fc2ブログ
お薦め記事

「公務員の不作為」: 福島原発事故と薬害エイズ(2)

2011-09-14
 ところで、原子力安全・保安院が、津波の危険性を指摘されていたのは、2009年になってからのことではありません。既にネット上で話題になった、共産党吉井議員の質問があります。
 ただ、残念ながらこの質問では、津波の「引き波」の際に取水口付近に海水がなくなり、冷却水が取れなくなる事態への不備指摘が中心で、言及された過去の津波も貞観津波ではなく、1854年の安政地震の際のものでした。もっとも、バックアップ電源や送電機能の喪失について充分な態勢がとられているのかという点については言及があり、3.11津波による炉心溶融の原因となったシステムの弱点については、しっかりと質問されています。そして、当時の経産大臣 二階俊博 氏は、「ご専門の立場から種々傾聴に値するお話をいただきました」と答え、「原子力の安全の確保のために、今後、経済産業省をあげて真剣に取り組んで参りますことをここでお約束を申し上げておきたいと思います」と発言しています。国会でこの質問があったのが2006年3月1日、東日本大震災の5年前ということになります。
 バックアップ電源や送電機能の喪失に対する対策について言えば、経産省は5年間も対策を怠ってきたこととなります。しかも、大臣は真剣に取り組むと回答していたのに、官僚事務方はそれをなおざりにしていた、と言えるのではないでしょうか。この点からも「公務員の不作為」を追及することができるのではないでしょうか。

 まあ、この話しの線で行くと、国にも責任が生じ、税金で賠償の一部を負担しなければならなくなりますから、とりあえず現政権の方針に従って、東京電力だけに責任を負わせておいたほうが得なのではないか、と考える人もいるかもしれません。しかし、“東京電力が賠償金を払う”というのは、見かけに過ぎません。単に電気料金に賠償金ぶんを上乗せして、人々から集金するだけのことです。それも東京電力だけではなく、電力各社は「原子力損害賠償支援機構」に支払いをしなければなりませんから、結局、税金で取られるのと同じだけは、全国から電気料金として回収されるでしょう(原発を持たない沖縄電力だけは除く)。

 2000年地球惑星科学関連学会合同大会、予稿集所収「貞観津波堆積物の発見とその意義」(菅原大助・箕浦幸治・岩下智洋)、この頃から始まっていた地質学的な貞観津波研究の成果を見つけ出すくらい、“経済産業省をあげて”、なんでできなかったのでしょうか。経済産業省、原子力安全・保安院の責任は、追及されるべきでしょう。


[関連項目]
 「公務員の不作為」: 福島原発事故と薬害エイズ
 「公務員の不作為」: 玄海原発の危険性
 「公務員の不作為」: 福島原発事故と薬害エイズ(3)
 「公務員の不作為」: 福島原発事故と薬害エイズ(4)

tag :
コメント:












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
トラックバック URL:

http://fkuoka.blog.fc2.com/tb.php/30-c3dc242c

<< topページへこのページの先頭へ >>