原発政策を議論しない安倍内閣
2013-09-04
「原発汚染水総合対策で470億円の国費投入、予備費から210億円」(朝日新聞HP 9月3日)遂にたまらず国費投入を決めた安倍政権、しかし、語るべきことを語らない、相変わらずの姿勢です。すなわち、国は何を根拠に、私企業の事故処理に金を出すのか、理由を提示しませんでした。納税者無視の態度も甚だしいと言うべきです。
もちろん、国には国民の生命、生活環境を守る義務があります。だから金を出す理由はあります。しかし、今回のように事故責任者がいるのに、なぜ事故責任者に代わって金を出すのか、そこはちゃんと筋を通してもらわなければ困ります。環境破壊を行った杜撰な事業者に事故処理を任せておいたら環境回復できそうにないからといって、“それじゃ国が事業者のやらなければならないこと肩代わりします”じゃ、泥棒に追銭です。国費を預かる政府として、無節操にこんなことしてもらっちゃ困ります。
国が金を出すには、ちゃんと責任者の責任をはっきりさせ、きちんと責任を取らせる必要があります。
もともとの東日本大地震および津波による原発事故については、事故を防止できたチャンスが5回はありました。特に、2006年には、東電自ら、巨大津波の試算を行い、海外研究集会で発表までしていながら、国内ではこの試算を握りつぶしています。組織としての東電は破産処理されるべきですし、当時の経営者も福島原発事故の責任を追求されてしかるべきです。
さらに言えば、現原子力規制委員の島崎氏の危険喚起提言や、当時政府の諮問委員会で巨大津波の可能性に言及していた岡村行信委員の指摘を握りつぶしていった官僚機構・自民党政権も責任追求されるべきです。
そして今回の汚染水漏洩は、明らかに現在の東京電力の責任です。地下水流入が分っていながら遮水壁も作らず、また、溜まった高濃度汚染水を、いつ漏れが発生してもおかしくないような安普請タンクに溜め込んでいるのですから。この件については、独立した刑事告訴も行われています→「被災者らが東電社長らを刑事告発 福島原発の汚染水漏れ」。刑事上の責任があるかどうかは裁判で決するでしょうが、国が公金を支出するには、そのための、責任主体の明確化と、その責任者に責任を取らせる処分が必要です。東電の破産処理は当然です。
こういったことなしの、無節操な国費投入は、政府の責任問題です。事故を起こした企業に、何も言わずに支援金を出すなんて、こんな馬鹿な話はありません。
まあ東電献金先トップ10の1人、甘利明を経産相に任じ、かつての共産党吉井議員の質問に対して原発は安全と答弁した安倍首相ですから、責任者本人が責任追及できないのはよ~く分かりますが。全くバカバカしい話しです。
さてそれよりは、こっちのほうが少しは面白いか↓

(朝日新聞9月4日西部本社版朝刊)
小泉純一郎元首相も、首相が原発ゼロ方針を打ち出す必要を述べたそうです。ただの人気取り発言かもしれませんが、渡辺喜美みんなの党代表を含めて、脱原発への流れが一応じわじわと広がってはいるのでしょうか。
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