解消が急務なのに増設を語る茂木経産相
2013-03-10
茂木経産相はテレビ東京の番組内で、原発内の使用済み核燃料保管施設の増設に言及しました。「解消」ではなく、「保管方式変更と改築」でもなく、「増設」です。
(朝日新聞3月10日西部本社版朝刊)
福島第一原発4号機のことは、彼の頭にはないようです。4号機では事故当時、原子炉は停止中で核燃料は炉内にありませんでした。核燃料は、使用済み核燃料保管施設=核燃料貯蔵プールにありました。ならばちょっとは安全そうなのに、全然そうではありませんでした。しっかりボカーンです。
国会事故調等の報告書では、一応、4号機の爆発は3号機から流れ込んだ水素のせいということになっています。しかし報告書はこの一応の結論に続けて次のように記します。「以上から、4号機R/B内に不燃限界濃度を超える水素が蓄積され、金属摩擦によって着火し、R/B内で爆発が生じた可能性が考えられる。しかし、今回の水素ガス爆発の着火要因については依然として不明な点が多く、今後、規制官庁を中心とする国、事業者、学会といった原子力関係者において徹底した解明がなされることを期待する」(99ページ)と。爆発原因については一応考えてみたが、「可能性が考えられる」程度の確信しか持っていないし、着火原因については未解明、要するに未だによくわからないのです。
こんな状態ですから、原子力規制委員会の田中委員長でさえ、使用済み核燃料の保管方法について、変更の必要があるとしています。
「使用済み核燃料、空冷式金属容器での保管要請へ」(読売 ONLINE 2012年10月10日 )
はっきり言って今しなければならないのは、原発内で使用済み核燃料を保管するというやり方の変更です。安全に保管するためには、常に水を流しておかなければならない(従って電源喪失等々の事故によって原子炉と同じくメルトダウンする)貯蔵プールでの保管ではなく、自然空冷でもメルトダウンしないくらいゆったりとまばらに核燃料を配置して保管する体制に切り替えることです。当然、狭い原子力発電所内に使用済み核燃料を置いておくことはできなくなるはずです。政府・電気事業者は用地確保等、早急に作業に着手しなければならないはずです。
次の自然災害や人為災害がいつ起きるかはわからないわけですから、安全性について決定的な不安が生じている核燃料保管方法の変更は急務なのですが、茂木経産相はのんきなことに、「暫定的な置き場を増やすことも選択肢の一つ」とか言っています。なに考えているんでしょう。
(以上、あえて「ジルコニウム火災」「4号機燃料プールの危険性」については触れていません。政府側の立場に立ったとしても、茂木経産相の言っていることはデタラメだ、ということです)
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