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【佐賀県・原発】佐賀県の原子力災害対策のどこがダメか

2012-03-30
 年額120万円を投入してネット世論を監視する佐賀県、せっかく読んでくれているようですので、改めて書いておきましょう、佐賀県の原子力災害対策がどれだけダメか
 
 佐賀県のHPから次のようにたどります。

 佐賀県 → くらしと教育 → 防災・安全・防犯 → 防災減災さが

 下の方に「防災関係資料」という項目があり、その下に「佐賀県地域防災計画(平成24年2月13日修正版)」があります。
 クリックすると示される文章の中に「第4編 原子力災害対策(568KB; PDFファイル)」があります。目次i~iiページと、本文108ページ、表紙なども入ってPDFページ数では112ページとなっています。

 内容は、「第1節 総則」「第2節 災害予防対策」「第3節 災害応急対策」「第4節 災害復旧対策」「第5節 複合災害対策」となっています。実際に書かれているのは、組織図や各部各課のやることをどこまでも細かく羅列していったもので、マニュアルと言えばマニュアルなのですが、記載内容に具体性を欠く項目も多く、まあ、備忘録といった感じです。
 例えば災害対策本部の組織に関するp.36からp.52に渡る長大な表、p.49なら、「対策部-文教対策部、対策部長-教育長」の欄があり、「対策部長の担任事務」として9項目あがっています。その中の「文教対策全般の総括」について「左の主な内容」として4項目があり、1つは「学校の対応状況についての報道機関への情報提供に関すること」となっています。
 「関すること」です。緊急事態に、“どういった情報を、どういう形で報道機関へ提供するのか”、が、重要だと思うのですが、(そして緊急事態対応なのですから、あらかじめ考えておかないと間に合わないことだと思うのですが)、「学校の対応状況」とは何か、それをどう報道機関へ提供するのか、具体的に書いてありません。まあ、この防災計画をもとに後は各部所で考えておいてね、ということなのかもしれませんが。この表、そこらじゅう「関すること」だらけです。
 で、このような羅列の中で、実は一番重要なことが見えなくされています。事故発生後のあるステージで、何に重点的に取り組み、何を最優先で処理していかなければならないのか、という流れが見えません。書いてあるのは、ひたすら細かい事項の羅列です。極端に書くならば、実際の事故を想定して考えた対策と言うよりも、「日ごろ県庁で各部所がやっている業務を羅列し、原発事故があったらそれぞれの業務において対応が必要だよな、と書き加えただけの文書」ではないでしょうか。

 さて、この無意味にだらだらと書かれた内容のない文書の中で、極めて明確に書かれた部分があります。
 「ただし、福島第一原子力発電所における原子力災害を踏まえた国の防災指針の改訂が行われるまでの暫定的な対策として、玄海原子力発電所から半径20kmの円内地域について避難計画の策定等の必要な対策を講じることとし、・・・略」(p.2)
 当ブログではさんざんケチをつけていますが、それでも、原子力安全委員会の現在の方針はUPZ(緊急時防護措置準備区域)30kmです。滋賀県は独自シミュレーションの結果、42kmにしています。30kmにも満たない20kmで済まそうとは、暫定対策とはいえ、あまりに手抜きです。
 しかも滋賀県、最初は国の放射性物質拡散シミュレーション・システム「SPEEDI」の使用を国から拒否されるなど、苦労を重ねた末得たのが、この結論です。一方、佐賀県は原発立地県として、最初からSPEEDIを使用できたのです。そして実際にシミュレートしていた結果が、グリーンピースの情報開示請求で明らかになった、次のようなことです。

 「初公開! 玄海原発事故SPEEDI、1時間で有明海・佐賀市・福岡市汚染の可能性」(グリーンピースHP)
佐賀グリーンピース

 20kmでは全く足りないのは明確ではないですか。佐賀県、自らシミュレートしたこんなデータを持っていながら、そんなことはどこ吹く風と、20kmなどという避難計画を立てているのです。これを悪意ある防災計画と呼ばずして、なんと呼びましょう。

 「県は、国、原子力事業者と連携し、必要に応じ平常時から緊急時迅速放射能環境予測ネットワークシステム(以下『SPEEDIネットワークシステム』という。)と環境放射線テレメーターシステムとを接続するなど情報伝達のネットワークの整備、維持に務める。」p.14-15
 と、「佐賀県地域防災計画 第4編 原子力災害対策」には書いてあります。なんのために何をするのか、そういったことは一切記載せず、単に各部所のやることだけを記載してある「佐賀県地域防災計画」、SPEEDIの使われ方(県もちゃんとやっているんだよというポーズを見せるためのアクセサリとしての利用-シミュレーション結果は隠蔽)を見れば、県民の命を守るためにやっているのではなくて、単に「佐賀県だって防災計画があるんだよ」というアリバイ作りのためとしか見えません。「防災計画があるんだから原発を動かしましょう」と言うための小細工であり、むしろ県民の命を危険に曝すための計画と言うべきでしょう。


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