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【Cs137の降下】大飯原発・美浜原発・敦賀原発だったら

2014-05-31
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は福井県原発銀座から大飯原発・美浜原発・敦賀原発です。1枚目は福島事故のシミュレーション図を大飯原発の位置に移動後、-40度、回転してみたものです。2枚目は、美浜原発の位置に移動後、-60度、回転してみたものです。3枚目は、敦賀原発の位置に移動後、-140度、回転してみたものです。

Cs大飯-40

 近隣県の県庁所在地、名古屋市は、市の全域となるかどうかはわかりませんが、一定部分、避難地域に指定されそうです。一方、津市は、日本の緩い避難基準では、なんとか避難地域指定とならずに済むかどうかというぎりぎりの位置のようです。ただし、50000~100000MBq/Km^2程度汚染される黄色の領域は市域に到達しており、それに応じた健康被害を想定する必要がありそうです。


Cs美浜-60

 岐阜市はほぼ全域、避難地域指定されそうです。


Cs敦賀-140

 福井市については、コメント不要でしょう。金沢市では一部、避難地域指定されそうです。



・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。

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どこまでやる気ないんだ鹿児島県、川内原発の避難計画立てようなし!!

2014-05-30
 29日、鹿児島県は川内原発事故の際の避難シミュレーションを公表したとのことです。

 「9割避難、最大28時間 川内原発30キロ圏 鹿児島県想定」(朝日新聞HP 5月30日)

 上の見出し、まずは「9割」に注目する必要があるようです。記事によると、他原発・他県の同様のシミュレーションでは、「全員」が避難する時間を計算しているとのこと。鹿児島県の言い分は、「アメリカ式だと9割」だそうです。
 でもって、関連記事です↓

川内やる気なし2
(朝日新聞5月30日西部本社版朝刊)

 発表した資料「わずか4枚」で、「市町別時間なし」です。
 要するに、「川内原発が事故ったら、ま、適当に逃げてね。県は県域でのシミュレーションだけしたから、あとは市や町で勝手にやってちょうだい。なんてったって、業者にシミュレーションを発注しただけだからぁ、具体的なことは県はわからないわけぇ。つまりぃ、避難は市や町の責任ということでね、ね」ということです。
 いや~、私のお隣り、玄海原発の方も凄かったけど(「放射能雲への突撃/玄海原発3県合同避難訓練」)、こりゃあ50歩100歩くらい違うわ。(いや、何が言いたいかって、どうせ役に立たない避難計画なんで50歩100歩なんだけど、多少の形くらいは整えようという姿勢が倍くらい違うと・・・バキッ☆/(>_<;) )

 こりゃ、当然↓こうなる。

 「川内再稼働差し止め求め仮処分申請 停止訴訟の原告住民」(朝日新聞HP 5月30日)

 原子力規制委員に原子力ムラの利権まみれドロドロの大御所中の大御所みたいの連れてきて、河野太郎に噛み付かれても、「なんのこと」とバックレて取り合わず、ひたすら原発再稼働に突っ走る安倍政権=原子力ムラ政治部と、その地方支部・鹿児島県、もう何の体面取り繕いもせず、強引モード全開です。
 手抜き審査、手抜き安全対策、とくれば、事故が発生しなほうがおかしい、のですが、そこへもってきて、手抜き避難計画です。こりゃあひどいことになるぞ~怒!!


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5ヶ月前の状況までしかわからないストロンチウム・・・福島第1汚染状況

2014-05-29
 福島第1原発の汚染状況について東京電力がやっている定例の報道発表、本日発表ぶんにはストロンチウム90(Sr-90)についての新規発表数値が大量に含まれていました。

Sr-90元
東京電力プレスリリース 5月29日から)

 表の一番下の段、太枠で囲われた所が、本日新規発表数値です。上に挙げたページだけではなく、全9ページに渡る発表となりますが、黒枠は全部一番下の段です。つまりSr-90についての測定結果が大量に出てきました。
 Sr-90の測定には手間暇がかかるため、昔採取されたサンプルの計測結果が、だいぶ時間が経ってから出てくるのは、ある程度しょうがないところで、こうなったのでしょう。でも、昨年9月5日採取サンプルの計測結果も今回が初出というのは、もうちょっと何とかならなかったものか・・・
 で、今回発表の最新サンプルの採取日が昨年12月25日です。5ヶ月前の状況までしかわかりません。これはしょうがないのかなぁ・・・

 ということで、汚染濃度の高いのが、観測井戸No.1-2と、1-16です。

サンプル採取日 No.1-2 No.1-16
9月5日 1,000,000
9月16日
9月26日 580,000
10月7日 180,000
10月14日 890,000
11月11日 600,000
12月9日 1,400,000
(単位 Bq/L)

 一応グラフにしておくと次のようになります。計測漏れの日が0にプロットされてしまうので、ギザギザになってしまい、良いグラフではありませんが。

Sr-90.png

 No.1-2については、他のプレスリリースを見ると「地盤改良に伴う薬液注入の影響によって、現在試料採取を行えない観測孔」とされています。その後どうなったか、わからない井戸ということになります。
 No.1-16は、今回発表データの範囲では、Sr-90増大中で、140万Bq/Lに達しています。その後5ヶ月、どうなったんでしょう?? ただ、この井戸の5月22日の全β線、760,000Bq/Lですから、140万Bq/Lを記録した時の全β線150万Bq/Lの半分ほどということで、それにあわせて低下していることを期待しておきましょう(半減したところで、ひどい高濃度汚染であることに違いはありませんが)。

 いや~、しかし、ヤバいです。周知の通りSr-90は骨に蓄積されます。井戸で検出されたということは、当然、環境に広がり、海水にも広がり、カルシウムを取り込む生物たちが回収し、魚が食い、濃縮されて、人間に戻ってきます。
 港湾口「1.1Bq/L」(12月24日)と、今回発表データではなっています、Sr-90。


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原子力規制委「格納容器破損で100テラベクレル放出」想定、福島じゃ17,000~20,000テラベクレル放出なのに・・・

2014-05-28
 原子力規制委員会の発足以前から当ブログでは注目していた島崎委員長代理、クビになりました。

島崎氏クビ
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月28日)

 このごろ審査姿勢が甘くなってきていましたので、何かあったなと思っていましたが、昨日の報道ステーションでは、かなり厳しい圧力がかかっていたとのこと。結局、クビです。
 いよいよ、安倍政権、原発再稼働に本腰です。

 で、原子力規制委員会、どこまで壊れたかな、というところなんですが・・・・・・本日、規制委のHPに掲載された「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について(案)」です↓。

100TBq.png
原子力規制委員会HP掲載資料

 原子力規制委員会が考えている「炉心損傷・格納容器破損事故」の規模、セシウム137が100テラベクレル、他の元素はそれに対応した量が放出、だそうです。
 これは大笑いです。

 「1万7千~2万テラベクレル放出 福島原発事故でセシウム137」(47NEWS=共同通信 5月9日)

 福島第1原発事故で放出されたセシウム137が17,000~20,000テラベクレルと推定されています。原子力規制委員会の想定している事故はなんと、その1/170~1/200。
 福島原発事故が酷い事故だと言っても、破損原子炉内の放射性物質のせいぜい2.8%しか放出されていません。チェルノブイリでは、20~40%放出されました。つまり、福島原発事故より悪い状況なんて、簡単に発生し得ます。

 でも原子力規制委員会が想定しているのは、福島事故の1/170以下の規模です。
 あまりにばかばかしくて笑いが止まらず、腹の皮がよじれます。

 原子力規制委員会、完全に壊れています。というか、頭おかしいんじゃないか。そもそも福島原発事故の教訓の上に設置された委員会なのに、何で事故想定、その170分の1の規模になっちゃう!? 「安全神話」も何も、ただのバカだろ、学習能力ゼロ。


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計算してみたら怖すぎる!! ホットパーティクル

2014-05-27
 昨日のホットパーティクルのリンク先を読んでみると、福島事故で放出されたホットパーティクルの正体、いろいろ説明してあります。で、これで被曝するとどうなるか、計算してみました。(計算そのものは無理があるものですが、結果は気に懸けるのに十分なものだと思います)。

ホットパーティクル
nature.comからスクリーンショット)

 ↑ホットパーティクルの一粒(写真のよりも小ぶりな直径2μmのもの)の発している放射線量は1.4Bqだったと書いてあります。内訳はCs134が0.78Bq、Cs137が0.66Bqとのことです(1.4Bqというのは、四捨五入して切り捨てたものでした)。
 で、今回のケースでは、セシウムが人間の代謝経路に入るわけじゃなくて、体表面(鼻の粘膜とか肺胞の表面とか)に付着するわけですので、よくある内部被曝の換算係数なんては使えません。体表面・外部からの直接被爆です。
 外部からの直接被爆を計算するには↓こんな式になります。

実効線量外部被曝
(『放射線緊急事態時の評価および対応のための一般的手順』 より85頁)

 なんか複雑ですが、まずは直接体表面に付着ですから「遮蔽を無視するためには遮蔽厚dをゼロに設定する」ということで、(0.5)のなんたらかんたら乗の部分はあっさり「1」とさせていただけば、話はまあ、簡単で、被曝期間をT時間として、

 Cs134   実効被曝線量 = {(0.78×10^-3)×(1.6×10^-7)×T}/(1×10^-6)^2
 Cs137   実効被曝線量 = {(0.66×10^-3)×(6.2×10^-8)×T}/(1×10^-6)^2

 となります。え~、ここで、線源からの距離Xをどうしようかなと思ったのですが、ゼロじゃ計算できませんので、直径2μmの球の中心が仮想線源ということにして、距離Xは1μmにしてあります。なお、(1.6×10^-7)と(6.2×10^-8)は、上の式のリンク先の88頁にある表E1に書いてある換算係数です。
 これを計算すると、次の式が得られます

 総実効被曝線量(Cs134+Cs137) = 1288.9 × T (mSv)

 つまり、ホットパーティクルが付着した場所の細胞の被曝線量は、1時間あたり1.3Svほどということになります。なんと、これはもう全然、低線量被曝なんてもんじゃないじゃないですか。ホットパーティクルによる被曝を考える場合、「被曝致死量」なんて概念、無意味ではありますが(全身被ばくした時の値ですから)、でも、ま、「被曝致死量」とされるのは、とりあえず6~7シーベルトです。ですから、数時間もすればこの細胞、たぶん死にます。
 で、細胞が死んだってホットパーティクル、別に都合よく排出されるわけじゃないでしょうから、今度は次にくっついたお隣の細胞を被曝死させるでしょう・・・。で、どうなるんだ??

 昨日、当ブログ記事に「えまのん」さんからコメント頂きました

 「『鼻の粘膜のマイクロ・ホットスポット』説が正しいと仮定するならば、同様にポワソン分布にもとづいて『肺まで達して肺癌発生』やら『眼球付着で眼の毛細血管負傷からの出血』の率も増加するはずではないでしょうか?/鼻血以外、とくに眼球出血という鼻血以上に目立つ特殊な状況が増えたという話も聞きませんので、『鼻の粘膜に着いた何か』が原因としても、それはマイクロ・ホットスポットになるような放射性物質ではなく、PM2.5のような非放射性物質の微粒子であると考えるのが妥当では?」

 後半はまさに、いろいろと取りざたもされているし、昨日・本日と当ブログでも書いているホットパーティクル説のことだと思います。ポアソン分布の話、別にホットパーティクルの散布の話としても、別に同じことなので、微粒子かポアソン分布かという話が対立しているわけではないと思います。問題があるとすれば、鼻の粘膜への異物の粘着というメカニズムを考えると、他の部位と同列に分布を考えることができなくなりますので、そこに問題があることになります。もともと鼻は、肺に異物を入れないためのゴミ取り場ですから、眼球よりも多くホットパーティクルを集めそうです。呼吸量もバカになりません。(ただこの場合も、何人の人にどの程度の量が付着するのかという統計的分布と考えると、やっぱりポアソン分布は有効のはずです)。
 で、まさに考えなきゃいけないのは、コメントの前半です。「『肺まで達して肺癌発生』・・・の率も増加するはずではないでしょうか?/・・・鼻血以上に目立つ特殊な状況が増えたという話も聞きませんので」の所、これでいいんでしょうか?? ホットパーティクルがくっついた細胞そのものは死にそうですが、そこからちょっと離れた細胞、死なない程度に被曝してガン化しないでしょうか?? で、1個や数個のガン細胞が増殖して、ガンとして認識されるサイズになるまでには、どのくらいの時間がかかるのでしょうか??

 チェルノブイリでは、5年後からガンを含む、様々な病気が急増したという話はよく知られたところです。「鼻血以上に目立つ特殊な状況が増えたという話も聞きませんので」というのは、「まだ聞きません」というだけのことかもしれません。
 ホットパーティクル“地獄玉”を多量吸い込んでしまった人々が、恐らくは大量にいます。国は「美味しんぼ」の鼻血を否定することに血道を上げるなどというバカなことをするよりも、他にすべきことがあるはずです。福島事故の被爆者、特にホットパーティクル被爆者について、全力を挙げて医療調査・対策を行うことを考えるべきです。

 ちなみに、本記事で取り上げているnatureの論文にはホットパーティクルの放出状況地図も掲載されています。

ホットパーティクル地図s
nature.comからスクリーンショット)

 実は数行前、「福島の被爆者」と書かず「福島事故の被爆者」と書いています。この地図を見れば、そう書かざるをえない理由が明白と思います。ホットパーティクルの場合、環境で観測される放射線量値が低いというのは、単にホットパーティクルを拾う確率が低いということを意味するに過ぎません(“低線量被曝”になるわけではなく、あくまで“地雷を踏むか踏まないか”です)。上でやった計算が真実の1割でも捉えていれば、一旦吸入してしまったホットパーティクルは、高線量被曝線源として体内に存在し続けることになります。


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降り積もる放射性物質・・・福島第1原発

2014-05-26
 本日の東京電力のプレスリリースからです。

降下物201405
東京電力発表資料 5月26日

 福島第1原発で降り積もる塵「降下物」、環境管理棟では、Cs-134が53Bq/m2、Cs-137が150Bq/m2となっています。これがどれくらいの被曝かというと、

 実効線量=降下量×換算係数

 という、ありがちな換算式で計算されるようです。ここで、国際原子力機関(IAEA)が示した換算係数は、降下量1Bq/m2当たり、

 Cs-134  0.0000051mSv
 Cs-137  0.00013mSv

 です(青森県境保全課の資料から)。つまり、1ヶ月の降下量が上の資料の通りですから、フクイチ環境管理棟では1ヶ月あたり、

 Cs-134  53Bq/m2 × 0.0051μSv ≒ 0.27μSv
 Cs-137  150Bq/m2 × 0.13μSv ≒ 19.50μSv

 を被曝することになる・・・ということで、降り積もる埃から、合計19.77μSv/月の被曝ということになります。
 12を掛けて年間に換算すると、237μSvということになります。普通の人の年間許容放射線量、1mSv=1000μSvと比較しても低いので、電力な人たちには十分に許容される値でしょう。
 でも、事故直後はどんなだったのでしょうか?? 残念ながら、現在の形式で発表された資料は東電HPを検索する限り2012年4月のものになりますので、事故直後の様子というのはわからないのですが、とりあえす2012年4月の数値は↓

降下物201204
東京電力発表資料 2012年4月17日

 つまり、

 Cs-134  2000Bq/m2 × 0.0051μSv ≒ 10.2μSv
 Cs-137  2800Bq/m2 × 0.13μSv ≒ 364μSv

 合計374.2μSv/月ということになります。年間なら4490≒4.5mSvの被曝相当ということになります。これが事故から1年経った時点での状況です。

 ということで、福島で生活していた人たちの降下物からの被曝量はどんなものだったのでしょうか??
 写真家、森住卓氏のブログのスクリーンショットのごく一部です(「引用」の範囲にしたいので、ごく一部です)↓

親指
森住卓氏のブログから引用)

 森住氏が、酪農家の手袋を、放射線が映るように工夫して撮った写真の親指の部分です。光っているのが、放射線です。ポツポツになっているのはホットパーティクル(“地獄玉”とも呼ばれる)のように思えます。ブログには手袋の全体像はもちろん、何枚も写真が掲載されていますので、もしまだ見ていない方がいらっしゃったら必見です。
 
 圧倒される写真、写真、写真です。

 こんなもんが塵として風に舞い、降下する福島、鼻血くらい出るでしょう。


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福島原発事故は最悪事態じゃない

2014-05-25
 「福島事故はラッキーだった」と書くと、怒られそうですが、少なくとも菅(当時)首相が示された、いわゆる「最悪シナリオ」と比較すれば、被害は甚小(こんな言葉、ないか・・・)で済んだわけです。
 このことの意味、もっと重大に受け止められるべきではないでしょうか。なぜなら、我々が原発事故のことを考える際、反射的に福島事故を思い浮かべ、それを被害最大のケースと想定していることが多いように思うからです。
 本日の朝日新聞の浜岡原発特集から一部です↓

浜岡b3
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月25日)

 このシミュレーションでも、福島事故の規模が想定されています。
 いや、こんなこと書くと、「福島事故の重ね合わせ図をせっせと作っているお前が言うな、先入観作っているのはお前もだろ」と言われそうで怖いのですが、話にリアリティを持たせようと思うと、どうしても現実にあったケースを話の出発点にするほかなくて・・・ゴニョゴニョゴニョなんですけど、とにかく、事態はもっと悪いものでもありえたわけです。

放出量b
wikipediaからのスクリーンショットに書き込み)

 チェルノブイリと比較すると福島は、セシウム137なら、放出割合、20~40%に対する2.1%、つまり、1/9.5~1/19です。原子炉が、チェルノブイリなみの壊れ方すれば、現在の汚染状況の9.5倍~19倍、放射性セシウムが放出されていたことになります。
 なお、このwikipediaの記事は、セシウム137の放出量が1万5千テラベクレル程度と推定されていた時のものですので、

 「1万7千~2万テラベクレル放出 福島原発事故でセシウム137」(47NEWS=共同通信 5月9日)

 最新の知見から言うと、もう少し(かなり)多く放出されているようです。しかし、2万テラベクレル放出でも、2.1%が2.8%だったというだけの話で、これでも、最悪事態にはほど遠いことになります。
 ここで、さらに言えば、チェルノブイリさえ、ある意味ではラッキーであったことになります。放出されたセシウム137は、20~40%で済んだのであって、これが80%とかだったら、もっと大きな事故でありえたわけです。いや、既に現在ではチェルノブイリよりひどいと評価される福島なんて、1~3号機ドッカンですから、そのチェルノブイリ(爆発したのは1基だけ)より、さらにおおごとです。で、実際、その危険があったからこそ、菅(当時)首相は、最悪シナリオを受け取ることになったわけです。
 “あの福島事故が最悪なのではない”、我々はこれを肝に銘じておく必要があるでしょう。

 大飯原発運転差し止め判決、“250kmまで原告適格”というのは、当然の話です。


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【Cs137の降下】高浜原発・大飯原発だったら

2014-05-24
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は福井県原発銀座から高浜原発と大飯原発です。1枚目は福島事故のシミュレーション図を高浜原発の位置に移動後、90度、回転してみたものです。2枚目と3枚目は、大飯原発の位置に移動後、25度、および、-5度、回転してみたものです。

Cs高浜90

 近隣県の県庁所在地、鳥取市は、日本の緩い避難基準では、なんとか避難地域指定とならずに済みそうです。ただし、50000~100000MBq/Km^2程度汚染される黄色の領域は到達しており、それに応じた健康被害を想定する必要がありそうです。


Cs大飯25

 神戸市、大阪市ともに、日本の緩い避難基準でも、かなりの範囲、避難地域指定されそうです。


Cs大飯-05

 京都市、大津市については、コメント不要でしょう。奈良市でも一部は避難地域指定されそうです。



・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。

大飯原発・高浜原発には、適切な地震の記録がない!!

2014-05-23
 大飯原発運転差し止め判決後、関西電力の八木社長が初めて記者会見し、自身の口で、控訴で争う意向を表明しました。

関電イカン
時事通信HP 5月23日

 昨日の読売新聞社説は、差し止め判決を次のように批判していました↓、

 「昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい。/・・・略・・・/非現実的な考え方に基づけば、安全対策も講じようがない。」

 現在の地震学の水準では、まともに地震予知ができないのだから、科学に依ったってムリなものはムリ、という判決部分も読まずに、「非現実的な考え方」と、判決を批判するのですから、何言ってるのか、なんですけど、実は、関西電力ってのは、読売新聞の期待も裏切って、(判決でレベルが低いとされた)現在の科学の水準にさえ、追いつけていません
 平成26年度・第8回・原子力規制委員会(5月21日)議事録からです↓

 「(島﨑委員長代理)それでは、高浜発電所、大飯発電所に関して、地震動の審査状況について御報告いたします。/この欄にありますように『敷地及び敷地周辺の地下構造』、ここから審査が始まるわけですけれども、通常のサイトですと、これまで地震計の記録がございますので、敷地の中に複数の地震計の記録がある場合には、お互い比較をすることによって、ある特定の方向からの地震に対しては、ある地点が大きく揺れて、ほかの地点が揺れないとか、そういった特異な地下構造を示すような地震の記録がないかどうかをまず見ていくことから始めるのですけれども、大飯発電所、高浜発電所に関しては、適切な地震観測を行っておりませんでしたので、そういった地震記録がございません。」(第8回原子力規制委員会議事録 8ページ

 それで今、レイリー波だとかラブ波だとかを観測して、地下構造を検討中だそうです。
 まともな地震記録の残ってない原発の方がよほど「非現実的」で「安全対策も講じようがない」と思いますが。

 関西電力、控訴審で争うも何も、「通常のサイト」でやっている程度の地震計測体制も組んでないで再稼働をしようというその厚顔ぶり、というか、安全意識の低さ、こんな会社が原子炉を運転するなんて、問題外です。


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大飯原発差し止めと、それを横目に蠢く奴ら

2014-05-22
 強烈な一発でした、「大飯原発運転差し止め訴訟」。大飯原発の運転を禁止した、福井地裁判決(ダウンロードはここから可能→「原子力資料情報室」)、その内容、とにかく凄い。
 どこをどう見ても、あちこち凄いのですが、多くのブログさんからコメントがあるでしょうから、当ブログとしては、とりあえず一点だけ。

 「しかるに、我が国の地震学会においてこのような規模(注: 1260ガルを超える規模)の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。・・・略・・・したがって、大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。」(判決文44-45頁)

 言った~!! 何が重要かといって、要するに裁判所は、個別の事実の判定もするけど、その上のレベルからの判定もするんだ、という点です。断層がどうのこうのだとか、冷却水がどうのこうのとか、裁判所は、個別“専門的”な議論の審議もするけど、それはあくまで専門分野における論争に過ぎず、裁判所の判断するポイントはその上にもあるのだ、とピシっと言ってのけたのです。
 個別的議論は結局、その分野の専門的知識による判断となるわけですから、どんなすごい専門家であろうと、専門家が依って立つ、その分野の専門的知識そのものが不十分なものであれば、信用に値しないのです。「そもそも地震学は、地震予知できてないじゃないか。地震の専門家がどういう判断を下そうと、信用に値しない」と、判決に書いちゃいました。
 実際日本では4022ガルという振動が計測されたり、1699ガルという推定がなされたケースがある以上、既存の知識だけを頼りに基準地震動を定めて、それ以上の振動は考えなくて大丈夫なんて、そんな楽観的なやり方、多くの生命の危険を伴う原発の運転規定として、あり得ないだろう、としました。
 マネージャー・管理運営者(ここでは裁判所)は、その分野の専門家である必要はなく、専門家たちのパフォーマンスを評価できれば十分、というのは組織運営の常識で、それを言い直しているだけのこととも思えますが、この場面で、裁判所の言葉としてこう表現されると、すげ~!!

 はっ、は~、この判決を見て、読売新聞はヒステリックなレベルに突入です↓

 「大飯再稼働訴訟 不合理な推論が導く否定判決」(読売新聞HP 5月22日)

 「『福島第一原発の事故原因が確定できていない』ため、関電は、トラブル時に事態把握や適切な対応策がとれないことは『明らか』とも一方的に断じた」って、これ当たり前の話じゃないですか。だいたい、吉田調書の一部が暴露されただけで、まだまだ考えなきゃならない問題がいっぱいあることが明らかになったのが、ここ数日の朝日新聞報道の結果なんですけどね。そもそも“身の危険を感じた原発運転員が逃げちゃって、事故対応ができない”なんて、これまでの議論になかったわけです。それよりも明らかなのが、どこが壊れたかわからない段階で、地震・津波対策なんて、できるはずないということでしょう。地震で揺れそうな所(のどこ)を補強すればいいのでしょうか、津波で水かぶりそうなところ(のどこ)を対策すべきなのでしょうか?? 原因究明しなきゃ、わからないじゃないですか。事故原因の究明は、次の事故対策を行う上での基本であって、「一方的に断じた」もなにもないでしょう。あまりにあたりまえだから、そう書いただけです。で、そもそも津波だったんですか、地震だったんですか、原子炉破損の原因??
 「昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい」って、その科学の実力自体を不十分と評価したのが判決なんですけどね。“実際のパフォーマンスとして、地震学は予知に成功していない”、という判断、どこがおかしいんでしょう?? 判決は、科学の内側から夜郎自大に地震予想の妥当性を評価するのではなく、外部から客観的にその分野の科学のできを評価したのです。それに対して「科学的知見に乏しい」って、バカじゃないか。

 まあ原発推進派は、高裁に手を回して、どうせいろいろ工作するのでしょう。やれやれ、です。


 本日はこのほかにも、ちょっといろいろ書いておかなければいけないことがまだありますので、以下、多少。

 「原子力事業者から3千万円も 研究で規制委審査委員6人」(47NEWS=共同通信 5月22日)

 審査委員、東大の関村直人教授、三菱重工業などから計3277万円を受領。審査会長を務める田中知東大教授は、日立GEニュークリア・エナジーなどから計110万円受領したほか、東電関連団体から50万円以上の報酬獲得です。
 何が「科学的知見」でしょう、要するに買収して、原発にGOサイン出させてるだけじゃないか。
 でも、こんな金、電力にとっては、はした金です。

 「東電に1759億円交付 原賠機構、累計4兆円超」(47NEWS=共同通信 5月22日)

 国に出させた賠償金、こんな額です。ま、「原子力発電が安い」なんて、一発で吹っ飛びます
 で、もう一発。

 「原電、電力販売ゼロでも大幅増益 14年3月期」(47NEWS=共同通信 5月21日)

 原子力発電専業の電力会社、日本原子力発電(原電)、またまた、発電してないのに「基本料金」とやらで、1258億円せしめました。要するに原電の持っている原子炉3基の維持費ですから、日本全国の原子炉48基の維持費は、おおざっぱに推計すれば、

  1258億円×(48基/3基)≒2兆円

 ということで、現在、原発の維持に無駄金、年2兆円くらいでしょうか。

 これじゃあ、電気料金も上がるのが当たり前。顧客は逃げますので、なんとかしなければ~、で、↓

 「東電、秋から全国販売 完全自由化にらみ越境」(47NEWS=共同通信 5月22日)

 なんと、中部電力、関西電力に続き、東京電力も、子会社を設立して、地域外で電気販売です。「地域の大手電力より安い価格で電力を販売する」そうです。
 いやいや、“ちょっと待て”です。電気料金、認可価格って、何だったのか。自分の地域じゃ高く売りつけて、地域外では安く売る、っていうんじゃ、何のための行政措置だったのか。単に電力会社儲けさせるためだけだったのが明確です。経産省、電力会社には、天下り先やらいろいろ、さぞかし便宜を図ってもらったことでしょう。

 まったくもう、アッタマ来るなぁ!!

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メディアによる情報操作の実態・・・「貿易赤字最大の原因は原発停止」は本当か??

2014-05-21
 まったくメディアというのは、どこまで平気でウソをつき続けるのでしょう。今月も来ました。

 「4月の貿易赤字20カ月ぶり縮小 増税反動で輸入増が鈍化」(47NEWS=共同通信 5月21日)

 この記事で挙げられている貿易赤字の原因は「貿易赤字は22カ月連続。原発停止に伴う火力発電燃料の輸入が引き続き高い水準となり・・・」ということで、また原発代替燃料が強調されています。
 NHKでは↓

 「貿易赤字22か月連続 最長を更新」(NHKホームページ 5月21日)

 こちらの記事では、記事の出だしが「先月の日本の貿易収支は、円安の影響でLNG=液化天然ガスの輸入額が膨らんだことなどから8089億円の赤字となり」です。円安の影響をまず指摘し、「原発」と書かないだけまあ、かつてよりマシとは言えますが。
 実は今回、一番面白かったのが読売新聞です。まず、「9時23分」に掲載された記事のスクリーンショットです。

読売20140521a

 「貿易赤字は22か月連続で、最長を更新した。/自動車を中心に輸出が増加したが、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの輸入が大きく上回った。」と、お決まりの原発代替燃料悪玉説への誘導文句となっています。
 ところが、これが、3時間ほどで改稿されます↓

読売20140521b

 みごとに燃料赤字は消え、貿易赤字が縮小したことが指摘されています。ま、あんまり赤字ばかり書いているとアベノミクスのダメダメぶりが目立つとでも考えたのでしょうか。はてさてこの記事、今はどんなことになっているでしょうか??→「4月貿易赤字、8089億円…22か月連続赤字」(読売新聞HPへのリンク)。

 さて、お笑いはこの辺として、今回発表の最重要点は、これまでの赤字増大一直線がちょっと変調をきたした(貿易赤字が縮小した)ことでしょう。それは読売新聞の↑後の方の記事が伝えるとおりです。
 で、その原因ですが、実に簡単です。「前年同月比:6.7%の円安」(「平成26年4月分貿易統計(速報)の概要」財務省 5月21日)と今回発表には書いてあります。なんと、6.7%です。先月発表には「対前年度比:21.1%の円安」と書いてありました。
 なんのことはない、毎度、前年同月比20%前後となっていたアベノミクスの円安政策も行くところまで行っちゃって、もう限界、で、6.7%です。つまり、そろそろアベノミクスも打ち止めになってきたので、貿易赤字の増大も打ち止めになってきたというだけのことです。円安の貿易赤字効果については、こちらをご覧ください→「オツムの弱いメディア達『原発代替燃料で貿易赤字』のウソ2013年度版・・・元凶はアベノミクス」。

 ま、というところで、貿易赤字の元凶ははっきりしているのですが、「でも、原発代替燃料輸入は、やっぱり多いだろ」とか、こだわる輩もいることですので、以下、一応指摘しておきましょう。
 原発停止前の直近年同月ということで、2010年4月と、今回データを比較します。
 まず、原発代替燃料費の推定です。

 品名  2010年4月(a)  2014年4月(b)  差(b-a)
 原油及び粗油  数量(千KL) 19,740 15,846 -3,894
   〃  価額(百万円) 917,917 1,117,000 199,083
 液化天然ガス  数量(千トン) 5,522 7,212 1,690
   〃  価額(百万円) 287,303 645,279 357,976
 (貨幣レート)  円/ドル 92.55 102.43
(データ数値はこちらから・・・2010年貿易数値2010年貨幣レート2014年貿易数値2014年貨幣レート

 石油の使用用途を見れば、2010年の発電向けは5.5%(リンク先137頁)、2014年は15.0%程度と推定されます。その差、9.5%ほどを、原発停止の影響と考えると、
  1,117,000百万円×9.5%=1,061億円
が、原発停止による原油輸入増加額
となります。
 液化天然ガス(LNG)については、輸入増はそのまま原発停止の影響として、
  645,279百万円×(7,212-5,522)/7,212=1,512億円
が、原発停止によるLNG輸入増加額
となります。
 両者合計して、2,573億円が、原発代替燃料費ということになるでしょう。

 これに対し、電気機器の数字は次のようになります。

 電気機器  2010年4月(c)  2014年4月(d)   (d)-(c)
 輸出(a) 1,104,700 1,043,236 -61,464
 輸入(b) 622,603 856,378 233,775
  (a)-(b) 482,097 186,858 -295,239
(単位: 百万円/データ・・・2010年貿易数値2014年貿易数値

 つまり、2010年4月→2014年4月で、電気機器の貿易収支は2,952億円、マイナスに振れたことになります。

 冒頭で引用した共同通信記事の記者、書くならまず「依然として低迷する電気機器」でしょう。
 (ま、課題は貿易赤字の縮小ではなくて、エネルギー供給の効率化です→「これじゃ衰退する日本経済・・・経済人も経済記者も「国富流出」!!(2)」。要するに原発やってると電気料金が高止まりしてしまい、経済が歪むということです。貿易赤字/黒字なんて、経済が順調に動いていればどうでもいいことです。)

 で、出ました!!

 「大飯原発3・4号機の再稼働差し止め命じる 福井地裁」(朝日新聞HP 5月21日15時16分)

 すごいです→「250キロ圏内に住む住民らは差し止めを求めることができる」(上掲記事)。こんな画期的な判決が出るとは、正直、びっくりです。まあ、上級審で反撃されるでしょうが、この判決は当面、大きな意味を持ちます。偉いぞ、樋口英明裁判長!!


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9割は逃げた、福島原発従業員&10割止まった、ALPS!!

2014-05-20
 今日はやっぱりまず、↓これですね。朝日新聞、大スクープです。

9割撤退
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月20日)

 なんと、2011年3月15日早朝、2号機の水素爆発を見た福島第1原発の従業員の9割、スタコラサッサと福島第2原発へと逃げ出していました。吉田所長は「その辺で待機」と言っていたのですが、そんなこと、聞いてられません。逃げろや逃げろ、です。
 「なんて奴らだ」、とも思いますが、「まあ、そりゃそうだよな」とも思います。原発で食っているという立場はありますが、自分の生命が危機にさらされているのです。会社クビになるくらい、どうという問題でもないでしょう。まず、逃げるでしょう。
 ここで逃げなかった吉田所長以下69人、とりあえず「アッパレ」でしょうか。まあ、間が悪くて逃げそびれただけの人もいるでしょうが。
 ここで株が急上昇したのが菅元首相。東電本店に怒鳴りこんで「逃げるな!!」とやらかしたイラ菅の一喝、そうする必要があったわけです。彼の本日のブログでは、次のように書かれています↓

 「海江田経産大臣から『清水社長が撤退したいと言ってきている』と連絡があったのが3月15日午前3時ごろ。清水社長を呼んで撤退はありませんよと止めたのが4時過ぎ。東電本店に乗り込んだのが5時半ごろ。そこで会長、社長を含む東電幹部を前に撤退せずに頑張ってほしいと強く発言」(菅直人オフィシャルブログ 5月20日

 いやいや、「強く発言」というか、あまりの怒気に皆立ちすくんだ、と語り伝えられていますが(それで現場が萎縮したと批判されてもいますが)、それ、必要だったわけです。なんせ、逃げた者の中には、事故収束作業の中核となるはずだったGM(グループマネジャー、部課長級社員)も含まれていたわけですから。

 で、ここで重要なのは、次に原発事故が起きた場合、従業員が逃げ出さない保証があるのか、という点です。時の首相の怒気だけが最後の保証というのでは、あんまりです。
 “原発従業員は、生命の危険があっても、原発事故では、事故対応をしなければならない”、なんて法律あるのでしょうか(「原子力災害対策特別措置法」を見ても、それらしい条文って見当たらないような・・・)。それに、命かかっていたら、法律で何定めても、無意味としか思えません。
 船長は事故の際、乗客や乗員の救済に「手段を尽くさなければならない」と規定した船員法では、これに違反した時の罰則は5年以下の懲役だそうです。死ぬのと5年の刑務所暮らしとどっちを選ぶか、です。まあ、逃げる人は逃げるでしょう。どこぞの船長のように真っ先に逃げるかはどうかはともかくとして。それに、あからさまに「船長が船を捨てるのは最後だ」と定めていた旧船員法は、変わったそうです。合理的と考えられる範囲で努力していれば、それ以上責任を追求されないのは当然でしょう。原発所長の果たすべき合理的な義務の範囲って、どこまででしょう??
 まあそれ以前に、原発の場合、所長とか幹部だけじゃなくて、実際に作業を請け負っている下請け・孫請けの従業員にも原発に残ってもらわなければ事故収束作業はできないわけで、そこまで原発離脱禁止を義務付けるなんてこと、できっこありません。なにしろ、命と天秤にかけるのですから、罰則が死刑になってない限り、逃げた方が正解です。孫請け作業員に死刑を科す法律なんて作った日には、法律体系のバランスが無茶苦茶になってしまいます。

 やめです、やめです、原発。「過酷事故対策」とか言ったって、原発従業員が逃げちゃ、何の役にも立ちません。原発の過酷事故対策は成立しません。原発の再稼働なんて、あり得ません。


 で、とりあえず緊急には生命が危険にさらされているわけではない現在の福島第一、逃げ出せない事故収束作業ですが、

 「福島第1、汚染水処理停止=ALPSで白濁トラブル-東電」(時事通信HP 5月20日)

 あ~らら、遂にALPS、動いていた最後の1系統が止まり、全滅です。汚染水処理、完全ダウンです。ま、どうせALPSでトリチウムは取り除けませんから、汚染水問題、何をすべきか、根本から考え直すべき時です。凍土遮水壁なんてものではなくて、ちゃんとコンクリートで遮水壁作って、福島第1原発を環境から隔離することを考えるべきです。


 あ、そうそう、朝日新聞は上の吉田調書の全公開を要求しています。当然のことと思いますが、しかし、

 「故吉田所長の証言資料、開示せず=菅官房長官」(時事通信HP 5月20日)

 政府は開示しないそうです。まだまだ、知られたらマズイことがいっぱいあるようです。


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なぜみんな気づかない?? 国の対応の異常さ・・・「美味しんぼ」鼻血問題

2014-05-19
 まず考えてみましょう、今回の「美味しんぼ」鼻血問題の、最も平和な解決の仕方。国の担当者(大臣でも、役人でも良いです)が、次のように発言できていれば、それで終わりでした。

 「ああ、鼻血については次のような○○省の調査結果がありまして、福島で特に鼻血の発生率が上がっているという事実はございません。マンガ家の方というのは実に想像力豊かな方ですね、ハッハッハッ。」

 これで一件落着すればよかったのです。

 問題は、環境省なのか文部科学省なのか、はたまた厚生労働省なのか、どこの役所も、今回出せるデータを持っていなかった、ということです。で、そういう状況下で、政治家がやたら肩に力入れて「風評被害だ!!」と叫ぶものだから、ますます人々の不安感が増幅されてしまったわけです、「国は何か隠しているんじゃないか」と。
 もちろん、鼻血というのが、今回初めて原発事故に関連して語られる新たな症状であるなら、データがなくてもしょうがありません。しかし鼻血は、チェルノブイリ事故でよく語られる、被曝が疑われている症状の一つです。これについてデータがないというのは、許されないでしょう。これは国の事故調査・被害監視体制の欠陥でもあれば、医療関係者の怠慢でもあります。

 「正確な知識と情報を=菅官房長官」(時事通信HP 5月19日)

 なんでも菅官房長官は「漫画『美味しんぼ』での東京電力福島第1原発事故の健康影響に関する描写について『正確な知識と情報を伝えることが極めて大事。根拠のない風評には政府として全力を挙げて対応したい』と述べた」そうです。
 まさに、「正確な知識と情報」がないのが問題です。“重度被曝による全身症状の一環としての鼻血”と“とりあえず鼻血だけ”の区別もつかない医師のたわごとがまかり通り、実際の福島における鼻血に関する統計データは存在しない状況下では、鼻血不安は終息のしようもありません。
 政府に伝えることができる「正確な知識と情報」があるならば、ちゃんと伝えてもらいたいものです。というか、そうするのが、政府の責任なんですけどね。
 しかし、そこは何もせず、「根拠のない風評」とか決めつける、国の対応は異常です。メディアは何で、この点(政府が“正確な”情報を出せない点)を批判しないのでしょうか?? 「風評被害」なんて空疎で強圧的な言葉繰り返されると、 鼻血について、国は実は何か知られちゃマズイことを知っているのじゃないかと、ますます怪しく思えてきます。ちゃんと「全力を挙げて」データ収集と公開を行え~!!

 「福島、子どもの甲状腺がん50人『県民健康調査』、疑い39人」(47NEWS=共同通信 5月19日)

 福島では、甲状腺癌と確定した子供が、また17人増えて、50人となったそうです。

朝日×ヨウ素_部分
(図の説明については→こちら

 チェルノブイリと比較しても、十分に放射能汚染されている福島で、チェルノブイリで出てる鼻血が出なかったら、それはかえっておかしいわけですから、ちゃんと調べてほしいわけです。そして、鼻血は鼻血で終わりなのか、それとも、それに引き続く被曝症状へと展開するのか、しっかりと調べる必要があるはずです。


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鼻血が増えないほうが不自然なのに、国が全力を挙げて否定とは何ごとか!!

2014-05-18
 『美味しんぼ』の鼻血問題、小学館は結局、「美味しんぼ」の連載を休止するとか。

 「『美味しんぼ』休載へ=19日発売の最新号で釈明-小学館」(時事通信HP 5月17日)

 一方、安倍首相の方は、

 「『根拠ない風評には国として全力を挙げ対応する必要』 美味しんぼ描写に首相」(47NEWS=共同通信 5月18日)

 いや、安倍がバカなのは前から分かっていたことだが、なんでここまで非科学的な話になるんだ!! 「根拠ない」かどうか、調べもせずに、なんで決めつけられる!!

 ネット上の皆さん、一瞬にして既存研究データを探し出してきて、提示されています。

 「鼻血に関して両地区とも高いオッズ比を示した(丸森町でオッズ比3.5(95%信頼区間:1.2,10.5),双葉町でオッズ比3.8(95%信頼区間:1.8,8.1)」(中地重晴・熊本学園大学教授「水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染」、『大原社会問題研究所雑誌』661号2013年11月号)

 「真実を探す」ブログさん(5月17日)で紹介されていました。滋賀県長浜市木之本町と比較した場合、福島被災地の丸森町と双葉町では、それぞれ、3.5倍、3.8倍、鼻血を出したと回答した者が多かったとのことです。これ、ちゃんとした疫学調査で、信頼性の検定もされています。

 Alexander N. ARYNCHYN氏その他の方のなされた調査を基に、いろいろと議論されているのがtoggeter「チェルノブイリの知見から外挿しうる鼻血頻度(美味しんぼ)」。チェルノブイリに関する報告書(日本語抄訳→こちら)でも利用されたデータを基に、具体的な被曝量と鼻血の関係を推計する式まで作られています。一読の価値有りです。
 で、ちょっとだけ、その元データ↓

鼻血統計
京大サイトから

 残念ながら鼻血については統計上有意にはなっていませんが(サンプル数が少なかったせいだと思われます・・・被災地133名、対照群186名)、オッズ比にすれば(被災地の鼻血報告者パーセンテージ÷対照群の鼻血報告者パーセンテージ)、チェルノブイリ事故被災直後(調査1回目)4.6倍、被災3~5年後(調査2回目)3.2倍、と、中地重晴・熊本学園大学教授の結果と整合的です。

 日本でも、チェルノブイリ事故の避難レベルに汚染された地域は広大に広がっています。というか、広さそのものはともかく、そこに住んでいる人間の数が問題です(多い)。しかも日本じゃ、避難していません。チェルノブイリ事故では、鼻血が出るのはあたりまえのこととされています(これとか、これとか、これ・・・)。チェルノブイリ事故の知見を元に、ちゃんとデータ収集し、これから起きてくるであろう事態に備えなければなりません。「美味しんぼ」を叩いていられるような状況じゃありません。鼻血の次には、更に深刻な健康被害が予想されるわけですから。

ウクライナ福島再構成小
ウクライナ基準で見た、避難該当地域

 ただ、今回のトピック、鼻血が増えたといっても、チェルノブイリのデータでは1%程度から、3~4%程度に、ですから、その辺の医者に聞いてみて、増えたかどうか分かる話ではないでしょう。元の状態と比較すれば3~4倍になっているとはいえ、その気でデータ取らないと、「鼻血出した人、たいしていないよ」ということになってしまう数字かと思われます。

 で、現実の福島で、この鼻血出血者3~4%という数字に妥当性があるかというと・・・

 「鼻血を出していた子ども/福岡・・・26%/福島・・・3.4%」(「はちま起稿」ブログさん)

 ちょっと当方とは方向の違うブログさんですが、福島の鼻血出血者比率については、これまで書いてきたことと実に整合的な数値を提示されています(調査手法はちと怪しいが・・・)。

 国として全力を挙げて対応する必要がある」ことは、「美味しんぼ」を叩くことじゃなくて、実態をきちんと解明することです。


(いや・いや・いや、しかし・しかし・しかし、福岡での鼻血出血者が26%、って、なんてところにワシ住んでるんじゃ!!
 ぁゎゎ・゚・(;´゚д゚)ゞ・゚・ぁゎゎ・・・ 空気清浄機!! 空気清浄機!!)


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バイバイ、原発依存の電力会社 (^O^)/~~~ って、何で一緒になって手振ってるんだ、経産!!

2014-05-17
 5月14日の西日本新聞からです↓

逃げる顧客
(西日本新聞朝刊 5月14日)

 そりゃあ逃げるわな~、バカ高い電気料金払わされたらたまりません。
 ここで「さすが民間企業は逃げ足が速い、おや自治体もか」とか思う方がいたら、甘い↓。

 「霞ヶ関は東電から電気を買わない」(河野太郎氏ブログ 2012年6月7日)

 真っ先に逃げ出したのは、国の官庁でした。
 丸紅からの電気調達に切り替えた経産省、自分たちの作り出した欠陥商品「原発依存電力会社製の電気」、自分たちは買わないで、国民には売りつけるというのは、どういうことだ!!


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原子力規制委員会、川内原発の火山モニタリング体制にGOサイン!!

2014-05-16
 本日、「第113回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」が行われました。
 九電が用意してきた“姶良カルデラが破局噴火を起こす可能性を十分に小さいと考える”理由は、次のようなものでした。

姶良カルデラ基準線
当日配布資料15ページから)

 破局噴火の前には、マグマが山の下に溜まり、山体が膨張する。その膨張を2本の線で測定する(GPSによる測地)。これまでの研究によれば、破局噴火では特に急激にマグマがどんどん溜まるので、姶良カルデラの場合、これらの距離が年5cm以上のペースで増大するはず。
 だけど、↓

姶良カルデラ
当日配布資料16ページから)

 現在の増大速度は5cm/年には達していません。つまり、マグマが破局噴火につながるほどガンガン溜まる勢いはありません。ですから、破局噴火はしません。
 と、いうものでした。

 ほんとにこれで大丈夫なのか??
 ま、いずれにせよ、島崎委員長代理は「それでは専門家の方等々と相談してきちっとしたもの(モニタリング体制)を作っていただきたいと思います」、ってことで、これで九電の説明を了承です。

 ここで審査会合が終わってしまったのですが、不満だな~。次の検討があってよかったんじゃないか。
 つまり、観測してるうちに、この基準を超える事態が発生した場合には、「原子炉の停止、燃料体等の搬出の実施」(当日配布資料10ページ)を行うことになっていますが、これ、時間との勝負です。原子炉停止して燃料運びだすのにどのくらい掛かるのか。燃料棒が冷えてから、なんてこと考えると、1年くらいは簡単にかかるハズ。だから、破局噴火の前兆は、それよりも前に捉えないと意味が無いのです。
 まあ、九電が用意してきたプレゼン資料では「破局的噴火(ミノア噴火)の直前に、100年程度の時間スケールでマグマが急激に充填される」(当日配布資料14ページ)とかなっていますから、ここは突っ込まずにスルーしてしまったのでしょうが、ほんとにそれで良いのか?? なにしろ火山学者自身が「我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない」(火山噴火予知連絡会長・藤井敏嗣・東京大名誉教授)と言うくらいですから。
 いや、そういう意味で言えば、“山体の膨張が5cm/年以下なら破局噴火しない”というのも、とりあえずの仮説の域を出ていないはずです。噴火してから「想定外」じゃ困るんだけどな~。

 それに姶良カルデラ(桜島)については、「大正噴火と同程度の噴火活動を起こすポテンシャルも獲得しつつある状態であると推察している」という言葉も引用されています(当日配布資料12ページ)。

大正噴火
大隅河川国道事務所HPから、「大正大噴火」)

 この噴火、wikipediaによれば「火山灰は九州から東北地方に及ぶ各地で観測され、軽石等を含む降下物の体積は約0.6km3、溶岩を含めた噴出物総量は約2km3(約32億トン、東京ドーム約1,600個分)に達した」とのことです。
 この規模の噴火なら、いつでも起きるわけです。風向きが川内原発に向いていた時、人力だよりの火山灰対策でなんとかなるのか、やはりかなり危ないとしか思えません。


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福島の鼻血については、もうちょっと科学的な議論をした方が良いと思うのだが・・・

2014-05-15
 まだやってますね~、政府閣僚、『美味しんぼ』の鼻血描写批判。

 「麻生財務相『裏取れずに描いた』=美味しんぼ鼻血描写」(時事通信HP 5月15日)

 よほど原発推進派の弱みのツボにはまってしまったのでしょうか。
 よくある批判に「原因不明の鼻血などの症状を訴える町民が大勢いるという事実はない」というのがあります。いや、結構なんですけどね、これ、本気で主張するなら、ちゃんとデータを取った上で言ってほしいわけです。その辺の医者に聞いてみた、なんて話じゃなくてね。ちゃんと疫学調査をしてほしいわけです。
 その辺の医者に聞いてみたというレベルなら、作者の雁屋哲氏が実際に鼻血を出した、そして取材先で鼻血の話をよく聞いた、というレベルと違わないわけで、雁屋氏の取材先にも、医者もいれば井戸川町長もいるわけです。
 必要なのは、きちんとした科学的な調査です。福島と、他地域についての、比較可能な正確なデータこそが重要です。ごちゃごちゃ言ってないで、国は正確なデータを取るべきです。

 で、どう見ても一番あてにならないのが、放射線医学の専門家とかいう医者たちのコメントです。

 「『科学的にありえない』美味しんぼ鼻血描写で遠藤啓吾・京都医療科学大学長」(msn産経ニュース 5月12日)

 この遠藤とかいう人は、「1千ミリシーベルト以上の被曝をした場合であり、それ以下の被曝では影響がない。・・・略・・・住民の被曝線量は大半が10ミリシーベルト以下。原発作業員の中に、白血球や血小板の数値に異常がある人がいるとは聞いていない。もし低線量被曝の影響で鼻血が出るのだとしたら、一般の人々より被曝線量の高い放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる」とか言っています。
 まずおかしいのは、そりゃあ1千ミリシーベルトも浴びたら、血小板が減ったり、いろいろな全身症状の一環として鼻血も出るでしょう。これは深刻です。でも、今、いろいろ言われているのは、そんな話じゃないということです。結局、医者に行かなくなてもなんとかなるくらいのものです。ただの鼻血なら(多少出血量が多いくらいは「ただの鼻血」の仲間です)、鼻粘膜がちょっと傷つけばすぐに出ます。鼻粘膜の局所被曝なら、たいした放射線量(総量)はいりません。
 で、もう一点、この人がおかしいいのは、完全に数字の使い方を間違えている点です。上の引用の言葉を見る限り、この人は、平均的な被曝で、すべてを語れると思っているようです。この人は、次のようなニュースに何というのでしょうか??

 「福島市中心部で170万ベクレル超のコケ 緊急除染へ」(朝日新聞HP 2013年7月3日)

 この人はこの記事に対して、“福島市でそんなに高い汚染レベルが検出されるはずがありません”、とでも言うのでしょうか。今回のように大量の汚染物質が撒き散らされた場合、一般的な汚染レベルとは別に、ホットスポットができるのは当たり前のことです。
 上の記事もそうですが、水が流れて集中したところのコケで高濃度汚染ケースが良く発見されています。流れが集まるところはホットスポットになりやすい、と考えてみれば、人間の呼吸量は一日14,400L、20kgにもなります。それがほぼ全部鼻を通って行くのですから、鼻の粘膜に「マイクロ・ホットスポット」ができたって不思議はないと思えますが・・・。それも、偶然に高濃度汚染状況に行き当たっていたとか、の場合に。
 遠藤とかいう人は、放射線技師や宇宙飛行士を取りあげて反例としていますが、これは全く見当外れです。これらの人では平均的な被曝量から逸脱するケースがほとんど考えられないからです。宇宙という放射線的に比較的均質な状況、医療機器による被曝という管理された被曝状況では、ホットスポットの発生のしようがありませんし、被曝と言っても外部被曝だけです。実際に放射性物質がそこらじゅうに濃淡をもってバラ撒かれ、行き当たりばったりで吸入してしまう福島事故とは比べようもありません。

 で、吸着・濃縮系のホットスポットとは別の話になりますが、やはり、平均値で語るのは今回のようなケースでは不適だということを、もう少し一般的に書いておきましょう。

ポアソン分布

 統計学やったことのある人なら誰でも知ってるポアソン分布です。比較的起きることがレアな場合に使う分布ですが、まあ、具体的に、何個の放射性元素が崩壊したかというのに使うと良い分布です。
 当然、平均発生回数(平均的な原子崩壊回数)が多くなれば、より多く崩壊が発生する確率が高くなっていきますが、ここで注目すべきは、平均発生回数が多くなると、単に平均値(グラフの山)が右へ移動していくというだけではない、ということです。山の裾野がなだらかになっています。
 これがどういうことを意味するかというと、

ポアソン分布2

 平均発生回数2のオレンジの線を右へ2、ずらして平均値が4になったとしても、それだけなら、9回も発生する可能性はほとんど無いと思えます。ところが実際は、山の裾野がなだらかになるため、ホントの平均値4のケース、黄色の線で見てみれば、この事態、ちょっとですが、発生する可能性が見て取れます(青い線だと、オレンジ線をさらに1、右に動かしたものと比較することになります。想像してみれば・・・劇的に可能性が高まりますね~)。
 つまり、汚染数値(平均値)が上がるということは、逸脱的な事態が発生する可能性をも高めるのです。
 環境の汚染数値が大きくバラついている状態(あっちこっちにホットスポットがある状況)での、鼻の中の粘膜の上という、微小環境におけるホットスポットの発生可能性と考えた場合、統計的なゆらぎは極めて大きくなると考えられます。鼻血を出すほど部分的に被曝した人が多数発生している、という事態は、統計的に考えてみれば、何も不思議はないように思えます。
 少なくとも、鼻血を出す人が多数いるという報告があるのに、頭ごなしに「そんなはずはない」というのは、とても科学的な態度とは言えないでしょう。まずはしっかりと調査を行い、分析する必要があるはずです。

 とはいえ、『美味しんぼ』はマンガです。作者が自分の経験に基いて(あるいは基づかなくたって)、何書いたって、政府が目くじら立てるほどのものでしょうか?? やはり原発推進派の、何かよほどの弱点のツボ・・・ホットスポットに、はまってしまったようです。


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町田の火事はマグネシウム80kg、「もんじゅ」ならナトリウム1700トン!!

2014-05-14
 昨日、東京都町田市で工場火災がありました。

町田火事b
NHKホームページ 5月13日

 ここで問題になったのが、燃えているものの中に、マグネシウム80kg、およびアルミニウム20kgがあるということです。これらの金属は、燃えている状態で水をかけると、急激に水と反応し、水素を発生、爆発する恐れがあります。

町田火災FNN
(すぐにリンク切れとなると思われますので、スクリーンショットにリンクを張っています

 この↑ニュース映像では、放水の当たっている位置がちょっとずれた瞬間(リンク位置から4秒後)、炎の中で爆発が発生するのを見ることができますが、さてこれはマグネシウムのせいなのでしょうか??

 で、何が言いたいのかというと→「『もんじゅ』では約1700トンのナトリウムを使用」しています、ということです。
 ナトリウムは、マグネシウムよりまた一段、反応性の高いことが良く知られています。マグネシウムでは微粉末にするとか、高温の水をかけるとかしないと起こらない激しい水素発生反応が、ナトリウムなら、固まりのまま、常温で、ただの水をかけるだけで、あっさり起きます。しかも反応熱で高温になりますから、自動的に水素に火がついて爆発します↓

ナトリウム廃棄
(これもリンクにしています)

 ナレーションの最初のところ、“thirty thousand pound of highly dangerous metallic sodium”と聞こえます。「30000ポンド(≒13600kg=13.6トン)の、高度に危険な金属ナトリウム」ということですね。映像見れば得心がいきますが(ほんと危険そうなのですが)、でも、ここで爆発しているナトリウムは、「もんじゅ」に使われている量と較べると、わずか1/125です。
 つまり、「もんじゅ」に使用されている炉心冷却材の金属ナトリウムの1/125が、漏れて水と反応するだけで、こんなことになります。

 町田市の火事では、13日午後4時ごろに火災発生しているのですが、マグネシウムなどがあらかた燃え尽きるのを待って、結局、14日の昼近くになってやっと消火活動が再開されました→「町田工場火災 消火活動を再開」(NHKホームページ 5月14日12時7分)。
 ナトリウムより反応の穏やかな、わずか80kgのマグネシウムで、こんなものです。

 前回「もんじゅ」で漏れたナトリウムは640kgでした。この時は消火が無事に行われたようでなによりでした。
 しかし、これが一旦制御不能になった時(建物にヒビが入り、外気が入る、つまり酸素の供給を遮断できなくなると、制御不能になります)、何が起きるのか・・・消火のために水をかけることもできず、為すすべなく見ているうちに(実際、町田では見ているしかありませんでした)、破損した炉心(水厳禁ですから福島のように水をかけて冷やすことなど全く出来ず、メルトダウンします)から核燃料も漏出、火で煽られて(溶けて、燃えて、灰になって)大気中に拡散、なんてことになるでしょう。こうなったら、まあ、日本全滅くらいで済めば儲けものといったところてしょうか。なにしろ「もんじゅ」の燃料は放射性物質としても危険極まりないプルトニウムですから。
 前回事故時の有名な映像です↓

もんじゅ16時ビデオ
(これもリンクにしています)

 はやり「もんじゅ」、一刻も早く(火事起こさないうちに)解体処理が必要と考えられます。


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川内原発の噴火対策(=「噴火対策もやっています」と言い逃れできる体制づくり)始動!!

2014-05-13
 本日の共同通信から、スクリーンショットです↓

川内原発火山監視体制
47NEWS=共同通信 5月13日

 あまりにいい加減なところで審査を打ち切った川内原発の火山噴火問題、さすがに現状のまま再稼働へ突き進むのは原子力規制委員会としても、ためらわれたようです。火山の専門家を入れて、噴火予知の判定をする会合を設置して、体制を整えるようです。
 しかし、火山噴火予知連絡会長・藤井敏嗣・東京大名誉教授が、「我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない」と発言する状況下で、判定会が有効なものとなるとは、とても考えられません。行政上の格好だけつけられても困ります。現実に、巨大噴火を予知できる知識・能力がないのですから。

 無理のある小細工はやめて、原子力規制委員会の内規、「設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいと評価できない場合は、原子力発電所の立地は不適と考えられる」(4.1(3))にちゃんと従い、川内原発には立地不適の判定を下すべきです。


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やっぱダメ、アベノミクス・・・火力燃料費の問題じゃありません、2013年度経常収支の惨憺

2014-05-12
 2013年度の経常収支が財務省から発表されました→「平成25年度中 国際収支状況(速報)の概要」(財務省HP 5月12日)。
 メディアはこぞって「火力燃料費が増加」と書きます。

 「原発代替の燃料輸入増と輸出の伸び悩みで、貿易赤字が拡大した。」(msn産経ニュースHP 5月12日)
 「火力発電の燃料輸入増と輸出の伸び悩みで、貿易赤字が10兆8642億円と過去最大になった」(47NEWS=共同通信HP 5月12日)
 「原発の稼働停止に伴い、火力発電用の液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入が急増した上、円安で輸入品の価格が軒並み上昇し、貿易赤字が膨らんだ。」(時事通信HP 5月12日)
 「火力発電に使う燃料やスマートフォンなどの輸入拡大に円安も加わり、輸入額は前年度比19・6%増・・・」(朝日新聞HP 5月12日)
 「原子力発電所の稼働停止で液化天然ガス(LNG)などエネルギーの輸入が急増。13年度の平均為替相場は1ドル=100円程度で前年度より約17円の円安が進み輸入価格を押し上げた。」(日経新聞HP 5月12日)

 こいつらアホ丸出し。だって、あらかたの原発が止まったのは2013年度の話でも、2012年度の話でさえなく、2011年度終わりころ(2011年12月~2012年3月)。大飯原発2基はその後もしばらく動いていましたが、54基あった原発のうちのわずか2基、大勢に影響はありません。つまり、今回の財務省発表が比較対象としている2012年度には事実上既に原発は止まっており、そこから発電状況、2013年度には何の変化もありません。新たに急激に電力需要が高まるような好景気があったわけではなし、数量ベースで見れば、発電用燃料の急増なんて、どこを見てもありません
 実際、財務省の貿易統計から輸入量の数字を拾ってみれば、↓こんなことになります。

原油輸入量推移

LNG輸入量推移

 液化天然ガス(LNG)については、原発停止の前後で輸入量が増えたことがわかります。しかし数値が「急増」したのは2011年度で、今回の財務省発表が対象としている「2012年度→2013年度」ではありません。
 さらに、原油・粗油ついては、原発停止前後で、どこがどう増えたのか、全然わかりません。
 なぜ分からないのかと言えば、話は簡単で、

石油製品用途2012
(グラフの説明は→ こちら

 発電用に使っているのは原油全体の15%で(これは以前より増えたことは増えているのですが)、他の原油使用の変動に飲み込まれてしまったからです・・・というか、原発代替燃料ぶんというのは、その程度の僅かな量にすぎないのです。

 ということで、いずれにせよ、今さら急に増えようもない原発代替燃料について、どうして「急増」とか書けるのでしょうか!? 上に挙げたメディア、アホすぎ。

 でも何で、「燃料輸入が増えた」と書くかというと、財務省発表に書いてあるからでしょう。「1.貿易・サービス収支 」の(1)の②の更に②です↓

 「②「商品別」では、原粗油(同+2兆2,994億円[+18.4%];数量は+1.5%)、液化天然ガス(同+1兆1,287億円[+18.2%];数量は+1.0%)、半導体等電子部品(同+8,213億円[+44.0%])等が増加。」(財務省HP 5月12日)

 原粗油も液化天然ガスも18%以上の輸入増となっています。
 もちろん、これは輸入額の変化で、数量ベースでは「+1.5%」とか「+1.0%」と、ちゃんと微増にすぎないことが記されてもいるのですが。
 で、なんでこんなに輸入額が増えてしまったのか、しっかり次の行に理由が書いてあります

 「[参考2]原油価格(石油連盟)
     ドルベース:110.00米ドル/バレル(前年度比▲3.4%)
     円ベース:69,217円/キロリットル(前年度比+16.6%)」

 要するに(アベノミクスの)円安で輸入額が上昇した、というだけのことです。
 日本の輸入物品のうち、最大の項目は燃料になりますから、円安になれば最も大きく赤字に見えるのが燃料となるのは、当たり前です。
 で、ここからメディアが特にアホなのは、財務省の発表では何も言っていない、その赤字の主因を原発代替燃料のせいにしている点です。エネルギー使用の一部分(電力)の一部分(多くは既存火力発電用で原発代替燃料ぶんは一部)にすぎない原発代替燃料が、日本の貿易収支を一気に赤字にするほどの比重占めてるわけないじゃないですか。原因は別にあります。

 ま、上の引用記事の一番下、日経新聞の書き方は、多少とも言い逃れできるように円安を書き足していますが、「エネルギーの輸入が急増」とか書いてたらダメでしょ。
 そのあたり巧妙なのが読売新聞と毎日新聞、

 「円安が進み、原子力発電所の停止で火力発電の燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)などの円換算した輸入額が増えたためだ。」(読売新聞HP 5月12日)
 「原発停止で、火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)などの輸入が高止まりする中、円安で輸入価格が上昇。」(毎日新聞HP 5月12日)

 原発代替燃料のことを針小棒大に印象づけていることはそうなのですが、基本は円安が原因であることをきちんと書いています。

 で、結局、実は読売・毎日まで合わせて、以上で触れた記事は全部、大アホです。なぜなら、燃料輸入の話は「貿易収支」の話で、それは既に発表済み、先月4月21日の話で、今回発表の要点は「経常収支」なのですから

 と、いうことで、私もアホで、前フリ長く書きすぎましたので、以下、簡単に行きます。
 やはり本日、財務省から発表された「平成26年3月中 国際収支状況(速報)の概要」から、季節調整済みの経常収支です↓

経常収支2014-3

 当ブログで以前作成した図↓と見比べていただくと一目瞭然です。

経常収支2

 経常収支、真っ逆さまに転落中のアベノミクス、2月には多少は持ち直すかに見えましたが、また落ち込み、既定転落路線に復帰しました。
 経常収支が経済においてどういう意味を持つのか、ま、ある程度はどうでもいい問題ですが、輸出振興、“産業競争力の回復”を一つの目的とするアベノミクスとしては、これは失敗でしょ。
 こっちが今回の主題なのに、何やってるのかメディアは・・・


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電気料金上昇、「原発のせい」なのか「原発停止のせい」なのか

2014-05-11
 遂にここまで来ちゃいましたね~、東京電力の電気料金が沖縄電力を上回りました。沖縄電力は、離島対策のため、本来のコストより6%コスト高になっている上に、払わなくても良いはずの原発推進税まで払わされているわけですが、それより東電の電気料金、高くなった。

東電料金全国最高
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月11日)

 真ん中んところのグラフ、HPからカラー版のスクリーンショットです↓

東電料金全国最高図
朝日新聞HP 5月11日

 さて、こういう話になると、意見が合わないのが、脱原発派と原発推進派。脱原発派にとっては、こんなに電気料金が上がったのは「原発のせい」です。だから「早く原発廃炉を」です。でも、原発推進派にとっては「原発停止のせい」で、だから「早く原発再稼働を」となります。
 原発推進派としては、上のグラフを見れば一目瞭然、「原発が動いていた頃と比べて電気料金上がってるじゃないか、原発止めるから電気料金上がるんだ、早く再稼働を!!」でしょう。
 これに対し、上の記事では朝日新聞、ちょっとクセ球を投げています。「電気事業連合会長の八木誠・関西電力社長は『競争力ある料金には、原発再稼働が必要だ』と訴えるが、料金面でも『安さ』に疑問符がつき始めている。11年末に政府が試算した発電コストで、原発は1キロワット時当たり8.9円以上。04年の試算の5.9円から5割はねあがった。/廃炉までの期間が原則、運転開始後40年に短縮されたほか、原発の廃炉や使用済み燃料の最終処分などの費用が料金にさらに上乗せされる可能性もある。」としています。つまり、再稼働しても、“原発はもはや電気料金引き下げに貢献することはできない”という指摘です。
 政府試算ではLNG発電コスト13円/kWh、石炭発電コスト5円/kWhです。これに対し、原発は8.9円/kWhプラス保険費用・損害賠償費用等で、結局、金子勝慶大教授の試算では「新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の発電単価は、(福島事故の)損害賠償費用4.1兆円を考慮した場合は13~15円に、10兆円を考慮した場合には19~21円」とのことです(おかしいな~、当ブログの試算だと保険費用考えると最低でも29.1円/kWhに跳ね上がるんですけどね)。
 ま、いずれにせよ、保険も掛けず、廃炉費用も使用済み核燃料処理費も考えず(まともに積み立てず)、原発の暴走運転ができた黄金の日々は帰ってこないのですから、今さら原発再稼働しても電気料金値下げには役立ちません

 で、脱原発派として、もう一言、

電気料金国際比較2010
(『エネルギー白書2012』から)

 かつての“黄金の日々”の電気料金だって↑こんなもんです。粉飾決算で人々をごまかしていましたが、実際の電気料金は既に高かった。どういう粉飾決算・カラクリかと言うと→「どこまで無茶苦茶、電気料金査定・総括原価方式!!



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なんで増える!? 焼却工作建屋地下の水量

2014-05-10
 福島第一原発で、汚染水が誤って焼却工作建屋に送られた事件、単なるスイッチの入れ間違いとされていますが、その後の状況がなんか不気味です。

焼却建屋水量増
福島民友新聞HP 5月9日 スクリーンショット)

 まさかいつまでも間違えてスイッチを押し続けているはずもないのに、なぜか水位が上昇しています。
 東京電力のコメントでは、「止水が完全ではなく地下水が流入している可能性」とのことですが、もともとこの地下槽には水、入っていたのでしょうか?? というか、地下水とつながっているなら、後から入れた水は、いずれ地下水位水準まで下がっていくのが本当ではないでしょうか。なんで上昇しなければならないのでしょうか??
 さてそして、いずれにせよこの建屋地下に流入している「地下水」とやら、どういう汚染状況の水なのでしょうか?? 最も悪意に解釈すれば、「間違い」というのは故意だったのではないか、とさえ思えます。何かよほどヤバイ汚染状況の水が建屋地下に流出したため、それを薄めるために、わざわざ滞留水の「誤移動」を行ったのではないか、と。
 そう考えてみると、この地下槽サブドレイン水の汚染数値が、誤移動直後ではなく、半月もたった4月30日~5月1日採取サンプルで最高値を記録した理由も理解しやすいものとなります。高濃度汚染水の流入が、その後も続いたということではないでしょうか。
 それにしても、水位が地下水位へ下がらないというのは、漏出元も地下水ではなくて、どこか上部から流入しているのではないかとも疑えます。どこから来ているのでしょうか??
 とにかくなんか不気味です。


 

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サウステキサス原発、建設目処立たず、東芝310億円損失

2014-05-10
 こっちも「いちや~めた、バイバイ東芝(^o^)/~~~~~」です↓

東芝サウステキサスプロジェクト
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月8日)

 South Texas Project原発の3号炉と4号炉の建設、アメリカの電力会社は投資打ち切り、東芝とパートナー組んでこのプロジェクトに参加していた東京電力も、こんなのに関わっている余裕はないわけで撤退、みんな「いちや~めた」です。
 でも、東芝は粘るつもりか・・・
 しかし、少なくともアメリカじゃ、シェールガス発電のコストは原発発電コストより圧倒的に安くなるわけで、この計画の原発が再浮上する可能性は全く無いでしょう。


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川内原発の火山リスク、「誰も知らない」!!

2014-05-09
 あれ、きのう予告されていた本日の原子力規制委員会の「新規制基準適合性に係る審査会合」、地震・津波といっても、大飯・高浜で、川内じゃないんだ。これ↓どうするんだ!!

川内原発火山リスク
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月8日)

 「我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない」(火山噴火予知連絡会長・藤井敏嗣・東京大名誉教授)のだそうです。「第107回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」で出たあの疑問、解消不能ということではないですか。

姶良カルデラ危機一髪
九電提出資料から)

 森田・安全規制調整官「(71ページの“右肩上がり”のデータについて)既に(カルデラ破局噴火の)最終的な(マグマ)供給段階に入っていないと言えるのか??」。
 つまり、この、各観測地点間の距離が開きつつある(つまり、山が膨張中・・・地下にマグマが溜まってきている)という現在のデータ、巨大噴火の前兆なのかそうでないのか「誰も知らない」、誰も判断できないということです。

 上の朝日新聞記事では「島崎代理は、観測でとらえられない研究事例が出れば『判断を変えないといけない。立地不適となる』と釘を刺す」と記していますが、そんな事態じゃありません。
 原子力規制委員会の内規、「原子力発電所の火山影響評価ガイド」4.1(3)の後半には、次のように記されています。

 「設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいと評価できない場合は、原子力発電所の立地は不適と考えられる。

 「誰も知らない」ということは、まさに「可能性が十分小さいと評価できない」わけですから、「立地不適」以外のなにものでもないじゃないですか。ちゃんと内規に従って判断を下すべきです。

 朝日新聞の記事では「東大地震研究所の中田節也教授(火山学)は『本来あの場所には建てない方が良かった』と話す」となっています。群馬大学の火山学者、早川先生も、巨大噴火の発生は予測できず、巨大噴火による火砕流が発生すれば、地形的に川内原発は直撃されるとしています。

 こんな原発、再稼働を云々している場合じゃありません。早く撤去しなければいけません。


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インチキ審査は進む・・・再稼働へ突き進む川内原発“新規制基準適合性”審査

2014-05-08
 本日午前、原子力規制委員会の「第110回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」が行われました。内容は川内原発の再稼働に向けた新規制基準適合性審査で、原発自体に関わる技術・管理・事故対策関係でした。(地震・津波・火山関係は明日、5月9日開催予定

 この会合について産経新聞は、「川内原発、申請書類に不備27項目 優先施設、再稼働さらに遅れか」(msn産経ニュース 5月8日)と報じ、読売新聞も見出しでは「遅れ」と書かないものの「九電は不備を修正し再提出する方針だが、作業に手間取ると、夏にも可能とみられている再稼働が遅れることになる」(読売新聞HP「川内原発書類42か所不備、審査議論反映せず」5月8日)と伝えています。ちなみに、小項目で数えるか、大項目で数えるかで、修正箇所が27になったり42になったりしています。
 両紙の記事を見ると、本日の審査会合によって、再稼働が遅れるような書きぶりですが、朝日新聞は「規制委は抜け落ちのない項目の審査書案づくりは進める方針で、すみやかに追加提出されれば審査書案の作成期間に大きく影響しないとみられる」と記し、本日会合の内容は川内原発審査の大勢に影響しないと見ています(朝日新聞HP「川内原発、審査書類不備は42件 規制委、追加提出要求」5月8日)。

 ま、本日の会合の責任者、更田・原子力規制委員のまとめ部分の言葉が↓これですから、九州電力がよほどのドジでない限り、朝日新聞の見方のほうが現実に近いと思われます。

更田20140507
(↑埋め込みコード無効設定になっていますので外部リンクさせてあります)

 要するに「内容そのものについては既に審査会合において説明を受けています・・・議論も終えていますので・・・既に説明された内容を・・・申請書の内容として放り込んでもらえば良い」(更田発言要旨)ということで、“今さら議論することはない”、やらなきゃならないのは事務作業だけ、というわけです。

 さてしかし、本当にそうなんでしょうか??
 本日の会合でひたすら読み上げられた唯一の資料、「資料1」の最終項目です↓。

コアキャッチャー代替
「第110回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」資料1

 「炉心損傷防止対策・・・原子炉格納容器の機能・・・国内外の先進的な対策と同等以上」って、要するにコアキャッチャー以上の機能が備わっていると、申請書に書け、と言っているように読めます。(なお、官僚作文においては「機能」という言葉が重要!! パブコメなんてでも、この言葉はずすと、適当にあしらわれて終わります
 これに該当する審議済み書類は→「資料2-1川内原子力発電所1号炉及び2号炉 審査会合における指摘事項の回答(SA)」(「第108回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」提出資料)と思われますが、そこに書いてあることを引用しておきます。

 「格納容器過温破損シーケンスでは、代替格納容器スプレイ開始から原子炉容器破損までに時間(約4.3時間)があり、キャビティ区画に十分な量の水張りを行うことが可能」(資料2-1、1頁)

 はは、“炉心溶融しそうになっても、水張れば良いから”、と書いてあります。なんか全然学習していません。福島で経験したことは全電源喪失です。電源が確保でき、水張り操作ができれば何も苦労しません。
 「国内外の先進的な対策」と言っても、国内は全く対策してないので問題外なのですが、国外で施されている炉心溶融対策“コアキャッチャー”は、放っておいても、メルトダウンして流れ出してくる炉心溶融物が、自然に放熱板の上に広がり、そこで食い止められるデバイスです。水を張る必要もなければ、人が操作をする必要もない、安全装備です。これと比べて、何が「同等以上」なんでしょう。バカも休み休み言え、というところです。
 こんな審査、インチキもいいところです。


【しつこく繰り返します、コアキャッチャー・・・パブコメではコアキャッチャー要求の山を規制委に突き付けましょう】

コアキャッチャー
日本原子力学会HP掲載資料から引用)

 全電源喪失し、メルトダウンが起きた時、炉心溶融物を回収するのが、「コアキャッチャー」です。流れ出してきた炉心溶融物が放熱板の上に広がり、自然に冷却するようにできています。単に冷却と言うか、炉心溶融物が平たく広がることによって、臨界を維持しにくい形状となることも重要です。
 アレバ社の原発に採用されているこの仕組、全電源喪失・原子炉メルトダウンの際に、放射性物質を原子炉建屋外に出さない最後の砦です。
 これが、日本の原子力規制委員会の安全基準では義務付けられていませんし、実際にこんなものが付いた原子炉は日本に1つもありません。日本の原子炉は冷却に失敗すればメルトダウンからメルトアウト(原子炉に穴があき、炉心溶融物が外界へ流出)に至ってしまいます。
 資源エネルギー庁は、“独自の”コアキャッチャーを内々に開発中ですが、強制冷却式ですから、冷却系の電源が失われれば「それまで」という“なんちゃってコアキャッチャー”に過ぎません。既存の原子炉内に組み込むことを想定していますので形状も小さく、十分に(臨界を維持できないくらい)炉心溶融物を広げられるか疑問でもあります。で、これさえ、“新規制基準”、義務付けていません。
 “世界一厳しい安全基準”なんて、バカバカしくて笑うしかないのが、日本の原子力規制委員会の安全基準です。


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出ていますストロンチウム90、港湾外へ 福島第一原発

2014-05-07
 原子力規制委員会が本日発表した外国向け、英文プレスリリースからです↓。

海洋汚染20140507a
原子力規制委員会プレスリリース 5月7日に書き込み)

 ストロンチウム90(Sr-90)、しっかり検出されています。福島第一原発の港湾外です。特に、防潮堤開口部では1.1Bq/Lです。
 当ブログを見ていただいているような方には説明不要でしょうが、Sr-90は、カルシウムとして生物に取り込まれ骨に蓄積します。排出されません。さらに、より小さな生物をより大きな生物が食べていくことで起こる生物濃縮でいっそう濃くなっていきます。海水の数値が低くとも、生物はせっせとかき集めてしまいます。検出されちゃヤバイ放射性物質の代表です。
 上図では、港湾開口部以外でも、そこらじゅうで検出されています。
 それがどこまで広がっているかというと↓

海洋汚染20140507b
(同上プレスリリースから、赤丸と赤矢印を書き込み)

 80km程度までしかサンプルをとっていないので、その先は不明ですが、そのあたりまで、しっかり検出されています。
 Sr-90は検出するのに手間(金)がかかるので、食品モニタリングなどでは、たいてい省略されていますが、太平洋産の海産物、かなり危なそうです。


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【Cs137の降下】島根原発だったら

2014-05-06
 福島原発の際、季節風の関係で、放射性物質の多くは太平洋方向に飛ばされていると考えられます。しかしリアルタイムで船を出して降下物質の観測をするなんてことはできようはずもなく(被曝の危険もあるし)、データとして上がってこないので、(事故後測定された)陸地に降った放射性物質の状況から福島原発事故の影響を考えがちです。
 しかし、他の原発で事故が起きた場合、風向き次第では、福島では“海に去った”状況が陸地で再現されることだってあり得ます。
 そこで、福島事故の洋上シミュレーションを、他の原発に重ねる、重ねあわせ図を作成してみます。セシウム137に関するシミュレーションの重ね合わせです。原図などはこちらです。なお、原図と現在の状況を見比べてみると、オレンジの領域はほぼ帰還困難区域となり、黄色の領域は半分程度、居住制限区域となると考えられます。
 今回は中国電力島根原発です。福島事故のシミュレーション図を移動後、30度、-30度、-60度、回転してみたものです。

Cs島根30

Cs島根-30

Cs島根-60

 隣接県の県庁所在地、広島市・岡山市・鳥取市は、日本の緩い避難基準では、なんとか避難地域指定とならずに済みそうです。ただし、この3市とも、50000~100000MBq/Km^2程度汚染される黄色の領域は到達しており、それに応じた健康被害を想定する必要がありそうです。



・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。

そろそろ真面目に考える時!! 原発廃炉

2014-05-05
 5月1日の朝日新聞、電力会社が廃炉に言及するようになってきた、と報じています。

廃炉検討
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月1日)

 原子力規制委員会による“新しい規制基準”、どう見たって穴だらけの緩~いものですが、それでも電力会社にとってはそこそこの負担になるようで、廃炉に言及する電力会社が出てきました。「やっとか」、という感が強いですが、話がないよりはましでしょうか。
 さて、では廃炉、電力会社がやろうとして、できる状態にあるのでしょうか??

 全く違う方向性の報道があります。

 「原発問題は今や粉飾決算されていた不採算工場の処分問題」(当ブログ記事 2012年6月19日)で紹介した経産省の試算では、原発再稼働せず廃炉にした場合、北海道電力、東北電力、東京電力、日本原電、の4社は即座に債務超過で倒産するという記事でした。他社ももちろん厳しい状況です。
 一方、「廃炉って、なんぼのもんや?」(当ブログ記事 2013年5月17日)で紹介した、やはり経産省の試算では、額のみが示されていましたが、その額を電力各社の経営規模と比較してみた場合、償却するのにさほどの困難はない額と見えました。

 いずれにせよ、この両記事の後に、企業会計の考え方から言ったら掟破りのインチキな廃炉費用処理が認められるように、経産省が会計基準を改変しました。今や電力会社は廃炉費用を電気料金に転嫁できるようになっています。

 朝日新聞は「料金上乗せ高い壁」と見出しを出していますが、制度的には(利用者の犠牲の上に)廃炉費用を捻出できる状況はできています。

 まあ、電力会社が廃炉を口にしだしたということそれ自体が、廃炉しても儲かるように(そのぶん利用者は損するわけですが)、制度改革が進んでいるということを意味していそうです。
 とにかくそろそろ、廃炉プロセスを始めてもらわないことには、危なくってしょうがないですから(日本は地震・津波・噴火と、三拍子揃った災害国です)、やってもらいましょう。


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福島汚染水、海へ

2014-05-04
 朝日新聞の「今さら聞けない+」コーナー、5月3日のお題は「汚染水の行方」でした。

今さら聞けない
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月3日)

 真ん中のグラフがとても印象的です。

汚染水量の推移
朝日新聞HP 5月3日からスクリーンショット切り出し)

 “毎日400トン増える”汚染水、“ALPSで処理”とか言っても、焼け石に水です。それに、ALPSで処理したところでトリチウムは除去できませんし。
 このトリチウム、どうするのか、と言うと・・・

 「政府の汚染水処理対策委員会の専門家チームは4月下旬の会合で「海洋放出」「大気放出」などの方法と、「そのまま」「希釈」「分離」の3パターンを組み合わせた16の選択肢を示した。/会合では、エネ庁側が、規制基準も踏まえ絞り込みができないか規制委に打診。規制委は「現行の規制では『希釈して海洋放出』『希釈して大気放出』しかない」と応じた。」(河北新報HP 5月4日

 へえ~、結局そこら中にバラ撒いちゃうんだ。(まだ、すぐにバラ撒くとは言ってないけど・・・)

 まあ、タンクに溜まる汚染水が毎日400トンなのに対して、地下水経由で海に流れ出している汚染水が毎日300トンと見積もられていますから、上のグラフの3/4量は既に海に放出済み、かつ、現在も放出続行中なわけです。
 みごとなバラ撒きっぷりです。

 5月1日の東京電力プレスリリースでは、港湾外、“海のまっただ中”でトリチウムが検出されたことが報告されていました(「汚染は拡大、顧客は逃げる・・・ボロボロ東京電力」)。
 もはや検査機器の低能力ぶりのおかげ(“検出限界以下”)で、見て見ぬふりしていられる段階も終わったようです。

 いずれは放射性汚染物質、地球じゅうに拡散しますから、どこにも逃げ場はないのですが、少しでも濃度が下がってくれた方がまだましですので、東日本にはできるだけ行かないようにし、食品もそちら産はできるだけ避けるのが賢明ということになります。(親戚・知人、東日本にいっぱいいて困るんだけど・・・)


【おまけ】
 汚染地下水対策の切り札とされてきた「凍土壁」、“なんで凍土壁か”の根拠が不明、とのことで、立ち往生です↓。

 「凍土壁完成後の水位の監視にも疑問が相次ぎ、東北大の阿部弘亨(ひろあき)教授は『凍土壁を採用する根拠がどこにあるのか。維持費にどれだけかかるか回答がない』と設置そのものに反対した。」(msn産経ニュースHP 5月2日「『凍土壁』結論持ち越し 規制委、ボーリング調査要請」)

 「検討会に出席した有識者の一人は『東電の論理は破綻している。凍土壁の必要性が全く示されていない』と声を荒らげる場面もあった。 」(福島民報HP 5月3日「『東電の論理破綻』 凍土遮水壁設置問題」)

 なお、上の産経の見出しにある「ボーリング調査」とは、「地下水を止めることで原子炉建屋が地盤沈下する恐れについて指摘が相次いだ。東電は『地盤沈下は10ミリ以内で問題はない』と主張したが、規制委側は『データ解析の根拠を示してほしい』とし、岩盤の強度などを調べるためのボーリング調査を求めた」(上掲記事)とのことです。地下水に手を付ける時に地盤沈下の調査をするのは、ちょっとした規模の建造物を作る時には当たり前の手続きだと思いますが、それ、やってないんですかね?? 恐いですね~。


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原発依存度で明暗というか・・・電力会社2014年3月期決算

2014-05-03
 2014年3月期の各電力会社決算が出ています。

電力赤字2013_3
(朝日新聞西部本社版朝刊 5月1日)

 見出しでは「6社赤字」ということですが、“ちょい赤字”と、“大赤字”では、経営状態を考えるには全く違った意味となってきますから、少し見やすくしてみましょう。

売上高(a) 経常損益(b) (b)/(a)
北海道 6303 -953 -15.1%
東北 20388 390 1.9%
東京 66314 1014 1.5%
中部 28421 -926 -3.3%
北陸 5096 98 1.9%
関西 33274 -1113 -3.3%
中国 12560 -36 -0.3%
四国 6363 -17 -0.3%
九州 17911 -1314 -7.3%
沖縄 1792 69 3.9%
  (数字は億円)

 うわ、北海道電力、大赤字もいいところです。売上高の15%を超える経常赤字です。まあ、冬場が電力消費の山となる地域ですから、発電用燃料を大量に買わなければならなかったのでしょう。
 でもでもぉ、おとなりの東北電力は黒字です。北電、もともとの原発依存度の高さもあったでしょうが、この大赤字、やはり経営の下手さでしょう。なんせ主要9電力中、発電効率最低ですから、燃料バカ食いしたのでしょう。東北電力は発電施設のコンバインドサイクル発電への改造など、必要な手を打っています。

 次にひどいのが7.3%赤字の九州電力。これは原発依存度の高さ(それに応じた、老朽化発電施設での発電による燃料ムダ使い)がストレートに出た感じです。これを川内原発の再稼働や、次には玄海原発再稼働によって、取り返そうとしていますから困ったものです。ちゃんと東北電力のように取り組んでもらいたいものです。ま、政治家と結びついたりフトコロに金を入れることばかり考えていますから、救いようがない会社です。

 中部電力と関西電力は共に3.3%の赤字ですが、これは経営努力で吸収してもらえばなんとかなる程度の小赤字でしょう。もっともその内実は、(わざと)赤字を出しながら大胆に経営改善の手を打っている中部電力と、小細工に走っている関西電力で、かなりの違いがあり、数年後には大きく運命を分けてきそうです。もともと原発依存度の高い関西電力は、このまま行ったらホントに原発再稼働に成功しない限り(やめてくれ~~)、浮かぶ瀬はありません。これから廃炉の負担も重くのしかかってくるでしょうし。(そういや中部電力、値上げも決まっているのだった。)

 あとはまあ、赤字と言っても0.3%程度ですから、こんなもの経営努力でなんとでもなる額でしょう。ちょっと努力してもらいましょう。

 と、いうところで、原発停止していても(それで、原発維持費というお荷物を背負っていても)、この程度の決算です。実際に深刻なのは2社、それも原発依存度最大だった関西電力ではなく、北電と九電ですから、無理に(危険は大きい採算も取れない)原発再稼働をする必要はありません。原発再稼働ではなく、着実な電力システム改革等こそが、やるべきことです。


PS. なお、東電についてはこちらのコメントで十分かと→「損害賠償費用も、除染・廃炉費用も国民に負担してもらえば、そりゃ黒字も出ますよね。」(大島堅一氏)。

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