お花畑な石破の、原発再稼働論!!
2014-08-05
自民党の石破幹事長が、「4日夕方、兵庫・神戸市で講演し、『原子力発電所を再稼働していかないと、日本の未来はない』と強調した」そうです。「自民・石破幹事長、『原発再稼働しないと日本の未来はない』」(Yahoo News = フジテレビ 8月4日)
ここで語られたこと、すべて間違いです。上の記事には石破発言について、3つの引用文が掲載されていますので、そのすべてが、いかに荒唐無稽か、以下に記します。
第一↓
「世界で一番厳しい基準をクリアした原発は、・・・中略・・・、再稼働していかないと、この国の未来はない」。
言うまでもなく、コア・キャッチャーや、二重の防護構造の義務付け等を欠いた、原子力規制委員会“新基準”は、到底、「世界で一番厳しい基準」などではありません。この点については、当ブログ、かなりしつこく書いています↓
「今度のパブコメは『自然冷却式コアキャッチャー』!!」(2月13日)
「国、根拠示せず!! 『世界最高水準の安全基準』・・・菅元首相・質問主意書への回答」(4月28日)
「原発“新規制基準”では、コアキャッチャーの機能は代替されているのか??」(4月29日)
ということで、話の前提が間違っていますから、後ろも間違っています。正しくは「原発再稼働すると日本の未来はない」です。
この後ろのところ、もっとはっきりさせるため、石破のあと2つの発言を見て行きましょう。
第二の石破発言引用文です↓
「原発の停止で、1日に100億円、1年に4兆円の金が、アラブの産油国に流れている」
これ、どこをどう計算すると、4兆円なんて数字が出てくるのか?? だいたい、1日100億円なら、年3兆6500億円です。四捨五入って言うのはあまりに大雑把すぎでしょ、この金額。3兆6500億円なら、近いのがあって、経産省が原発停止前と現在の化石燃料輸入額を差し引きして、エネルギー基本計画で示した額が3.6兆円。でも、これについてはさんざん過大評価だと批判があるわけで、最近の例では財務省が出した経済財政白書2014年版の197ページ、経産省に非常に遠慮した書き方ですが、要するに1.6兆円、と言っています。
で、問題なのは、それにしてもなにがしかの金を化石燃料購入に払っているわけですが、それを払うのが嫌だと言って、原発再稼働すると、実はそれ以上の金をドブに捨てることになるという点です。
大前研一は書きます「たとえば柏崎刈羽原発では追加の安全対策にすでに3000億円以上のお金がつぎ込まれている。これだけのコストを回収するには長い期間がかかる」。この金が電気料金に上乗せされます。新基準に合わせた施設改修でいくら金掛かるのか、今日は九電、“何をどう工事したらいいか、計画立てるのにも時間がかかる”ということで→「川内原発の再稼働、今冬以降か 工事計画の申請遅れで」(47NEWS=共同通信 8月5日)なんてことになっています。やらなきゃならんこといっぱい、と言うことで、原子炉の残り寿命にもよりますが、残り寿命の短い原子炉だと、とんでもない電気料金値上げをしなければ、資金回収できません。そして、日本の原子炉の多くは、残り寿命、そんなに長くありません。
で、石破発言、第三の引用文です↓
「これ以上、電気料金が上がると、経営が立ち行かなくなる中小零細企業がたくさんあるはずだ」
石破は、原発再稼働すれば、電気料金の値上げをせずに済むかのような言い方で、原発再稼働を主張していますが、そんなことはありません。原発再稼働すれば、火力発電用化石燃料買うよりも、もっと金が掛かります。なぜって、簡単な話で、原発のこれまでの現実の発電コストがせいぜい火力と同等程度だったからです。ここに新規制基準へ対応するための上記改修費用加えたら、どうやったって、火力より高くついてしまいます。廃炉費用だの使用済み核燃料処分費用だのといった、厄介な話をする前に、既に火力発電コスト超えです。
原発再稼働すると、これ以上電気料金が上がり、経営が立ちいかなくなる中小零細企業がたくさんあるでしょう。ということで、「日本の未来はない」でしょう。
原発再稼働で何かが改善するというのは、お花畑もいいところの話です。ま、その方が、電力会社は儲かるでしょうが。
tag :