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【PAZ・UPZ・PPA】PPAの被曝状況再考--事故原発50km地点での恐怖

2011-11-14
 以前、原子力災害対策の地区割り、PAZ(5km圏)予防防護措置域、UPZ(30km圏)緊急防護措置区域、PPA(50km圏)放射性ヨウ素防護地域、について、被曝状況等考えてみました。「PAZ・UPZ・PPZの意味」、「PAZ・UPZ・PPZの意味(2)実は100倍危険!」、という記事ですが、もう少しちゃんと見ておいた方が良いかな、と思いましたので、以下、考えてみます。
 前回良く考えていないのは、放射性ヨウ素の評価です。半減期が短く、早いペースで減っていくのと、被曝の形態が吸入によるという点で、ちょっと厄介です。でも、ちょっとネットを漁ると、そこそこ何か考えることのできる材料は載っています。
 ここには、どんな放射性ヨウ素がどういう比率で放出されたかが「初期の値」として、記されています。そして、こちらには、吸入された場合、物理的量を生物的ダメージに換算するための「変換係数」が記されています。もっとも、前者に記されている放射性ヨウ素の核種5種のうち、後者で記載されているのは2種に過ぎませんが。それでも、半減期の短さとか、変換係数の大きさとか考えると、主要な汚染物質を、この2種と絞って計算してよさそうです。2つのページから、次のような数値が得られます。

  放出比率 I-131:I-133 = 1.0000 : 1.4255
  線量変換係数(吸入摂取) I-131 = 7.4×10-9 Sv/Bq  I-133 = 1.5×10-9 Sv/Bq

 この上下の数字をかけ合わせて、放出直後の生物的ダメージに換算した、それぞれの量は、次のような比率になります。

  放出比率×変換係数 I-131 : I-133 = 7.4 : 2.1
         (1 : 0.2889527027027027≒1 : 0.29

 ここでまずは話を簡単にするために、放射性ヨウ素は一回限り一気に放出されたものとしておきます。また地上に降りた放射性ヨウ素はその後、移動しないとも仮定しておきます。原発事故で放出された放射性ヨウ素、I-131とI-133は、それぞれの半減期、8.04日0.867日ごとに半分に減っていきます。両核種が減っていく様は、これまでに出てきた数字から、次の式のようになります。
式

 最初にかかっている係数、1/7.4662455は、今回の計算を楽にするための数字です。次のように条件を定めて計算しました。
 すなわち、PPAの最外周部、50km地点で、最も重度に汚染された場合を考えることとします。ここまで汚染物質が到達するには、福島原発1号炉水素爆発時(3月12日15時36分頃)の風速が2m/sということですので、単純に50kmをこのスピードで割って6.94時間(≒0.3日)かかります。原子力安全委員会の基準とした数値は、“12日で100mSv”ですから、50km地点では、汚染は0.3日後に始まり、12日で100mSvとなるとします。
 とりあえず式の、中カッコ{}の中だけの式で、xの区間[0.3, 12]で定積分してみます。結果は7.4662455となりますので、この逆数を式の頭にかけて作った式では、0.3日から12日までの網掛け部分の面積が1となります。

12日間

 このように式を定めますと、あとは0.3日から求めたい時点までxで定積分すれば(ソフトにやってもらえるので簡単です)、その間の放射性ヨウ素からの累積被曝量が、上の図の網かけ部との比率として計算できます。
 たとえば、4日目ならば、

12日間4日目

 こんな感じで、式を区間[0.3, 4]で定積分すると0.4497といった数字が出てきます。全体が1.0ですから、44.97%ということなのですが、12日までの全被曝量が100mSvならば、この数字、そのまま(100との比率ですから百分率の数字そのもので)、4日目には44.97mSvの累積被曝ということになります。

 ということで、50km地点の放射性ヨウ素からの被曝を推計することができるようになりました(先ほどリンクした原子力安全委員会の図から、50km地点での放射性ヨウ素からの被曝が12日間で100mSvという数値を読み取り、それをもとに推計式を作ったということです)。これにさらに早川先生の地図から50km地点の空中の放射線量を8μSv/hと読んで、12日間の累積被曝量を計算して、比較することにします。

      放射性ヨウ素  空中放射線量から
      からの被曝量  計算される被曝量
   01日 10.50mSv    0.134mSv(8μSv/h×16.8h・・・0.7日)
   02日 23.48mSv    0.326mSv(0.134mSv+8μSv/h×24h)
   03日 34.82mSv    0.518mSv(0.326mSv+8μSv/h×24h、以下同様)
   04日 44.97mSv    0.71mSv
   05日 54.17mSv    0.902mSv
   06日 62.56mSv    1.094mSv
   07日 70.23mSv    1.286mSv
   08日 77.26mSv    1.478mSv
   09日 83.70mSv    1.67mSv
   10日 89.61mSv    1.862mSv
   11日 95.03mSv    2.054mSv
   12日 100.00mSv    2.246mSv

 初日は放射性ヨウ素からの被曝が、空中放射線量からの被曝の78倍といったところですが、12日目には45倍程度ということになります。
 極めて大雑把な計算ですので、特にこれでどうこうというものではありませんが(それに身体のダメージを受ける部位も異なりますので、単純に数値を比較できるわけでもないのですが)、大体の傾向を捉えておくことは、いざ逃げる時に、どういう逃げ方をするか、多少の参考になるかもしれません(とにかく逃げる時にはマスクが必須、それも早い時期には特に重要、という程度ですが)。
 結局のところ、ICRPの勧告による「一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度」1mSv、原爆手帳交付相当2mSv、という数値と比較してみると、PPAの最外周部、50km地点でも、短時間で非常に高いレベルの被曝をしてしまうことが理解できます。なお、ここで行なった考察は、放射性ヨウ素による内部被曝と、空中の放射線量から推定される被曝、についてだけです。放出されるのはこれだけではありません。骨に取り込まれるストロンチウム、猛毒と言われるプルトニウムも重要な汚染物質と考えられています。上記より更に、危険性は大きいと考える必要があります。


※グラフの作成並びに数値計算にはfunctionviewを使用させていただきました。作者の和田啓助先生、ありがとうございました。

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