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【PAZ・UPZ・PPA】放射性ヨウ素の拡散:伊方原発と山口市・岡山市

2012-04-21
 コメント欄からリクエストをいただきましたので、伊方原発について更に作図をしておきます。今回は、伊方原発の放射性ヨウ素拡散検討図3回目ということになります。
 原発再稼働、大飯原発の次に作業が進んでいるのは伊方原発となります(「ストレステストの進捗状況」原子力安全・保安院)。この原発の場合、被害の広がりを考えると、どこが“地元”か、ホントわけのわからないことになります。
 放射性ヨウ素は、原発事故の際、もっとも早い段階で拡散する放射性物質とされています。また、放射性ヨウ素は、到達する以前に安定ヨウ素剤の服用が出来ればある程度被曝を抑えることができます。従って、予防的に原子力災害対策を行なうならば、まずもって対策を行なう必要性の高い放射性物質ということになります。放射性ヨウ素はどのように拡散するのでしょうか。
 NHK教育「ETV特集『ネットワークでつくる放射能汚染地図(5)埋もれた初期被ばくを追え』」(3月11日22:00~23:30)では、福島原発事故の際の、放射性セシウムとは異なる、放射性ヨウ素I-131の拡散状況について、測定記録の掘り起しとシミュレーションが行なわれていました。以前の記事では、そのシミュレーション画像(テレビ画面)をデジカメで撮影したものを掲載しましたが、そこから汚染域を抜き出し、伊方原発の地図の上に重ねてみます。
 あらかじめ今回作業をまとめたものを掲載します。上段が山口市方向、下段が岡山市方面です。左が4時時点、中央が8時時点、右が10時時点です。

ヨウ素131伊方山口・岡山まとめ

 以下、それぞれの図を見ていきましょう。
ヨウ素131伊方04時山口
3月15日4:00段階

 山口市方向へと風が吹いた場合を考えて、重ね合わせの際、角度を決めて作成したのがこの図です。福島原発事故では、3月14日から15日へと日付が変わるころ放射性物質が大量放出されていますので、4時間程度で、この状況へと拡散したということになるでしょうか。
 赤い地域では、子供の場合、汚染された空気を吸い続けると1時間で100mSv以上、甲状腺被曝をすることになります。それが黄色い地域なら10~100mSv、青い地域なら1~10mSvの被曝、といったところでしょう。黄色い部分でも、番組中のナレーションによれば「法令で定められた基準値の2500倍」ということですので、非常に深刻な汚染です。
 この図では、まだ汚染地帯ほとんど海の上です。
 時間が経つと、これがさらに広がり、福島の拡散状況と同じであれば、8時には次の図程度になります。

ヨウ素131伊方08時山口
3月15日8:00段階

 山口市はもちろん、萩市、長門市も、深刻な汚染地帯となることが考えられます。
 そして汚染域はさらに広がっていきますが、海の上へと抜けていきます。

ヨウ素131伊方10時山口
3月15日10:00段階

 さて、福島では、奥羽山脈に沿って吹く風によって汚染地帯は曲がりました。瀬戸内海というのはどうなのでしょうか? 瀬戸内海を吹き抜ける風といったものがあるでしょうか? 以下の図は、瀬戸内海に沿って汚染地帯が広がった場合をイメージして、重ねあわせ作業の際、角度ぎめをした図です。

ヨウ素131伊方04時岡山
3月15日4:00段階

ヨウ素131伊方08時岡山
3月15日8:00段階

ヨウ素131伊方10時岡山
3月15日10:00段階

 「法令で定められた基準値の2500倍」という黄色い汚染域、岡山市はかろうじて逃れているでしょうか?
 以上はもちろん、福島でのシミュレーションを単純に伊方原発に重ねあわせただけですので、現実は違った展開となるでしょうが、原子力防災を考えるうえで、一応の参考として、頭に入れておいて悪くはないでしょう。


(図の説明) 背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。


【補足】
 政府/原子力安全委員会による公式の放射性ヨウ素汚染地帯は → こちら
     (実際の測定で出てくる原発南側の汚染地域がほとんど捉えられていません)
 それを伊方原発の地図に重ね合わせた図は → こちら


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