【PAZ・UPZ・PPAとウクライナ基準】東海第二原発(6)茨城県南部その2
2012-12-09
原子力規制庁は、政府関係者が“幸運だった”(無神経な言葉使いですが)とした福島原発事故の汚染地域を参考に、7日間で100mSvという基準で図を描き、原子力防災対策地域を考えています。しかし、そうそういつも“幸運”というわけにも行かないでしょうし、また、国際的な原発業界の代理人ICRPでさえ、人工物からの許容放射線量は年間1mSvとしているわけで、もう少し考えてみる必要があるはずです。ということで、今回は茨城県東海第二原発について考えてみる6回目です。チェルノブイリ事故による放射能汚染に対応してウクライナでは2種類の「移住ゾーン」が設定されました。移住が義務となる「移住義務ゾーン」と、権利として移住できる「移住権利ゾーン」です。
福島原発事故による我が国の汚染状況では、どのあたりが該当するのか、当ブログでは4回に渡って検討してみました(その1、その2、その3,番外編)。日本政府は何も言いませんが、ウクライナ基準であれば、日本でもかなり広範な地域が「移住ゾーン」に該当していることが解りました。
そのウクライナでも新生児に、“チェルノブイリ・ハート”と呼ばれる心臓の奇形を始めとして、脊柱側弯症・多指症・兎唇などの奇形が多く発生し、また、堕胎が増加していると言われています。日本より厳格なウクライナ基準でも、何かが起こっているようです。
東海第二原発で福島級の事故が起きたら、この「移住ゾーン」はどうなるのでしょうか。福島事故汚染地域の図をこの地に重ねてみます。なお、図には日本の原子力防災対策地域の区割り、UPZ緊急時防護措置区域とPPA放射性ヨウ素防護地域も書き込んでみました(PAZ予防的防護措置区域も円だけは書き込んでいます)。我々は一体何を指針に避難行動を考えたら良いのでしょうか。いろいろと考える必要があると思わせてくれる図ではないかとブログ主は思っていますが、いかがでしょうか。

前回、茨城県南部に移住義務ゾーンが来る図を作成してみましたが、それまでの流れで福島原発事故の汚染地域図を裏返した状態で使用していました。今回は汚染地域図を裏返さず、単に角度調整だけしてみました。風向きが変わっても、茨城県に移住義務ゾーンが広がる事態は避けられないでしょう。
・ウクライナ基準による福島事故移住ゾーンの広がりは、文科省の放射線量等分布マップ拡大サイトで公開されているデータから作成しました。
・背景とした地図はKenmapで作成した白地図です。フリーソフト作成者のT. Kamada様、ありがとうございます。
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