【PAZ・UPZ・PPA】被災参考図: 志賀原発(金沢市・富山市)
2012-03-11
一昨日は志賀原発について原子力防災対策地域を考えてみました。今回また、長崎県のような無意味な避難計画となってしまわないよう、福島から教訓を得るための参考図を作成してみます。国は、UPZ(緊急防護措置区域)を30kmと指定しています。しかし、国のこの30kmという指定は極めて便宜的なもので、はっきり言って根拠はありません。実際、この地域指定を決定した時と比較して、安定ヨウ素剤服用基準は2倍に厳格化されているのに、一向に地域指定変更は検討されていません。その名も、意味づけもズバリの「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)、“安定ヨウ素剤服用の必要な地域”、についてさえです。そもそも、UPZ・30kmというのは、鬼ごっこの安全地帯のように、「この線越えれば大丈夫」といったものではなくて、経済的・行政的理由によって歪められ、極めて縮小された範囲指定に過ぎないということを忘れてはいけません。実際その外側も、甘々な国の基準においてさえ、PPAなのですから。
まずは志賀原発で福島級の事故が発生し、放出された放射性プルーム(放射能雲)が、金沢市方向へ向かったとします。汚染がどの様な範囲に広がるのか、福島原発事故の放射能汚染地域を地図上で重ねあわせてみたのが以下の図です。この際、留意しておくべきことは、次の通りです。
1. 福島では、放射能汚染は阿武隈高地を越えて広がり、奥羽山脈に突き当たって120度程度曲がった。従って、多少の高地は越えて広がるし、曲がりは伸ばして想像する必要がある(風が通常それに沿って吹く山脈などなければ)。次の2つの図を見比べると、伸ばすとどうなるか、状況の見当がつくと思います、(図1)、(図2)。
2. 滋賀県のシミュレーションを見ると、地形・気象条件次第であろうが、福島県の場合よりも放射能汚染はより遠くまで到達する可能性が大きい(福島は放射性汚染物質が広がりにくい地形・気象条件にあったかもしれない)。
より詳しくは、SPEEDIなどによる、しっかりしたシミュレーションが必要となります。

図は、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
金沢市は所により4μSv/h以上汚染されるという、深刻な状況が考えられます。この汚染地帯の曲がりがまっすぐに伸びた場合、福井市あたりでも1μSv/h以上の汚染地域が発生しそうです。また、この図のままでも富山市に2μSv/h以上の汚染地域が発生しています。
次に、放射能汚染地帯が富山市に向かった場合について作図してみたのが次の図になります。

富山市に4μSv/h以上の汚染地域が発生するとともに、放射能汚染地帯の曲がりをまっすぐに伸ばせば長野市あたりでも、1μSv/h以上の汚染地域が発生することが考えられます。
図は前図と同じく、群馬大学早川教授作成の「放射能汚染地図(五訂版)」(Adobe Illustrator CS1版)から、汚染状況のレイヤーを抜き出し、裏返し、回転し、Kenmapで作成した白地図に重ねてみたものです。
飛騨市・高山市方向に放射能汚染の先が到達するよう、同様に作図した図をさらに掲げておきます。汚染地帯がまっすぐ到達するならば、放射線量は図中の値よりさらに高い値を示すことになります。

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石川県志賀原発