またも惨憺アベノミクス・・・GDP年率6.8%減
2014-08-13
墜落し続けるアベノミクス、本日の内閣府発表では、4~6月期のGDP(国内総生産)、年率換算6.8%の減となりました。まあ、当然といえば、当然の展開なのですが・・・。「GDP年率6.8%減 4~6月、消費・設備投資落ち込む 」(日経新聞HP 8月13日)
消費増税や、Windows XPサポート停止による、駆け込み需要の反動のせい、と、上の記事は解説しています。

(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)
見事に落っこちてますね、四半期で-1.7%、年率換算すると-6.8%です。相変らずのダメダメぶりです、アベノミクス。
で、こういうこと(アベノミクスに対する当然の評価)を書くと、当ブログのような辺鄙なところでも、変なコメントが湧いてくるのですね・・・
「じゃ、何で円高だった民主党政権の時より、株価や景況感が上向いてるの?馬鹿にもワカルようにおせーて」(当ブログ8月8日記事へのコメント)
これに対して書いたレスは
「例えば、ロイターの記事「家計の景況感が悪化、先行きは改善見通し=6月日銀生活意識アンケート」の題名に明確ですが、経済水準普通レベル以下の人にとっちゃ、景気なんて全然良くありません。
金融緩和で恩恵をうけるのは金融機関です。投資もしやすいでしょうから、株も上がるでしょう。
一方、その原資は消費増税だったり、国債(結局、税金で、み・ん・なが払うことになる)だったり、します。
で、企業減税もまたやるとか。
要するに、低所得層から高所得層への所得移転が行われ、その連中の景気が良いだけです。」
でしたが、実際、これを裏付ける数字も発表されています。

(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)

(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)
前期比でも、前年同期比でも、雇用者報酬は下がり続けています。特に注目すべきは2014年1-3月期、GDPが1.5%伸び(四半期値、一番上のグラフ)、メディアやコメント主が“景気が良くなった”と認識しているこの時期でも、雇用者報酬は既にマイナスです。
で、で、このレスには更にコメントが付いています。
「それでは民主党政権時の円高が継続していたなら増税もしなくて良く低所得者も潤ったのですか?
雇用してくれる企業の体力がどんどん低下するのに、どんな4次元ポケットを叩けばビスケットが増えるとお考えですか?」(当ブログ8月8日記事へのコメント)
このコメントに対してもレスを付けたわけですが、
「(出だし部分、略)・・・アベノミクスの円安政策は、輸出依存型製造業にとっては支援策となりますが、他の業種にとっては障害となります。伸長著しい、海外投資産業にとっては大きな障壁です。経済政策のやるべきことは、衰退産業の既得権にメスを入れ、発展過程にある産業への支援策を考えることなのですが、アベノミクスのやっていることは真逆で、先のない産業にばかり便宜をはかっています。
その惨憺たる結果が、今回の経常収支赤字として、きっちり出ています。
で、そのアベノミクスの資金の流れは、「異次元の金融緩和」とやらで、日銀に国債を引き取らせる一方で、国債残高の増加ぶりは呆れるほどです。これ、いずれ税金として「みんなから」取られます。「みんなから」取られる金が、金融機関、企業会計を通して、富裕層に届けられています。
沈む泥船の中で、富裕層だけは金をかき集めていい思いをしようとしているのがアベノミクスです。
もう一度、書いておきます。アベノミクスの円安誘導で儲かる業種は、輸出中心の製造業です。「アベノミクスで企業が元気→国民まで金が回る」が上手くいくには、まず、この業種が成功し、輸出が(アベノミクスの様々な問題点を覆い隠すほど)伸びなければなりません。でも、経常収支赤字、ですから、今回の財務省発表は、それが完全に失敗していることを示しています。これでは単に貧乏人から金を巻き上げ、富裕層が儲けるだけの、「いつかはあなたにも金が回る詐欺」です。 」
これについては今回のデータはどうなっているでしょうか??

(内閣府「2014(平成26)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)・・・結果の概要」 8月13日から)
おお、さすがにアベノミクスで援助を受けた「外需」、四半期数値で1.1%、GDP増方向に貢献しています。しかしながら、私がレスで書いた「『アベノミクスで企業が元気→国民まで金が回る』が上手くいくには、まず、この業種が成功し、輸出が(アベノミクスの様々な問題点を覆い隠すほど)伸びなければなりません」を達成するほどには上手く行かなかった、というところです。全体でGDP、当期-1.7%、年率換算-6.8%なのですから。
これ、当然の話で、日本の経済構造が、製造業牽引型から、資本投資牽引型に変わろうとしている現在、アベノミクスは前者にプラス、後者にマイナスに働きますから、結局、稼ぎ頭となるべきところに悪影響を及ぼし、衰退産業に保護を提供してしまっています。

(総務省統計局HPから)
だいたい、日本の労働人口、減少中なのです。今さら製造業が活気を持とうとしても、働き手がいない、そしてそもそも、製品の国内市場の育ちようがない、という状況です。外国に投資して、そこで儲けてくるしかありません。
幸い、日本には、これまでは投資に回せる資産があったわけで、それを有効に活用しなければならなかったのです。それを円安で、価値毀損してしまったのがアベノミクスです。こんな政策、役に立つはずがありません。
全体の状況として、日本は今、撤退戦を戦っている状況です。これはしょうがありません。人口減少・高齢化なのですから。ただ、これまでの蓄積のお陰で、そんなに悪くない撤退戦をしているところだったのです。
この状況下で、進軍ラッパを吹いたバカがいるのです。結果は、明らかです。
しかも注意しておかなければいけないのは、経済競争のルールが、以前とは違っているというところです。グローバル化の進展で、国単位で経済活動をする必要がなくなっています。企業は、同じ労働力なら、安いところのを使うという形になっています。つまり、世界中の人間が、個人の生産性の高低によって、職にありつけるか、どれだけの収入を得られるかが決まるようになりつつあるのです。日本人だからなんてことは企業にとって何の意味もありません。掛けた金の分だけ、ちゃんと企業に貢献するか、だけです。この状況の中で、日本が、これまでのように世界的に見て高い賃金水準を維持するためには、一人ひとりの生産性、職業技能を上昇させるしかありません。政策立案者は、こんな状況下ですから、普通なら、教育の高度化を考えます(教育で本当に職業技能が向上するのかという点については実は疑問が残るのですが)。でも、「教育への公的支出日本は最下位 奨学金制度が鍵=OECD報告書」といった問題は置き去りにして、“国富流出”なんて、国単位の思考で、しかも大昔に否定された概念で議論しているのがアベノミクスです。うまく行くはず、ありません。
PS. あ、NHKニュース、このGDPの落ち込み、「東日本大震災以来の落ち込みです」とか言ってら~。アベノミクスの破壊力は東日本大震災なみということか、フムフム。
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