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もはや明らか、原子力発電に存在意味はない!!

2014-08-31
 誠に申し訳ありせん。突然ですが、本日でこのブログを終了させていただきます。
 一番大きな理由は、リアルの方でやらなければならないことが切迫してしまって、ブログを書いている時間が取れなくなってしまったということなのですが、他方、このブログを続けていく理由が希薄化してきたということも、もう一つの理由です。

 当ブログは基本的に、原発の危険性と、原発の経済性の2つの側面から議論を進めてきましたが、危険性については他にいくつも優れたブログがあり、当ブログの特徴・存在価値は、経済関連の議論にあると思ってきました。
 当ブログを始めた頃、総括原価方式という粉飾決算・詐欺、国民経済への貢献度合い(実は原発は全然貢献していない)、貿易赤字の問題(昨今の貿易赤字は原発停止のせいではない)、“原子力発電は安いのか”(安くない)、といったことは、メディアはもち論、あちこちのブログでもきちんと説明されていることが少ないように思いました。というか、原子力ムラのプロパガンダばかりが横行する状況のように見えました。
 “これは細々としたブログでもいいから、とにかく書いていくしかないか”、と思って書いて来ました。
 ただ、正しいことは遅かれ早かれ誰の目にも明らかとなります。総括原価方式については早々に化けの皮が剥がれ、他の問題にしても原子力ムラのウソは次々と周知されるに到ってきました。
 貿易赤字のウソなんて、産経新聞で竹中平蔵が明確に指摘するまでになっています。そもそも、原発代替燃料費が、経産省が掲げる過大評価の3.6兆円だとしたところで(財務省評価「鉱物性燃料増加分」だと1.6兆円)、2013年度の日本の貿易赤字は13兆7,488億円ですから、ほんとに一部でしかないわけです。
 そして一番の大嘘、「結局、原発は経済的に引き合うのか」について、8月21日、決着がついてしまいました。
 
毎日listening
毎日新聞HP 8月28日

 国の審議会自体が、原発に補助金を出さないと(基準価格制度)、原発が維持できないことを明らかにしました
 これまで原子力ムラが主張してきた“発電コストが安い”という原発の存在意味、レゾン・デートルは、あっけなく崩壊しました。

 ということで、これから先は、“ウソを暴く”作業ではなく、具体的に原発ゼロを実現していく政治行動が重要となります。

 私がこのブログで出来る事は、原発推進派のウソやごまかしを見つけて、指摘していくことですから、その最大のウソがウソであることが明らかになってしまった以上、このブログの歴史的役割は一応終わったと思います(「ネタ切れ」とも言う)。
 ということで、申し訳ありませんが、このブログを終了させていただくこととさせていただきます。


 当ブログ始めて3年ほど・・・
 読者の皆様、ありがとうございました。
 コメントを下さった方々、ありがとうございました。
 hotaka43様、いつも強烈なコメント、ありがとうございました。
 座間宮ガレイ様、tokaiama様、いつも当ブログ記事をご紹介いただき、ありがとうございました。

 そして、アクセスログに見て取れる、電力会社、原発メーカー関係の方々、監視対象が一つ減りますが、それはもう、あなた方のウソが誰の目にも明らかとなったということだと、ご理解ください。


 ということでこのブログは一応終わりとしますが、腹に据えかねるような報道があったりしたら舞い戻ってくるかもしれませんし、官邸前やどこかの集会ではすれ違うこともあるかもしれません。その時はよろしくお願い申し上げます(集会ですれ違っても、誰だかわからないだろうけど)。

 最後にもう一言、

 みんなこっち(脱原発)へおいでよ!! 政治的立場が違ったって何だって、危険で高い原発、とにかくまず止めなきゃ!!


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危険!! 放射能汚染、ステルス化!!

2014-08-30
 8月25日の福島事故原発に関する東電記者会見、その最後のところでフリージャーナリストの木野氏が突っ込んでいる問題、東電の回答にあまりにも重大な内容が含まれていたため、あせった木野氏が東電の明らかな発言ミスを見過ごしてしまうほどなのですが、メディアでは全く取り上げられませんね~。



 木野氏「去年から今年にかけて、セシウムの量とストロンチウムの流出量が逆転しているのは、・・・略」

 ことが重大すぎで、木野氏自身も、この後の質問があさっての方角に行ってしまっていますが、昨今ではセシウムよりもストロンチウムの方が多量に放出されているということは、大変な事態です。
 なぜなら、ストロンチウムは見えないからです。
 いや、正確に言えば、見ようとすれば見えるのですが、手間がかかる(金が掛かる)ことを理由に、政府が測定しない、ボランティアもそこまで手が回らないのが、ストロンチウムです。
 ですから、放射能汚染の主体がストロンチウムであれば、計測されない・・・見えない、ということになります。
 しかも体外に排出されるセシウムと違って、ストロンチウムは体内に蓄積されますから、セシウムより少量で大いに危険です。少しづつでも体内に溜まっていきます、特に骨に。
 この点から言うと、「海水を分析しても計測限界以下だったが、魚の骨にはしっかり蓄積していた」、というような意味でもステルス化の危険があります。

 この事態、実は小野先生が1年も前に警告を発されていた事態です。

 「海水中のストロンチウムはセシウムの10倍。深刻化する海産物の放射性セシウム濃縮」(「院長の独り言」ブログさん 2013年7月3日)

 この時は、でも、セシウムもかなりの量出ていましたから、それなりに(大雑把なモニタリングでも)、汚染魚は汚染魚として(セシウム汚染魚としてですが)発見される可能性がありました。しかしセシウムが減り、もっぱらストロンチウムが汚染物質の主体となってしまったとすると、放射能汚染が発見さえされないことになります。
 現状の水産物監視体制の刷新が求められます。技術的には、やればできるはずです。

 「台風が暴いたストロンチウム測定時間と破損の恐れがある1F高レベル汚染排気筒」(「院長の独り言」ブログさん 2013年10月16日)

 やはり小野先生の指摘です。「(台風による低濃度汚染水放水の際)なんと、ストロンチウムの分析がほんの数時間で終わっています。水産庁の役人は、ストロンチウムを測定するのは、4週間かかるから測定しても意味がない と豪語していましたが、今回の台風騒ぎで嘘がばれました。なぜ、放出するときには簡単に-しかもリットル当たり1Bq以下の精度で-測定できるにもかかわらず、人間の口に入る食品になったとたんに調べようとさえしないのでしょうか。/サカナの骨などを対象にすれば、ストロンチウムが大量に検出されることでしょう。」
 う~ん、後半部、気になりますね~。“魚の骨から大量のストロンチウムが検出されたりしたら水産物が売れなくなる、だから検査しない”ってのは、水産庁、いかにもありそうです。
 とにかく、海洋の放射性物質汚染はステルス化している、これを頭において、我々は生活していく必要があります。ま、基本的に、太平洋の魚は食べない、ということでしょうか。皆で食べず、売上が激減すれば、水産庁も計測せざるを得なくなる、といった状況に追い込んでいく必要があるように思えます。



 ところで、陸の上ですが、ステルスには高性能レーダーです。ということで(苦しいこじつけだ・・・)、疫学・統計的レーダーです↓

セシウム心筋梗塞
(「福島県で急増する『死の病』の正体を追う!~セシウム汚染と『急性心筋梗塞』多発地帯の因果関係~【第1回】」 8月26日)

 『宝島』編集部の力作です。単に地図を描き出すだけでなく、原発事故による飛散放射性物質以外の原因を排除する作業を、沢野伸浩・金沢星稜大学女子短期大学部教授の支援を受けて、やっています。
 それにしても実に、汚染地図のとおりです。

早川部分2
早川先生の汚染地図から部分)


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原発安全対策2.2兆円!! 資産価値を上回り、つけは電気料金へ!!

2014-08-29
 西日本新聞、やるときゃやります。共同配信かとも思いましたが、独自のアンケート取材のようです。これは、福岡周辺だけで読んでおしまいにするには惜しすぎる報道です。

安全対策2.2兆
(西日本新聞朝刊 8月29日)

 なんと、原発再稼働するための追加安全投資は、2兆2000億円必要と、電力会社によって見積もられていました。原発の資産価値は2兆800億円ですから、それ以上の投資が必要ということです。
 これまで電力会社や原子力ムラは「原発は燃料費が安い」と繰り返してきましたが、これは裏返せば、「原発は燃料費以外のところにコストがかかる」ということです。その、一番コストの掛かる設備関係の資産価値2.08兆円に対し、安全投資は2.2兆円です。これは電気料金上げなければ、元が取れません。
 更に各電力ごとの回答も掲載されています。

原発コスト
(西日本新聞朝刊 8月29日)

 オレンジ色の欄「安全投資額」を見ていくと、川内原発の再稼働を急いだ九電、美浜・大飯・高浜で「約3000億円」と回答した関電を、(川内・玄海と一箇所少ないにもかかわらず)上回りそうな「3000億円超」の回答、安全対策費の大盤振る舞いをしていることがわかります。さすが防災対策の要となる基準地震動(川内原発)を「エイヤっと」決めただけのことはあります。

 さてさて、しかしこれから原発、いったいいくら掛かるのか??
 上の記事(の下の方・・・ややこしいな)の小見出しには「廃炉費不足分 料金に上乗せも」とあります。小見出しにはありますが、この額、今回の2.2兆円(*1)には含まれていません。すぐに廃炉にせず再稼働したって、いずれは必要になるのが廃炉費用で、その額、経産省の試算では、廃炉積立金の不足分は1兆2312億円(*2)ということになっています。もっと掛かるという声が大きいものの、とりあえず最低でも1.2兆円、掛かるのは確実です。
 で、廃炉と一緒に忘れちゃいけないのが、使用済み核燃料の処理・処分費。これについての見積は、8.1~18.4兆円(*3)ということになります。
 (*1)~(*3)合計で、11.5~21.8兆円、最低でもこれだけ、これから原発に関する支出が必要ということになります。さらに、原発停止せずに再稼働するとすると、かつて東京新聞が試算した年額4000億円ほどが、毎年さらに必要となります。

原発維持のための国民負担by東京新聞
(上図の説明は → ここ

 今回の11.5~21.8兆円というのは、上の図の11兆3889億円の部分を計算しなおしたことになります。
 なお、ここで最も見積もり幅が大きくばらつく、使用済み核燃料の処理・処分費は、「2020年に原発ゼロ、全量地中廃棄」のケースで最小の8.1兆円、これに対し、「2030年に原発発電割合35%、全量再処理」のケースで最大の18.4兆円(西日本新聞2012年5月8日夕刊)です。
 年額の4000億円も含め、原発は早く廃止すればするだけ、電気料金+税金で考えた国民負担が少なくなることになります。

 電力会社や原子力ムラは、「原発は燃料費が安い」としか言っておらず、原発で金が掛かる「その他の費用」は、このように甚大です。なんせ「原子力発電では燃料費のコストに占める割合は小さい」のですから、燃料費だけを取り上げて「原発はコストが低い」などということを主張する戯言を許してはいけません。
 原子力発電が火力発電と比較して、コスト高であることは、もはや隠しようもない事実です。
 中には、「原発新設した場合のコストはともかく、既に建設済みの原発では、動かせるだけ動かせば、採算がとれる」といった主張もありますが、それは、事故コストを無視し、防災対策を原子力発電所内部だけに留めて周辺自治体の避難準備コスト等を負担せず、増加する使用済み核燃料処分費用を計算外に置いて始めて成り立つ話です。それでも、残り稼働期間が10~20年程度以下の原発では、今回西日本新聞が取り上げた追加安全コストさえ回収できないのです。

 原発は即時ゼロです。


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支離滅裂、読売新聞社説 vs. 毎日新聞オピニオン“要するに「原発は安くない」”

2014-08-28
 別にニュースのネタが本日出て来たというわけではないのですが、たまたま、読売新聞社説と毎日新聞のオピニオン欄が同じことを取り上げました。お題は8月21日の経産省・原子力小委員会での議論、原子力発電の支援政策についてです。

 「原発政策 『重要電源』支える工夫が要る」(読売新聞HP 社説 8月28日)
 「日本も『原発にゲタ』なのか」(毎日新聞HP 青野由利・専門編集委員 8月28日)

 8月21日の経産省・原子力小委員会では、2016年の家庭用電力自由化、2020年までの総括原価方式の廃止を睨んで、そうなった場合の原子力発電の収益について議論されました。
 “電力の自由化なんてしたら、発電コストが圧倒的に安い原子力の一人勝ちになってしまうなあ”という議論になるのが、これまでの話から言えば当然の帰結のはずだったのですが、なんと(わざとらしいですが「なんと」)、出て来た話は“どうやって原発を支援するのか”でした。

毎日listening
上掲、毎日新聞HPリンク先から)

 具体的に検討されたのはイギリスが導入した原発支援策、“基準価格方式”。自由競争で放っておくと誰もやろうとしない(つまり、企業ベースで考えればペイしないと判断される)原発を何とか作ってもらうために、再生可能エネルギー発電の固定価格買い取り制度のようなものを、原子力発電にも作る、というものでした。
 原子力ムラメンバーの読売新聞としては、もちろん、この動きを支援しなければならないわけで、社説「原発政策 『重要電源』支える工夫が要る」です。で、何書いたのか??
 そもそも、支援するからには、なぜ支援しなければならないかの理由が必要なわけですが、その点についてはこの社説、なんか次の一節、2文だけのようです↓

 「原発は燃料費が安く、発電中に二酸化炭素を出さない。国民生活の安定と経済成長に不可欠な基幹電源だ。」(上掲、読売新聞HPリンク先から)

 後ろの文は、前の文を敷衍する書き方ですから、具体的内容は前の文の「燃料費が安い」、「発電中に二酸化炭素を出さない」に尽きます。
 え~、この時点で、既にヘンです。“燃料費は安いのかもしれませんが、そのほかのコストはどうなんでしょう??”、“「発電中」以外は、二酸化炭素を出す、ということなんですね??”と、すぐに疑問がわきます。ま、ここは、いつも脱原発派から突っ込まれるところなので、読売新聞も保留を付けざるを得ないわけですけど。
 ということで、この社説、あとは、“だから重要電源なんだ”、“支援が必要なんだ”、ということにして、議論を進めるのですが、

 「電力会社は安全対策などの負担増にも直面している。原発事業を長期的に継続できるようにすることが、安定供給のカギとなる。/政府は一案として、原発で発電した電気に基準価格を設け、一定の収入を保証する制度を有識者会議に提示した。/電力料金の自由化などで値下げ競争が激化した場合でも安定収入が得られ、1基4000億円とされる原発建設費の回収見通しを立てやすくなるという。廃炉や使用済み核燃料処理の費用を、基準価格の収入で賄う案もある。」(上掲、読売新聞HPリンク先から)

 「安全対策などの負担増」、「建設費」、「廃炉や使用済み核燃料処理の費用」って、要するに原発にはいろいろと金が掛かり、自由競争下の需要・供給で決まる電力単価じゃ赤字だから「原発で発電した電気に基準価格を設け、一定の収入を保証する制度」を作りたいと、そういう話なわけです。
 これって、「燃料費(だけ)が安」くても、何の意味もないじゃん、って話じゃないか。自分で主張した原発支援の理由(「燃料費が安い」)を掘り崩しちゃってるよ。

 今回の社説は経済性の問題にフォーカスしているので、二酸化炭素の方の話はどこかへ行っちゃってますが、まあ、保留を付けて論じているところ(「運転中は二酸化炭素を出さない」)なんぞ、経済性の議論展開を見れば、「限りなく怪しい」でしょう。それに、昨今じゃ自然エネルギーも実力をつけてきましたので、二酸化炭素対策も、すぐに原発を使わなければならない理由にはならないでしょう。
 ま、それはともかく、

 これと較べると毎日新聞オピニオン、すごくすっきりとしています。

 「この制度が意味するのは『原発は安くない』ということ。」(上掲、毎日新聞HPリンク先から)

 事故を起こせば甚大な被害を発生させる原子力発電、発電費用も高いんじゃ何の取り柄もありません。結局、原子力発電をやっていると電気料金が値上げされるだけ(おまけに、様々なリスクも付いてくる)という話です。何が「重要電源」なものですか。支援する必要なんてありません。


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ドイツ太陽光発電会社、日本進出!! 置いてかれるぞ、日本のソーラー。

2014-08-27
 発電コスト高く、補助金を出さいないとやっていけない原子力発電に対し、世界の常識として、火力より安い自然エネルギー、

 「原発の電気価格保証 自由化に備え経産省が支援案」(日経新聞HP 8月21日)
 「再生可能エネルギー、日本の常識は世界の『真逆』/ドイツや米国の太陽光や風力が安い理由」(日経ビジネス 7月31日)

 なのに、電力会社・経産省は原子力に固執、せいぜい頑張ってLNG火力発電所の建設程度、というのが、異常な日本の電力事情。
 こんないびつな電力状況を作り上げていれば、そこらじゅうにつけ入る隙ができてしまうわけです。

 「ドイツIBCソーラー・・・略・・・同社は、太陽光発電のSI、EPCサービスを世界各地で展開し、これまでに2.5GW(ギガワット)を手掛けた実績がある。2014年5月に日本市場への本格進出を決め、すでに3カ所でメガソーラーの建設を進めている。」

太陽光パネル支柱
日経新聞HP 8月27日

 日本のFIT(自然エネルギー補助金)制度、「(太陽光発電)買取価格は、当初の40円/kWh(税抜き)から2013年度に36円/kWh、2014年度には32円/kWhに下がった。国内EPCサービス会社の中には、『32円案件』は手を出さないという声も出てきた」(日経新聞HP 8月27日)という状況です。しかし、既に電気買取価格18円/kwh程度で、2015年からは12円/kwh程度に引き下げようというドイツで、黒字を出している会社にとっては、32円というのは、余りに美味しい価格です。ちなみに日本のLNG火力発電は10~11円/kWhです。

 “あれ、ドイツのソーラー・パネル・メーカーって、あらかた潰れちゃったはずなのに、なんでドイツ企業がしゃしゃりでてくるんだ??”と、考えたあなた、半分正しい。
 ドイツのソーラー・パネル・メーカーが潰れちゃったのは確かにそうなのですが、それは今やドイツのソーラー発電会社にとっては全く問題にならないのだそうです。パネルについては電子部品の常として、強烈な価格下落に見舞われて、コモディティ化、安い所から調達すればいいだけの部品に過ぎなくなっているのです。
 他と差をつける主要な技術は何と「足」。上の写真が、パネルの裏側から撮ってあるのは意味があって、見せたいのは「足」なのです。これ、コンクリートの基礎を打ったりしてなくて、いきなり地面にグサッ。ただしもちろん、パネルが風を受けて歪んだりしては困るわけで、杭を打つ所は「同じ場所の地盤を天気の違う日を選んで、何度も調べるのだという。こうした事前の地盤調査が非常に重要で、そこが目に見えないノウハウになっている。・・・略・・・長いものでは地下5mの深さまで杭をねじ込んで、固定している」とのこと。よ~く調べた後は多数の杭を一気に専用機械で地面にねじ込んで「ほい完成」、この基礎打ち等の施工省略と工期短縮が、コスト削減の中心ノウハウだそうです。
 太陽光発電、今やパネルは利益を生まず、「(ドイツでは)その土地に応じた強度設計の必要なEPCサービスや架台に関しては、低コストと強度を両立できるノウハウが蓄積された。この分野はオーダーメイド性が高く、海外製の汎用的な技術や製品で置き換えるのが難しい」というところが、ドイツ企業の強み、コスト削減ノウハウでもあれば、収益源でもあるということになります。

 翻って純日本的状況↓、個人宅への太陽光パネルの設置がテーマのHPのようですが・・・

 「おすすめの太陽光発電メーカーは絶対日本メーカー」(太陽光発電NAVI 3月18日)

 記事の4/5ほどがパネルやモジュールの話。で、最後の締めの部分が↓

 「ちなみに海外メーカーの製品は日本メーカーの製品よりも安いという都市伝説がありますが、市場がこなれてきた現在は、それほどの差はありません。/日本メーカーの製品も、エントリーモデルはかなりお手頃になってきていますし、海外メーカーの製品を購入しても、それほど激安になるわけではありません。なぜならば、太陽電池セルやパネル自体の価格が多少安かったとしても、販売や設置は結局のところ日本人が行っているからです。」

 う~ん、ある意味、まさにその通り。その設置が日本で太陽光発電が高くつく理由なわけです。

 日本の発電政策、原発優先を改めるのはもちろんのこと、太陽光パネル・メーカー(=大手電機メーカー)にばかり配慮するような産業政策も含めて、あらゆる発想の転換が必要です。


 ついでにもう一つ、自己リンク張っておきます→「取り残される日本・・・この『エネルギー基本計画』じゃ、日本破産だ!!」。
 中で書いていますが、アメリカでは大規模太陽光発電システムの発電コストが2013年末には11.2米セント/kWh(約11円/kWh)で、2020年までに6米セント/kWh(6円/kWh)まで下げる計画だそうです。もちろん、砂漠みたいなところがいっぱいあるアメリカと日本を太陽光発電で同列に比較することができるわけではありませんが、32円/kWhで「太陽光発電所の建設が難しい」なんていうバカなことやっていると、日本の経済、本格的に大転落するでしょう。実際、あの陰鬱な空の下でもドイツは2015年から12円/kWhです。
 再生可能エネルギー、本格的に取り組まないと、日本は世界の落ちこぼれです。


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東電、毎日80億ベクレル放出している、ことを明言!! (ホントは220億ベクレルか)

2014-08-26
 昨日の東電の記者会見、これは・・・、youtubeで見る(聴く)か、



 「みんな楽しくHappy♡がいい♪」ブログさんが克明に筆起こしなさっていますので、それを見るしかありません。must see です。

 フリージャーナリスト木野氏の、現在フクイチ護岸部から、どのくらいの放射性物質が流出しているかという質問に答えて、白井功・東電原子力立地本部長の回答です↓

 「今年になりますけれども、ストロンチウム90が50億ベクレル。で、セシウム137が20億ベクレル。・・・略・・・、一日あたりになります、・・・略・・・、トリチウムにつきましては10億ベクレルというところになります。

 福島第一からの放射性物質、現在の、毎日の放出量です。過去の放出量ではありません。合計80億ベクレル、よくも放出しているものです。
 というか、この質問と回答が出てきたのは、 「福島県漁連組合長会議説明資料」の中の次の図をめぐってのことです。

放射性物質流出量
(東京電力「福島県漁連組合長会議説明資料」7ページ)

 東電が、“緊急対策による効果が出て、放射性物質の放出量、昨年より今年はグッと減ったし、更に今後、海側に遮水壁を設け、閉鎖すれば(図の「閉合後」)、ストロンチウムとセシウムで1/40、トリチウムで1/15となることが見込まれる”と、胸を張って発言したのに対して、“で、今、どれだけ出てるの??”と、質問されたことへの回答です。
 図と発言を見比べていくと、ストロンチウムとセシウムは確かにグラフの紫の棒「今年」の数字を説明しているようですが、トリチウムは、閉合後(クリーム色の棒)の数字を言っているように見えます・・・発言が混乱してるんじゃないか、東電!! じゃなくて、いったいどれだけ垂れ流してるんだ!! (80億ベクレルでもとんでもない数字ですが、トリチウムをグラフに従って150億ベクレルと補正すれは、合計は毎日80億ベクレルではなくて、220億ベクレルです)
 福島第一、昨年は毎日、ストロンチウム130億ベクレル、セシウム230億ベクレル、トリチウム240億ベクレル(上の棒グラフ目測のため、数値に正確性はありません)を放出し、今年は毎日それぞれ、50億ベクレル、20億ベクレル、150億ベクレル(10億ベクレル×15倍)、放出しているわけです。
 そして閉合後にしたところで、1.25億ベクレル(50億÷40)、0.5億ベクレル(20億÷40)、10億ベクレル、毎日、流出する予定ということです。
 メディアは全く報道しないけれど、この巨大な数字、海の汚染、深刻すぎないか!!

 臭い物に蓋している場面じゃありません。特にストロンチウム90は生物濃縮されて魚の骨に集積、それを食べれば人間の腹の中から人間の骨へと集積します。半減期も28.79年と長く、60年経っても、1/4にしかなりません。今、生きている人間にとっては、死ぬまで付き合わなければならない放射性物質汚染です。太平洋の海産物、ヤバすぎ。

 ストロンチウム90については、本年3月末、参議院で、川田龍平氏から質問主意書が出されています→「第186回国会(常会) 質問第五〇号 海産物のストロンチウム九十汚染に関する質問主意書」。それに対する答弁書がこれです→「第186回国会(常会) 答弁書第五〇号」。
 この回答、回答しやすい2~8項だけ回答して、“他の項目は担当者がやってるからね”というもの。で、ホントはほとんどやっていません。なんせ、β線しか出さないストロンチウム90、普通の計測器では測定できない。
 実際、水産庁HP行って、「ストロンチウム」で検索かけてみると、わずか18件。ちなみに「セシウム」は48件。
 で、そこで出てくる文書の中で、具体的なストロンチウム測定結果は→「水産総合研究センターによる水産物ストロンチウム等調査結果」。実は水産庁が実際に測定した海産物、ここに記載された63検体、これですべての模様。
 総括的文書となる「水産物の放射性物質検査に係る報告書(概要)」ではストロンチウム90について何と書かれているかというと→ 「これまで放射性ストロンチウム63点、プルトニウム5検体について検査を行い、ほとんどが事故前の範囲内であり、基準値設定の際の仮定よりはるかに小さい」(10ページ)です。つまり、前の文書に記載されている63検体、これで全部なわけです。
 ふ~ん、「2011.4.11~2013.11.24採取分」で、63検体。2年半で63検体です。「これっぽっちの検体数で、何が言えるわけ??」、としか言いようがありません。
 それに、「ほとんどが事故前の範囲内」としても、1.2Bq/kgというのも検出されています。骨に溜まってその部分の細胞を集中的に被曝攻撃するのがストロンチウムですから、体中に分散するような放射性物質を想定して定められた一般食品基準値100Bq/kgと比較すると小さいようですが、この検体、かなりヤバいかも。なんせ人体組成でカルシウム2%程度。ここにストロンチウムは濃縮されるわけですから、その部分へのダメージは体中に分散するような放射性物質から受けるダメージの50倍相当ではなかろうか。まあ、普通のベクレル・シーベルト換算式なら、ストロンチウム90はセシウム137の2倍強といったところですが。問題は、ストロンチウムが一度体内に取り入れられると、なかなか出て行かず蓄積していくことです。海産物食べるごとに後から後から累積していくわけで、いずれは相当な危険性を帯びてくるでしょう。
 で、これ、わずか63検体の中での話。もっと多くの魚を分析したら、遥かに高い放射性物質汚染度を示すものがいるかもしれません。て、いうか、必ずいる。

 福島第一の放射性物質の流出、「氷の壁が凍らない」などと、悠長なことを言っている場合じゃありません。何やってんだ東電、というか、政府!!



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言葉も出ない!! 川内原発、巨大噴火予知不可能!! 規制委会議

2014-08-25
 本日、原子力規制委員会の「第1回原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」会合が開かれました。
 結構すごいことになりました。なにが凄いかといって、議論にならない。言葉が出ない。なんせ、呼ばれた火山専門家の全員が、“今考えられているようなモニタリングでカルデラ噴火を予知するなんてムリ”と言ってしまったわけで、視角は違えど結論は同じで、突っ込みどころも何もなく、「ああ、そうそう」で、話にならない。

 まずは、石原和弘・京大名誉教授、火山学の現状として、正確な予知ができないことを説明した後、

噴火発生間隔短縮中
本日検討資料・石原

 姶良カルデラの噴火間隔、だんだん短くなってきています、と解説。
 で、そのたびに溜まったマグマ、出きってなくて、増えてきているわけで、それは九電の資料にも書いてある。そこにちょっと書き込んだ(右下、青い部分)のが本日資料、次のページですが・・・↓

蓄積量の見積もり方次第で
本日検討資料・石原

 マグマの溜まり始めをいつからと考えるかによるのですが、1.3万年前から溜まっていると考えると20km^3、2.9万年前からまで溜まっていると考えると46km^3のマグマが溜まっているわけで、この状況だと、「急激な玄武岩質マグマ貫入・注入により、数ヶ月~数年後に巨大噴火発生に至る?」可能性もあるかも、とのことです。

 次は藤井敏嗣・東大名誉教授です。
 藤井氏は、九電が予知可能とした唯一の根拠論文にして、予知方法もここから導き出した、虎の子の論文について解説されました。

藤井氏
(youtubeにリンクさせてあります)

 「彼らが分析をした斜長石の結晶は、すべてこの5粒であります。5つぶを分析して、さきほどのような結論を出したわけです。」
 いや~、すごいですね。要するに、サントリーニ火山ミノア噴火を分析したT.Druit(2012)論文、噴火で出てきた斜長石結晶(5つぶ)の成分を詳しく分析して、こんな成分になっているからには、こんなふうに加熱されたはず、というところから推理して、こんな加熱経過を辿るからには、こんなふうにマグマが動いたんじゃないか、とモデルを作ってみただけ、というシロモノでした。
 いや、優秀な研究論文なんですけどね、それが姶良カルデラに適用できるかというと、藤井先生、「これは本人にも確認しましたけど、一般則を自分は述べたつもりはない」、あくまでサントリーニ火山ミノア噴火についての話だとのこと(うわ、本人に聞いちゃったのか~)。
 で、それどころか、この論文ちゃんと読むと、モニタリングについて、すごい話が書いてある。「数㎞深さにあるマグマに数~10 km^3のマグマが100年間で付加されるとすると、地表では数10mの隆起すなわち年間1m近くの上昇があるはずであるが、このような隆起は・・・略・・・大きすぎる」、知られていない。地表で隆起するのではなくて「マグマ溜まりの底」が「沈降する」といった可能性があり「この場合は地表での異常な隆起は生じない可能性がある」そうです(引用元は本日検討資料・藤井4ページ)。だとすると、地表でモニタリングしてても、何の意味もないかもしれないわけです。

 で、次はそのモニタリングの実際について防災科学技術研究所の棚田俊收・総括主任研究員、話は実にこまごまとしていて、実際に噴火すると観測機器が火山灰被って使えなくなるなんてことが多く、直しに行くのも危険で行けなくて大変で・・・。いやほんと苦労がよくわかりますが、結論は最初に言っていて、「観測点の脆弱性、分布の偏りから見て、とても巨大噴火をモニタリングしたり評価したりするのは難しいと考えています」です。

 これには捕捉が入って、飛田幹男・国土地理院・地理地殻活動総括研究官、GPS観測(GNSS)について技術的に解説。“現状では精度、設置数が不足している”でした。

 このあと、石渡明・東北大・教授、実際に予測できなかった例をいくつも解説、“火山予測、ムリでしょ”。そして中田節也・東大・地震研・教授、「モニタリングの考え方について」と題して、科学者に予測させといても電力や規制委、ちゃんとそれを使う体制あるのかと疑問を呈した上で、モニタリングするにしても“測定値の異常も問題だが、実は我々は何が正常なのかも理解していない”。で、再び石渡明・東北大・教授、“巨大噴火はもちろん、通常の噴火でも予知は難しい”です。

 こんな調子で会合は進み、それでは討論となりますが、座長の島崎・規制委、一生懸命発言を促さないと、なかなか発言が出ない。ま、みんな「ムリ」「できない」「難しい」では、それ以上、何を議論するのか??
 かくして藤井氏、微妙な間の後、再度の問題提起です。“マグマ溜まりが100km^3以上なければカルデラ噴火はしないと考えられているが、それを確かめる方法は、現在、ない・・・これから新しい手法を開発しなければいけない。”

 あ~らら、どうするのか原子力規制委員会。「モニタリングはできない」、というのが、専門家の見解です。これでも川内原発再稼働許可を強行するのか!!


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いい加減な話!!

2014-08-24
 バトナ氷河のバルダルブンガ火山(舌噛みそう、アイスランドです)が噴火したそうですが、姶良カルデラはどうなるんでしょう??
 共同通信は本日、“近くに噴火の影響が及ぶ火山があっても、モニタリングさえしていれば原発動かしていいよ”という原発規制「新基準」の条項、規制庁当局者が勝手に作ったお手盛りのものだと伝えました。

 「規制庁の独自判断で火山監視追加 原発規制の基準案づくり」(47NEWS=共同通信 8月24日)

 この記事によると、「過去に巨大噴火に伴う火砕流が原発敷地に影響を及ぼした火山への監視を電力会社に求めた条項は、規制委事務局の原子力規制庁が、原案づくりの最終段階で外部識者には意見を求めず独自の判断で追加したことが24日、分かった」とのことです。
 藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会長・東京大名誉教授が「我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない」と言う巨大噴火、モニタリングの仕方も、モニタリングでどのような数値が出たら噴火の危険がどのくらいに迫っているのかも分からないわけです。
 こんな状況下で「モニタリングさえしておけば原発稼働可」という条項、無責任にもほどがあります。
 原子力規制委員会は、火山についての専門家チームを作り、明日、初会合ということですが、そこでどんな結果が出ようと、「基準を満たすと認められた川内原発の審査書案への影響はない」とのことですから、まあ、バカにした話です。

 それにしても、採算の取れない、赤字を補填しなければならないような発電方式を、こんなにまでして再稼働する安倍政権、よほど甘い汁吸っているのでしょう。



PS. 話は全然変わりますが、たまたまネット見ていて目に飛び込んできてしまった記事、読んでみるとヒドイな~。福島第一“凍らない氷の壁”についての社説です。

 「トレンチにたまった高濃度汚染水は約1万1千トンにも上り、破損箇所から海に流出すれば、環境に大きな影響を与えかねない。・・・略・・・建屋には、毎日約400トンの地下水が流入し放射性物質に触れて汚染水となっており、防止策が急務である。」(徳島新聞HP 8月24日付)

 別に徳島新聞にケチつける気はないのだけれど(っていうか、ほぼすべてのメディアにケチつけなきゃいけないんで・・・上のような書き方は、別に徳島新聞が特殊というわけではないんだけど)、これ、書いていて矛盾に気づくことってないんだろうか??
 建屋に流れ込んで汚染水となっている「毎日約400トン」の地下水、これが次にトレンチに流れ込むのを防ぐ工事が“氷の壁”なんですが、「トレンチにたまった高濃度汚染水・・・破損箇所から海に流出すれば」って、流出してなければ、どこに行っているのでしょう?? もちろん、建屋に流れ込む毎日400トンが全部トレンチに流れこむわけではありせんが、凍らないのは“流れがあるせい”(東電分析)なのですから、一定量は確実にトレンチに流れ込んでいるわけです。これでトレンチからの流出がなければ、マンガならトレンチがどんどん膨らんでいってパーン、ってところです。
 福島第一、汚染水垂れ流し状態と考えるほかないのですが、なぜこういう重要な事を追求しない、メディア!!


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北海道の受難・・・アホな電力会社だとこうなるよな

2014-08-23
 17.03%もの、電気料金再値上げを申請した北海道電力、遂にと言うか、やっとと言うか、LNG発電所を作る気になったそうです。

 「北海道で初のLNG火力発電所、2018年度の営業運転に向けて工事開始」(スマートジャパンHP 8月22日)

 支離滅裂な北海道電力、これでなんとかなるのか??
 どう支離滅裂かと言うと・・・企業会計報告見ると、燃料費は減っているのに、「燃料費が高く付いたので電気料金再値上げ」と言い、出してきた数字が17%というバカ高い値上げ・・・実際は原発関連支出が経営圧迫したせいで、実際最初から原発持ってなかった沖縄電力なんて原発依存電力会社が原発依存していた当時で実質9%高ですから、この数字の無茶苦茶さがよくわかります。つまり、既に北電は2013年9月、規制部門(家庭用)7.73%、自由化部門(業務用)11.00%の値上げを行っていますので、この時点で沖縄電力なみで、再値上げはいろいろな意味で、すべて原発のための値上げです。
 「いろいろな意味」のうち、非常に具体的なのは、上でリンクした先で書きましたが、実際に「原子力損害賠償支援機構一般負担金」が経営を圧迫しています。
 一方、あまり具体的でない方は、原発に経営資源を投入しすぎたため、それ以外の発電施設への投資が不足し、ひどく非効率な発電設備しかなくなっていることです。北電の火力発電での発電熱効率、39.06%で、9電力中最下位です。
 で、今、各電力増強中のLNG発電所、なんと、北電はゼロ。全然持っていない。

東電新火力
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月22日)

 福島の衝撃で動きの鈍かった東京電力でさえ、LNG新発電所を建設中で、ボイラーの搬入を終えています。
 この施設、なんと熱効率61%、39%なんていう熱効率でやっている北電、どうするんだ!! しかも原油は同じ熱量発生させるのに、LNGの倍といった価格です。ま、燃料費の安い石炭火力も混じってたりするんで単純には言えませんが、LNG発電所がない、ってのは北電、実にたいしたもの。
 と、いう、ことで、やっと今回の報道、「これからLNG発電所を作る」そうです。いや~、地域独占下で電力会社がアホだと、住民がひどい迷惑を受けます。


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原子炉抱えたテロリスト

2014-08-22
 昨日は日経の第一報を読んで、当ブログの記事書いてしまいましたが、失敗失敗。会計規則の変更だけということはないと思っていましたが、やはりありました。

原発基準価格
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月22日)

 なんと、原子力発電に基準価格を設けて、市場価格がそれを下回った場合には、電気買取価格を上乗せだそうです。同様の上乗せ、再生可能エネルギーの場合、「地球環境への貢献」、「燃料いらないエネルギー安全保障」、といった大義名分がありますし、ドイツの例など見れば、近い将来ゼロになる見通しもありますが、原子力には何があるというのでしょう??
 これまで、原子力の利点として、原子力ムラが最も強く主張してきたのが発電コストの低さだったはずです。自由競争になれば、圧倒的な低コストで、有利に競争できなきゃおかしいんですが。
 だいたい、電力自由化するというのは、自由に価格競争するためで、基準価格を設けるってのは、政策として矛盾しすぎです。

 みごとにはっきりした「原子力はコストの高い発電方式」です。

 次々と明らかになる再生可能エネルギーの有利さを見れば、もはや原子力に何の存在価値もありません。既に再生可能エネルギーは、環境負荷が低いだけではなく、安く、安定した発電技術として成熟しつつあるのです。ドイツもイタリアもスペインも、そして中国も、再生可能エネルギー大国で、ついてけてないのが日本!! 政策的にやるべきことははっきりしています。原発ではなく、再生可能エネルギーです。“高い、高い”と言われていたドイツの再生可能エネルギー賦課金も、実際は大したことがなく、しかも近年中に解消予定です。きちんと政策的に取り組んだ結果ドイツは、電力燃料輸入の経済的負担軽減も、エネルギー安全保障も、もうすぐそこで手に入れられる所まで来ています。つなぎに火力が挟まることはあっても、原発だけはあり得ません。

 それでも居直るんだよな~、原発依存電力会社とその一派。要するに、いつ事故るかわからない原子炉かかえて、「俺達潰すと、この原子炉どうなるのかなぁ、廃炉して欲しければ金出しな!!」です。低コストという旗印まで失った今、彼らには他に原発を正当化する理由はありません(「二酸化炭素」も「エネルギー安全保障」も、実用化段階に入った再生可能エネルギーに全く太刀打ちできません)。こいつら今や、「原子力ムラ」という牧歌的な呼び名に似合った存在ではなく、「原子炉抱えたテロリスト」です(このネーミング、昨日、受けましたので、また書きます、てへっ)。


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インチキ会計方式の整備です・・・「原発の廃炉費用は電気代で」by経産省

2014-08-21
 またちょろっと、総括原価方式廃止日程がはっきりしてきました。「経産省は2018年以降に、電力会社が燃料費や設備投資を積み上げて料金を決める「総括原価方式」を撤廃する方針だ」というのが、次の記事に出てきました。

 「廃炉支援、電力自由化後も継続検討 電力会社の負担軽く」(日経新聞HP 8月21日)

 これまでは、「2020年までに」、でしたので、合わせると、2018~2020年に総括原価方式は廃止されるという日程表のようです。
 あ、いや、これはひとつの情報として押さえておく必要がありますが、上の記事の要点は、廃炉費用を電気代で回収する具体的方法の検討が進んでいるということで、ムカつくなぁ~。

 「このため経産省は、総括原価方式がなくなった後も廃炉で生じる特別損失を料金に上乗せできる仕組みを検討する。米国には廃炉による特別損失を費用計上することを認め、複数年度で償却できる制度があり、新制度の参考にする。」(上掲記事)

 これは全く究極の選択というやつです。この記事にも書いてある通り、電力会社、(「(今やろうとしている会計制度の)改正前は、廃炉に備えた積立金の不足額や、設備の価値がゼロになる損失を、いちどに特別損失として計上しなければならなかった。・・・略・・・(総括原価方式の廃止で)廃炉による損失を料金で回収できる制度もなくなり、廃炉がすすまなくなる恐れがある。」)わけで、どうやって“泥棒に追い銭”をたんまりとプレゼントしようかという検討です。“金をたんまり渡さなければ、いつ事故を起こすかもわからない原子炉もなくならないよ”というわけです。なんてぇこった!!
 国を代表してこんな検討をしている経産省、けしからんことこの上ないものの、この泥棒、原子炉抱えて国民に自爆テロ脅迫をしているわけで・・・

『世界』10
(『世界』2013年10月号)

 以前も触れましたが、既に電力会社の会計規則、上の『世界』で、細野祐二・公認会計士が議論されてますように、普通の会社の会計としては考えられない「廃炉しちゃった原子炉も、廃炉費用を集めるため、『積立金延長期間』として、帳簿上存在させていいですよ」(当ブログ記事「電力会社の超錬金術・・・経産省、電力会計規則変更!!」)となっています。
 「これだけじゃ、まだ足りない」らしく、今回の動きです。

 しかし、それにしても、この記事では、既存原発依存電力会社の帳簿の付け方に手心を加えることだけを検討しているような書きぶりですが、果たして、それだけでしょうか??
 まあ、今回この記事が報じている動きには含まれていないかもしれませんが、経産省の目論見はたぶん次の段階が本番だと思われます。つまり、現在原発を持っていないし、今後持つ予定もないにもかかわらず沖縄電力は、原発推進税を払わされています。恐らく経産省は、電力自由化によって電力市場に参入してくる新電力などに、廃炉税のようなものを課すことを考えているでしょう。そうでないと、既存原発依存電力会社だけが廃炉費用を負担し、電気料金が高くなりすぎ、自由化された電力市場で、既存原発依存電力会社が見向きもされなくなります。口実としてはまた脅迫、「既存原発依存電力会社が潰れたら、誰が廃炉の面倒を見るんだ」でしょう。
 でもって天下り先やら何やら、甘~いキックバックを経産省官僚は受け取る、という筋書きだな~。

 いやぁしかし、まったくもって、なんとかならないのか原子炉抱えたテロリストども。


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メディアの馬鹿さ加減(腹黒さ加減)が分かる、貿易赤字報道

2014-08-20
 本日、7月の貿易統計が発表になりました。相変わらず、アベノミクス円安のせいで円建て輸入額の高止まりが続き、一方、輸出は安倍が期待したようには健闘せず、貿易収支の赤字が続いています。少し前までは、どのメディアも「原発代替燃料のせいで赤字」と報道する異常事態でしたが、そろそろ状況を理解し始めたメディアもあるようです。
 ちょっと比較してみましょう。まず大馬鹿(もしくは電力利権からのおこぼれ貰おうとしている腹黒い)連中。

 「赤字は25カ月連続。欧州連合(EU)向けの自動車の伸びで輸出は増加に転じたが、火力発電用燃料の輸入増で減殺された。」(産経新聞HP 8月20日)

 「輸出が3か月ぶりに増えたものの、為替相場の円安傾向を背景に、原子力発電所の停止に伴う火力発電向け燃料の輸入額が増え、輸入も2か月連続で増加した。」(読売新聞HP 8月20日)

 「赤字幅は前年同月より縮小したが、円安で火力発電燃料の原油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が膨らみ、貿易赤字は25カ月連続となった。」(共同通信HP 8月20日)

 「輸出では欧州や中国向けを中心に自動車が8.1%増、輸入では火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)が7.4%増、原粗油が6.9%増だった。」(時事通信HP 8月20日)

 まず突出して馬鹿(腹黒)なのが産経新聞。「火力発電用燃料の輸入増」って、何考えてるんだ!? 実質的に原発が止まったのは2012年春のこと、2年も前の話。今さら火力発電用燃料輸入が増えるはずありません。(2012年5月5日、最後まで運転していた泊原発が停止。その後、大飯原発が一時再稼働するも、かつての原発54基態勢に対するわずか2基ですので、貿易統計上意味のある再稼働ではありません。)
 ということで読売新聞、「輸入増」と書かず「輸入額が増え」と書きました。でもしっかり「原子力発電所の停止に伴う」と書いています。
 この書き方がおかしいのは、電力用に使用されるのは原油で15%程度、LNGで70%弱ほどだということです。さらに、原発停止後の輸入増加分で言えば、原油で9ポイント程度、LNGでは現在輸入総額の8%程度と、原発停止による焚き増しと考えられるのは、原油・LNG輸入額の1割にも満たないのです
 このことを頭において、実際の今回発表を見てみましょう。

201407貿易統計
財務省発表資料 8月20日

 まず、輸入数量で見れば、なんと、原油の方はマイナスです。“発電用に輸入が増える”も何も、輸入数量は減っています。要するに単に値上がりしただけです。つまり、数量-2.7%で、価額の伸び率、6.9%ということで・・・、今回は、「対前年同月比:2.9%の円安」とのことですから、国際的な原油価格上昇の影響の方が大きかったようです。
 一方、LNGについては、数量5.7%の伸びで、価額7.4%の伸びですから、こちらはLNG国際価格ちょっと下がるも、円安がそれを上まわった、というところのようです。ですから今回発表の伸び率における(読売新聞がこだわる)原発停止の影響といえば、その一割弱ですから、0.5%(数量)~0.7%(価額)程度です。これであの記述とは、針小棒大もいいところです。まあ、既に原発停止したあと、2年も経って、1年前と比較して、原発による炊き増しぷんの伸び率がどうのこうのとゴチャゴチャ言っても始まらないのですが。え??、「だから原発停止前と比較して3.6兆円」ですか・・・財務省は1.6兆円と言ってますし、今回発表の話ではありませんから、今回はやめときましょう。(1.6兆円、月額にすれば1333億円、上の表と見比べてみましょう、どの程度の額か。)
 で、共同通信、「円安で火力発電燃料の原油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が膨らみ」と、書きますが、原油輸入額の増加は国際価格の上昇が大きな原因だし、しかも原油の85%は発電用ではないのですから、この書き方はおかしいでしょう。LNGについて言えば、7割近くが発電用ですし、円安程度の輸入額増加も認められますが、そもそも輸入総額が原油の半分程度ですので、「増減寄与度」も0.7%と小さく、原油と抱き合わせにしなければ(そこが間違っているのですが)特筆するようなものではありません。
 時事通信、ちょっと巧妙です。「火力発電の燃料となる」が、読点の切れ目までしかかかってないと考えれば(つまりLNGにしかかかっていない)ならば、まあ、数字を並べただけ、ということになります。
 ただし、こういう書き方は、経済記事としてはあまり適切とは言えません。なぜなら、現在、発電分野では、LNGの使用量増加は貿易赤字削減効果を持っているからです。電力会社の頭痛の種は、燃費効率の悪い古い石油火力発電所です。で、これを効率の良い、LNG火力にリプレース中です。つまり、LNGの使用量が増えるということは、その増分以上、原油の燃料費を減らす効果があるのです。以前やってみた計算では、LNGの使用額がある額増えると、その額の54%相当、全体の燃料費が節約できます。ですから、「増えた」「増えた」と列挙するのではなく、「LNGの増加にもかかわらず、原油の輸入を減らすことはできなかった」といったふうに逆接でなければなりません。ま、発電は原油消費量の15%に過ぎないので、実際に効果が出るのは大変ですが。

 さて、ところで、そろそろこの馬鹿げた書き方(なんでもかんでも原発停止、あるいは電力分野のせいにする書き方)を変えたのが、次のようなところ、

 「一方、先月の輸入額は7兆1526億円と、去年の同じ月と比べて2.3%増加しました。/これは、サウジアラビアからの原油や石油製品、それにオーストラリアからの液化天然ガスなど、エネルギーの輸入額が増えたことが主な要因です。」(NHKホームページ 8月20日)

 「輸入額は2・3%増の7兆1526億円。消費増税後の消費低迷を受けて輸入数量は0・4%減だったが、円安で原油などの輸入価格が上昇した。」(朝日新聞HP 8月20日)

 「赤字額は前年同月から6.6%減ったが、7000億円程度と見込んでいた市場予測を上回る規模だった。燃料の輸入が増えた。・・・略・・・/貿易赤字は25カ月連続と過去最長を更新した。輸入額は7兆1526億円で2.3%増えた。液化天然ガス(LNG)やナフサといった石油製品など燃料の輸入増が目立った。」(日経新聞HP 8月20日)

 どこももう、「発電」とは書きません。地域へ行ったNHK、輸入数量減を指摘した上で円安・値上がりを記した朝日新聞、そしてちょっと怪しいですが「燃料」とだけ書いて、あとは何も書かない日経新聞、さすがに多少は事態を理解し始めたのなら良いのですが・・・ま、「燃料」とか「エネルギー」とか書けば、あとは読者が自動的に電力・原発と結びつけてくれると期待してやっているのかもしれませんが。


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間詰め材?? 要するに「凍らせる方針は不変です」東電、どうするんだ福島第一!!

2014-08-19
 本日、まずは、こっちから書いときましょう↓

 「意見公募に1万7000件=川内原発の審査書案-規制委」(時事通信HP 8月19日)

 川内原発パブコメに多数の応募、結果、「件数が多いため作業に時間がかかり、審査書の完成は9月以降になるとみられる」(上掲記事)です。あなたも私も、とりあえずちっぽけな成果ですが、多少は努力が実った・・・パブコメの数で、審査書の完成を遅らせることができました。
 まあ規制委、本来はちゃんとパブコメに応えようとしたら、そもそも審査書(合格証)が出せなくなるはずなんですけどね。

 で、今日はこれですね→「第26回 特定原子力施設監視・評価検討会」。凍らない「氷の壁」、どうするんだ!!

 更田・原子力規制委・委員 「(以前、)凍結運転が何らかの理由によって停止した時に、壁が保っていられる時間というのの評価をしたけれど、ずいぶんその頃に較べると見込み違いがあって、今度、グラウト材なり、間詰め材と相まって、この壁で止水をした時に、改めて何らかの理由で凍結運転と冷凍機の運転が停止した場合に、壁がその止水性を失うまでの時間の評価等々、再評価をする必要があると思うのですが、ただ実際問題として、間詰め材と相まって止水をしているような壁に対して、そういった評価を行うことが可能かどうか、極めて疑わしいと思うのですが、この点はどうでしょう。」
 東電「もう少し慎重に考えていきたいと思います。」

 ヲイヲイ、今日は東電、新機軸、「間詰め材」の提案を持ってきましたが、それでどうなるか、解っていない!!
 いろいろ冷却しても凍らないのは流れがあるせい、というストーリーのもと、本日、東電は凍りきれない部分にはコンクリートなりなんなり「間詰め材」を入れて、とにかく固め、氷(と間詰め材)の壁を完成させます、と提案しました。
 で、更田委員、で、その壁、本当に使い物になるの?? と質問したわけです。一枚岩(氷)じゃなくて、つぎはぎになっちゃうわけですから、強度も問題だし、継ぎ目部分から結局水が漏れてたんじゃ役に立たないし、そもそも氷の方は、冷却系に問題・事故があれば一旦は溶けてしまう、で、どうなるの、と極めて真っ当な質問です・・・答え、「わからない」です。
 うわ、ダメだこりゃ~。

 こんなんですから、当然出ます、この疑問↓

 山本・規制委・審議官「はたして、今のような形で継続することに対して、十分有効性を持っているのかということについて疑念を持たざるをえないのですが、その凍結工法を引き続き継続されるというお考えのようですが、その有効性・妥当性をどのようにお考えなのか」

 東電はゴチャゴチャ回答してるけど、要するに、“今のままトレンチの中で汚染水を固めちゃうといった方法もあるけど、それじゃ放置に近いわけで、流入口にフタして、ちゃんと汚染水を汲み上げるのがベストだから、もう少し、このやり方でチャレンジしたい”。

 こんな言い訳ばかりに、前に取り上げた時も強烈だった渡邊・福島大学特任教授、まずは強烈なジャブです

渡邊特任教授

 「(ある場所では)マイナス20度位まで上がったものが急激に上がり始めるという、この原因をどう考えたら良いのか」 ・・・ちょっと言い間違えているのはご愛嬌、「マイナス20度位まで下がったものが」でなくちゃ。
 ま、それはともかく、東電担当者も困惑しながらの回答、ゴニョゴニョ言うのを問題にせず、“理由はどうでもいい、要するに、そこは凍らないということですね”。
 で、だとすると大変なことになりますよと、話を展開、

 「(やはり重要課題である汚染水問題、建屋南側で地下水を汲み上げているけど、「氷の壁」と同じような方法で作られる凍土壁に)隙間があると汚染水を汲み上げていくことになりかねない
 「間詰め材を入れるだけで本当に止水できるのかどうかということも、かなり疑問

 あらら、この手の会合で専門家が疑問を呈した所は、実際、みんな失敗してきてますから、ここでまた、見事に失敗フラグが立っちゃいました。
 ということで、規制委、東電の提案に納得しなかったので、「よきにはからえ」ではなく、「この結果、原子力規制委員会は今後、充填材の効果などを確かめる試験の結果を見たうえで、充填材の投入を認めるか判断することになりました」(NHKホームページでのまとめ)という結論でした。

 いやほんと、原子力規制委員会もタイムスケジュールは気にしていましたが、凍結にこだわった東電、ズルズルズルズル、実際の処理に入るのを遅らせています。その間にあらかたの放射性物質が流出してしまうのを待っているのか??


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ついに噛み付かれた、手抜き審査の実態!! 田中俊一の大失態

2014-08-18
 この記事を読んだ時には、“見事にやられたわ”と思ったものです。

 「インタビュー:原子力規制委の審査「厳正でない」=元安全委技術参与」(Reutersホームページ 7月28日)

 この記事には前にも言及しましたが、なんと、原子力規制委は新基準適合性審査において、あの何の役にも立たなかった原子力安全・保安院でさえやっていた独自検証「クロスチェック」を、一切していなかったのです。
 あの何の役にも立たなかった原子力安全・保安院ですが、メルトダウンのシミュレーションなどでは、電力会社の使ったモデルとは違ったモデルで、独自の解析を行い、それを電力会社のシミュレーション結果と突き合わせ、問題点を洗い出していたのです(“クロスチェック”)。
 今の原子力規制委は、審査会の様子をyoutubeで公開するなど、細かいところまで気を配る努力をしているように見せる一方で、自分でやるべき検討をしていない・・・むしろ、細かいところへ人々の目を引くことによって、遥かに大きな問題の目眩ましとしていたのです。
 これでは、審査会で何を指摘しても、そもそも電力会社が用意した土俵の上での相撲です。これで規制委をいいように言いくるめられないとしたら、電力会社の担当者がよほどバカ、という話です。つまり、“新基準”適合性審査は通るように出来ていたのです。
 あの何の役にも立たなかった原子力安全・保安院でさえやっていたクロスチェックをやっていないということは、現在の原子力規制委員会、役に立つ立たないどころの話ではなく、完全にブラック委員会です。原発再稼働のための儀式執行人です。
 やりやがったな、というところで、憤懣やるかたない思いをしていたのですが、

 「規制委員長が虚偽答弁/川内原発適合審査 笠井氏への回答で判明」(しんぶん赤旗HP 8月17日)

 やってないものは「やってない」と言えばよいものを、なんと国会で共産党の笠井議員の質問に、「クロスチェックやっている」と答えてしまっているとは・・・うるさいところにつけ入れられる口実与えちゃったぞ、ハハハ。

 「笠井氏が、規制委として独自解析(クロスチェック解析)を行って「審査したのか、していないのか」とただすと、田中氏は「クロスチェックはきちっとやらせていただいております」「クロスチェックをした評価の結果については…近々レポートとして報告させていただきます」と答弁しました。」(上掲リンク先)

 国会での答弁ですから、ちょっと重みが違います。国民代表の議員が、公務員のやっていることに問題がないかチェックする場で、公務員が嘘をついたのです。証言ではありませんから、偽証罪とはならないでしょうが、責任は重大です。
 共産党にはきっちりと田中俊一を追求してもらいたいものです。(とは言え、国会は最後は数だからな・・・この党、安倍晋三本人の「全電源喪失はない」発言、追求しきれなかったし・・・ま、でも、今回は公務員が国会での質問に虚偽回答をする=国民の監督を公務員がごまかす、という形式が非常にはっきりしているから、もう一歩、行ってもらわないと)


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他社からは買いません、だって自分で儲けたいもん・・・東電、自然エネルギー・ポリシーと、原子力偏重の今後

2014-08-17
 相変わらずやっています東京電力、自然エネルギーへのいやがらせ。

 「太陽光発電のマッチング中止 電線網接続制限問題で県」(47NEWS=上毛新聞 8月16日)

 東電の接続制限のせいで、群馬県の太陽光発電推進事業、停止中です。
 一方、東電、自分自身は↓

 「東電、水力・再生エネを分社化へ 持ち株会社移行時」(47NEWS=共同通信 8月12日)

 なんでもこの記事によると、「温室効果ガスを出さない水力と再生可能エネルギーは、成長が見込まれるため、独立の事業会社として強化する方向となった」そうです。自分では強化し、他社は締め出す・・・これ、独禁法違反じゃないか・・・。

 まあ、東電としては発電の主力は

 「東電が中電と優先交渉へ 火力分野提携」(中日新聞 8月15日)
 「東電の火力発電、提携先は中部電有力 LNG調達で効果」(朝日新聞HP 8月17日)

 あくまで(原子力でないならば)、火力です。自然エネルギーはおまけです。
 で、その原子力、

 「東電、六ケ所村に「寄付」 東北電と5年連続、計10億円」(朝日新聞HP 8月17日)

 “地元”へのエサ撒きは続行中です。記事は記します「東電は2012年、福島事故賠償に向けたコスト削減策として寄付金の廃止を表明。だが、この資金については経済産業省に同年、『電気を供給する上で必須とは言えず、寄付金に近い』と認定されながらも支払い続けている」そうです。
 記事には原子力資料情報室の伴英幸・共同代表の「憤る」といったコメントも掲載されていますが、もっと言うべきでしょう。東電も東電ですが、実質、税金で運営されている東京電力が、“私企業だから”といって、こういう意味不明な金を払い続けるのを管理しない経産省、国費垂れ流しの犯罪です。

 ところで、原子力、またも金食い虫度大幅アップの話が出てきました。

 「原発に設置義務付け 規制委、テロ対処施設で指針」(日経新聞HP 8月16日)

 何を義務付けるのか、どうせお笑いなのはわかっていますが・・・ヨーロッパ基準では当然の二重格納容器など義務付けたら、日本の既存原発、全部廃棄物化するのがはっきりしているわけで、この一番肝心なところは外すしかないわけで・・・、しかし、「テロで原発の中央制御室が使えなくなった場合に代替機能を果たす『緊急時制御室』や、原子炉への注水を続けるための設備、非常用の電源・通信設備などを配備する。/指針では、対処施設が原子炉建屋と同時に壊れることを防ぐために100メートル以上離れた場所に設置するか、十分な距離を確保できない場合には大型航空機が衝突しても壊れないほど頑丈にすることを求めている」ということで、これでも、相当な金額を必要とします。
 だいたい、日本の建設会社、大型航空機が衝突した場合に対応するノウハウなんて、持っているのか?? 本気でやるなら、大型航空機を実際にぶつけてみる実証実験が必要だろうに・・・ま、またぞろあてにならないシミュレーションでごまかすのだろうけど。

 しかしこんな情勢下でも、電力会社はエサ撒き続行して、原子力依存継続してるわけです。こんなことやっていていいのか??
 大前研一は、これまでの安全対策費だけでも、“残り稼働期間の少ない原発は赤字”だと、警告していました。そこへもってきてテロ対策出費、原発動かすためには、大幅な電気料金値上げが不可避です。
 これまでは電力会社、発電にかかった金は、総括原価方式により、電気料金で回収可能でした。発電に“かかった”とみなすことのできる金額は電気料金に上乗せでき、地域独占でしたから、取りっぱぐれなく集金できました。しかし、2020年までには、総括原価方式はなくなります。地域独占はもっと早く、2016年の電力自由化でなくなります。原発関連出費、回収不能で野垂れ死ぬぞ。
 まあ、現在の経営陣としてはそれまでに退職金を手にすれば良い、ということでしょうか。あるいは、総括原価方式廃止後は、それに替わる電力会社保護策を経産省が密約しているのか??



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どっこい、まだまだ続く首相官邸前“脱原発”抗議行動

2014-08-16
 東京にいるなら、金曜の夜は、やっぱり霞ヶ関でしょ。
 と、いうことで、昨日は行ってきました、首相官邸前“脱原発”抗議行動。

 この頃はメディアがなんにも報道しなくなり、「大丈夫かいな??」と、内心多少、思ってしまっていたのは申し訳ありせん、なにぶん情報の少ない地方在住者なもので・・・。
 でも行ってみれば全然心配なし、前よりも盛況なくらいです・・・とまでは、さすがに言えないかな。

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 メインの首相官邸前の坂には人々が並び、シュプレヒコールをあげています。一年前と比べると、ちょっと列が短いかな・・・。

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 国会周辺では、それぞれの思いを込めた脱原発の意思表示が繰り広げられています。写真はキャンドルですが、歌を歌うグループも2つありましたし、お経を唱える仏教系の方もいらっしゃいました。

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 日の丸を掲げられた方もいらっしゃいました。なんか私が撮ると、風ではためいて日の丸がハートマークっぽくなってしまいました m(_ _)m 。
 官邸前スピーチの一人目は共産党議員の方でした。ということで、共産党議員の声がスピーカーから鳴り響く中、日の丸もあればお経もある、って、い~なぁ、はっきり言って原発はそういう問題です。皆が命の危険と経済的損失に曝されているのですから。
 電力会社とその関係者以外、誰も、利益を得るものがいないのが原発。みんなで協力できるはずです。電力会社と、その利権に群がる連中、特に電力系政治家ども(自民党・安倍・甘利一派、民主党・電力総連系)の横暴に No!! を突きつけていかなければなりません。

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 で、ちょっと(かなりかも)寂しかったのが国会前。以前はここも人々が所狭しと並び、シュプレヒコールをあげていたのですが・・・

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 でも、そこから少し坂を下ったところでは、真剣にスピーチに耳を傾ける人々がいました。

 こういう運動は、頑張ると続かなくなりそうですから(ってのは、ぽちたまみけだけ??)、とにかく、みんなで入れ替わり立ち代わり参加していくことが大切なのかな、とか考えました。“コア・メンバーの方々にお任せ”になっちゃいけない、みんなで GO!! です。
 金曜の夜は霞ヶ関、官邸前です!!


 (とは言え、昨日はブログ記事書いてたり、官邸前行ったり・・・、せっかく東京に来たんだから、人生には脱原発やるよりも楽しいことがあるんじゃないか~、とも思うぽちたまみけでした・・・ま、だから、そこそこ参加するのが良いのではないかと・・・バキッ☆/(>_<;) )


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当然の帰結ですが、もう待ったなしです、福島・電力政策、大崩壊!!

2014-08-15
 原発について争点外しを続けてきている安倍政権ですが、それじゃもう済まない事態です。状況は危機的(あ、いや、以前から既に危機的だったのですが)、いよいよいけません!!

 「トレンチ凍結困難か=期限の8月中旬まで-福島第1」(時事通信HP 8月14日)

 東電廃炉推進カンパニーの川村信一広報担当が、記者会見で、「凍っていない事実」は認めました。ただし、「『(現場から)手応えは少しあるようなことは聞いている』と発言。『水温を下げて凍らせるところまで実施したい』と、現時点で方針に変更はないとの考えを強調した」そうです。
 “ドライアイスが詰まっちゃった手応えですかぁ”と突っ込みたくなりますが、これ、無理でしょ。専門家が「凍らない」と言っているのですから。
 ま、そういう批判を無視して凍結方針を強行した手前、意地になるしかないのでしょう。「やっぱダメでした」となったら、強行した連中、責任問題です。
 これじゃますます福島原発事故の収束は遠ざかります。一度現在の事故対応体制を見直す政治的議論が絶対に必要です。
 現在、放射性物質たっぷり含んだ汚染水ダダ漏れまくりの上、何かあったら(ちょっと大きめの余震とか、それに伴う津波とか、あるいは単なる配管素材の腐食とか)、トレンチ内の超高濃度汚染水が環境に放出されます。悠長にメンツを追求している場合ではありません。

 で、こっちも、

 「原発事故で生物影響の恐れ 日米研究者が専門誌に」(47NEWS=共同通信 8月15日)

 これも予測されていましたが、遺伝子、壊れてます。「つばめはダメでも、人間は大丈夫」ということはないでしょう。福島からの避難体制、「帰還・帰還」と叫ぶ国の方針、チェルノブイリの避難状況を考えると、異常としか言いようがありません。

ウクライナ福島再構成小
ウクライナの避難地域(チェルノブイリ事故)と福島事故(その3)

 チェルノブイリの基準をあてはめれば、これくらいの地域が「移住義務」もしくは「移住権利」地域と指定されていなければならないわけです。なし崩しで「帰還かなぁ」なんて言っている場合ではありません。

 で、

 「ドイツ再生エネ率、過去最高=風力・太陽光増え28.5%-今年上半期」(時事通信HP 8月15日)

 ちゃんと国を上げて取り組んだドイツでは、原発より安価で、もちろんエネルギー安全保障上も申し分なく、しかも環境にかける負担も極小の風力・太陽光発電、もうほとんど3割です。
 自然エネルギーは高く、不安定、というのは、原発推進派のネガキャンに過ぎません。再掲です↓

 「再生可能エネルギー、日本の常識は世界の『真逆』/ドイツや米国の太陽光や風力が安い理由」(日経ビジネス 7月31日)
 「躍進続く風力・太陽光発電・・・これが現実のデータ(その2)」(当ブログ記事)
 「実は大したことなかったドイツの再生エネ賦課金!! しかもこれからは負担減少!!」(当ブログ記事)

 日本も手をこまねいている場合じゃありません。ただでさえ経済落ち込んでるのに、原発再稼働なんてしても何も救われません。ちゃんと計算してみれば、原発再稼働は、経済に悪影響しかありません。しっかりとしたエネルギー政策を考えるべきです。


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川内原発のパブコメ出した??

2014-08-14
 申し訳ありませんm(_ _)m、本日はちと、いろいろあって記事書く時間がないのですが(「だったら書くなよ」とか言われそうですが)、それでも一言だけ。

 川内原発のパブコメ出した??

 締め切りは明日です。↓

 「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」(原子力規制委員会HP)

 当ブログ関連記事↓
 「川内原発パブコメ・・・これを指摘したらどうだろう??
 「今度のパブコメは「自然冷却式コアキャッチャー」!!
 「原発“新規制基準”では、コアキャッチャーの機能は代替されているのか??
 「川内原発の火山リスク、「誰も知らない」!!
 「欠落している2つの数字/川内原発・火砕流対策
 「川内原発に火砕流到達!!
 「川内原発・基準地震動、「エイヤっと」決めました by 九電幹部


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またも惨憺アベノミクス・・・GDP年率6.8%減

2014-08-13
 墜落し続けるアベノミクス、本日の内閣府発表では、4~6月期のGDP(国内総生産)、年率換算6.8%の減となりました。まあ、当然といえば、当然の展開なのですが・・・。

 「GDP年率6.8%減 4~6月、消費・設備投資落ち込む 」(日経新聞HP 8月13日)

 消費増税や、Windows XPサポート停止による、駆け込み需要の反動のせい、と、上の記事は解説しています。

GDP成長率2014-2ndQ
(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)

 見事に落っこちてますね、四半期で-1.7%、年率換算すると-6.8%です。相変らずのダメダメぶりです、アベノミクス。
 で、こういうこと(アベノミクスに対する当然の評価)を書くと、当ブログのような辺鄙なところでも、変なコメントが湧いてくるのですね・・・

 「じゃ、何で円高だった民主党政権の時より、株価や景況感が上向いてるの?馬鹿にもワカルようにおせーて」(当ブログ8月8日記事へのコメント)

 これに対して書いたレスは

 「例えば、ロイターの記事「家計の景況感が悪化、先行きは改善見通し=6月日銀生活意識アンケート」の題名に明確ですが、経済水準普通レベル以下の人にとっちゃ、景気なんて全然良くありません。
 金融緩和で恩恵をうけるのは金融機関です。投資もしやすいでしょうから、株も上がるでしょう。
 一方、その原資は消費増税だったり、国債(結局、税金で、み・ん・なが払うことになる)だったり、します。
 で、企業減税もまたやるとか。
 要するに、低所得層から高所得層への所得移転が行われ、その連中の景気が良いだけです。」

 でしたが、実際、これを裏付ける数字も発表されています。

GDP雇用者報酬前期比2014-2ndQ
(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)

GDP雇用者報酬前年比2014-2ndQ
(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)

 前期比でも、前年同期比でも、雇用者報酬は下がり続けています。特に注目すべきは2014年1-3月期、GDPが1.5%伸び(四半期値、一番上のグラフ)、メディアやコメント主が“景気が良くなった”と認識しているこの時期でも、雇用者報酬は既にマイナスです。
 で、で、このレスには更にコメントが付いています。

 「それでは民主党政権時の円高が継続していたなら増税もしなくて良く低所得者も潤ったのですか?
 雇用してくれる企業の体力がどんどん低下するのに、どんな4次元ポケットを叩けばビスケットが増えるとお考えですか?」(当ブログ8月8日記事へのコメント)

 このコメントに対してもレスを付けたわけですが、

 「(出だし部分、略)・・・アベノミクスの円安政策は、輸出依存型製造業にとっては支援策となりますが、他の業種にとっては障害となります。伸長著しい、海外投資産業にとっては大きな障壁です。経済政策のやるべきことは、衰退産業の既得権にメスを入れ、発展過程にある産業への支援策を考えることなのですが、アベノミクスのやっていることは真逆で、先のない産業にばかり便宜をはかっています。
 その惨憺たる結果が、今回の経常収支赤字として、きっちり出ています。
 で、そのアベノミクスの資金の流れは、「異次元の金融緩和」とやらで、日銀に国債を引き取らせる一方で、国債残高の増加ぶりは呆れるほどです。これ、いずれ税金として「みんなから」取られます。「みんなから」取られる金が、金融機関、企業会計を通して、富裕層に届けられています。
 沈む泥船の中で、富裕層だけは金をかき集めていい思いをしようとしているのがアベノミクスです。
 もう一度、書いておきます。アベノミクスの円安誘導で儲かる業種は、輸出中心の製造業です。「アベノミクスで企業が元気→国民まで金が回る」が上手くいくには、まず、この業種が成功し、輸出が(アベノミクスの様々な問題点を覆い隠すほど)伸びなければなりません。でも、経常収支赤字、ですから、今回の財務省発表は、それが完全に失敗していることを示しています。これでは単に貧乏人から金を巻き上げ、富裕層が儲けるだけの、「いつかはあなたにも金が回る詐欺」です。 」

 これについては今回のデータはどうなっているでしょうか??

GDP内外需寄与度2014-2ndQ
(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)

 おお、さすがにアベノミクスで援助を受けた「外需」、四半期数値で1.1%、GDP増方向に貢献しています。しかしながら、私がレスで書いた「『アベノミクスで企業が元気→国民まで金が回る』が上手くいくには、まず、この業種が成功し、輸出が(アベノミクスの様々な問題点を覆い隠すほど)伸びなければなりません」を達成するほどには上手く行かなかった、というところです。全体でGDP、当期-1.7%、年率換算-6.8%なのですから。
 これ、当然の話で、日本の経済構造が、製造業牽引型から、資本投資牽引型に変わろうとしている現在、アベノミクスは前者にプラス、後者にマイナスに働きますから、結局、稼ぎ頭となるべきところに悪影響を及ぼし、衰退産業に保護を提供してしまっています。

人口ピラミッド
総務省統計局HPから)

 だいたい、日本の労働人口、減少中なのです。今さら製造業が活気を持とうとしても、働き手がいない、そしてそもそも、製品の国内市場の育ちようがない、という状況です。外国に投資して、そこで儲けてくるしかありません。
 幸い、日本には、これまでは投資に回せる資産があったわけで、それを有効に活用しなければならなかったのです。それを円安で、価値毀損してしまったのがアベノミクスです。こんな政策、役に立つはずがありません。
 全体の状況として、日本は今、撤退戦を戦っている状況です。これはしょうがありません。人口減少・高齢化なのですから。ただ、これまでの蓄積のお陰で、そんなに悪くない撤退戦をしているところだったのです。
 この状況下で、進軍ラッパを吹いたバカがいるのです。結果は、明らかです。

 しかも注意しておかなければいけないのは、経済競争のルールが、以前とは違っているというところです。グローバル化の進展で、国単位で経済活動をする必要がなくなっています。企業は、同じ労働力なら、安いところのを使うという形になっています。つまり、世界中の人間が、個人の生産性の高低によって、職にありつけるか、どれだけの収入を得られるかが決まるようになりつつあるのです。日本人だからなんてことは企業にとって何の意味もありません。掛けた金の分だけ、ちゃんと企業に貢献するか、だけです。この状況の中で、日本が、これまでのように世界的に見て高い賃金水準を維持するためには、一人ひとりの生産性、職業技能を上昇させるしかありません。政策立案者は、こんな状況下ですから、普通なら、教育の高度化を考えます(教育で本当に職業技能が向上するのかという点については実は疑問が残るのですが)。でも、「教育への公的支出日本は最下位 奨学金制度が鍵=OECD報告書」といった問題は置き去りにして、“国富流出”なんて、国単位の思考で、しかも大昔に否定された概念で議論しているのがアベノミクスです。うまく行くはず、ありません。

PS. あ、NHKニュース、このGDPの落ち込み、「東日本大震災以来の落ち込みです」とか言ってら~。アベノミクスの破壊力は東日本大震災なみということか、フムフム。


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これは完全にアウトだろ!! 関電、川内、福島第一

2014-08-12
 続けざまに出てくる出てくる、とんでもない話!!

 まずは関西電力です。
 朝日新聞の連載記事「原発利権を追う」、本日は「送電線で悪影響、コイに1億円」でした。

コイに一億円
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月12日)

 関西電力、“送電線のせいで鯉の育ちが悪くなった”とイチャモンをつけられ、払った金が1億円。「相手はいわゆる裏社会の人間」。これ、今なら完全に暴対法違反でしょう。アウト!!です。


 次は川内原発。
 東洋経済のインタビューに、藤井敏嗣・気象庁火山噴火予知連絡会会長が答えています。↓

 「規制委の火山リスク認識には誤りがある」(東洋経済HP 8月10日)

 これ、前々から伝えられていましたが、実に明確に、川内原発の火山リスクが、全く予見できないことを明らかにしています。

 「噴火を予知できるのは、せいぜい数時間から数日というのが現状だ。2011年の霧島新燃岳の噴火のように、地震などの前兆がなかったため、予知すらできないうちに噴火が起きることもしばしばある。」(東洋経済HP 8月10日)
 「数十年とされる原発の運用期間に、火砕流をもたらすカルデラ噴火はあるともないとも言えない。その判断基準もない。」(東洋経済HP 8月10日)

 これ、何も脱原発派が言っていることではありません。国の機関の中で、火山予知をやっている責任者が言っていることです。モニタリングして、たまたま運良く火山噴火が予知できたとしてもせいぜい数日前。原子力規制委員会の方針では、火山噴火が予知できた場合、原発を停止し核燃料を運び出すことになりますが、そんな時間的余裕全くなし。アウト!!です。

川内原発噴火5
(図は九電・規制委提出資料から←「火砕流がよけて行く川内原発!! 九電シミュレーションの怪しさ」で引用したもの)


 で、極めつけが福島第一原発。

 「“切り札”投入したら『詰まった』東電・福島第一」(テレ朝HP 8月12日)

 凍土壁形成の前段階としてやっている、トレンチ内高濃度汚染水除去のための「トレンチ流入口を塞ぐ“氷の壁”」形成作業、「222tの氷を投入」したけどダメなので、「凍結の“切り札”として7日にドライアイス1tを投入しようとしたところ配管が詰まってしまい、それ以降はドライアイスの投入を見合わせている」とか。アウト!!。
 しかし、ドライアイスが詰まる、って、そのドライアイスは溶けないのか?? まあ、配管の入口で凍って詰まり、その先へ行かない、とかか??

氷投入
(東電資料←「凍らない『氷の壁』に、ダメダメ東京電力」で引用したもの)

 う~ん、この件については更田・原子力規制委員、↓こんな発言をしていました。

 「ここ数日の間に、ちょっといい知らせが聞けるかもしれないという状況にありますけれども、タービン建屋との間の凍結による止水がうまくいくかどうかというのが、ちょうど今勝負どころにあります。これが上手く行って初めて、海水配管トレンチから汚染水を抜くことができて、固めることが出来る。そうするとタービン建屋、原子炉建屋といったところに手が付けられるようになってくる・・・」(8月6日 第19回原子力規制委員会)

 勝負、負けました。タービン建屋、原子炉建屋、遠い彼方に消えました。って、どうするんだ、この先!! アウト・アウト・アウトォ~!!
 いや、もともと、これ凍らないって、ずっと言われてきたのに強行してこのザマですから、重大な責任問題です。

 福島第一についてはこれとは別に、

 「停止中の仏製の汚染水処理装置を廃止へ」(NHKホームページ 8月12日)

 結局使い物にならなかったアレバ社製の汚染水処理装置、廃棄です。で、「この装置の導入や維持にかかった費用については『経営にかかわることで公表できない』としています」って、今や税金で運営されている東京電力が言えたセリフか!! いったいいくら、税金もしくは電気料金、ドブに捨てたんだ!! アウト!!


 なんかもう、電力・原発、ここまで異常・反社会的なことやってて、なんでまかり通る!!


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実は大したことなかったドイツの再生エネ賦課金!! しかもこれからは負担減少!!

2014-08-11
 再生可能エネルギー批判派の人々がよく言及することに、“ドイツでは再生可能エネルギー導入のための負担が電気料金に重くのしかかっている”というのがあります。
 これを一番明確に表現しているのが資源エネルギー庁のHP、「なっとく!再生可能エネルギー」。再生可能エネルギーの重要性を青少年に説明するページなのに、示されるのは↓こんなグラフ。

資源エネ庁ドイツ賦課金
(資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」)

 何コレ、「再生可能エネルギーは高くつきますよ」、「しかもこれからもますます上昇しますよ」、と脅しをかけています。再生可能エネルギーの普及を呼びかける立場の資源エネルギー庁、やる気あんのか!!

 ま、でも、これが事実なら、このような背景を説明した上で再生可能エネルギーの意義を説明することが必要、ということになりますが・・・

 「ドイツの再エネサーチャージは高いのか/FIT機能で見えてきた新たなエネルギ-システム」(山家公雄『日経ビジネス』 8月11日)

 この記事では、ドイツの再エネ賦課金、「サーチャージ」について、解説しています↓

日経・ドイツ賦課金
日経ビジネス上掲記事 8月11日)

 一番下の緑の部分、ここが再生可能エネルギーへの「純粋なサポート・コスト」で、他はとりあえず計算に入れておく、“いろいろな要素”です。
 この“いろいろな要素”、水色の部分なんて、なんと「電力価格値下げ充当ぶん」です。ドイツでは火力発電所の作り過ぎがあり、だぶついた電力供給で電力価格下落傾向があるそうで、再エネ賦課金が計算のもととした予定電気料金との差額を、とりあえず再エネ賦課金として課しておく、という金額だそうです。もちろん、このぶんは次年度に返還されます。
 ということで、純粋な再生可能エネルギー賦課金は緑の部分だけ、2.17セント(2012年)から2.54セント(2014年)と微増に過ぎません。他の再生可能エネルギー起因コストぶんを計算に入れても、額面の6.24セントではなく、4セント程度だと、この記事は記します。しかも、この2.54セントと4セントの差額にあたる「市場プレミアム」は、いずれゼロになる予定・・・つまり、いずれは緑の部分だけになるそうです。
 そして、その緑の部分も、再生可能エネルギーの技術革新が進み、発電コストの低廉化が進んだことで、再生可能エネルギーの支援は必要なくなって行き、「再エネに係る負担は次第に小さくなっていく」そうです。

日経・賦課金2
日経ビジネス上掲記事5ページ 8月11日)

 再生可能エネルギーは、もはや家庭用電気料金より安く発電できるだけではなく、産業用電気料金をも下回る発電コストへと達しつつあります。売電単価と買電単価の間の逆ざやはなくなり、そうなれば当然、再エネ賦課金も不要になります。
 この日経ビジネス記事の著者、山家公雄は記します↓

 「(ドイツでは)低コストで国産資源を使える(輸入燃料に依存しない)状況となり、このスケジュールは『見えている』のだ。日本は、残念ながら先行き不透明な状況である。

 一番上の資源エネルギー庁のHPと見比べてみましょう。全然シナリオが違うじゃないか!!


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躍進続く風力・太陽光発電・・・これが現実のデータ(その2)

2014-08-10
 一週間前くらいのこと、当ブログに、「向こう」の方では風力も太陽光も見捨てられている、というコメントをいただきました。う~ん、“「向こう」って、佐賀県の限界集落のこと??”とか、福岡的には思ってしまうわけですが、どこなんでしょう??
 既にコメントに対するコメントをいただいていますように、よく“不安定” と言われる自然エネルギーですが、送配電網で一定の広さに渡る集合的マネージメントをすれば、安定した、しかも安い電源となります。

 「再生可能エネルギー、日本の常識は世界の『真逆』/ドイツや米国の太陽光や風力が安い理由」(日経ビジネス 7月31日)
 「太陽光・風力発電はダメという洗脳工作に必死、伊藤敏憲」(当ブログ過去記事 2012年2月10日)

 ある程度の広さ(「九州」とか、「東日本」といった程度の広さがあれば十分・・・スペイン程度に相当・・・で、さらにこれらの地域間で連携すれば、EUで多国間連携するのに匹敵)をまとめて運営すれば、その全体で一斉に曇ったり、風が止まったりはしません。平準化されて安定した発電状況となります。
 またコスト的には、燃料費はもともとタダですし、設備費も、“競争的市場ができれば(欧米では既に出来ている)、十分に安価になる”と、上掲『日経ビジネス』記事は指摘しています。
 ま、要するに日本では、接続拒否したり、広域連携網の構築を怠ったりという、原発依存電力会社と経産官僚の嫌がらせがあり、そこへ業界内部の談合体質も加わり、再生可能エネルギーが力を発揮できない状況になっているわけです。
 こんな日本を超えて、世界的視点で見ればどうなるかというと、先日紹介した、Mycle Schneider、Antony Froggatt 編著 “The World Nuclear Industry Status Report 2014”(『世界原子力産業現状レポート2014』)からです↓。

風力・太陽光・原発p76
(76ページ)

 グラフは世界で、エネルギー別に発電容量が2000年と比較してどれだけ増えたか(減ったか)です。青の風力、緑の太陽光、発電容量ぐんぐん上昇中です。これに対し赤の原子力、日本での停止が響いて、ガックリと低下です。
 で、こういうこと書くと、“自然エネルギーは、発電容量(≒最大発電能力)は大きくても、実際は「風吹かなかった」、「太陽かげっちゃった」で、大した発電はできないのだ”というのが、原発推進派の言うセリフということになっていますので、発電実績です↓

風力・太陽光・原発p77
(77ページ)

 今度は1997年をゼロ年として、そこからどれだけ発電量が増えたかです。やはり、青の風力のみならず、緑の太陽光にも負けていますね、赤の原子力。

 ということで、世界では風力、太陽光の利用が一気に進展中です。
 こんな有利な発電方法を「見捨てる」だなんて、なんてバカなんでしょう、佐賀県限界集落。(えっ??、「その村の名を原子力ムラと言い、また、原子力ムラが牛耳る国の名を『日本』と言う」って・・・)


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これは、もんじゅ廃炉の伏線なのか??

2014-08-09
 昨日の朝日新聞に載った記事です↓

画像2
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月8日)

 普通の記事よりも2段階くらい小さいフォントで書かれたベタ記事ですが、なんか重大なシナリオがありそうに思えます。
 と、言うのは、先日書いた「もんじゅ2016~20年廃止説」との関係です。
 2016年、家庭用電力小売り自由化によって、2020年までには、地域独占下で電気料金を決定するための計算式「総括原価方式」、廃止されます。自由競争で電気料金を下げることになっているのに、国が電気料金決めてちゃ話になりません。
 で、その時困るのが、使用済み核燃料の帳簿上の処理です。

 前の記事と同じことになりますが、ちょっと話の筋を見えるようにするため、いささか説明します↓。分かっておられる方は、次の行空きまで、飛ばしてください。
 総括原価方式では、使用済み核燃料は、核燃料サイクルの次の段階の燃料の原料ということで「資産」として計算されていました、ゴミなのに。総括原価方式は、発電にかかった資産の量に応じて電気料金が上がっていく計算式になっていましたから、このゴミで電力会社は高い電気料金を手にしていました。ゴミを溜めれば電気料金が上がる・・・実に有用なゴミです。
 この時、曲がりなりにも使用済み核燃料を「核燃料サイクルに使う資源だ」と言うために必要だったのが、核燃料サイクルのキモ、使用済み核燃料をプルトニウム核燃料へと変換する高速増殖炉、もんじゅです。実際には、実用化できないままに、建設開始から30年近くも経ち、実験するにしても古臭く、何の役にも立たない単なる維持費喰らいにすぎなかったのですが。でも、これがあれば、“ゴミで電気料金が上がる”、濡れ手で粟を実現する手品のタネですから、日額5500万円という維持費を払っても、原子力ムラにはありあまるお釣りが来る状態だったわけです(まあ、もんじゅは国費なんで、電力会社の懐と直接関わるわけではないですが、経産官僚もそれなりの圧力は受けているわけで、失敗したプロジェクトをいつまでも抱えているのは、彼らにとってもあまり良いことではありません)。
 しかし、電力自由化されれば、電気代をわざと高騰させておくわけには行かなくなります。そんなことをやっていては原発依存電力会社、電気安売りを仕掛けてくる新電力のカモにされてしまうでしょう。というか、総括原価方式がなくなってしまえば、そもそも核燃料サイクルがあってもなくても、電気料金とは、何の関係もない。
 ということで、総括原価方式が終わるなら、核燃料サイクルともんじゅの意味は無くなり、こういったものからは、さっさとおさらばするのが、電力会社としては都合が良いはずです。
 ただ現実はそう簡単には行きません。一点、弱点があります。これまで、「資産」として使用済み核燃料を溜め込んできてしまったのです。具体的に溜まっている使用済み核燃料ももちろん問題なのですが、それよりも経営陣にとって深刻なのは、帳簿の問題です。原発依存の最も小さな中部電力でも自己資本の15%程度、大きく原発に依存した経営をしている関電や九電では自己資本の4割にも上る額が、この使用済み核燃料というゴミなのです(ちなみに北電では、自己資本を上回る額www)
 これではあっさり核燃料サイクルをやめるわけには行きません。そんなことしたら、自己資本がそのぶんなくなり、会社の経営が傾いてしまいます。

 と、いうことで、何か策動してくるとは思いましたが、冒頭の朝日新聞記事、一つのシナリオを提供するものとなり得るでしょう。
 つまり、「もんじゅはやめても、核燃料サイクルはやめない」という強弁のタネになりそうです。フランスの次世代高速炉の開発に関わっておけば、“核燃料サイクルはやがて実現します”と、強弁することができるでしょう。でもって、フランスへのいくばくかの出資と引き換えに、大金喰いのもんじゅを廃止することができるでしょう。
 電力会社にとっては、いきなり使用済み核燃料を「資産」から「ゴミ」へと変更しなくて済み、とりあえず当面の経営問題は回避できるでしょう。
 まあ、小手先の対応に過ぎず、もともと使用済み核燃料は価値がないのですから、まともに市場競争にさらされる企業となれば、使用済み核燃料は、いずれ無価値(もしくは処分費用のかかるマイナスの資産)と資本市場から評価されるようになるでしょうが、とりあえず当面の帳簿処理だけはしのげるでしょう。

 ふ~ん、まずはこんな仕込みか~。


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火力発電燃料費がいくらか解ってるのかマスコミ!! アベノミクス崩壊の経常収支赤字!!

2014-08-08
 財務省の発表では、比較可能な統計がある1985年以降、初めて、上半期の経常収支が赤字となったそうです。

 「1~6月経常収支、5075億円の赤字 上半期では初 」(日経新聞HP 8月8日)
 「上半期の経常収支、初の赤字に…貿易赤字拡大で」(読売新聞HP 8月8日)

 で、その解説で出てくる言葉、「火力発電燃料などの輸入額が増えた一方で」(上掲、日経記事)、「原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え」(上掲、読売記事)・・・全く日本の経済の状況が理解できていません。原子力ムラ身内の読売新聞が何でも原発停止のせいにするのはともかく、大丈夫か、経済紙「日本経済新聞」の経済部。
 まず、原発が停止したのはいつのことか?? 2012年5月5日には全原発が停止しています(その後、大飯原発3・4号機が一時再稼働するものの、3.11以前の原発54基体制と較べれば、ほとんど原発全停止状態であることに変わりはなく、全体を集計した貿易統計に与える影響はほとんどありません)。つまり、今回の財務省発表が比較対象としている、前年同期、2013年上期(この時には既に原発停止済み)と比べて、今さら「(原発停止によって)火力発電用の燃料が増える理由がない」のです。
 この点、NHKは、トップのバカさ加減にも関わらず「自動車などの輸出額が増加したものの、円安の影響で天然ガスや原油の輸入額が大きく増えていることなどが主な要因です」と、実にクレバーな解説をしています。実際、輸入数量はほとんど増えておらず、輸入額のみが上昇しているのですから。
 ま、日本の輸入品目の中で、なんといっても額が大きいのは化石燃料ですから、円安になれば、それが最大の輸入(額)増大原因になるのは当たり前です。
 で、問題は、原油(貿易統計状は「原油・粗油」)では15%、液化天然ガス(LNG)でも68.2%しか、発電用には使われておらず、さらに、原発停止前後での発電用使用率の変化で言えば(原発停止前だって火力発電はしていたわけですから、それとの差し引きで考えなければなりません)、原油で9ポイント、LNGで8ポイント程度の変化だということです。つまり、原油輸入額増大にしても、LNG輸入額増大にしても、原発停止による火力発電焚き増しの影響は輸入額の1割に満たないのです(←詳しくは「“原発ゼロの夏で貿易赤字過去最高”って、未来の貿易統計が発表されたのか!? バカ丸出し読売・毎日、貿易赤字報道」)。今期、せいぜい1兆円(当ブログ試算財務省の計算なら1.6÷2=0.8兆円)というところが、目一杯見積もった原発停止の影響です。
 で、この半期の貿易赤字、6兆1124億円です。
 たとえば、日経新聞は別の記事で、コンピュータ・通信関係の貿易赤字額を年額3.7兆円としています。つまり半期で1.85兆円。こういうの差し置いて、なんで「原発停止で火力発電用燃料が増え」なんだ?? メディアって、バカ??

 でもって、「日本の経済を強くする」はずだった(意味不明ですが)アベノミクス、貿易収支・経常収支、黒字化するようなこと言っていましたが、惨敗です。

経常収支2014上期
財務省HP 「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」 8月8日)

経常収支2014上期図
財務省HP 「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」 8月8日)

 うわ~、急な坂を転げ落ちていくようですね。まあ、貿易収支にしても、経常収支にしても、それ自体は経済指標として大した意味を持つものではありませんが、アベノミクスのお題目としては、具合悪いんじゃね。
 あっとそうか、今回の図は半期単位で書いてあるのね・・・月単位だとアベノミクス敗退の様子があまりに明確になってしまうからだったりして・・・以前、月単位の財務省発表の同じような図にいろいろ書き込んだ図に、更に黒田・日銀総裁の就任時期を書き込んだ図、アップしときます↓

日銀黒田総裁の影響

 原発停止の影響はあるような、ないような、でも、黒田・日銀総裁の就任では、いったんご祝儀相場、その後アベノミクスで大転落、というのが、あまりにはっきりしています。


 そもそも、日本経済というのは、自ら工場生産で儲ける時期を過ぎて、資本投資で生きていく段階に達しているはずなのですが・・・だからやってますが↓

海外投資円安でも活発
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月8日)

 この際、最大の武器となる通貨高(少ない国内資金でも、外国に持っていけば高く使える)を、円安誘導で潰しているアベノミクス、日本経済を破壊する自殺行為です。


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衰退続く原子力、2059年には消滅の可能性も・・・これが現実のデータ

2014-08-07
 世界で何が起っていようと、正しいことをしているならば世界に合わせる必要もありませんが、しかし、何が起きているか、知っておくことは悪いことではないでしょう。原発推進派の人たちは、中国での原発建設計画などを引き合いに出して、「原子力は世界で見れば終わっていない」とか言いますが、本当でしょうか??
 以下は先月出された、Mycle Schneider、Antony Froggatt 編著 “The World Nuclear Industry Status Report 2014”(『世界原子力産業現状レポート2014』とでも訳せば良いのかな??)からです。なお、使われているデータはIAEAなどから得られる、ごく普通のものです。またこのレポートには、鈴木達治郎・前内閣府原子力委員会委員長代理の序文が付いています。

 まず、世界の原子力発電の状況、こんなです↓

世界の原発p13
(13ページ)

 もちろん、2011年3月の福島原発事故と、それを受けて5月に浜岡原発が停止した後、順次進んだ日本の原発停止も大きい要素なのですが、それがなくても発電量は頭打ち、世界の発電総量に占める原発の発電割合は低下中だったわけです。
 具体的にいくつの原発が稼動状態にあって、発電容量がどうなっているのかを見ると↓

世界の原発(発電容量)p17
(17ページ)

 2011年からの落ち込み、やはり大きいです。ま、原発推進派の方ですと、「それでも2012年には底を打って、わずかだが上向き」とか、このグラフを読むのかもしれませんが。
 で、それじゃ、今後原発は増えていくのか、新規原発建設と既設原発廃止の状況がこれです↓

世界原発開設・廃止p16
(16ページ)

 グラフ上側、緑の棒グラフが新規建設、グラフ下側、オレンジの棒グラフが廃止です。なんかだんだん下側にシフトしている感じです。
 これEUに限定すると、もっと状況が顕著になります。

ヨーロッパ原発p119
(119ページ)

 なんかほとんど終息モードですね。
 ま、現在の建設中の原発数で見ると↓となってますからね~

建設中原発p19
(19ページ)

 突出して多いのが中国の28基、そこからはガクッと落ちてロシアの9基、インドの6基、韓国とアメリカの5基、といったところです。
 上の表、1972年に建設開始したものが含まれているアメリカって、何やってんだか理解し難いものがありますが、ほかに典型的な先進国として今、原発作っているのは、フランスとフィンランドがそれぞれ1基、です。原発って、BRICsレベルの国に人気のある発電ということになるでしょうか。
 とはいえ、その中国でも↓

風力・太陽光・原発・中国p78
(78ページ)

 これまでのところ、赤の原発のラインって、青の風力はもちろん、緑の太陽光にも発電容量で抜かれています。これからどうなるんでしょう?? 実は、建設中の28基って、建設僅少の他国との比較では多く見えても、例えば、日本の止まった原発の半数程度に過ぎません。54基で日本の電力の30%程度だったのですから、人口10倍、経済規模2倍の中国では、焼け石に水とは言いませんが、他の発電方式の方がもっと頑張らないと電力不足になってしまいます。ということで、原発は、中国でも(他国との比較で多数に見える建設状況でも)地位低下中と考えられます。

 で、こんな状況で、今後、世界の原子力発電はどうなるのか?? と、行きたいところですが、その前に、もう一つ考えておかなければならないことがあります。建設されてから廃炉になるまで、原子炉の寿命です↓

廃炉年数p22
(22ページ)

 1960年台、70年台は数年で廃炉にされるケースが多かったわけですが、その後、原発の寿命は伸び、この頃は30数年で廃炉になることが多いようです。
 で、実際にこれからどう廃炉されていくかを考えるには、制度との絡みもあって、『レポート』はゴチャゴチャ考察しているわけですが、40年を超えると、運転延長が認められるにしても、安全対策や保守に多額の投資が必要となり、経済的に引き合わなくなっていく、ということで、いちおう原発の寿命40年を基本として、こんな未来図を提示しています↓

2059年原発消滅p24
(24ページ)

 “今のまま、何もしなければ”、2059年には、世界から原発消滅です。
 まあ、国際原子力ムラの皆さん、もちろん策動するでしょうから、こうはならないでしょう。でも、「世界で原子力発電が現状を維持するためには、現在建設中の原発に加えて、2020年までにあと30基、その後の10年間に、さらに188基の建設が必要」(23ページ)とのことです。まあ、衰退フラグ確定してます。


 このレポートを短くまとめたHPとして、こちらもご参照ください→「The rise and fall of nuclear power, in 6 charts


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原発推進ウヨの、お花畑な核戦略

2014-08-06
 本日は8月6日・・・ということで、軍事と原発についてちょっと一言です。
 この分野、今年のトピックは安倍政権による集団的自衛権容認ということになりますが、これ、バカじゃないか!? だって、集団的自衛権の行使とか、集団安全保障への参加とは、同盟国がどこかの敵対国に対し軍事行動を取った場合、日本も一緒に戦う(相手の攻撃対象となる)ということですが、そもそも、戦えるのか??

4面コラージュn
当ブログで作成してきた図-福島原発事故の汚染状況を各地原発に重ねる-をコラージュ)

 菅元首相も言ってるし、昨日は「みんな楽しくHappy♡がいい♪」ブログさんが報道ステーションの書き起こしをなさっていますが、日本の原発には2重の防護壁がない、のです。

 「アレバ社は航空機の衝突に耐えられるように格納容器の壁を二重にし、さらに・・・略・・・。こうした安全対策は日本の規制基準には含まれていないが・・・略」(菅元首相、国会質問主意書 H.26年4月16日提出)

 「建物の二重構造はテロ対策の一環でもある。/・・・略・・・/ここ(オルキルオト原発)では原子炉を守る格納容器が二重の構造になっているのだ。/9.11のテロのあと、欧米で安全基準が強化され、航空機の衝突に耐えられる構造が求められるようになった。/2重の格納容器という発想は日本の基準には無い。」(「みんな楽しくHappy♡がいい♪」ブログさん 8月5日)

 つまり、日本の原発はすべて“丸腰”であって、他国からミサイルでも打ち込まれたら、あるいは、テロリストの自爆攻撃程度で十分で、飛行機で突っ込まれたら、いきなりメルトダウン、メルトスルーしてしまいます。

4面コラージュs
当ブログで作成してきた図-福島原発事故の汚染状況を各地原発に重ねる-をコラージュ)

 閣議決定などして、戦う宣言をする場合、先に守りを固めておくのが喧嘩のやり方だと思うが、何の防護もせずに「集団的自衛権」の方を先にぶち上げてしまうというのは、何考えてるのか??

菅直人本図
(フクシマの最悪事態・・・菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』幻冬舎新書)

 そもそも、本来経済的には引き合わない原子力発電を、総括原価方式原子力賠償法などで無理やり推進してきた自民党右派の思惑には、ロケット技術や原子炉技術などの要素技術をすべて保有し、潜在的核兵器保有国になることがあったと推察されるが、それも、平和憲法、個別的自衛権の範囲に閉じこもり、「絶対に他国と戦争しない」構えがあってこそ可能だった話でしょう。
 こんな丸腰の原発を全国にバラ撒いていちゃ、相手側にすごく使いやすい核兵器をプレゼントしているようなものです。「どこでも通常兵器で攻撃してください、当方それで核兵器級のダメージ受けますから・・・で、あなたが使用したのは通常兵器、国際世論から批判されることもありませんから、便利ですよ~」と、相手に引き金差し出しています。とにかく今の日本の状況は、“ガラスの家に住むものは他人の家に石を投げられない”状況です。

 原子炉格納容器の2重化は、私ら脱原発派がゴチャゴチャ言い出す前に、ウヨの方々がやっておかなければならないことだったはずです。それで守れるかどうかは、もちろん、まだ疑問符がつきますが。
 ちゃんと論理的に考えることができるなら、この現状では「集団的自衛権」なんてことは言い出せないはずです。もしくは、それを言いたいなら、まず(いまさら2重化工事とかできない)既存原発の廃棄をする必要があります。

 そもそも潜在的核兵器保有国になっていたところで、いざという時、実際に核兵器組み立てるにはそれなりの時間もかかるわけで、「日本が戦争状態に入った場合、日本が実際に核兵器組み上げるまで、相手は攻撃を待っていてくれる」という前提がないと役に立たないわけですし、しかも現状、「相手は脆弱な日本の原発には攻撃を仕掛けない」という前提も必要です。“日本の国土を守るため、国土を汚染する可能性のある(福島での汚染実績もある)原発は持たない”というウヨの方なら、話の筋も通りますが、今の原発推進ウヨというのは(安倍、石破、その他自民党にいっぱい)、お花畑もいいところです。


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お花畑な石破の、原発再稼働論!!

2014-08-05
 自民党の石破幹事長が、「4日夕方、兵庫・神戸市で講演し、『原子力発電所を再稼働していかないと、日本の未来はない』と強調した」そうです。

 「自民・石破幹事長、『原発再稼働しないと日本の未来はない』」(Yahoo News = フジテレビ 8月4日)

 ここで語られたこと、すべて間違いです。上の記事には石破発言について、3つの引用文が掲載されていますので、そのすべてが、いかに荒唐無稽か、以下に記します。

 第一↓

 「世界で一番厳しい基準をクリアした原発は、・・・中略・・・、再稼働していかないと、この国の未来はない」。

 言うまでもなく、コア・キャッチャーや、二重の防護構造の義務付け等を欠いた、原子力規制委員会“新基準”は、到底、「世界で一番厳しい基準」などではありません。この点については、当ブログ、かなりしつこく書いています↓

 「今度のパブコメは『自然冷却式コアキャッチャー』!!」(2月13日)
 「国、根拠示せず!! 『世界最高水準の安全基準』・・・菅元首相・質問主意書への回答」(4月28日)
 「原発“新規制基準”では、コアキャッチャーの機能は代替されているのか??」(4月29日)

 ということで、話の前提が間違っていますから、後ろも間違っています。正しくは「原発再稼働すると日本の未来はない」です。
 この後ろのところ、もっとはっきりさせるため、石破のあと2つの発言を見て行きましょう。

 第二の石破発言引用文です↓

 「原発の停止で、1日に100億円、1年に4兆円の金が、アラブの産油国に流れている」

 これ、どこをどう計算すると、4兆円なんて数字が出てくるのか?? だいたい、1日100億円なら、年3兆6500億円です。四捨五入って言うのはあまりに大雑把すぎでしょ、この金額。3兆6500億円なら、近いのがあって、経産省が原発停止前と現在の化石燃料輸入額を差し引きして、エネルギー基本計画で示した額が3.6兆円。でも、これについてはさんざん過大評価だと批判があるわけで、最近の例では財務省が出した経済財政白書2014年版の197ページ、経産省に非常に遠慮した書き方ですが、要するに1.6兆円、と言っています。
 で、問題なのは、それにしてもなにがしかの金を化石燃料購入に払っているわけですが、それを払うのが嫌だと言って、原発再稼働すると、実はそれ以上の金をドブに捨てることになるという点です。
 大前研一は書きます「たとえば柏崎刈羽原発では追加の安全対策にすでに3000億円以上のお金がつぎ込まれている。これだけのコストを回収するには長い期間がかかる」。この金が電気料金に上乗せされます。新基準に合わせた施設改修でいくら金掛かるのか、今日は九電、“何をどう工事したらいいか、計画立てるのにも時間がかかる”ということで→「川内原発の再稼働、今冬以降か 工事計画の申請遅れで」(47NEWS=共同通信 8月5日)なんてことになっています。やらなきゃならんこといっぱい、と言うことで、原子炉の残り寿命にもよりますが、残り寿命の短い原子炉だと、とんでもない電気料金値上げをしなければ、資金回収できません。そして、日本の原子炉の多くは、残り寿命、そんなに長くありません

 で、石破発言、第三の引用文です↓

 「これ以上、電気料金が上がると、経営が立ち行かなくなる中小零細企業がたくさんあるはずだ」

 石破は、原発再稼働すれば、電気料金の値上げをせずに済むかのような言い方で、原発再稼働を主張していますが、そんなことはありません。原発再稼働すれば、火力発電用化石燃料買うよりも、もっと金が掛かります。なぜって、簡単な話で、原発のこれまでの現実の発電コストがせいぜい火力と同等程度だったからです。ここに新規制基準へ対応するための上記改修費用加えたら、どうやったって、火力より高くついてしまいます。廃炉費用だの使用済み核燃料処分費用だのといった、厄介な話をする前に、既に火力発電コスト超えです。
 原発再稼働すると、これ以上電気料金が上がり、経営が立ちいかなくなる中小零細企業がたくさんあるでしょう。ということで、「日本の未来はない」でしょう。

 原発再稼働で何かが改善するというのは、お花畑もいいところの話です。ま、その方が、電力会社は儲かるでしょうが。


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北海道電力の赤字は原発のせいだった!! (原発停止のせいじゃないよ)

2014-08-04
 ここ2日ほど、北海道電力の苦境について書いてきましたが、(いや、目的は別のことだったんですが、なぜか北電の突出した数字に目が行く始末)、その原因について、ネット情報誌『スマートジャパン』の石田雅也氏、とても興味深い検討をしています。
 石田氏は2月時点で、既に北電の惨状を取り上げています。

 「先行きが見えない北海道電力の経営、再値上げでも利益は出ない (1/2)」(2月19日)

 なんと恐ろしい見出しでしょう。再値上げをしても、北電は利益を出すことができないというところまで予言しています。本当にそうなるのでしょうか??
 まずはこの時点で石田氏が指摘する、北電の赤字の原因です。

北電赤字理由
スマートメディア 2月19日

 上のスクリーンショット、一行目からガーンです→「燃料費は前年と比べて1割以上も少なくなっている(図2)」。表を見ると、確かに「(△212)」となっています。“原発停止に伴う燃料費増加のため、赤字がかさんだ”、といった説明を電力会社は繰り返してきたわけですが、なにコレ。
 それでは、何が赤字の原因かというと、2行目以降で、「実際に費用が増加しているのは『その他費用』で、『原子力損害賠償支援機構一般負担金』と『再エネ特措法納付金』の2つが大きい」と、石田氏は記しています。北電作成の図2には確かにそう書いてあります。ただし石田氏はこれに注釈を入れます。スクリーンショットの後になりますが、「再生エネ特措法納付金」については、再生エネ(買い取り)が豊富な北電では、この額はいったん国に収めても、それよりも大きな額が「再エネ特措法交付金」として還ってくる、と指摘しています。
 と、いうことは、北電の赤字の原因、最も大きいのは、要するに「原子力損害賠償支援機構一般負担金」だということになります。つまり、北電の赤字の原因は、原発そのものだった、ということです。「原子力損害賠償支援機構一般負担金」というのは、原発事故に備えてちゃんと保険を掛けておかなったせいで今さら払わなければならなくなった(福島事故の)賠償金、つまり原発運営経費(保険料の後払い)なのですから。

 ということで、一応、話は終わりなのですが、これだけなら他の電力会社でも事情は同じ。北電が飛び抜けて赤字となっている理由について、さらに説明が必要でしょう。
 石田氏はこの記事で、上の説明に加えて、さらに詳細に北電の燃料コストの分析などを行い、まとめます→「こうして見ると、北海道電力の収支は値上げを実施してもさほど改善しないことが想定できる。実質的な費用の増加は原子力関連で発生している部分が大きい。かりに泊発電所を再稼働できたとしても、その後の安全対策を含めて維持コストが増えていくことは確実な情勢だ」。
 そして、北電がこの苦境を脱するには、北電が(原子力偏重のため)投資をサボってきた石炭もしくはLNG火力発電所、そしてより多くの再生エネを受け入れるための送電網の整備が必要だ、とします。

 さらに3月には石田氏、北電が窮地に陥る、もうひとつの原因を指摘しています。

 「6%の節電目標を上回った北海道、3年連続で最大電力が減少」(3月11日)

 そもそも、北電の収益改善の課題は、いかにして電気を供給するかではなくて、減ってしまう電気使用量に対応して、どうやってコストを削減するかだったのです。北電の発電所が古い石油火力中心で、発電コストが高くつくのが一番の問題なのですが、この問題に対応したコスト削減は、何も大規模な原発でなくとも良いわけです。というか、ちょっと補足リンク張っておくと、原発は現在、実際に金ばかりかかって低コストではありません。で、その上、当分動かせないんで、単なる金食い虫。 
 ということで、赤字漬けの北電、電気料金値上げを申請せざるをえないわけですが、やってること(原発再稼働に経営資源集中投入)が根本的に間違っているから、ますますドツボにはまる、というのが、石田氏の予言です。

 「燃料費が減るのに電気料金を値上げ、原子力を増やす前提の北海道電力」(4月25日)
 「石油と原子力に依存し続ける北海道電力、再度の値上げが販売量の低下を招く」(8月1日)

 もともと北海道での電気使用量が減っているところへ、電気料金値上げなんてしたら、ますます節電されて、売上が減るだけ、というわけです。
 石田氏は記します、

 「全国に10社ある電力会社の中でも、北海道電力の燃料費の比率はひときわ高い。最大の問題は老朽化した(石油)火力発電所が多く、発電効率の高いLNG(液化天然ガス)を使える火力発電所が1つもないことだ・・・略。/北海道電力は再値上げの理由として、原子力の泊発電所の再稼働が遅れていることを挙げている。しかし実際には原子力に依存するあまり、火力発電所の設備更新を怠ってきた影響が大きい。以前から石油の価格はLNGや石炭と比べて高く、長期的に上昇する傾向にあることも十分に想定できた。経営責任を問われて当然の状況だ。」(8月1日記事

 石田氏記事からの引用ばかりじゃなんですので、以前当ブログで作ったグラフを掲げておきます↓

発電熱効率
(「発電効率最低の北海道電力、電気料金再値上げの世迷い言!!」2月19日などで掲載)

 で、最後にもう一言だけ、石田氏の言葉を引用しておきます。

長年にわたって国の保護と総括原価方式による甘い経営を続けてきた結果、競争力に乏しい事業体になっていることが最大の問題だ。同様のことは他の電力会社にも当てはまる。」(2月19日記事)


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「2016~20年、もんじゅ廃止」の衝撃

2014-08-03
 もんじゅ・・・これまで何度も実証試験に失敗し、成功の見通しは立たず、しかも今や建設開始後30年近くも経ち、これで実験したところで何の役に立つのかもわからない上、さらに昨今ではズサンな管理体制だったため原子力規制委員会によって実験運転さえ禁じられてしまった、どうしょうもない実験施設です。
 しかしこの施設、核燃料サイクルのキモですので、原子力ムラはこの施設にこだわり、けっして廃止を受け入れませんでした。おかげで、たとえ実験ができなくても、冷却材の金属ナトリウムが冷え固まってはどうにもならなくなりますので、予熱用の燃料費等カットできるわけでもなく、一日あたり5500万円という維持費の支出は止まることがありません。
 まあ、ちゃんと管理せずに、もしこのナトリウムが外部と接触したりしたら、福島第一事故以上に厄介な事故となること間違いなしですから、保守作業はやってもらわないと困ることは困るのですが・・・。

 さてしかし、この「もんじゅ」、2016~20年には廃止されます、d(`・д´・ )キッパリ。なぜなら、

 「全面自由化16年4月実施へ 電力小売り、経産省検討」(47NEWS=共同通信 7月29日)
 「発電参入、1万キロワット以上に 届け出制でハードル低く」(日経新聞HP 7月30日)

 2016年4月には、家庭用電力の小売が自由化されます。そして、

 「経産省、原発と電力自由化の両立探る 関連制度見直し進む」(日経新聞HP 6月13日)

 この記事によれば、「経産省は20年までに、電力会社が積み上げた費用をもとに、電気料金を決める『総括原価方式』も撤廃する方針」とのことです。自由化のお題目(目的)は「市場競争による電気料金の引き下げ」ですから、電気料金を国が決めていては話になりません。
 ここでなくなってしまう総括原価方式における、電気料金算定根拠「電力会社が積み上げた費用」を、どう計算するかを定めた「一般電気事業供給約款料金算定規則(平成十一年十二月三日通商産業省令第百五号)」での、“加工中核燃料”の記載

レートベース分類

 これこそが、もんじゅの存在意義ですから、もんじゅの寿命も総括原価方式の廃止までです。
 電力会社が原発で使用した核燃料の燃えカス「使用済み核燃料」、これを、加工すればまだ使える資源として、資産評価し、発電のために所有している資産として「電力会社が積み上げた費用」に算入すると決めているのが、この“規則”です。
 燃えカス、ゴミを溜め込むことで、電力会社の(算定される)資産は膨れ上がり、電気料金は高騰し、電力会社は濡れ手で粟の儲けを手にしてきました。
 もちろん燃えカスが、なぜ「まだ使える」と査定され「加工中核燃料」となるのかといえば、核燃料サイクル、高速増殖炉がゴミを燃料へと転換してくれる、・・・というお話になっているからです。高速増殖炉「もんじゅ」こそが、この燃えカスを資産として評価する“電気料金算定マジック”を支えているのです。

 ですから、総括原価方式がなくなれば、もんじゅは存在意義を失います。なんせ、高速増殖技術の開発自体には、この古臭い炉、もはや何の役にも立たないのですから。
 と、いうことで、「もんじゅ」は2016~20年には廃止されます、d(`・д´・ )キッパリ。

 さてしかし、そう簡単に行くのか・・・

 ここでちょっと電力会社の有価証券報告書を見てみます。原発依存度の高い、関西電力・九州電力・北海道電力と、依存度の特に低い中部電力、そして、まあ、どうでもよい東北電力です。

関西電力 九州電力 北海道電力 中部電力 東北電力
総資産(百万円) 7,777,519 4,549,852 1,782,776 5,782,180 4,243,037
自己資本比率 15.3% 10.5% 7.6% 24.2% 12.6%
加工中等核燃料(百万円) 447,484 197,395 129,574 205,057 118,817
自己資本に対する加工中等核燃料の比率 37.6% 41.3% 95.9% 14.7% 22.2%
(各社・有価証券報告書2013年度から)

 もんじゅが廃止され、核燃料サイクルが終わりとなると、資産として計上されている燃えカス「加工中等核燃料」、資産からなくなります。財産が消失します。まあ、もともと存在しないものが上の“規則”のせいで記載されていただけで、粉飾決算ができなくなる、ってだけの話なんですけど。
 で、上の表は(会社によって微妙に有価証券報告書の書き方が違ってわかりにくいところがあるので、どこの会社でもはっきりと書いてある)総資産に自己資本比率を掛けて自己資本とし、それを「加工中等核燃料」と比べた結果、つまり、加工中等核燃料/(総資産×自己資本比率)です。
 粉飾決算でも資産は資産、消失すれば自己資本の37.6~95.9%にも及ぶ額を、特別損失とかで処理しなければならなくなるわけで、やっぱ無理かなぁ~、倒産しそうだし。
 もんじゅ廃止は、やっぱ「衝撃」だな~。

 で、上掲記事 「経産省、原発と電力自由化の両立探る 関連制度見直し進む」(日経新聞HP 6月13日)と、なるわけだ~。ここで、どういうインチキをするのか経産省??
 核燃料サイクル・もんじゅを維持して、場当たり的に電力会社救済を行うというのも、一つの方法だろうが、しかし、このタイミングで、もんじゅを廃止しないと、いつまでも赤字のタネを引き摺ることになるわけで、経産省自体も困るはずなのだが(それは当然、国民の赤字でもある・・・ま、原子力ムラの黒字になればそれでいいというところだろうが、電力自由化がある程度機能すると原発依存電力会社、原子力部門に金払うがために発生する赤字(燃えカス加工MOX燃料やら何やらはとにかく金がかかる)のせいでホントに倒産する可能性があり、そうなってしまっては経産省、元も子もない)。

 ま、北海道電力プレスリリース「電気料金の値上げ申請について」(7月31日)によると、「自己資本比率は過去最低の5.4%となりました」とのこと。こりゃ確かに電気料金値上げが必要でしょう。で、上の表にこの数字を代入すると、「自己資本に対する加工中等核燃料の比率」、134.6%です。これで、2016年の電力自由化が乗りきれるのか、いやはや、何がどうなっても、やっぱ終わってます、北海道電力。


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関電・九電「突然死」へ、北電・原電「既に死んでいる」!!

2014-08-02
 日経BP連載コラム「大前研一の『産業突然死』時代の人生論」の7月30日記事では、再稼働審査中の原発で追加安全対策投資が巨額に上り、10年程度では採算が取れないことが示唆されていました。20年でも「微妙」とか。
 この記事については一昨日、当ブログで取り上げましたが、実に興味深いので、各原発の運転開始年順に一覧表を作ってみました。

原発経過年

 原発の寿命40年ということで、上の3つは既にアウト、次の高浜1号機~福島第二1号機の12基も残り10年未満ということで、安全対策投資回収は「微妙」ということになります。
 で、東北電力女川1号機~九州電力川内2号機の8基も、安全対策に10年分の収益が投入されているとすると、これらの原発から上がる収益はほんの1~2年分ということになります。

 「高浜原発、津波想定で計算ミス 再稼働審査遅れる見通し」(朝日新聞HP 7月31日)

 あらら、その1~2年分も計算間違いで消耗中ですね。

 というところですが、しかし、大前の計算は、たぶん「甘すぎる」でしょう。
 その理由は、再掲ですが、NHK 7月25日報道です↓

核燃料ゴミ化
NHKホームページ魚拓)

 「使用済み核燃料を直接処分し、核燃料サイクルにはこだわらない」、という試算が、核燃料サイクル開発機構(と日本原子力研究所および動力炉・核燃料開発事業団)を前身として作られた日本原子力研究開発機構で行われているという“異常”事態です。なぜこんなことが起り得るのか、そこが問題です。
 2016年には家庭用電気が自由化、当然、家庭用電気料金も自由化され、総括原価方式もなくなります。核燃料サイクルは、総括原価方式の下で、核のゴミを“サイクルの次の段階の燃料となる資源”=資産として計算し、電気料金を高値誘導するための仕掛けでしたから、総括原価方式がなくなれば、それ自身価値を生み出さない以上、もはや無用の長物です。批判が強まったせいでも、使用済み核燃料処理工場がなかなか実用化できないからでもありません。核燃料サイクル抜きの使用済み核燃料処分方法を検討しなければならないところへ、現実が来てしまっているのです。
 そして総括原価方式のへんてこりんな計算式は意味を失い、この時、「核のゴミ」は本来の「核のゴミ」として、原発の採算性を圧迫し始めます。電気料金高値誘導のための小細工は、まんま、実際の電気料金コスト・アップ要因として効いてきます。使用済み核燃料は、総括原価方式の計算式の中で金を産む卵ではなく、実際の処分費用を要求する厄介なお荷物となります。新電力との価格競争において、大きく足を引っ張るでしょう。
 この採算性の悪化した原子力発電で、追加安全対策の投資分も回収していかなければならないのが、原発依存電力会社の宿命です。現状の原子力採算計算より、電力会社にとっての事態は、更に悪いものとなるはずです。何より、価格競争が起きれば、電気料金値上げなんてできないどころか、むしろ引き下げ競争をしなければならなくなります。大前の計算より、投資回収にはさらに長い年月がかかるでしょう。
 ま、残り年数20年の、大飯4号機などでも、投資回収は「微妙」でしょう。

6社黒字s
(朝日新聞西部本社版朝刊 8月1日)

 で、上図でも際立つ赤字の関西電力と九州電力、資金回収に役立つかもしれない残り年数20年以上の原子炉は九電・玄海3号機だけです。とりあえず表面は繕っていても、大前研一の言葉をいただけば、いずれ「突然死」するでしょう。
 なお、それ以前に、(“税金いくらでも投入”で黒字になっている東電はどうなるか知ったことではありませんが)、既に再値上げを申請した(上図でも赤字の)北海道電力、「お前はもう死んでいる」です。現状電気料金さえ維持できないのですから、電気料金引き下げ競争時代を生き残れるはずがありません。もちろん原発専業会社なのに動かせそうな原発がなく、しかも何か動かしたとしても元が取れそうな原発のない日本原電、もっと明らかに、もう死んでいます。
 (ま、ということは、この事態を打開すべく、何やら良からぬ手を打ってくるのでしょう、経産省。そして、原発依存電力会社依存政治家・・・)



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