があるとします。そして彼が出すエネルギー政策への提言は次のようになります。

 「(政策立案の選択肢として原発を取り上げることが可能になるために)原子力政策については改めるべきところは改め、国民の理解を得るための真摯な政策姿勢を表明するべきである。/・・・略・・・規制委員会による安全対策が事故前とは次元の違う厳格なものであるなら、安全性の確保が難しい原子力発電所が出てくるのが自然である。そうであれば、政府が先行して進めるべきなのは安全性の確保が難しい原子力発電の停止である。/・・・略・・・再稼働より停止を優先するのは、政治、行政、電力業界などで大きな軋轢を生むだろう。しかし、そうした軋轢を関係者が乗り越えて見せることが国民の信頼につながる。」(上掲記事最終ページから)

 少なくとも現状で安倍政権は、審査落ち原発の処理(そういった原発が存在するかを含めて)に関して何の言及もしておらず、全く信用出来ない状態にあります。そうである以上、彼の議論から言えば、原発を政策論議の俎上に載せるのは困難であるということになるでしょう。彼はそこまで、はっきりとは書きませんが。
 かくして、彼のエネルギー基本計画における原子力の位置づけは、次のようになります。

 「こうした一連の対策(審査落ち原発の停止など)が実ったとしても、原子力発電がベース電源と呼ぶに相応しい信頼を回復するには相当な時間を要するだろう。その意味で、今般のエネルギー基本計画において許されるのは、『ベース電源となり得る可能性を検討する』、という位置づけがせいぜいではないか。」

 そうでしょ、原発を擁護しようとしても、このあたりが限界でしょう。
 経産省・安倍政権、“原発は重要なベースロード電源”とかいう無茶苦茶なエネルギー基本計画案、取り下げろ~。


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