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原子力発電は安いのか: 発電コストと電気料金(2)

2011-09-22
 まずは総括原価方式について補足。

 電気料金=かかった費用+あらかじめ定められた儲け

 という式で計算されていることは間違いないのですが、具体的にどんな費用がどう計算されているのか。総括原価方式の中身については、Buzz Energyさんのブログからリンクされている経済産業省令に示されています。はっきり言って、何がなんだか、全然わからない。

 そこで安易な解説記事を探ります。「プレジデントロイター」の記事を読むと、現在の平均報酬率(あらかじめ定められた儲け)が3.05%であることがわかります。かつては8%前後だったこともあったらしい。そして、計算式に代入される
「原子力発電所の建設コストの高さは他の電源の比ではない。仮に3000億円の原発を2基新設すれば、6000億円の5%=300億円の利潤を得られる」
ということだそうです(この計算の時はなぜか3.05%じゃなくて5%になっています)。これだから電力業界は原発を作りたがるのだ、と一応納得。

 ところで、あの小出裕章先生のHPを見ると、報酬率の数字も違いますが、
「原発は建設費が高く、建設期間が長く、核燃料を備蓄すればそれも資産となり、研究開発などの特定投資も巨額で、それらすべてが利潤を膨れ上がらせる。」
となっています。建設コストだけじゃないようです。

 さてどんなものか、ということで、東京電力の株主向け説明資料を見てみます。43ページが賃借対照表です。興味深いことがわかります。
 原子力発電設備はたいして高価ではない、737,601百万円です。その上に書いてある汽力発電設備(なんかわかりにくい言葉ですが要するに火力発電のことでしょう)の946,104百万円より安いくらいです。
賃借対照表
ただし、この表で面白いのは、核燃料が、「固定資産」として計上されている点です。その額、原子力発電設備を上回る870,450百万円です。結局“原子力”資産は、合計1,608,051百万円となります。他の発電方式(水力・汽力・内燃力・新エネルギー等)の固定資産合計が1,638,878百万円ですから、発電方式別でいえば、固定資産ベースで、5割は原子力発電ということになります。実際の発電量は3割程度なんですけど。まあ、火力も燃料が必要で、それはこの表ではなく、次の44ページの損益計算書の費用の方に入ることになりますから、これだけではなんとも言えないんですけどね。

 さて、さきほどのわけのわからなかった経産省令の、第四条2項を見てみると
「電気事業報酬の額は、別表第一第一表により分類し、特定固定資産、建設中の資産、核燃料資産、特定投資、運転資本及び繰延償却資産(以下「レートベース」という。)の額の合計額に、第四項の規定により算定される報酬率を乗じて得た額とする。」
となっています。火力燃料も余計な在庫を抱えれば運転資本を膨らませ、総括原価計算の基礎「レートベース」を膨らませるかもしれませんが、あまり馬鹿なことは出来ないでしょう。少なくとも発電設備の評価額を超えて在庫、ということはないでしょう。しかし核燃料(ウラニウムを燃やしたあとの生成物プルトニウム、つまりゴミだけど高速増殖炉かプルサーマルがあれば燃料になる、を含む)は溜め込めば溜め込むだけ、利益(報酬)も増えるようになっていますし、実際に溜め込まれています。

 まあ、このへんのカラクリは精妙に出来ているでしょうから、私のようなシロウトが見たって、とんでもない勘違いをしているだけかもしれません。しかし、少なくともある恐ろしい事実はわかります。「加工中等核燃料 736,264(百万円)」、これが燃料・資産ではなく、核廃棄物となったとき、膨らませてきた報酬はしぼみ、さらに処理が必要ともなれば(ちなみに賃借対照表の負債の部には引当金も記載されていますが)、電力会社にとって大きな痛手となることは確実です。前回末尾に書いた悪夢です。危険な高速増殖炉/核燃料サイクル(もしくは少なくともプルサーマル/MOX燃料化)は手放せない、ということです。

と、まあ、煩雑なことをごちゃごちゃ考えてみたのは、なぜか、といいますと、これって「省令」の話なんですね。電力会社が原子力発電にのめりこまなければならない理由は、省令で強力に誘導されているからとも言えます。原子力だけは特別扱いで「儲かる」ようになっている。と、すると、簡単に言えば、このあたりの計算ルールをちょっと変えるだけで、実は「脱原発依存」の方向へ持っていくことが出来てしまうことになります。高い電気は儲からない、安く発電した方がリターンが多い、というようにレートベースの計算式を書き換えてしまえば良いわけです。
 民主党は「再生可能エネルギー特別措置法」を通し、みんなの党は送発分離・発電市場自由化を叫び、枝野経産相は「ゼロベースからの検討」と主張しますが、実は大掛かりな制度変革をしなくても、省令という経産相のさじ加減一つで(これが現実には経産省官僚のさじ加減になっているのが問題なのですが)、電力会社に、原子力発電から腰を引かせることができるのです。逆に言えば、どんな制度改革を行っても、この辺を細工されたら、原子力発電依存は終わらないことになります。
 この部分に切り込むことが、今の民主党政権にできるのか? あるいは、「法律改正では脱原発依存派の顔を立て選挙対策とし、省令以下の部分では原子力発電維持を図り(原子力利権を取り込んで)原発推進派は実をとる」などという変な結末にならないか、気にかかります。

[関連項目]
 原子力発電は安いのか: 発電コストと電気料金

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