関電・大赤字、北電・再値上げ、なのに「9月電気料金、全社値下げ」!!
2014-07-31
いや何と言うか、矛と盾、ってやつですか↓「関電の最終赤字290億円 社長、再値上げに含み 4~6月」(日経新聞HP 7月30日)
「北海道電が再値上げ申請 家庭向け17%、11月実施」(日経新聞HP 7月31日)
⇔ 「9月電気料金、全社値下げ=燃料価格下落で3カ月連続」(時事通信HP 7月30日)
もちろん、やらせ発覚で突然の番組終了に追い込まれたどこぞのテレビ番組じゃありませんが、どこかに無茶があるからこんなことになるわけです。
そもそも、家庭用電気料金は電気事業法に則り、経済産業省が厳格に査定して決まっているわけですから、(まあ、政治家への献金をちょろまかして上乗せしてあるとか、使用済み核燃料というゴミが核燃料原料として資産査定されているとかはともかくとして、というか、そういう無駄金も含めて黒字が出るように)、“合理的な”水準に設定してあるはずで、巨額赤字が出るのはおかしいのです。電力会社が真面目にコストカットに励み、地道に発電業を営んでいれば、電気料金は今、値下げされるべき状況にあるわけです。
にも関わらず大赤字で、再値上げが必要ということは、どこかで大金を無駄に使っているということです。
もちろん、止まっている原発の維持費が高くついているわけですが→「原発止めると、なぜ上がる? 電気料金 その2」、単なる原発維持費だけではないようです。
「たとえば柏崎刈羽原発では追加の安全対策にすでに3000億円以上のお金がつぎ込まれている。これだけのコストを回収するには長い期間がかかる。運転経過年数が短く、残りの“寿命”が長い原発でなければ、経営は破綻してしまう。」(日経BPnet 7月30日)
↑原発再稼働論者の大前研一が、「『産業突然死』時代の人生論」というコラムで書いていることですが、最低でも10年以上かけて回収しなければならないような投資を、今、電力会社は原発に注ぎ込んでいるわけです。
で、なかなかなのが、次の図↓

(日経BPnet 7月30日記事からスクリーンショット)
大前研一は記します、「このうち、40年以上経過した原発は、明らかに安全対策コストを回収することができない。建設時には30年を想定していた原子炉をその後40年に延命し、50年まではもたせたいとしていた業界の期待もむなしく、現実には残り寿命が10年を切った原子炉の再稼働は諦めざるを得ないだろう。/30~39年の原発についても、安全対策コストを回収できるかどうか、微妙なところだ。」(日経BPnet 7月30日)
わざわざ川内第1・第2にピンク着色して、採算取れるか取れないかボーダーラインぎりぎり29年・28年というのを指摘しているのも興味深いのですが、さて関西電力、上図に示された美浜1・2号機は運転開始後40年を超え、完全にアウトです。
関西電力の場合、上の図に出てこない大飯原発は、1番新しい4号機が1993年の運転開始(3号機はその前年)ですから20年程度経過で、採算ライン10年クリアということになります。でも、1・2号機はそれより10年ちょい古いので30年程度経過で採算ライン程度。高浜では1号機がちょうど40年め、2号機はその1年後なので39年ということで、絶望的。3・4号機は1985年の運転開始ですから29年めで、採算ライン程度ということになります。あ、そうそう、美浜には3号機もありました、1976年運転開始・・・やっぱ、アウトですね。
おおっ、大前研一の計算が正しければ、「微妙なところ」を除いてしまうと、なんと元が取れるのは大飯3・4号機しかない!! それも前半の10年はコスト支払いに追われるわけですから、儲けが上がるのは10年後~20年後までの10年間だけ、ということになります。
こりゃ~、電気料金値上げしなけりゃならないわけです・・・無駄金が大量に必要(、で、回収の目処も立たない)。
でも、ま、2016年からは電力自由化ですからね。値上げを決めれば払ってもらえる、というわけには行かなくなります。大前研一のコラム名称が頭に浮かんできますね、「産業突然死」、てか、“関電突然死”なんちて。
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規制委の変質、いや、もともと審査はある手抜きで激甘だったのだが・・・
2014-07-30
原子力規制委員会・田中委員長は、原発事故作業に当たる人の緊急時被爆限度を引き上げる画策を始めました。本日の原子力規制委員会の、予定議題終了後の突然の提案です。
(↑YouTubeにリンクさせてあります)
「原子力規制委員会は、現在、緊急作業時の被曝線量限度を100mSvとして一応規制を行っています。しかし、それを超える事故が起こる可能性を完全に否定することはできないというのが、私どもの考えかたです。そういった場合においても、その事故をきちっと必要な対応をできるようにする措置をする必要がある・・・国際的な基準、まあIEA等では500mSvということを出しておりますけど・・・」(上掲リンク先)
メディアのまとめでは次のようになります→「被ばく線量、引き上げ検討=原発緊急事態対応で-作業員意思確認も議論・規制委」(時事通信HP 7月30日)
いや、まあ、一律ではなく、“作業員の意思確認の上”と言ってますから、作業員の意思に、それなりの配慮はしたということになるのでしょうが・・・。
しかし、上の発言を受けての更田委員とのやり取り、ちょっと要注意です。
更田 「現在の基準、新規制基準に基づく適合性審査においても、例えば制御室の居住性、それから、緊急時対策所の居住性、重大事故等の対策に当たる要員の作業に当たる被曝に関しては、7日間で100mSvというのを基準として審査を行っています、これは変えるべきではなくて、・・・ 審査はこのまま維持していくべきであろうと思いますし、・・・(想定を超えた事態を考えておくのは重要でしょうが)・・・、現行の適合性審査における基準に影響が及ぶものではないという理解でいますけど、それで、よろしいでしょうか」
田中 「ほかの方ご意見いかがですか。参考までに申し上げますと、ICRPでは・・・要するに人命救助のような場合には線量制限がないということ、できれば1000から500mSvに抑えるということはもちろん言われています。それから、最近IEAのBSSでも、一応ガイドラインとして職業人の年線量限度の10倍、いわゆる500mSv、こういったことについて、緊急時の作業ということで、一応、こういったリコメンデーションが出ています。ですから、こういったことも踏まえまして、今、更田さんが言われたことも踏まえて少し検討を進めてはいかがかと思っているところですが、よろしいでしょうか。」
現状の基準をなんとか維持しようという更田委員の発言に対し、田中委員長、まずはガン無視→「ほかの方」、でもそれじゃもの足りず、すかさず“何言ってんだ、国際基準は全然そんなもんじゃない”です。最後にとってつけたように、「今、更田さんが言われたことも踏まえて」と付け加えてはいますが、それはあくまでおまけに聞こえます。この発言、リンク張っておきましたので、是非、聞いてみてください。もう完全に基準緩和方向で走り出しているとしか、私には聞こえません。
このあたりのやり取り、この後、この原子力規制委員会を受けて行われた田中委員長による定例記者会見で、フリーランスの木野氏から追求されています。
木野 「あとですね、あの、ちょっと確認なんですが、今日の委員会の中で適合性審査への影響について更田委員から質問が出ていましたけれども、最後に委員長のご発言で『そのことも踏まえて』というのがあったと思うんですが、これは影響する可能性もあるというふうに理解していいんでしょうかね。」
田中 「あの、影響はしないと思います。一応、基本は、適合性審査の段階ではやっぱり100mSv以下という、で、対処できるようにということを基本に審査をしてます。ただ、そうは言っても、あくまでも、それは、そういうふうな趣旨でやっていますけれども、それを超えないということは言えないので、そういう場合に、どのあたりを限度にするのかというところについて、ないしはどういうふうに対処すべきかというところを、きちっと準備しておきましょうと、こういうことです。」
否定したんだか、保留を付けて結局否定しなかったんだか、よくわからない受け答えです。「そういうふうな趣旨で」という発言は、“趣旨はこうなんだが、実際は・・・”という話のように聞こえます。
もちろん木野氏、さらに追求します。
「・・・昨年の10月くらいに、会見で、おなじ上限のことを質問した際、規制委としては介入する考えはないというお話をされていたと思うのですが、これ、状況がだいぶ変わったということなんでしょうか、当時と。」
これに対しては田中委員長、“よく憶えていないが・・・”といった受け応えで、追求してもムダ、という状況になってしまいます。質問時間の限られている木野氏としては、質問を変えざるを得ませんでしたが、このへんのやり取りで実にはっきりしました。田中俊一は、明らかに立場を後退させています。それも甚だしく。
木野氏の追求質問の言葉をきちんと聞いておきましょう。木野氏は「(被曝上限数値変更に規制委が)介入する考えがあるのですね」と、田中委員長の発言を言い換えて質問しています。つまり、“(昔は被曝上限値に介入する考えはなかったが)、今は介入するつもりになった”のですね、と田中委員長の立場の変容について確認したわけです。それに対し田中委員長は、“かつて何を言ったか”についてだけ反応し、後半、“今は介入するつもりになった”という点についてはみごとに認めてしまっています。田中委員長、しっかり規制するよりも、諸般の事情に合わせて規制を変質させる方向に突進中なのが明らかです。
再稼働のために合格証を出す機関としての規制委、という性格がいよいよはっきりしてきました。
“旧原子力安全・保安院は、電力事業者が行う事故シミュレーション解析に対し、電力事業者が使用したソフトとは違う別のソフトでも解析し、クロスチェック(突き合わせ)し検討していた。しかし、今の原子力規制委員会は、独自解析を行わず、電力事業者の解析についてだけ検討している。旧原子力安全・保安院が行ったチェックよりも甘いチェックとなってしまっている。”とは、原子力安全・保安院の技術参与だった滝谷紘一氏の話↓
「インタビュー:原子力規制委の審査『厳正でない』=元安全委技術参与」(Reutersホームページ 7月28日)
そろそろ島崎委員も退任だし、本格的に終ったな、原子力規制委員会。
PS. しかし、ちゃんと根回ししてから被曝上限値の変更を議題にすればよいものを、追加議題という形式で出てきたという点についても、更田委員の発言にしても、今回の作業員被曝限度上限値改定の話がとても慌ただしく出てきたという感じです。・・・なんかこれは近々に、被曝限度が今までのままでは済まないような事態が起こる恐れがあるのか??
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どんどん前進、新電力/もたつくもたつく原発保有電力
2014-07-29
原発保有電力会社の、遅々と進まない送電網整備に対し、新電力が立ち上がります↓
(朝日新聞西部本社版朝刊 7月29日)
送電網の整備に、新電力が連帯して動き出しました。
原発保有電力会社の接続拒否により、発電能力はあるのに生かされない現状、動き出します。
もちろん、もう状況が動いているところもあります↓
「太陽光発電2.4倍に 導入実績42万5千キロワット 13年度末栃木県内」(下野新聞 7月29日)
ま、原子炉0.5基ぶんといったところですが、栃木県だけでこの実績です。
そして↓
「東燃ゼネ、電力小売り参入=16年全面自由化で」(時事通信HP 7月28日)
石油元売りの東燃ゼネラル石油、電力に参入です。
再生可能エネルギーも、火力発電も、新電力が、続々動き出します。
これに対し原発保有電力、
「北海道電力:全国初、再値上げ申請へ 月内、20%程度」(毎日新聞HP 7月29日)
「汚染水凍結へ氷作戦、手作業で投入…福島第一」(読売新聞HP 7月29日)
もたつくもたつく原発保有電力、「値上げ」に「手作業」、何やってるのか。
はっきり言って原発イラネ。
ところで福島第一2号機サブドレインの、このセシウム濃度ぴょんと上昇、何を意味するのか??

(東京電力報道資料 7月28日)
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安倍おともだちNHKにやられた日
2014-07-28
やられたわ、昨日のNHK日曜討論会。テーマは「川内原発 “審査合格” どうなる原発再稼働」でした。脱原発派には議論ベタ、口下手な発言者を用意し、見事に「脱原発には合理性がない」と印象づけてくれました。安倍おともだちNHKに一本取られました。
この討論会、安全性に関する議論を一通りした後、原発再稼働派は、「電気足りない」、「貿易赤字もいっぱい」、という主張で攻勢、これに対し、脱原発派は京大教授・植田和弘氏と立命大教授・大島堅一氏、“エネルギー多消費型の社会のあり方を見直す必要がある”という反応に終始。“なんだ、脱原発派には現実的な処方箋がないのか”と強く印象づけられました。
これ以上書くと、味方に後ろから弾を撃つことになってしまうので、あまり書きたくないのですが、一点だけ。二人とも、自分の主張をするのはいいのですが、相手の議論を切り崩さないことには議論にはならない、というところが全然出来ていない。具体的に反論できることは、ちゃんとしなければダメです。つまり・・・
まず「電気足りない」。
この夏、日本全国総計で「足りている」ことは明らかなので、まず、それを指摘(原発推進派にも確認とればもっと上出来・・・これは否定できっこないのですから)、そして、問題があるとすれば原発依存率の高かった関西電力と九州電力の管内だけであることを確認した上で、いざという時、そこに送電できないのか、問い詰めればよいのです。なにかゴチャゴチャ反論されたら、データで切り返せば良いのです。

(『各地域間連系設備の運用容量算定結果』電力系統利用協議会 2013年4月)
それにしても、↑隅付き括弧【】で記された地域間連系設備の全容量に対する、矢印付きの「運用容量」の小ささ・・・電力会社のやる気の無さが最大の問題ですね。その気になれば北海道エリアと本州の間のように、設備容量目一杯送電することだって可能なはずです。
そもそもこの問題は、上図のような地域間融通でこの夏は給電可能だと、経産省自体が認めたから、この夏の節電要請がないのです。切り返さなくてどうする。(この夏越えれば、中期的には新規発電能力急上昇中でやはり問題なく、「エネルギー多消費型社会からの転換」は長期的課題であって、はっきり言って、この日の討論ではどうでもいい問題。)
そしてバカバカしいのが原発停止で「貿易赤字いっぱい」。
東工大・柏木孝夫は経産省のエネルギー基本計画で書かれた3.6兆円を振り回すし、前IEA事務局長・田中伸男なんて、「4兆円」とか、このインチキで膨れ上がらせた数値を更に四捨五入までしている。こんなもの、間違いを指摘しないでどうする。
エネルギー基本計画に数値を出すにあたって経産省がやったのは3.11前の原油・LNG含む燃料輸入総額と、現在の輸入総額の差額を出しただけ。こんな数値、原発停止と全然関係ない。なぜなら、3.11前と今では、2割のアベノミクス円安があって、全てのものの輸入価格が上昇していて、しかも、原油なんて発電向けに使われているのは輸入全量の15%に過ぎない。発電とは全然関係のない85%の原油の値上がり分までカウントして3.6兆円です。バカも休み休み言え、です。
このへんの計算は前提条件の設定次第でいろいろ考えられますが、最新の財務省計算では1.6兆円です(経済財政白書2014年版197ページ)。
現在の日本の貿易赤字は、半年で7兆5984億円です。原発停止後の燃料輸入増加ぶん、半年分なら1.6兆円÷2=8000億円程度です。これが原発事故の危険を犯して、命をかけてまで低減しなければならないことか、きちんとテレビ視聴者に訴えかけてもらわないと困ります。(しかも既に福島第一は廃炉ですし、耐用年数40年で使えなくなったり、活断層上の原発もあったりで、再稼働困難・廃炉必至原発も多く、動かせる原発動かしたところで、8000億円になんて、全然到達しない!!)
植田・大島、両氏とも学者なんですから、ちゃんと数字を出して議論してくれないと、何しに出てきたんだ、というところです。
あ、書いちゃった、味方に後ろから弾、撃っちゃったかな・・・(昨日はホント、ムカムカして、もっと激烈に書きそうだったので、頭冷えてから書こうと、抑えてたんだけど)。
【本日のオマケ】
来ました、朝日新聞→「関電、歴代首相に年2000万円 計7人、72年から18年献金 内藤元副社長が証言」(朝日新聞HP 7月28日)。
中部電力に次いで、今度は関西電力です。また、電力による政界工作の一端が暴露されました。どこまで行くのか、朝日新聞!!
【本日のオマケ2】
朝日新聞26日の企画記事です↓

(朝日新聞西部本社版朝刊 7月26日)
風力発電について良くまとめてありますね。当ブログでもちょっと書きましたが、「風力が不安定」なんて、電力会社の分断作戦のせいです。ちゃんと運用すれば安定した(しかも安い)発電源となります。
そして、“飛行機だと問題にならないのに、なぜ風力発電だと問題になるのかバード・ストライク”。いや、当然、そちらに電力会社が金流してるんだと思いますが、まあ、新聞としては、それは取材して裏が取れなければ書けませんから、とりあえず、風力発電についてバード・ストライクを問題にすることの不合理性をしっかりと書いています。
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凍らない「氷の壁」に、ダメダメ東京電力
2014-07-26
福島第一原発、なんかとっても温かいトレンチ水、いつまで経っても凍らない「氷の壁」に原子力規制委・更田委員、またも激怒です。東電担当者のあまりにトンチンカンな回答を聞いて、京大高木教授とのやり取りに、いきなり割って入ります。

(↑埋め込みコード無効設定になっていますので外部リンクさせてあります)
東電担当者 「レイノルズ数であるとかヌッセルト数、または流速等の式を用いまして計算を行っております。」
京大高木教授 「今は流体の話をしているのではなくて、個体の熱伝導のことを聞いているのですが・・・。」
更田委員 「あのね、ヌッセルト数というのは熱伝達率そのものですからね、無次元熱伝達率。で、今、高木先生の質問は熱伝導率に関するもので、そこでレイノルズ数が出てくるってのは、ぶっ飛びですよ、それ。」
なんかゴチャゴチャ作ってきた計算式を持ちだしてゴニョゴニョ言う東電の報告に、「そんな計算はいいから、とにかくガチガチに冷やせ」となります。でも、それじゃどう冷やすか、と、またもとの議論になり、そうなると、“どのくらい冷やさなきゃならないかは、やっぱ計算がいるか”と、更田委員も支離滅裂ぎみ・・・ダメだな、こりゃ。
で、しまいには橘高・首都大学東京教授、「私、これは凍結しないと思っているんで」なんて言葉まで飛び出します。
ま、結局↓

(東電発表資料 7月24日)
たぶん核エネルギーで発熱してるトレンチ水に、氷屋さん作業で挑戦です。
笑い、っちゃあ、笑いだけど、ホント、どうなるんだ、これ!?
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原発代替燃料費は年1.6兆円に過ぎない!! by 『経済財政白書』
2014-07-25
時事通信は、次のように伝えています↓「経済財政白書は、2011年の東日本大震災後、石油や液化天然ガス(LNG)など鉱物性燃料の輸入額がどれだけ増えたかについて、輸入実績を基に試算した。それによると、13年度は輸入量の増加に伴い11年度に比べ1.6兆円のコストアップ。ただ、政府のエネルギー基本計画は、原発の稼働停止に伴って増加する輸入燃料費を3.6兆円と試算しており、それを大幅に下回った。」(時事通信HP 「輸入燃料費1.6兆円増=エネ計画試算は過大?-経済財政白書」7月25日)
共同通信によれば「甘利明経済再生担当相は25日の閣議に2014年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した」ということで、時事通信の記事も、これに関する報道であると思われます。
ということで、内閣府のHPに行ってみましたが、まだ、掲載されていませんでした→「白書等(経済財政白書、世界経済の潮流等)」。
とりあえず「平成25年度」版でどうなっていたかだけ、確認しておきます。
「大震災後の輸入数量増加の一因となった鉱物性燃料の輸入数量の推移を見ると、2011 年4月から2012 年3 月にかけてLNG の輸入数量が大幅に増加したものの、2012 年5 月の泊原子力発電所の停止を最後に、火力発電への代替が一巡したこともあり、LNG の輸入数量は高水準で横ばいとなっており、輸入数量面からの赤字拡大は一服している(第1- 1 - 10 図(3))29。一方、鉱物性燃料価格については、円安方向への動きの影響を受けて、2013 年以降急上昇しており、この結果、輸入金額も急増している(第1 -1- 10 図(4))。」(24ページ)
そうそう、こんなものでしょう。“引き続き発電用燃料の輸入が増加”と、いつまで経っても書き続けている新聞記者のバカどもとは、みごとに書き方が違います。「円安方向への」のところ、「アベノミクスのバカげた経済運営による円安方向への」となっていれば、満点ですけど。
当ブログ、昨日、最新の貿易統計(2014年上期)の数値によって原発代替燃料コストを計算したところ、半年で1兆円でした。単純に2倍すると年間2兆円。う~ん、経済財政白書の計算は、それより少ない!!
まあ、円は、2012年10月までの1ドル80円程度から2013年5月以降の100円程度へと安くなっていますから、この円安の前なら、2兆円に8掛けですから、1.6兆円・・・おおっ、ピッタリだ (^_^;;;;;
こっちも来ました!! → 「使用済み核燃料“ゴミとして処分可能”」(NHKホームページ 7月25日)

核燃料サイクル、終わりの始まりです。(まだそこまでは行ってないか・・・「終わりの予兆」くらいか)
経済産業省と原子力ムラ、既得権益を手放すまいと、無茶苦茶な数字や政策をバラ撒いてきましたが、行政内部からも冷たい視線で見られてやんの。
しかしなぁ、この先の親方安倍政権をどうするかだな~。
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“原発ゼロの夏で貿易赤字過去最高”って、未来の貿易統計が発表されたのか!? バカ丸出し読売・毎日、貿易赤字報道
2014-07-24
けしからぬプロパガンダなんですけど、ここまで来ると笑っちゃいますね。「貿易赤字、半期で最大の7兆5984億円」(読売新聞HP 7月24日)
例によって財務省の月例貿易統計発表=誤解誘導プレスリリースについての報道なのですが、この読売報道には次のように書いてあります↓
「原子力発電所の停止で初めての『原発ゼロの夏』を迎えるなど、火力発電頼みが続いており、燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の輸入がかさんだためだ。」
何書いてんのか・・・、2014年上半期(1~6月)分の貿易統計なんですから、「原発ゼロの夏」って、これからの話なんで、関係ないんですけどね。
まあ、問題は「火力発電頼みが続いており、燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の輸入がかさんだ」という点ですが、その検討の前に、
「暦年の半期ベースで過去最大の赤字。原発停止に伴う火力発電用の燃料輸入が増大していることに加え、輸出の伸び悩みが赤字を膨らませた。」(毎日新聞 7月24日「貿易統計:上半期 赤字過去最大7兆5984億円」から)
とは、毎日新聞。
「原発停止に伴う火力発電用の燃料輸入が増大している」って、いつの話をしているのでしょう?? 前年同期比で考えるなら、前年同期は確かに大飯原発3・4号機が動いてはいました。今期はそれが停止しています。その分、火力発電用燃料の輸入が増加したでしょう。しかし、3.11震災前54基あった原発のうちのわずか2基です。それが今度の貿易統計時点で停止したからといって、(以前続々と原発が止まっていった際に貿易赤字が過去最高とならず、今さら)貿易赤字過去最高となるような影響を及ぼすなんて(なんせ前年同期比57.9%の貿易赤字増加です)、ありえません。
この記事書いた記者、バカ過ぎ。
さらに一点、指摘しておきましょう。
2013年において、発電単価、石油 20円/kWh、LNG 13円/kWhです。つまり、石油で20円かけて発電している電気の量、LNGなら13円で発電できます。LNGで13円ぶん発電したということは、そこで置き換えられた石油火力発電費用との差額7円が浮いていることになります。LNG、1円あたりにすると、7÷13≒0.54ということで、LNGを使った額の54%が、発電費用として節約されていることになります。
発電用LNGの輸入量が増えるということは、実態として、高くつく石油火力発電の代替ですから、貿易赤字を増やすことではなくて、LNG増加額の54%、貿易赤字を減らしていることになります。
かくして、電気について言う限り、石油の輸入増とLNGの輸入増は、貿易赤字に対して持つ意味が全く反対ですので、この点について区別のついてない報道は、すべておマヌケな報道です。
さて、で、もう何回目になるか数えてませんが、ホントに原発停止に伴う燃料輸入増加で貿易赤字になったのか、今回の数字でもう一度、計算してみます。

(財務省 報道発表 7月24日)
まず、原油・粗油です。
なんと、数量的には、輸入量が減っています(伸率 -3.4)。しかし、国際原油価格の上昇とアベノミクス円安のため、価額は上昇しました(伸率 5.1)。かくして原油・粗油の価額(輸入額)、7兆2704億円となっています。
ここで、現在、発電用に使用される原油は原油全体の15%です。原発停止前は6%程度でした(2006年エネルギー白書で5.9%)。ですから、原発代替燃料ぶんは、現在の輸入価額の9%として、72704億円×9%≒6543億円、ということになります。
次に液化天然ガス(LNG)です。
輸入数量が2.0%(伸率)ほど増え、価額はそこに、国際LNG価格の上昇とアベノミクス円安が加わり、11.6%の上昇で、3兆9067億円です。
さて、LNGについては、原発停止後、2012年、発電用に使用される量は68.2%、一方、原発停止前としては2010年で63%でした。差は5.2%ですが、今回半期で輸入数量2.0%伸びてます。2013年の伸率1.0%も大雑把に足し合わせて、合計3ポイント、まるまる発電用需要の伸びとして上乗せし、今回のLNG輸入価額の8.2%ぶんが原発代替燃料ぶんとしてみます。LNG輸入価額3兆9067億円の8.2%ならば、39067億円×8.2%≒3203億円、となります。
合計すると、6543億円+3203億円≒1兆円といったところが、原発代替燃料代ということになります。
今回、史上最高を記録した日本の貿易赤字、半期6ヶ月で7兆5984億円、原発代替燃料代は、このうちの1兆円ほどに過ぎません。
較べてみましょう、以前計算したアベノミクスの円安による赤字増加効果、1ヶ月で1兆6000億円でした。あるいは、日経新聞が計算した「ICT産業(コンピューター関連装置と通信機器)の貿易赤字額」は年額3兆7000億円です。
メディアというのはほんとにバカです(読売は下心あってやってますが・・・)。現在の日本経済の状況を全く理解せず、政権の(一石二鳥で)都合の良い(経済失策の原因を押し付けられる上、原発再稼働への主張にも利用できる)、言い逃れをひたすら宣伝・リピートしています。このメディア連中が世論をリードしたりしたら、日本、マジでヤバいです。(ま、貿易赤字自体は、実は大した問題ではありませんけど・・・)
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3割の人が“電力自由化されたら、「電気料金にかかわらず」原発保有電力会社は選びません”と回答・・・楽天リサーチ
2014-07-23
いつの間にこんな調査をしてたんだ楽天リサーチ、すげっ!!
(楽天リサーチ「夏の節電に関する調査」 7月18日、pdfは→こちら)
調査の表題は“夏の節電に関する調査”ですが、その中の1問、質問と回答がキてます。「2016年以降の電力自由化で、電力会社を選ぶ際に、毎月の電気代が増減する場合、現状の電気代に比べて、最大どれくらいの電気代であれば許容でき」ますか、と質問です。
なんと、3割(29.2%)の人が、「原発を保有する従来の電力会社」を「電気代に関わらず選択したくない」と回答しました。現状と同等の電気代もしくは現状よりも高くても原発保有既存電力会社を許容できると答えた者は41.7%(1.3+2.2+1.7+36.5)に過ぎませんから、電気料金値下げできない限り、原発保有既存電力会社からは、6割もの人々が流出予定です。
これに対し、「太陽光、風力、水力などの電源を保有する新電力」については、電気代1000円アップでも許容 5.5%、500円アップでも許容 10.8%、100円アップでも許容 9.5%です。もちろん同等価格なら 43.9%の人々が許容です。合計 69.7%、頑張れエコ新電力、現在の電気代水準と同等程度を実現できれば、7割は獲得できる!!(そこまで獲得するには営業努力も必要ですが・・・)
まあ、でも、「電力会社を選ぶポイント」は「電気料金が安くなる」82.9%ですから、結局どうなるかは電気料金の設定次第ではあるのですけど・・・

(同上、楽天リサーチから)
原発という金食い虫を抱え、企業向けには出血大サービスのダンピング価格で電力供給している原発保有既存電力会社、価格面では(特に一般家庭向け価格設定では)LNG火力を中心とした新電力に勝ち目はないわけで、こっちの面でも見ものです。
ところで、
「(原発利権を追う 裏金システム)政界対策、極秘の『遺書』」(朝日新聞HP 7月22日)
「(原発利権を追う 裏金システム)2人の議員側に1億4000万円」(朝日新聞HP 7月23日)
朝日新聞の中部電力裏金追求企画、なんか凄いことになってきました。クモ膜下出血で倒れ、死にそうになっている(実際、死亡する)政界工作担当役員が、とにかく政界工作極秘事項だけは言い残す凄絶ぶりから、国会議員2人への1億4000万円献金、地元対策の金バラマキへと話は展開中。この先まだ何かあるのか??
原発保有既存電力会社、地域独占・総括原価方式でバカ高い電気料金を人々から搾り取り、福島第一原発の事故の後でも何の反省もなく原発再稼働を追い求め、自らの利益のために汚い裏金工作もやりたい放題、こんな会社から電気買うなんて、ホント「電気料金にかかわらず」ごめんです。
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LNG価格急落、ますます原発再稼働の正当性なし!!
2014-07-22
ここのところ、LNGの価格が下がってきています。それも、ガクッと。
↑「LNGスポット、価格急落が映す市場転換」(日経新聞HP 7月22日)
なんでも「スポット価格は100万BTU(英国熱量単位、約25立方メートル)あたり11ドルを割り込み、2011年3月の東日本大震災前後の水準まで下げた。前年同時期に比べても5ドルほど安い。2月に過去最高値となる20ドル台に乗せた後、下落率は5割近くに達する」そうです。
この話は既にロイターでも報道されていました↓
「焦点:欧州・アジアの価格急落でLNG輸出プロジェクトに試練」(Reutersホームページ 7月11日)
こちらでは「英国の天然ガス価格の指標は、8月受け渡し分が年初からほぼ半分になった。・・・略・・・/アジアでも、需要鈍化や太平洋地域で新規の供給源が利用できるようになったことから、今年のスポット価格は40%超も下がった」と記されています。
これはもう、原発なんてで発電されたらたまったものではありません。この燃料価格下落を計算に入れなくとも、既に原子力発電は火力よりもコスト高とされているのです。原発を再稼働する正当性なんて、ますます、どこにもありません。
読売は相変わらず、経済学音痴まるだしの「国富流出」論を繰り返しています↓
「運転を停止している原子力発電所を代替するため、火力発電所の燃料である液化天然ガス(LNG)などの輸入が増えた影響も大きい。火力発電の追加燃料費は年3・6兆円に上り、巨額の国富が流出している。」(読売新聞HP 7月21日)
冗談じゃありません。簡単に言いましょう。外国に払おうが、国内で無駄遣いしようが、同じお金です。コスト計算してみれば国内原発のほうが高くつくということは、国内での無駄遣いの方が、より高くつくということです。無理に言えばLNG輸入は、「国富流出」じゃありません。「国富消耗」を防ぐための「有意義な資源輸入」です。(「国富」っていう概念、そもそも現代の経済学にないんですけどね・・・)
この有意義な資源輸入が今、格安でできる状況になっています。原発を再稼働する正当性はどこにもありません。
PS. 経産省がやっているからだろうけど、読売はまだ“追加燃料費3.6兆円”なんて言ってます。これは茂木経産相も認めた、真っ赤な大嘘です→「まだやってる“ウソの国富流出論”自体がウソ・・・今度は経産省と茂木経産相だ!!」
PS2. それでも経済界は「経済のために原発再稼働を」と言っています。この理由、単に産業向け電気料金を50%安にダンピングするためのインチキ価格決定式が原発をダシにして作られているからです。もちろんダンピング原資は電気利用者の払う電気料金です→「また甘利がバカなこと言ってるぞ(補遺)・・・産業用が、家庭向け電気料金なみに、ってこと??」。他人の財布に手を突っ込んで金を盗り、自らの財布へと収めるために、原発再稼働を主張しているだけで、日本全体の経済なんてこれっぽっちも考えていません。恥知らずな連中です。
(もちろん、経団連・日商・経済同友会の有力メンバーってのは、原発商売で儲けている連中、電力、原子炉メーカー、銀行やその関係者が多く、より直接的に割高な原発電気売りつけて他人の財布から金をくすめているわけですから、もっと直接的な利害関係者として「原発商売はやめられませんな~」でしょうが)
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中部電力、裏金で知事を籠絡!!
2014-07-21
朝日新聞は連日、中部電力による地方政界工作をスクープしています。
(朝日新聞西部本社版朝刊 7月20日)
中部電力の元役員が、裏金を使った政界工作について証言したとのこと。建設会社と電子部品会社から資金提供を受け、知事選や原発立地対策に2.5億円を使っていたそうです。もちろん、その金は、後から中部電力の施設建設等の際、費用に上乗せして支払い、返還していますから、結局、この裏金を払った(支払わされた)のは、中部電力に電気料金を収めた利用者ということになります。
続報です↓

(朝日新聞西部本社版朝刊 7月21日)
裏金を提供した電力会社元幹部からの証言だけではなく、受け取った側の知事からも証言を得ています。神田真秋・前愛知県知事、2回に渡り300万円と500万円、領収です。
ただ、証言内容として、「『電力事業に関する依頼はなかった』と強調した」そうですから、これだけで収賄罪等の犯罪立件は難しそうです。ま、当然、そういう話しか、新聞記者にはしないでしょうけど・・・。
朝日新聞は、このほかにも関連記事を複数掲載し、かなりやる気なのですが、このごろ、他のメディアが付いて来ないのが気がかりです。吉田・福島第一原発元所長の証言スクープの時など、みごとに朝日だけ。読売や産経が無視するのは当然としても、毎日とか共同通信(地方紙)とか、フォローしないので、なんか中途半端感が残ります。
それにしても電気利用者の金で勝手に政界工作なんてしやがって、電力会社、許すまじ!!
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川内原発パブコメ・・・これを指摘したらどうだろう??
2014-07-20
原子力規制委員会が募集している川内原発「審査書案」に対するパブリック・コメント、規制委は“あくまで、科学的・技術的意見のみを受け付ける”という方針ですから、科学的・技術的指摘をしなければ門前払いとなります。しかも、あらかたの論点は審査会合で議論済みで、規制委が想定していなかった“科学的・技術的問題点”を指摘しなければ、議論対象として取り上げられる可能性は低くなります。しかし既に専門家たちが検討した科学的・技術的問題について、彼らが見落としていた問題を指摘するのは容易なことではありません。
特に、火山噴火のモニター問題など、技術的に問題のあることが明らかなところもあるのですが、多くの場合、「審査会合で検討済み」として規制委が居直ることが予想されます。(それでも、非常に多くの指摘があれば、単に無視するのは難しくなっていくでしょうから、パブコメする意味はあります。)
ということで、できれば、規制委の想定外の科学的・技術的問題点の指摘を行いたいところです。
このシロウトには困難とも思える課題ですが、それでもなんとかならないか、本日は、一つのアイデアを書いてみます。文案考えているところなので、以下、現在の下書きの文頭です。
原子力規制委員会が公表されました「九州電力株式会社川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(1号及び2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書(原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号(技術的能力に係るもの)、第3号及び第4号関連)(案)」(以下、単に「審査書案」と略記させていただきます)について、コメントさせていただきます。
418ページに渡る審査書案の検討作業につきましては、多大の労力がつぎ込まれるていることが感じられますが、まず一点、重大な論点、および、その論点に関連して行われるべき検討作業が欠落していると考えられます。
それは法制度体系との整合性を検討する作業です。
いなかる技術基準も、その基準が定められる根拠となる法規と整合的である必要がありますし、直接・間接に関係してくる他の諸法規とも整合的である必要があります。技術基準は、技術的観点から内容が決まってくる側面が大きいとしても、それだけで内容が決まることはありません。技術基準の内容は、諸法規の要求することを実現するために、決まらなければなりません。
さてこの度の審査書案の審査対象である九州電力株式会社川内原子力発電所(以下、「川内原発」と略記させていただきます)について言えば、この発電所が、民間業者が運営する民間施設であるという点について、正しく技術基準が策定されているとは考えられません。この施設は、軍が運営する軍事施設ではありません。
このことが技術基準にもたらす要請は多大なものがあると考えられます。
審査書案の「Ⅳ 重大事故等対処施設及び重大事故等対処に係る技術的能力」では、様々な重大事故が想定され、それに対処する技術的能力が検討されています。しかし、そのどのケースにおいても、現場の原子炉運転作業者が行う操作によって、危機回避が図られるシナリオが提示されています。
しかし実際に重大事故が発生した場合、現場の原子炉運転作業者が実際に危機回避作業を行うことは、法的に保証されていません。命の危険を感じた民間人が、危険から逃れるために逃げ出した場合、それを押しとどめる制度的対応はありません。
原発を運用する事業者には原子力災害対策特別措置法によって事故対応が義務付けられ、それは原子力規制委のコントロール下にある「保安規定」として実現されますが、旧船員法第12条の船長の義務規定のような法規定とは全く違い、作業員個人に対する強制法規ではありません。
実際、福島第一原発事故では、原発スタッフの9割がいったん逃げ出したと報道されました。福島第一原発事故の収束作業にあたっていた当時の菅首相が、清水東電社長の退避発言に対して激怒したやりとりも、その後の事故検証の大きなポイントとなりました。
失職を厭わなければ、民間人である原発事業者等の従業員は、いつでも退職することができ、国は、法制度的に、原発事故収束作業を、原発従事者に強制することができないのです。
このような制度的状況下で技術基準に要求されている要件は非常に明らかであると考えられます。すなわち、無人でも重大事故が収束するよう、技術的要件を規定することです。
既にアレバ社の「コアキャッチャー」のように、最悪の事態であっても、原子炉格納容器から放射性物質が流出するのを「無人で」阻止できる技術が存在しています。
「人力に頼らずとも事故が収束する」。このような技術要件を規定しない理由はありません。
・・・以下略・・・
この議論って、通るかな?? このブログの読者の方のコメントをお願いしますm(_ _)m
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川内原発、パブコメしよう!!
2014-07-19
原子力規制委員会は、川内原発の審査書案について、パブリック・コメントを募集しています。「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」(原子力規制委員会HP 7月16日)
長ったらしい表題ですが、上のリンクをクリックしていただけると、原子力規制委員会の当該ページに行くと思います。
そのページにある↓が、審査書案です。
「九州電力株式会社川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(1号及び2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書(原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号(技術的能力に係るもの)、第3号及び第4号関連)(案)」【PDF:1.5MB】」(原子力規制委員会HP 7月16日)
またムッチャ長い表題。で、審査書案自体も長い・・・418ページ。(あ、こっちにも掲載されていますね。こっちの方が前フリ部分が別ファイルなぶんだけちょっと短い・・・。)
読んでくとあちこちツッコミ入れたくなりますが、審査会合で見えたツッコミどころは、こんなんかな↓
1. 基準地震動の評価
基準地震動の決め方がまず、いい加減です→ 「川内原発・基準地震動、「エイヤっと」決めました by 九電幹部」。
断層の評価も怪しいのですが、審査会合で検討していますから、新データでもないと、取り上げさせるのは難しいかもしれません。
2. 火山関係
ここは一番のツッコミどころ。カルデラ噴火については、島崎委員自身が、弱点を認めている→「川内原発合格、「現在の科学は原発の安全性を判断できる水準にないんだけどね」 by 規制委」。
ただ、弱点を認めた上で、「それでも合格」と居直っているので、専門家による再評価作業をする必要があるというところへ話を持っていくのは逆に難しいかもしれません。
具体的に九電の行ったシミュレーションの瑕疵を突いていくのが良いか
「火砕流がよけて行く川内原発!! 九電シミュレーションの怪しさ」
「【図解で明白②】九電・川内原発・火山噴火シミュレーション、やっぱりヘン」
まあ、カルデラ噴火ではなくとも必要になる火山灰対策も、人力だよりという危なさがあるので、そっちを攻めても良いかもしれません→「川内原発、火山灰対策に当たれるのは50人程度か・・・本格降灰ならお手上げでは」。
3. 過酷事故対策が人力だより
「コアキャッチャー」の問題です。人力だよりなのは火山灰対策だけではありません。「最終ヒートシンクへ熱を輸送する機能が喪失した場合」(審査書案302ページ)などでも、人間が操作をすることによって、危機を回避することになっています。
しかしまず、全電力喪失という福島の教訓に学べば、人間が操作したくても電気がなくてできない場合があるし、それに対応してディーゼル発電車とかポンプ車とか用意してあっても、それも使えない場合も想定できます(ひどい降灰とか)。
人が操作しなくても自然に放射性物質が収まる、「コアキャッチャー」が必要です→「インチキ審査は進む・・・再稼働へ突き進む川内原発“新規制基準適合性”審査」。少なくとも世界最高水準の基準というならば、ここ外すわけにいかないはずです。既にやっているところがあるのですから。
そして、いざという時、人が逃げてしまう可能性に対する対処ができていない→「9割は逃げた、福島原発従業員&10割止まった、ALPS!!」。船の乗客の命に責任を負うというだけでも船員法のような法律上の規定があるのに、それよりも広範な人間の命に関わる原発の運転において、運転者の責任を明確にする法制度が整備されていない・・・これ重大な欠陥でしょう(ただしこの問題、規制委は「守備範囲外」と言って逃げるでしょうが)。
4. で、その「人」は大丈夫か??
審査書案の第Ⅱ章は、「発電用原子炉の設置及び運転のための技術的能力」となっています。
九州電力はこれまで、たびたび信じられない事故を発生させてきました。
「相変わらずの九州電力、何やってんのか(電源開発も)・・・」
「原発なんて100年早い!! 火力もボロボロ、九州電力」
「あ、ホント無能だ・・・」
「がんばれ九州電力(8)原発監視システムをクリティカル・ヒットぉ~~」
「結局“ミス隠し”だった、「謎の九州電力」」
なんかいくらでもあるんで困っちゃうんですが、極めつけ→「お笑い!!(じゃ済まない)九州電力、電線大爆発!!」。
こういう無能で(能力がなく)、人為的ミスが多く、しかも隠蔽体質の会社に、原発を運転させるのは危険です。
とりあえずこんなもんかな~。
パブリック・コメント、8月15日までです → クリック!!
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原子力をめぐり交錯する経済の流れ
2014-07-18
規制委による川内原発審査書案了承を見て、経済同友会、これまでの態度を一変させました。「同友会:『縮原発』見直しで一致 活用推進に転換」(毎日新聞HP 7月17日)
「経済同友会『縮原発』路線を転換 再稼働念頭に活用に軸足」(日経新聞HP 7月17日)
経済同友会は、福島事故を受けて、これまで「縮原発」の方針を掲げてきました。経済3団体の中で、原発推進を堅持した他の2団体(経団連・日本商工会議所)とは違う、異色の輝きを放っていたわけですが、しかし、金儲けのチャンスがあるならば、それに乗らない手はないとばかりに、態度豹変です。
まあ、金儲けクラブですから、当然、こうなるのでしょう。原発というのは、既に経済性神話は崩壊していますが、それをネタに国民からカネを巻き上げ、経済界がボロ儲けする装置としては使えますから。
これで経済界は一致して原発推進となりました。
やっばいな~、という状況ですが、流れは一方向ばかりに向くものでもないようです。

(日経新聞HP 7月17日記事 スクリーンショット)
「電力広域的運営推進機関」がいよいよ、設立総会を開きました。来年2015年の4月には正式発足です。
これまで、再生可能エネルギー発電会社の参入障害となってきた「接続容量の壁」に穴が空き、既存電力会社に対して新電力が負わされてきた「配電関連の嫌がらせ(ハンデ)」が軽減されることが期待されます。
「接続容量の壁」とは、例えば→「風力発電の系統連系可能料について」(四国電力)に出てくるように↓
「しかしながら、風力発電は、自然条件により出力が大きく変動することから、電力系統への連系量が増大した場合、周波数面での影響が生じることとなるため、当社としては、常に電力の品質保持に配慮しながら、系統連系を進めていく必要があります。/こうした状況から、当社では、現時点で電力系統に悪影響を及ぼさないと見られる風力発電の連系可能量を20万キロワットとして設定し、当面の間、運用することといたしました。」
なんて言い方で、既存電力は、新規発電業者の電気を受け入れないことを平気でやってきました。一方で「原発止まって電気が足りない」なんて言いながらです。それにそもそも、日本の電力会社間には電気の融通に使える送電線が結構あり、それを使えば、風力の出力変動程度、簡単に吸収できるにも関わらずです↓
「国の風力発電系統連系対策小委員会でも、この東電を東北電の蓄電池代わりに使うアイデアが議論された。だが小委員会は『送電線の余力に不安がある』との理由でこのアイデアを採用しなかった。これは、この送電線は原子力のためで、風力発電の活性化には使うべきでないと考えたためだろう。」(「風力発電建設に電力会社がブレーキ」井田均/市民エネルギー研究所)
実際、この送電路は、この夏原発を動かせない関西電力と九州電力に電気を送るために使われるのですけど→「“原発ゼロの夏” 関電、東日本からの助けも求めた『綱渡り』の電力需給計画」(産経新聞HP 4月17日)。ただし、再生可能エネルギーのためには使えないようです。
そして「配電関連の嫌がらせ(ハンデ)」です。
発電側への参入障壁が接続容量の壁なら、小売側、新電力への妨害も、もちろんしています。新電力には各利用者まで電力会社のケーブルで電気を運ぶということで託送料金が課されますが、これ遠くにある原発からの送電費用も含めて、原価計算がされています。しかも使用電力の変動は、30分ごとに報告せよと要求しています。東電なんて、6時間に1回しかデータ送れないと、主張していたくせにです。
こういったことが「電力広域的運営推進機関」の設置により、多少は整理されるでしょう。一応制度設計として、この組織、「電力会社のほか発電事業者、小売りを専門とする新電力の3グループが参加。大手電力会社に有利にならないよう、3グループは機関決定で同等の権限を持つ」(上掲、日経記事)となっていますから。ま、この仕組が現実にどの程度役に立つかは、結果を見てみないと判りませんが。
電力広域的運営推進機関がそこそこ機能した場合、新電力と比べて割高な電気しか提供できない原発依存電力会社、2016年の電力自由化でどうなるのか、見ものでしょう。
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審査書は、安全性の確認ではないんですけど・・・川内原発
2014-07-17
そこらじゅうのメディアが書き立てていますから、改めて書くまでもないのですが、昨日の、原子力規制委員会での川内原発・審査書案の了承、田中・原子力規制委員長の言葉を素直に聞けば、原発再稼働とは関係ないんですよね。政府の政策は「安全性を確認した原発は再稼働」ですけど、原子力規制委員会は安全性の確認なんて、全然してないのです。つまり、再稼働について、何も状況は変化していないのです。ちゃんと言葉を確認しておきます↓
(youtubeにリンクさせてあります)
「安全審査ではなくて基準の適合性を審査したということです。・・・、基準の適合性は見ていますけれども、安全だっていうことは私は申し上げません・・・。」
安全性が確認されていない以上、「安全性を確認した原発を再稼働させる従来の政府方針に変わりはないとの考えを改めて示した」国は、川内原発の再稼働を行うことはできないということになります。
ごまかすな、安倍!! ・・・と、菅直人元首相も書いています→「原子力規制委員会は『新規制基準』と表現しているのになぜ読売や産経が『安全新基準』という用語を使うのか。安倍総理や菅官房長官が住民の安全性も審査したかのように『安全基準』と言っているからだ。つまり、安倍総理のごまかしの片棒を担いでいるのだ。」(菅直人Official Blog 7月17日)
さて一方、福島の方では、また何兆ベクレル放出するかわからない、福島第一原発の原子炉建屋カバーの解体計画の手順が東電HPに掲載されています。

(東京電力HP「福島第一原子力発電所1号機原子炉建屋カバーの解体について」7月17日から2ページめ)
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川内原発合格、「現在の科学は原発の安全性を判断できる水準にないんだけどね」 by 規制委
2014-07-16
本日はやはり、これ、書くしかないでしょう。「川内原発は『審査合格』 原子力規制委、再稼働は秋以降」(47NEWS=共同通信 7月16日)
「疑問抱え再稼働『適合』 川内原発 規制委が審査結果案」(東京新聞HP 7月16日)
「川内原発、今秋再稼働へ 規制委が合格証 」(日経新聞HP 7月16日)
川内原発の審査書案(=審査合格証)を了承した今日の第17回原子力規制委員会、注目点はこのあたりか↓

(↑youtubeにリンクさせてあります)
「一番困ったことというか、問題点がどこにあるかというと、結局、自然災害に対する科学の水準がどこに今あるかということです、・・・、最新の知見がAの方向なのかBの方向なのか、Aの方向なら文献があって一応認められている、Bの方向では文献がないという状況なら、Aを取るのが合理性があると判断していますが、科学の成熟の段階として完全にAかと言われると、まだ、というところがあって、・・・地震学にしても火山学にしても、あるいは津波にしても、・・・どういうふうに科学が使えるかというと、必要としているものと合致しない場合がある。」
要するに、原発の安全性を判断するために必要な水準に科学が達していない、と認めています。
それならば、「判断できない」とすべきであって、「合格」っていうのは、まともな判断とは言えないでしょう。
島崎委員は更に続けます。
「火山に関してはいろいろ批判があることを承知しているのですが、その最大の問題は、カルデラ噴火という人類が見たことがない過去の非常に大規模な噴火に対する現在の科学の水準が不十分であるということにあります。今のところ地質学的なタイムスケールではいろいろなことが分かっているのですけれども、十年、百年、千年という時間スケールに関する解析は最近可能になったという状況であって、それらの結果は、カルデラ噴火の前、百年とか、千年とか、そういうスケールで明らかにマグマの供給が増えているということを示していて、これに反する結果は、今のところ実証的研究としては一つもありません。・・・、事業者の言っているカルデラ噴火の可能性が十分に小さいということは十分に合理性のあることと判断できると考えています・・・」(傍聴席から抗議の声)(抗議の声)(抗議の声)
ここで島崎委員は「(これまでの研究は)、カルデラ噴火の前、百年とか、千年とか、そういうスケールで明らかにマグマの供給が増えているということを示していて、これに反する結果は、今のところ実証的研究としては一つもありません」と言っていますが、この“Aを支持する文献”が、どれだけあるかというと、第95回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(平成26年3月19日)での島崎委員自身の発言で挙げられているのがわずか2例。しかも日本の例ではなく、日本に適用できるかどうかは疑問視している状態。こんなんでカルデラ噴火がないと考えることの合理性がどこにあるのか!! まあ、だから歯切れが悪くなっていつまでもグチグチ言ってるしかなくなってるわけですけど・・・これで「合格証」出すなんて、なんて無責任なんだ!!
さて、それでも審査書案が出てしまった以上、とりあえずはパプコメ闘争でしょうか。
川内原発審査関係についてこれまで当ブログで行ってきた批判は→「九州電力」エントリーへ
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最大4兆ベクレル、福島原発がれき撤去で放出!!
2014-07-15
福島原発での、がれき撤去で放射性物質が拡散し、“コメの放射能汚染の原因となったのでは”というニュースが流れたのは昨日のことでした。
(朝日新聞西部本社版朝刊 7月14日)
その続報になるのか、なんと、放出量は↓
「福島第1:放出量は最大4兆ベクレル がれき撤去で東電」(毎日新聞HP 7月14日 22:38→23:51最終更新)
この記事によると「東京電力福島第1原発で昨年8月のがれき撤去時に放射性物質が飛散し、20キロ以上離れた福島県南相馬市の水田を汚染した可能性がある問題で、東電は14日、同原発からの放射性セシウムの総放出量を最大4兆ベクレルと試算していたことを明らかにした。しかし『かなり大づかみな計算』として公表せず、市にも伝えていなかった。/東電によると、敷地内や同県双葉、浪江町のモニタリングポストで実測した空間放射線量の上昇度合い、気象データを基に放出量を試算。がれき撤去で放出されたのは1時間当たり1000億〜1兆ベクレルで、放出時間は計4時間と推定した」とのことです。
いや、ちょっと、この放出量、ハンパじゃないでしょう。
ブラジルのゴイアニアで、放置された医療用放射性物質が盗難・放出され、250人が被曝、うち20人が急性障害、さらにそのうち4人が放射線障害で死亡した事故の際の放射性物質放出量が51兆ベクレルですから、4兆ベクレル放出なら、その1/13にあたります。
“一桁少ないし、薄く広くバラ撒いたのだから問題ない”、とでも言うのか・・・。
しかしこのゴイアニア被曝事故、国際原子力事象評価尺度(INES)で、レベル5です。スリーマイル島やウィンズケールと同じ評価です。ですから、放射性物質放出量が一桁少なくなかったら、今回のがれき事故もまた、歴史に残る大事故になってしまいます。一桁少なかったことなんて、なんのなぐさめにもなりません。
これだけ多量の放射性物質放出の可能性があって、「公表せず、市にも伝えていなかった」って、何考えているんだ、東電。“フクイチやっちまったからには、もう放射性物質なんてどんだけ放出しても状況たいして変わらないし、だから放出し放題”とでも考えているとしか思えません。
これ犯罪行為でしょ。こんなの許しちゃいかんです。もっとも、南相馬市などで具体的に訴訟を起こす人がいなければ、東電に罰則を課す政府官庁なんてないでしょうから、うやむやでしょうね・・・根本的に日本政府は壊れています。
【追加 朝日新聞続報】
放射能汚染は50km先でも検出されていました!!

(朝日新聞西部本社版朝刊 7月16日)
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怪しいシーンカット3ヶ所、「第123回 新基準適合性審査会」
2014-07-14
7月11日、「第123回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」が行われました。 この結果、玄海原発の基準地震動の九電修正案が原子力規制委員会によって了承されたと、読売新聞は伝えています。
「玄海原発揺れ想定了承、規制委審査ハードル越す」(読売新聞 7月12日)

(読売新聞HP 7月12日)
いやしかし、どこで了承したんだ!? そんな場面見なかったぞ・・・
というか、そもそも今回の会合についてのビデオはおかしいのです。

(youtubeにリンクさせてあります↑)
このシーン、リンク先の10秒後、九電・赤司・原子力グループ長の回答中、ビデオは突然ぷっつりと切れ、小林管理官の質問場面へと切り替わってしまいます。なにかマズイことでも話したのか??
同様に、このシーンの10秒後にも飛びがあるし、そして、次のこのシーンの10秒後にも、ビデオはぷっつりと切れ、別のシーンへと飛んでます。
そして島崎原子力規制委員、「それでは本日の議事は以上としたいと思います」です。
この飛んでいる間に、何か国民に知られちゃ困る発言(読売の伝える「地震対策の基準となる揺れの想定を最大620ガルとする九電の報告を認めた」なんてこと)があったのか??
「原発議論、ネット中継せず 経産小委、運用に批判も」(47NEWS=共同通信 7月11日)
経済産業省の「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」は、そもそもネット中継拒否です。国民に知られちゃ困ることがいっぱいあるようです。
これまで公開されてきた原子力規制委の会合も、なんか怪しくなってきました。
まあ、日経によれば、 「九電は同原発(玄海原発)を襲いうる地震の揺れの最大想定値を620ガルと説明。規制委からは解析手法などを巡って注文が付き、最終的な了承は見送ったが、大きな異論は出なかった。/地震想定値は審査の最大の焦点で、この数値が規制委から了承を得られれば審査は最終段階に進む。」(日経HP7月12日付記事「玄海原発の地震想定、大きな異論出ず/規制委の審査会合 」)となっています。
この記述なら、ビデオで見える範囲で見た、当日の状況についての記事として、理解できる範囲です。
“規制委が了承”とは単なる読売の勇み足なのか、それとも裏で実際に了承があったのに、とりあえず規制委が真面目に規制しているふりをするために情報統制が行われたのか、なんとも気持ちの悪い状況です。
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民主党は学習せよ、脱原発で戦った時だけ勝機があることを・・・滋賀県知事選
2014-07-14
「滋賀知事に三日月氏=自公との対決制す-『卒原発』、嘉田県政継承」(時事通信HP 7月14日)滋賀県知事選、“卒原発”を前面に戦った三日月氏、当選しました。もちろん、集団的自衛権の問題やアベノミクスの評価など、現政権に対する全般的な否定的評価が影響したことは間違いありませんが、滋賀県知事選の主要課題は嘉田県政の評価、それも中心は脱原発(「卒原発」)でした。
さっそく反応が出ています。
「【滋賀県知事選】反原発派の勢い増せば再稼働険しく 関電に暗雲」(msn産経 7月13日)
「滋賀県知事選 与党の緊張感欠如も響いた」(読売新聞HP「社説」 7月14日)
産経の記事は見出し通りストレートに、原発再稼働が難しくなったことを訴えています。読売の記事は、“勝って当然の自公が負けたのは・・・”という頭のおかしな前提から書き起こしていますが、具体的失策として第一に上げられているのは石原環境相の「金目」発言ですし、三日月氏への批判も脱原発に集中しています→「疑問なのは、三日月氏が、嘉田知事と同様、段階的に原子力発電から脱却する『卒原発』を唱えたことだ」(読売新聞社説、上掲リンク先)。
要するに最大の対立点は脱原発で、この点をしっかり訴えれば民主党でも勝てるし、逆に、この点で汗かかなければ民主党に存在意義などない、ということがはっきりしたのが今回の知事選挙だったということでしょう。
民主党、生き残りたかったら、電力総連系のメンバー、原子力ムラ系の幹事長、“急な脱原発はムリだろう”保守派、こいつらをちゃんと処分して、脱原発できちんと自民と対決する姿勢を整える必要があるというのが、今回の選挙結果の意味するところでしょう。
「民主党も多くの問題を抱えている。しかし、自民党に対峙し、安倍総理の強権政治を阻止するには、民主党が脱原発と集団的自衛権反対を軸に据えて頑張るしかない」(菅直人officialブログ7月14日「潮目が変わった滋賀県知事選」)
あいかわらず、菅元首相だけが正論を唱えている状況が続くだけなのか、何か動きがあるのか、ま、民主党については生暖かい眼差しで見守っていくほかないのでしょう・・・。
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姶良市、大爆発!!
2014-07-13
正確に書くと、「姶良市議会、大爆発!!」です。(姶良カルデラではありません・・・)
(朝日新聞西部本社版夕刊 7月12日)
「・・・姶良市議会(定数24)は11日、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の再稼働に反対し、廃炉を求める決議案を可決した」とのことです。単に再稼働に反対しただけではありません、廃炉を要求したのです。これはみごと「大爆発」と言って良いでしょう。
もちろん、鹿児島県知事の方は九州電力の完全な子飼い(10km以上は避難計画もいらない、と言うくらいの立地交付金亡者)ですから、この姶良市の要求は黙殺されるでしょう。姶良市、函館市に次いで訴訟を起こすほどの根性はあるのか??
以下に位置的な関係を記します。

↑赤く塗ったところが姶良市です。川内原発から30kmと50kmの間に市が位置します。(黄色く塗ったのは原発立地自治体の薩摩川内市。)
福島原発事故の際の避難区域だと、どのくらいに該当するかと言うと↓

福島の飯舘村とほとんど同じ距離関係、そして大間原発の建設差し止めを訴えた函館市とも同じ距離関係ということになります。函館市が市の命脈の危機を感じて訴訟を起こす権利があるならば、姶良市にも訴訟を起こす権利があることになります。頑張れ、姶良市!!
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玄海原発・佐賀県の新しい避難計画・・・UPZじゃ全然足りない!!
2014-07-12
佐賀県の新しい避難計画が出ています → 佐賀県HP 7月8日。朝日新聞によると、「実効性があるのかどうか、あいまいな点が多い」計画で、特に、要介護者などの行き先が普通の体育館だったりして、いろいろと不安な点が多いということになります → 「佐賀)原発避難計画大丈夫? あいまいな点多く」(朝日新聞HP 7月11日)
さてどんなもんでしょう? 佐賀県公表資料から、とりあえず地図です↓

(佐賀県記者発表資料)
“福島のSPEEDIシミュレーションから、避難範囲を決めた”、という図です。えっ、なんで佐賀・玄海原発のシミュレーションじゃないの?? 立地自治体として佐賀県はSPEEDI使い放題になっているのに・・・。
それにしても狭っ!! 1/8方位を「目安に」避難指示を出すそうです。「原発事故時は風向きが変わらない」という信念に基づいて計画立案しているようです。大丈夫かいな。
どうせ福島の図を見て立案するなら、福島の避難区域図と見比べてみましょう。赤が「警戒区域」、黄色が「計画的避難区域」、緑が「緊急時避難準備区域」です。

この図を、上の玄海原発避難対策地図(下の方)に重ねます。

う、黄色の「計画的避難区域」、みごと1/8方位に収まっている・・・すごい、じゃなくてぇ、計画的避難区域が図の外へとはみ出してます。佐賀県の出した地図じゃ狭過ぎです。ちょっと広げて、

地図を重ねると、

う~ん、佐賀県が考えてる避難対策、狭すぎじゃないか。
かつて Greenpeace のHPに掲載されていた、玄海原発SPEEDIシミュレーションです↓

これじゃあ風向き次第で佐賀県全域が対策必要になってしまうから、わざわざ阿武隈山地で遮られて被害範囲が遠くへ伸びない福島のSPEEDIを持ってきたな!! しかし、その福島でも避難区域見れば、やっぱり全然足りない、お笑い避難計画でした。
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志賀原発・検討会、北陸電力撃沈の瞬間
2014-07-11
本日は、原子力規制委員会の「第2回志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」が開かれました。産業技術総合研究所・重松紀生・主任研究員、大活躍でした。
まずは「前にあった条線のデータ、今回の資料には載ってませんが、どうなったんですか」です。

(youtubeへリンクさせてあります)
これに対する北陸電力の回答と、重松主任研究員の追求は、こんな感じ↓
(北陸電力)「・・・、条線につきましては・・・非常に局所的・・・写真の光の当て方が悪かったという観点から・・・条線というよりは別のものに見えた・・・ごく一部分で広がってなかった・・・条線とするには難しいのかな、というところから、今回、データとして後ろから外した、というところです。」
(重松主任研究員) 「データはデータなので、・・・少なくとも客観的に評価したいという場合には、生データを消してしまうというのは問題であると思うんです。きちんと資料の中につけるべきと思うわけです。・・・」
(北陸電力)「配慮が足りませんでした、申し訳ありませんでした。」
まず、「一本!!」取ったところで、断層の応力解析に進みます。
(北陸電力)「・・・何か問題があるというのであれば、もう少し具体的に教えていただければと思うのですが。」
(重松主任研究員)「・・・、ここで計算したのは応力の変化分がどれだけかであって、絶対値ではない。で、実際、すべり方向がどっちを向くかというのは、絶対値で決まるのであって、応力の変化分から計算されるべきものではないということです。」
(北陸電力)「・・・もう少し解析検討させていただきたいと思います。」
都合の悪いデータを隠したのを責められ、新たな解析は間違っていることが指摘され、あ~終わったな、志賀原発、という瞬間でした。
メディアの評価はこんなです→「北陸電、改めて活断層否定 規制委『検討が必要』」(日経HP 7月11日)」
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こりゃいよいよ断末魔だな、日本原電
2014-07-10
「ある幹部は悲壮感を漂わせながら、こう言い切った。/『たとえ職を失ったとしても規制委の不合理さが白日のもとにさらされれば、悔いはない』」(産経biz 7月9日)敦賀原発の活断層を検討する6月21日の規制委・有識者会合で、けちょんけちょんにされた日本原子力発電、怒り収まらず、大爆発です。HP見てみれば↓

(日本原電HP 7月10日の状況 〈ピンク矢印〉書き込み)
スクリーンショットに写っている3本のプレスリリース、要するに全部、原子力規制委員会の21日会合に対する抗議文です。スクロールすると、実はもっとあって、規制委に対する抗議文は5本になります(当日「お断りされた」資料も掲載されてますので、それも合わせれば6本)。
2014年07月03日
田中委員長の発言に関する事実関係についてNEW
2014年06月25日
原子力規制委員会への「公開質問状」の提出について
2014年06月24日
原子力規制委員会への要請書の提出について
2014年06月21日
敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第2回追加調査評価会合における当社提出資料の取扱いに関する事実関係について
2014年06月21日
当社コメント(敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第2回追加調査評価会合の開催)
ま、要するに、“1週間前が資料提出締切だなんて言われてない、専門家の出席だって当日じゃだめだなんて言われてない、こういうやり方は不公平だ”という主張です。
で、その書き方が尋常じゃない。社内の電話対応メモやら、やりとりしたファックスやらを公開しての抗議です。
確かに、細かい行き違いはあったのでしょうが、しかしやっぱり当日の櫻田原子力規制部長の話と突き合わせてみれば、これで抗議が成り立つはずもないと見えますけど↓
「資料の提出等、一週間前で切るわけではないと言ったのは、事実訂正等、細かな修正を受け付けるという意味で、発表内容をガラッと変えていいと言ったわけではない。そんなことされたら、一週間前に会合参加有識者に資料を渡して検討してきてもらう意味がなくなってしまい、有意義な議論ができなくなるのが当たり前のことではないか。」(逐語ではなく大意を筆起こし、当ブログ記事6月22日から。実際の言葉は→これ)
日本原電の抗議文の中にもありますが島崎・規制委員が「十分有識者の皆様に事前に届いて検討できるという余裕のもとで次回の会合を開きたい」(日本原電抗議文2ページ)と言っているのですから、これを“前日でも良い”とか“当日でも良い”と考えるのは、あまりに都合よく解釈しすぎでしょう。
日本原電はそう思ってないのでしょうが(というか、そういうふりをしている)、日本原電の抗議は、規制庁担当者の言葉尻を取った、子供のいちゃもんです。
まあ、東海第二と敦賀の2つの原発を運営するのみの日本原電にとっちゃ、より古くすぐ廃炉になりそうで、しかも古いということは手をいっぱい入れなければ再稼働が難しい東海第二だけじゃどうにもなりませんから、敦賀が動かせなければそれで会社が終わりでしょう。もうここで必死になるしかないのでしょうが、規制側の官庁怒らせて、ますます窮地です。
断末魔だな、こりゃ。
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川内原発、いんちき新基準合格書は16日に
2014-07-09
九州電力川内原発、もともとは原子力規制委員会が本日、新基準適合性審査の合格書にあたる「審査書案」を出すと言われていましたが、16日に延期になりました。なんでも作文に時間がかかっているとのこと。もし姶良カルデラが本格噴火したら火砕流直撃必至な上、その噴火、国の火山噴火予知連絡会会長が「予知できない」と言っているのに、予知できることにし、はたまた、文部科学省傘下の地震調査研究推進本部からは、九電の断層調査は全然なってないと言われているのに、九電の断層調査で良いことにしてしまう、“ごまかしで固めた”審査書案ですから、書きにくいのでしょう。

(朝日新聞西部本社版朝刊 7月9日)
それにしてもズサンです→ 「だが、重大事故が起きた時の現地対策所となる免震重要棟の完成は2015年度めどで、現在は建設予定地の雑木林を造成中。格納容器のフィルター付きベントの設置も16年度めどで、工事がすべて終わるのは数年後の予定だ。」(上の記事の最後の部分)
必要な設備が全く揃わないのに、再稼働ができるとは、バカにしているにも程があります。
なにこれ↓ 工事中やん。

(朝日新聞HP[上掲図は動画から]・・・リンクさせてあります)
避難計画の方もズサンの極み、鹿児島県、やる気ありません→「どこまでやる気ないんだ鹿児島県、川内原発の避難計画立てようなし!!」。
ダメでしょ、こんなもん再稼働しちゃ。
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福島原発、凍らないトレンチ配管の中には何か“相当温かいもの”が・・・規制委・検討会
2014-07-08
昨日7月7日、原子力規制委員会が行った「第24回特定原子力施設監視・評価検討会」、東京電力による「氷の壁」作成作業の遅れについて、“規制委が強く苦言を呈した”、ということになっていますが・・・「規制委、東電に凍結能力強化要請 福島第1、トレンチ止水で」(47NEWS=共同通信 7月7日)
「汚染水抜き取りに遅れ=トレンチ内凍結難航-福島第1」(時事通信HP 7月7日)
いやいや、この会合、あぶない、あぶない!! 「ぴー」になりそうな発言、連発です。
この会合の前半部の検討課題が、高濃度汚染水約1万1000トンが溜まっているトレンチから、この汚染水を汲み出すために、タービン建屋との接続部に「氷の壁」を作り栓をする作業の、進捗状況について、でした。

(東電作成・当日検討資料から)
すぐに凍るはずだったのに凍らない。ということで、まずは更田・原子力規制委員です。
「たとえばS6という位置で言うと、5月29日ではいったん凍っているけれど、6月29日では10℃位に戻っている、始めた時よりも温度が高くなっている。・・・凍っているところもありますが、全然凍っていないところもある・・・温度分布の状況を見ていると、このままやっていて凍るとは考えにくい。」(youtubeから)
東電は、“配管の周りが凍りにくいのは分かってましたが、さらにトレンチに「流れ」があって、ゴニョゴニョゴニョ”。
しばしのやり取りの後、福島大学・渡邊教授です。

(↑埋め込みコード無効設定になっていますので外部リンクさせてあります)
「(流速計の問題なんですけど・・・)上部の方は南西方向になっていて、下の方は全体が北東方向になっていると二分化していますよね。『対流』『対流』と言っていますけど、対流じゃなくて、基本的に例えば地下の水位が上がって、地下の水位で運動量で輸送されて北東方向に全部が一様化されているという可能性はないのでしょうか。要するに何かというと漏れてる、・・・立坑の中だけで閉鎖されているのかどうかということも含めて、きちんと対応しないと凍結できないんじゃないかと・・・」
話はあくまで「氷の壁」が出来るかどうかですから、「漏れてたら凍結できないんじゃないか」となるのですが、いやいや、いやいやいや、漏れてたらヤバイでしょ。高濃度汚染水ですよ。(ぴー)
さらに畳みかけて「このデータを単純に見ると、プラス0.5くらいまで水位が上がって、下の流速が上がってきたと見ることもできる。漏れてないとこういう方向は出ないのではないか」とも、渡邊教授は言っています。
で、これは序の口、この話に続けて、↓こうです。
「管のあるところが13℃とか15℃とかになっていますよね、普通、現在の地中温度だと・・・こうはなりませんよね・・・配管の熱源なんかも検討していただきたい・・・せっかく観測しているのだから、観測値を用いて熱量計算できるのだから、そんなに難しい計算ではないと思いますから、配管の中に実際にどういうものがあるのか、必ずしも外側の空気の影響だけではなくて、やっぱり相当温かいものが入ってきているっていう可能性が十分考えられますので、・・・、そこも含めた上で、きちんとやってもらいたい。」
う、「相当温かいもの」って、自分で崩壊して熱を出すアレですかね、核燃料(ぴー)。
もちろんこの後の議論展開は、「それを、どうやって冷やすか」だけで、温かいものが何かなんて、全然、話されないのですが、さてしばしの議論の後、司会兼任の更田・原子力規制委員が再登場します。
「最も簡単な冷却量の計算が示されていない。最も簡単なと言うのは、冷媒の入口温度と出口温度の温度差が分かっているんだから、比熱容量と流量を掛ければどれだけ除熱できているのかはすぐわかる。・・・。どれだけ除熱できているのかという数字はすぐに出てくるのに、その数字が示されないというのはとても不思議です。・・・ちょっとやそっと流れがあってもガチンガチンに固められるよう冷却能力を上げるというのが普通なのじゃないでしょうか。」
数字なんて出して、予定外の発熱源がトレンチ内にあることになったらどうするんですか。格納容器内に留まっているはずの核燃料の行き先の一端がバレちゃうじゃないですか。もちろん、話はそっちの方には行かず、またぞろ「どうやってガチンガチンに冷やすか」ですが。
でも、そこんところ、規制委・安井対策監が、この発言に続けてフォローしてくれています(^_^;;

(↑埋め込みコード無効設定になっていますので外部リンクさせてあります)
「ほんとうに流速なんでしょうか、原因は。わずか1分間に1ミリ、1時間に6センチの水の動きですら固まらないというのは、・・・非常にゆっくりした流れで、かつ、タービン建屋から出てる配管から水が流れてるわけで、・・・、大量の水ではないのだから、配管自体が温められているのではないでしょうか。これは深刻で、・・・、配管、ケーブルの管壁まで固まらないと閉塞が完成しないんじゃないでしょうか。もっと別のことやらないと、待っていれば凍るという問題じゃない。次元が違うんじゃないか。・・・この程度の流れで固まらないなら、凍土壁なんて全然固まらない。無きに等しい流れで固まらないとは、考え方の基本がちょっと違うんじゃないか。」
まあ、またもや話は「固まらない」方向ですが。固まらないついでに、凍土壁までバッサリです。
しっかし、東電の担当者、「バッカヤロー、飛散した核燃料で温められてるのは分かってんだよ~。それをそう言えない弱みにつけ込みやがって、どこまで人を袋叩きにするんだ。お前ら人間のクズだぁ!!」と叫びたくならないのでしょうか?? ま、たとえ叫んでも、ここまでメルトアウトに口をつぐんできたやつこそが最低、としかならないことには変わりありませんけど。
それにしても、凍土壁なんて話、早くやめて、別の対策を考えないとどうにもなりません。汚染水には“なにか温かいもの”が混じっていて凍りませんし、その汚染水は漏れています。
私も「拡散」好きのネットワーカーのはしくれですが、核燃料の拡散はひらにご容赦です。
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読売と東電は何やりあっているんだ??
2014-07-07
何を思ったか、読売が突然、東電に噛み付きました。「東電『XP』4万8千台、5年継続…外部接続も」(読売新聞HP 7月7日6時55分)
「重要インフラ事業者が『XP』継続、不安の声も」(読売新聞HP 7月7日8時50分)
“なんと東電はxpを今後5年も使い続けるつもりだ!!”という報道です。
なんでこんなのが大々的な記事になるのか・・・。“古くなったxp、そんなんさっさと更新すればいいじゃないか。原発にかけてる金とくらべりゃ安いもんだし、どうせツケは電気料金に回すんだから。もし何かあったら脱原発派に噛み付かれるだけじゃないか”といったことでしょうか?? どうも意図がよく見えないんですが・・・マイクロソフトから付届けをもらった記者が勝手に書いたという線も捨てきれないか・・・。
で、東電、
「平成26年7月6日付(朝刊)読売新聞1面『東電「XP」5年間継続 48000台 国は3度更新要請』について」(東電HP 7月6日)
おっと読売、1面掲載でしたか。そこまでの大ニュース?? そりゃ東電も、なんかコメントしないわけにもいかないかぁ。
「当社といたしましては、これまでに社内ネットワークやパソコンに対して各種の技術的対策を講じるとともに、グループ会社も含めた全社員への注意喚起等を随時行っております。/なお、電力供給に関する当社基幹設備の制御システムは、外部のネットワークから切り離された独立したシステムのため、影響はありません。」(上掲 東電リンク先)
う~ん、「注意喚起」で良いのかな~。もちろん制御系はネットから隔離だから、電気そのものの方は大丈夫のはずということですが・・・。個人なら、金が無いならUbuntuにでも行けばいいだけのことだけど、ま、業務用なら金の問題よりも、なんかwindowsでどこか業務用システム組んであって、バージョンアップできない理由でもあるのか・・・いや、そうだと例えば、ある日、身に覚えのない高額請求が来たりして。
で結局、読売の続報だと、
「東電、『XP』更新前倒し…『社会全体で要請』」(読売新聞HP 7月7日 16時51分)
なんでも、「東電によると、XP搭載のパソコンを2018年まで使用する計画だったが、15年9月までに更新する予定だという。東電は『さらなる前倒しを行うことができるか検討する』としている」そうです。
う~ん、結局、「東電も頑張ってるんだ」と言うための茶番だったのか・・・。
そう言えば、↓こっちも、まだ頑張ってるみたいです。一般社団法人は作ったけど、その後あんまり出てこないから、もう撤退かと思ってた(^_^;;。あっと、そう言えば、脱原発・城南信用金庫のシンクタンクの名誉職かなんかにも就いてたな・・・メディアにブロックされて、報道遮断されているのかなぁ??

(NHKホームページ 7月7日)
保守派の人達にもこっち(脱原発)に来てもらいたいんで、おおいに活動してください。
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まだ壊れ続ける福島第一、その一方必要な設備なしに再稼働認める国
2014-07-06
まだまだ福島第一の状況は極めて不安定です。爆発してない5号機の配管からも水漏れです。「5号機で海水漏れ=使用済み燃料プール冷却停止-福島第1」(時事通信HP 7月6日)
「福島第一5号機、燃料プール冷却停止 配管から水漏れ」(朝日新聞HP 7月6日)
使用済燃料プールの冷却、一時停止です。下の方の朝日新聞の記事によれば「プールには946本の使用済み燃料と48本の未使用燃料がある。水温は23度で、運転上の制限値とする65度を超えるまで9日間かかるという。停止が長期化する場合は、原子炉を冷やしている別の系統を使って冷やすとしている」とのことです。
う~ん・・・、4号機の使用済み核燃料プールからの核燃料取り出し作業で、行き場のなくなった核燃料を運び込んだ先は・・・
「第1原発4号機の未使用燃料の移送先変更、6号機で保管」(福島民友HP 6月19日)
6号機でしたので、とりあえず今回の事故はそっちの作業には影響しないということでしょうか。しかし、5号機でのこの事故、6号機では起きない、というわけではないでしょう。東北はまだまだしょっちゅう揺れてますし。そのうちどこかデカイところがポキっと来たりしないのか??
事故の収束(安定化さえ)が全く見えないこんな状況下で--ちゃんと事故原因の究明もせず、その後の経過も分からないということは、補強の仕方もわからないということなのに--、原発再稼働を推進する連中、やっぱり精神おかしくないか!!

(朝日新聞西部本社版朝刊 7月6日)
見出しは川内原発ですが、左上の表は各地のオフサイトセンターの整備状況です。国は、必要な設備だから整備を要求しているはずなのに、それなしでも再稼働してしまおうという方針、支離滅裂です。
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「その数字は『火山の休止期間』じゃなくて『誤差の範囲』です」・・・高浜原発審査
2014-07-05
「規制委員候補の田中氏に、原子力業界から報酬 先月まで」(朝日新聞HP 7月5日)さっそくボロが出た田中知・原子力規制委員候補でしたが、原子力規制委員会の新基準適合性審査、昨日の検討の中心は高浜原発でした。
地盤、地震、津波、火山と議論されました。それぞれ突っ込みどころがあるのでしょうが、一聴「ありゃ」と思ったのは↓ここでしょうか。火山の休止期間の話です。

(↑埋め込みコード無効設定になっていますので外部リンクさせてあります)
尾崎規制専門員: 「もとの論文をたどって欲しいんです、例えば倉吉、・・・(関西電力提出資料では)180~50万年という数字が書かれているんですけど、実際には(もとの論文では)180とか170万年、とか120万年、50万年の年代データが出ているんです・・・、例えば三朝なんですけど、・・・(関西電力提出資料では)140か130で書いてあるんですけど、これは(もとの論文では)年代データの誤差の範囲を示してるだけで・・・最終休止期間を示しているわけではないんです。・・・データベースにするとそういう数字が載っちゃてるんですけど、(数字にも)いろんな意味があるということを理解していただいて(資料の)作成をしていただきたい」(上掲リンク先)
さらには“1回しか噴火記録がない”火山では、そもそも休止期間の推測のしようがないでしょう、との指摘もありました。
要するに、火山の休止期間なんて、そもそもまともなデータがない。(あったとしても、過去の数字がそのまま、将来も噴火・休止期間に適用できるわけではないと思うのですが・・・単なる経験則です)。でもそれじゃ審査に臨めないので、ありものの数字(それも単なる誤差の範囲を示しただけの数字だったりする)を使って、やっつけ仕事しているだけのようです。
これで原発を再稼働しようなんて、単なるバクチです。いや、これまでも、検討さえせず、ただ「なんとなく大丈夫だろう」とバクチしてきたわけですが・・・。
なお、上の議論は、↓の資料を巡ってのやり取りです。(見るからにいい加減な“階段ダイアグラム”・・・一つも階段になってないぞ、単なる1段ステップwww、それが実は4ページ続くwww)

(高浜発電所 火山影響評価について(2/4)/原子力規制委員会HP)
全然ダメじゃん。
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大間原発訴訟 by 函館市 は「原告不適格」で門前払いされるのか??
2014-07-04
青森県の大間で建設が進んでいる大間原発に対し、対岸の函館市が差し止めの訴訟を起こしました。
(日経新聞HP 7月3日)
河北新報のまとめによると、訴訟の焦点は2点、「原告適格」と「被害可能性」ということだそうです。
「原告適格『2段の壁』 大間原発訴訟」(河北新報HP 7月4日)
第1点は、国・電源開発が主張する、“直接被害を受けるのは住民で、市の権限等が侵されるわけじゃないから、市は原告になることができない”という(屁)理屈。これは特殊日本的には、かなり有力な理由になるそうです。ただ、“放射能汚染で市営の運動場が使えなくなる”、といったことなら、(話はぐっと小さくなりますが)「市」の具体的被害となるはずで、これなら原告適格でしょう。
そして第2点めは、「事故時に直接的で重大な被害がある地域と言えるか」という点だそうです。う~ん、第1点であまりに具体的にしてしまうと、“市営運動場の話なら、土入れ替えれば良いだろう、そのくらいの金なら事故対策積立金としていくらでも用意できるから、原発運転を差し止めるほどの理由にはならない”、となってしまいかねませんか・・・。やはり、「市側の『事故が起きた場合、被害で自治体を維持できなくなる』とする主張」(msn産経HP 7月3日)は、やはりどうして認めさせたいところでしょう。
で、上の写真・・・、市長の持ってる図より・・・

具体的な被害区域図を重ねた方が、説得力が出る気がするのですが・・・。
とにかく頑張ってください!!
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いよいよ来ます、川内原発・審査合格書
2014-07-03
産経によれば、7月9日、原子力規制委員会は川内原発についての審査書案(審査合格書)を出すそうです。
(msn産経ニュース 7月3日)
産経も正しく分類しているように、まさしくこれは「事件」です。
断層問題については国の地震調査委員会の指摘を無視し、火山問題については予測不可能という火山噴火予知連絡会会長の指摘を無視し、コアキャッチャーについてはその機能は代替されているのかという菅元首相の質問をはぐらかし、要するに確認すべき点を何も確認しないまま、「エイヤっと」決めたいい加減な基準地震動の見直しだけで、再稼働にGOサインです。
おまけに、避難計画はできてないし、そもそも“地元”は判断能力を失っている状態です。

(NHKホームページからスクリーンショット)
↑図は、桜島が大噴火した際の降灰状況シミュレーションです。川内原発は桜島のすぐ近くですから、事故の際、同じ気象条件なら、図の右上のキャプションが、「“放射性物質”は全国に」となります。
ぶっちゃけ、姶良カルデラが破局噴火でもした場合、どうせ“地元”は終わりですから、“地元”にとっては川内原発が動いていても動いていなくても同じです。彼らに判断させておけば、「原発、動かしましょう」となります。
それでいいのですか、全国の皆さん。回りが止めなければ、止まりません。
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お先真っ暗、福島汚染水対策・・・今日もバイパス井戸は最高値更新!!
2014-07-02
福島第一原発への地下水流入を低減させるはずだった、「地下水バイパス計画」、効果がなかったと報じられたのは5日前のこと↓。「汚染水抑制、効果見えず=開始1カ月の地下水バイパス-福島第1」(時事通信HP 6月27日)
そのくせ、汲み上げられる揚水井戸の水は、汚染値の上昇を続けています。
「福島第1原発:地下水バイパス、止まらない濃度上昇 くみ上げ井戸、放射性物質 1年4カ月で4.7倍 /福島」(毎日新聞HP 6月26日)
この時はトリチウム濃度、2,100Bq/Lでしたが・・・

(東京電力発表資料 7月2日)
本日は2,300Bq/Lで、「*1」(過去最高値検出)が付いています。
東電は、「どうせ全部の井戸からの水を混ぜあわせて薄めるから、問題ない」と、これまで押し通してきましたから、本日の汚染水も海へ放出されるでしょう。
そもそも福島第一原発地下への地下水流入をバイパスするのは、原発建屋地下の高濃度汚染水を閉じ込める「凍土壁」の建設と組み合わせての汚染水対策だったはずですが、そっちも大失敗の模様となっています。

(東京新聞 6月26日)
凍土壁作成の前提となる、地下トンネル内高濃度汚染水の凍結止水「氷の壁」、失敗です。
凍土壁についてはこれまでにも、いろいろと問題がありました。
「始まった東電福島第一原発の凍土壁工事 早くも障害発生 170ヶ所で地下埋設物とバッティング 東京五輪までのつなぎ策に税金320億円(各紙)」(Finance GreenWatch 6月10日)
「福島第1、海側の深層に汚染拡大 凍土壁の工事に遅れも」(47NEWS=共同通信 6月24日)
そして今回の“(「凍土壁」の前哨戦に過ぎない)「氷の壁」が凍らない”、です。なんと産経のコメントが最も厳しいこと言っています↓
「凍結管の中に冷媒を通して水分を凍らせる技術は、約1500本の凍結管で1~4号機の周囲の土中の水分を凍らせる『凍土遮水壁』と同じ。凍土壁は、政府が汚染水問題解決の『切り札』と期待して、約320億円の国費を投じ、来年3月の完成を目指している。」(Yahoo=産経 6月29日)
“凍土壁と同じ技術、失敗”って、凍土壁も当然失敗するような書き方です。ま、正しいでしょう。
こんなんだったら↓、核燃料の崩壊熱も相手にしなければなりません。(核燃料、ちりちりバラバラに分散していると崩壊熱もたいしたことないかもしれませんが・・・それはそれで核燃料回収のこと考えたら厄介だけど)

(図の解説は→「やっぱり底が抜けていた!! 福島原発」)
この事態に対し、
「東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は記者会見で、『ゆっくりとやりながら効果を待つ』と述べ、数カ月程度の時間が必要との見方を示した。」(上掲リンク先・時事通信HP 6月27日)
とのことですが、んな悠長な。汚染水はどんどん海へと流出・放出中です。
そもそも、凍土壁計画については原子力規制委員会も大きな疑問を提示していたわけで、その時言及された「撤退基準」、しっかりと定めとかないから、グズグズと事態を悪化させるだけの状況が続いてしまいます。
まったくもう、どうにかしろよ!!
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