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やっぱりおかしい「原発代替燃料で貿易赤字」・・・新聞社の社説など

2014-02-02
 2013年の貿易収支速報について、メディアの多くは「原発代替燃料費で貿易赤字となった」という趣旨の速報を出しました。
 例えば読売新聞なら「「財務省が27日発表した2013年の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆4745億円の赤字だった。/赤字額は、これまでで最大だった12年の6兆9411億円を大きく上回った。円安が進んで輸出額は3年ぶりに増えたが、火力発電用の液化天然ガス(LNG)などの輸入額の増加が上回った」といった調子です。
 実際の財務省の発表「概要」にあった文言は、「平成25年分については、輸出は自動車、有機化合物等が増加し、対前年比9.5%の増加となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、15.0%の増加となった。その結果、差引額は▲11兆4,745億円となった」です。原発のゲの字も入っていないんですけど。まあ、ブリーフィングで何か言っているのかもしれませんが。

 実際のところ、原発代替燃料はどの程度輸入されているのか、今回さらに考えてみます。
 数字をちょっと追ってみますが、これが実はとてもやりにくくできている。
 前回引きずりだした「わが国で使用された原油のうちの何%が発電用だったか」by 石油連盟、これ、資源エネルギー庁の『エネルギー白書』だと、古いデータしかないので、その出所が石油連盟だったので、石油連盟HPに行ったわけですが、やっぱり古いデータしかない、といった状態。
 資源エネルギー庁、これくらい基本的な数字、自分で計算して出せよ。
 まあ電気事業連合会のHP行けば、燃料使用量の統計データは載っているわけで、それで計算すればよいかと思うわけですが、行ってみると、重油と原油が別項目で、今度は輸入原油に対する全体量がよく分からない。まったくもう・・・。

 ちっ、と思いつつ、こうなりゃ意地だ、メゲずに推計してやるぞ~!!

 まずは、電気事業連合会のHPからデータ取得して計算です。なお、下の表は発電用消費量です(電気事業連合会HPのデータには受入量とか、いろいろあって、これも紛らわしい。しかも現在2012年度までしか無い)。
 「重油」「原油」は別項目ですが、後の計算では「原粗油」にまとめる必要があります。強引ですが共に「kl」単位ですので足して考えてみます。2010年度から2012年度で増えた分は、2012年消費量に占める割合としては 重油60.8%、原油64.7%なので、間を取って62.6%ということで、まあ、大きな誤差は生じないでしょう。

2010年度 2011年度 2012年度 2012年度消費量に占める対2010年増加分
 重油  kl 6,298,687 11,828,097 16,065,618 60.8%
 原油  kl 4,759,378 11,604,834 13,476,256 64.7%
 重油+原油  kl 11,058,065 23,432,931 29,541,874 62.6%
 LNG   41,743,774 52,869,206 55,709,528 25.1%


 現在わが国で消費されている原粗油の発電用途向けのうちの62.6%、LNGでは25.1%ほどが、原発代替燃料であると推定されます。(2011年度から原発止まっていって、2012年度にはほとんど止まっていますから、2013年の数値とほとんど変わらないものと思われます)。

 さて、石油連盟のデータでは、わが国の原油需要量の11.92%が、2011年度、発電用でした。上の表で2011年度と2012年度を比較すると、重油は35.8%増、原油は16.1%増、重油+原油は26.1%増となっています。そこで最後の数値を取り、わが国全体の原油輸入量自体は2011年度から2013年度でほとんど変化していませんので、2012年度および2013年度の発電用途向け石油消費は、11.92%×(100%+26.1%)≒15.0%と推定することができます。
 なお、LNGでは、前回資料の通り、発電用途向けは71.4%です。

 かくして、原発代替燃料は
  わが国の原粗油輸入量の、15.0%(発電用途向け)×62.6%(原発代替ぶん)≒9.4%
  わが国のLNG輸入量の、71.4%(発電用途向け)×25.1%(原発代替ぶん)≒17.9%

 ということになります。

 2013年度の輸入額にこの比率をかけると、
  粗原油 14兆2千億円 × 9.4% ≒ 1兆3千億円
  LNG  7兆1千億円 × 17.9% ≒ 1兆3千億円

 ということで、2兆6千億円ということになるでしょうか。

 わが国の2013年の貿易赤字11兆5千億円の中の2兆6千億円、そりゃあ、小さくはありませんが、他の要因が8兆9千億円です。他の要因による赤字が3倍以上です。
 それに、そもそも「円安」。輸入総額81兆2622億円の支払い、これが2013年の96.91円/ドルに対して2012年の79.55円/ドルだったら、66兆7053億円で済んだわけで、差し引き14兆5569億円相当。つまり、11兆5千億円の貿易赤字なんて、なかったわけです(本来なら、その分輸出が減るとかなんだけど、周知のように、円安でも輸出が増えてませんので、今回はそれ、考えなくてよいです・・・アベノミクスの不自然な円安誘導は、害ばかりで益がないということです)。


 さて本題です(ここまで長かったな~)。

 「揺さぶられる貿易立国・日本 貿易赤字、過去最大 論説委員・井伊重之」(産経msn 2月2日)

 ↑産経の解説記事です。「赤字拡大の要因は主に2つだ。原発の相次ぐ稼働停止に伴い、火力発電向け燃料の輸入が増えたことがまず一つ。円安で輸入金額もかさ上げされた。この燃料輸入増によって貿易収支は約2兆6千億円悪化した。/もう一つが円安効果を生かし切れず、輸出が伸び悩んだことだ」。相変わらず、原発停止代替燃料を槍玉に挙げていますが、原発代替燃料費計算自体は、当ブログと一致しました。数字はプロパガンダではないようです。
 ところが産経新聞、関西向けコラムでは本領発揮、「貿易赤字の解消は原発再稼働しかない(1月29日)」です。記事の中では「原発が停止すれば約3兆円の国富が流出する」と書いています。本紙記事より4千億円、サバを読んでいますが、それで「原発再稼動しかない」って、いや、残りの8兆5千億はどうするつもりなんでしょうかね??

 「社説:視点…「国富流出」の議論=論説委員・中村秀明」(毎日新聞HP 2月2日)

 ↑毎日新聞の社説は「そもそも貿易赤字を『国富流出』といった表現で問題視するのがおかしい。国の成熟に伴って貿易赤字が増え、それを海外投資などの貿易外の黒字でまかなう構造に変わるのは自然なことだ」。まったく正論です。現在の具体的状況についても「量の増加に比べ額の増え方が大きいのは、天然ガスと原油の国際価格上昇に加え、アベノミクスによる円安で円建て価格がふくらんだからだ。増加額のすべてを原発停止に絡めるのは短絡的だ。もともと日本の天然ガス輸入価格は欧米に比べ割高である。足元を見られている面もあるが、コスト意識の低い購入契約に問題がある」。実に正しい。

 さて、朝日新聞↓

 貿易赤字朝日社説

 「直接の原因は国内の原発が止まり、火力発電の燃料である天然ガスや原油の輸入が増えたことだ」。う~ん、原油の輸入量自体は増えてないんですけどね。まあ、原発代替燃料がなければ、もっと減っていたわけですから、それよりは増えたと言えばそうなんですけどね。
 議論に盛り込まれている要素は毎日新聞と大きな差はないのですが、書き方として、ひっかかるところがあるなぁ。「貿易収支は東日本大震災後、赤字に転じた」ってのは、いずれ赤字に転じる状況であったところ、たまたま、東日本大震災のタイミングが重なっただけなんですけど。


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コメント:
燃料の輸入増→円安→輸出産業の業績回復
[2014/02/16 10:17] | hy #- | [edit]












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