統計的には「がんリスク無い」
2012-12-04
選挙の話しでとんでいましたが、先月、WHOの福島調査団の報告書が出ています。

(朝日新聞11月25日西部本社版朝刊)
「がんなどの発生について、全体的には『(統計学的に)有意に増える可能性は低いとみられる』」とのことです。よかったよかった・・・って、ちょっと読み進めると「浪江町の1歳女児が16歳までに甲状腺がんになる可能性は・・・略・・・9.1倍になった。飯舘村では5.9倍、福島市などで3.7倍に増えると予測された」です。いや~、どこが「がんリスク増、可能性低い」なんでしょ。“これは乳児の話で、大人の話ではないですから・・・”、ってことなんでしょうか? そうそう、大人については、「福島県のほかの地区の成人の増加率は甲状腺以外はおおむね1%以下で、全体的には統計学的に有意に増加する可能性が低いとの結論になった」ということですから安心ですね・・・。
って、この記事(というか、WHOの報告書なのでしょうが)、そもそも考え方どうなってるんだ。“(1)乳児という少数者が被害を受けても、どうでもいい。(2)大人の被害は「おおむね1%以下」なら統計的に有意でないので、これもOK”です。(1)はもちろん論外として、(2)も福島市の人口30万人ほどですから、その「おおむね1%」ならば3,000人です。これで「がんリスク増 可能性低い」ですか?
さすがにこのままじゃナニ、と思ったか、朝日新聞は関連記事(上掲・左側の記事「リスク示し注意喚起」)で、この報告書の位置づけ、読み方について注意を喚起しています。「100ミリシーベルト以下の低線量被曝について、WHOは『健康影響がないとは言えない』との考えから予測した。日本政府や県、日本の専門家の多くは『影響は、考えにくい』と繰り返していた」。いやつまり、このWHOの報告書でも、日本政府や日本の専門家より、はるかにマシ、ということなのです。

(朝日新聞11月27日西部本社版朝刊)
福島の人々の状況、国連人権理事会の助言者に言わせれば、「健康を享受する権利」が踏みにじられている状態です。
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